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2013年9月7日土曜日

三角形の辺と外接円の半径の関係



大学への数学「ベクトル」編の勉強

以下の問題は、図形で証明できる関係式を、ベクトルを使って求める問題です。

そのように、図形で証明できる関係式なので、この関係式は公式として、ベクトル計算の前提条件として使い、ベクトルの問題が楽に解けるようにしてください。

 ここでは、ベクトル計算の練習のために、この関係式を逆にベクトル計算で導いてみます。
(普通は、この関係式は計算の前提条件ですが、、、)

【問】下図のように三角形ABCと外接円の中心Dがある。外接円の中心Dの辺BC上の高さが式(1)で与えられることがわかっている。この外接円の半径Rを計算せよ。
(注意事項)ベクトルの各成分は関係する記号に添え字をつけて、aというふうにあらわすこと。そうすれば、成分の意味が連想し易くなるからです。

【解答方針】
(1)この問題を解くには、円周角の定理に関連する定理の、∠CDB/2=∠Aを思い出して、
R・cos(∠CDB/2)=p=R・cosAとして、
R=p/cosAとしてRを計算すると最も速く答えが出せます。
(2)しかし、その関係を思い出せなかった場合でも、ベクトルを成分に分解した地道な計算をすることで答えが得られます。
以下では、そのベクトルの地道な計算例を示します。

【解答1】
外接円の半径Rの二乗を以下のように計算していく。


ここで、この括弧の中の一部の式を計算する。
この結果を使って計算を続ける。
 この計算の結果R=bc/(2h)という関係が導き出せた。
(解答おわり)

【研究問題】
この関係を使って、三角形の面積をあらわす。

上記のように三角形の正弦定理が導きだされた。

先の式(1)は三角形の外接円の中心位置をベクトル方程式で計算することで得られていた。
このように、正弦定理も、ベクトルの地道な計算によって導き出すことができました。


 しかしながら、式1よりも解答の式の方が単純です。
 解答の式から式1を導き出す方が自然な計算の流れと考えられます。
 この解答の式は、正弦定理を使うと容易に証明できます。
  
 また、複素数平面での計算を使うと容易に証明できます。

【解答2】円周角の定理のベクトル表現を使った解答
 円周角の定理の図形での証明を思い出すと、ベクトルCDとベクトルpの成す角度が頂角Aと等しい。そのため、cosAは、以下の式a1の右辺の、外接円の半径Rとベクトルpの内積の比で表せる(これは、裏正弦定理です)
また、cosAは、ベクトルの内積の定義により、式a1の真ん中の式であらわせます。

この式a1の右辺の、裏正弦定理の、cosAを式a1の真ん中の項で表した式「円周角の定理のベクトル表現」を覚えておいて使うと、以下の様にこの問題を解くことができます。

この式a1の右辺の|p|に式1を代入すると、
となり、外接円の半径Rをあらわす式が導けました。
(解答おわり)
 
【解答3】三角形の面積を、角度を変えて考える。
 外接円の半径Rの二乗を以下のように計算していく。

この右辺の第2項にある、aとhの積は三角形の底辺と高さの積であって、三角形の面積の2倍ですので、
その面積は、
bc・sinA
ともあらわせます。
また、右辺の第1項にある、ベクトルbとcの内積は
bc・cosA
です。
よって、
上式の右辺は、
sinAの二乗とcosAの二乗の和が1になり、
結局、bcの二乗になります。
(解答おわり)

【解答4】解答2と同類の解答
ここをクリックした先の解答の様に、円周角の定理の(式1)を使って計算する。
(式1) (ベクトルPの絶対値)=R・cosA

【解答5】垂直ベクトルを使った解答
 下図のように、各ベクトルa,b,cを左回り(反時計回り)に90°回転した垂直ベクトルを定義します。
(注意)
ベクトルaを反時計回りに90度回転した単位ベクトルa=fを、更に反時計回りに90度回転した単位ベクトルfは-aになる。
そのため、ベクトルの内積a・bを、

両ベクトルを一緒に反時計回りに90度回転して内積した値は同じ値になるが、
その関係は、以下の式であらわされる。
・b=-a・b

(注意のおわり)

外接円の半径Rの二乗を以下のように計算していく。

ha=ベクトルaに垂直なベクトルaとベクトルbの内積であらわせます。
この関係を使ってこの式を変形します。

この計算の結果R=bc/(2h)という関係が導き出せた。
(解答おわり)
 以上の解答の計算は、結局は、解答3の計算の、
bc・sinA
の二乗と、
ベクトルbとcの内積の、
bc・cosA
の二乗の和を計算しているだけです。

 このように、垂直なベクトルを定義して使うことで、
bc・sinA
を導入することができ、何とか計算できました。
 以上の解き方を見ると:
 ベクトル計算の基礎は主に余弦定理が支えていて、正弦定理で解き易い円周角に係わる問題は、普通のベクトル計算では解きにくいと考えます。
 このベクトル計算の弱点は、垂直ベクトルを定義して使うことで補われて計算が進むようにできたと考えます。

【解答6】
ここをクリックした先のページを参照のこと。

 しかし、このように垂直ベクトル加えて使う解き方は不自然な解き方のようにも思います。
 問題の解き易さの本質は、余弦定理で解き易い問題はベクトル計算で解き易いが、 正弦定理や円周角の定理で解き易い問題は、ベクトル計算で解くのは難しいので、それよりは正弦定理や裏正弦定理や円周角の定理を使って解く方が良いと考えます。

リンク:
高校受験用:三角形の高さと外接円の半径Rの関係
高校数学の目次

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