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2013年9月5日木曜日

ベクトルの難問の強力な解答手段



大学への数学「ベクトル」編の勉強

【難問】下図のように円周上に3点ABCがある。この場合に、以下の式1の関係が成り立つことを示せ。
(注意事項)ベクトルの各成分はベクトル名に添え字をつけて、aというふうにあらわすこと。そうすれば、a+a=Rという関係が成り立つaとaの関係が計算の際に難なく思い出して使うことができるようになるからです。

【解答の方針】
(0)この問題の式は正弦定理を使うと容易に証明できます(ベクトル解法のライバルは正弦定理)。
また、円周角の定理でも証明できます。

そのため、この問題は、「ベクトル計算には合わない問題をあえてベクトルで計算する」というひねくれた問題であることを認識して、以下の解答を見て下さい。

(1)この問題は、以下のように地道にベクトルの計算をします。
 ベクトルの計算にあたって、この問題のように難しい問題の場合は、ベクトルを互いに直交する2方向の成分に分解して成分の計算を行います。そうすれば、以下のように計算を進めることができ、問題が解けるようになります。

【解答】
式(1)の左辺の2乗を、べクトルを成分に分解して計算する。

この結果(2)は、式(1)の右辺の2乗である。
よって、式(1)が成り立つことが証明できた。
(解答おわり)


(別解)ここをクリックした先にも、同様に式1の左辺の2乗にかかわる計算による式1の証明がある。
(究極手法)ベクトルの複素数平面積を使う。

  【補足】
 なお、この式の関係を利用すると、以下の式(3)のように、三角形ABCの面積を計算する公式の1つが得られる。


(更に補足)
 この式(3)は、円周角の定理と三角形の正弦定理を用いても導ける。
一方、以上の式(2)のようにベクトルを成分に分解して行なう地道な計算でその公式を求めることができた。
 ベクトルを成分に分解して行なう計算は、ベクトルの内積の定義の適用と、点の座標成分の計算の整理の操作だけで簡単に行なえます。
 実は、この地道な計算によれば、ベクトルの演算公式の全てがこの計算で導き出せます。そのため、この方法によれば、ベクトルの演算公式のいくつかを忘れていても、問題なく答えが得られる、強力な解答手段です。


リンク:
複素数平面の公式を使ってベクトルの難問を解く
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