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2011年3月21日月曜日

軌跡の計算(8)

佐藤の数学教科書「図形と方程式」編の勉強
【問1】点P(X,Y)が実数の媒介変数kと0で無い実数の定数a,b,cとを用いて次の式であらわされるものとする。
X=(ka+cb)/(k+c) (式1)
Y=(kb-ca)/(k+c) (式2)
(kは媒介変数)
媒介変数kの値が変化するとき、点P(X,Y)はどんな図形を描くか。

(解き方の方針)
この問題は、軌跡(7)で解答したような、媒介変数kを用いた2つの直線の交点Pの座標XとYを求めた後に、
それらの式からXとYの関係式を考える問題です。
以下では、そのような場合に、より素早く問題を解く計算技術を示す。

式1と式2のような式のグループから媒介変数kを消去する場合の計算技術として、以下の方針で計算する。
(方針1)先ず、式1と式2が同じ形の分母Bを持っていることに注目する。
(方針2)次に、式1の分子と式2の分子を足し算して分子に媒介変数kが無い式(1/B)を求める。
(方針3)分母の要素のkとcの成すベクトルC(k,c)に関して、式1の分子は、そのベクトルとベクトルA(a,b)の内積であり、一方、式2の分子は、そのベクトルC(k,c)と、ベクトルA(a,b)に垂直なベクトル(b,-a)の内積であることに注目する。
そのような場合には、ベクトルCとベクトルAの成す角度をθとすると、式1の分子=ベクトルCとベクトルAの内積は|ベクトルC|・cosθに比例し、式2の分子=ベクトルCと、ベクトルAに垂直なベクトルとの内積は|ベクトルC|・sinθに比例する。
そのため、式1の二乗と式2の二乗を加え合わせるとsinの二乗とcosの二乗の和は1になるので式の分子は、|ベクトルC|=Bに比例する。
それは元の分母Bの定数倍になり、式全体=定数・B/B=定数/Bになる。
(方針4)その式(1/B)から、(方針2)で求めた(1/B)と等しい式を引き算することで、媒介変数kを含んだ分数式を一気に消去する。

(解答)
先ず、(方針2)を実行する。
分子からkを消去するために、b(式1)ーa(式2)を計算する。
bX-aY=c(b+a)/(k+c) (式3)
ここでa,b,cは0では無いので、式3の右辺の分数式は0では無い。

(方針3)により、(式1)の二乗と(式2)の二乗を加え合わせる。
+Y
={(ka)+(cb)+(kb)+(ca)}/(k+c
=(k+c)(a+b)/(k+c
+Y=(a+b)/(k+c) (式4)

(方針4)により、(式4)-(式3)/cを計算する(cは0では無いことに注意)ことで、kを含む分数式を一気に消去する。
+Y-{(bX-aY)/c}=0
(X-(b/2c))+(Y+(a/2c))
=(b/2c)+(a/2c) (式5)
この式は、下図のように、中心が((b/2c),-(a/2c))にあり、(0,0)を通り、半径が√(a+b)/(2c)の円である。

ここで、式1と式2から、X=0,Y=0になるためには、
ka+cb=0 → k=-cb/a
kb-ca=0 → k=ca/b
=-c
となってしまい、cが0で無いので、X=0,Y=0になるための条件が成り立たないことがわかる。そのため、P(X,Y)は(0,0)にはならない。

式1と式2を見ると、媒介変数kが負の無限大か正の無限大になれば、P(X,Y)は(0,0)に近づくが、P(X,Y)は決して(0,0)には到達しない。

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