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2016年9月2日金曜日

自分で問題を解いて、何が良いかを自分で考える

高校数学は、何でも疑って、
自分で問題を解いて、良い事であると確かめられた事だけを覚える心が大切だと思います。

その勉強の仕方の例として、
以下の問題を自分で解いてみます。
【問1】

を利用して、

を因数分解せよ。

【疑い】
この問題の、

という式は、問題の式

を因数分解する助けにはなるかもしれないが、その式は他の式を因数分解する役には立つのか?


【先ずは、この式を使わずに自分で問題を解く】 

を因数分解する問題は難しいので、先ず、c=0の場合を解く。

c=0の場合は解けた。
それでは、c=0で無い場合は、cは、c=0の場合に得られた式のどこに入ってくるだろうか。

は、aとbとcを入れ替えても同じ式になるので、
それを因数分解した式もaとbとcを入れ替えても同じ式になるハズです。
それでは、cを以下の様に右辺の式に入れたらどうだろうか。

この様に因数分解の答えを予測しました
 この右辺の式を展開したら、以下の様に左辺の式が得られた。

よって、この右辺の式が因数分解の解である。
(解答おわり)

(補足)
  左辺の式の因数の1つが(a+b+c)であることを素早く確認する方法:
右辺の式のように(a+b+c)が掛った式は、
c=-(a+b)
の場合に0になる。そのため、
c=-(a+b)
を左辺に代入して、以下の計算をしたら0になるので、
左辺の式の因数の1つが(a+b+c)であることが素早く確認できます。

この様にして(a+b+c)が因数であることが分かったら、

を(a+b+c)で割り算することで、(a+b+c)にかかる項を、確実な計算で求めたいものです。
その確実な計算方法は、
(a+b+c) ≡ s
とおいて、

の式の中にsを注入する。
その注入方法は、 以下の計算の様に、
c=s-(a+b)
という式を代入して、この式を、変数a,b,cの式から変数a,b,sの式に変換してsを注入すれば良い。
そうしてから式を整えていけば、自ずから答えが得られます。
 ここで、sを因数とすることができたので、sに掛る項を整えることで求める解が得られます。
 
こうして、因数分解の解を得ることができました。



(補足(その2))
この自分の解き方は、ずいぶんいいかげんな解き方のように見える。
なぜなら、この解き方ならば、
以下の様な解の予測もできるからです。

しかし、事実は、

であるので、

は、この左辺の式

の因数にはならないです。

それで、この左辺の式

は、この方法では因数分解の解が見つけられません。

しかし、以下の式の関係もあるので、

この左辺の式

の因数には、


もなることができません。
結局、この左辺の式

は因数分解が不可能でした。


因数分解が不可能な式は、もともと解くことができないのですから、「もし解けるなら解はこうなる」という示唆の価値は損なわれていません。

そのため、この自分の解き方は、それほどいいかげんな解き方ではありませんでした。


 一方で、最初の、問題の解の求め方の示唆はどうでしょうか。
この、

の式を因数分解しようとしてみます。
その因数分解のためには、

 
が役にたつかもしれないという示唆しかありません。
そして、それを使ってもこの式は因数分解ができないのです。
なぜなら、この式

は因数分解が不可能だからです。



そうなると、
 
を使う解き方の価値は、
自分が使った、簡単な問題の解を使って、難しい因数分解の問題の答えを推測して、その答えを展開して元の式になることを確認して、因数分解の答えを得る解き方と比べると、
問題の解答の見通しが悪いので、
劣った方法である
と判定せざるを得ません。

そのため、その価値に納得できませんので、

を使う解き方は覚える必要が無い
と判定します。

(3)「安易に、納得していない疑わしい公式を覚えないこと」

の原則に従って、この方法は覚えないようにします。

この方法を覚えずに問題を解く方法は、
自分の方法で問題を解く方法であって、
答案の解答の書き方は:
「問題の式を、(~~~)で因数分解したら、
因数分解できたから、これが答えです。」
と答えれば良い、と考えます。

ただし、後に教わる、以下の解き方は覚える価値があると考えます。
この式の因数分解の計算の最初の段階では、この式がx,y,zを入れ替えても同じ式になる対称な形の式であることを利用して解きます。
 その方針で解く理由は、先に、この式の因数が(x+y+z)であると予測した(これが大切!)ことにあります。そして、その因数(x+y+z)が、x,y,zを入れ替えても変わらない対称な式の基本要素の式sだからです。
 x,y,zの対称な形の式は、以下の要素s,t,uを使ってあらわすことができます。

つまり、以下のように、s,t,uの関数fであらわせます。
そうできるので、以下で、この変数x,y,zであらわされた式を、変数s,t,uの式に変換します。 
こうして、sで因数分解ができました。

(考察) この計算方法は、
先に行なった、
(a+b+c) ≡ s と定義した変数sを、

の式の中に注入して、式を整える方法と同じ種類の、式の変換方法と考えます。
 こちらの式の変換方法では、先に行なった、変数a,b,cの式を変数a,b,sの式に変換して式を整えた方法とは違って、sの注入を少しづつ行なう。こちらの式の変換方法では、変数x,y,zの式を変数s,t,uの式に変換する明確な指針に従って式を少しづつ整えた。 
 こちらの変数x,y,zの式の変換方法を参考にして、先に行なった、変数a,b,cの式を変数a,b,sの式に変換して式を整える方法を改良できる。改良した方法では、こちらの式の変換方法とほとんど同じになる。
 上の式の、変数x,y,zの式を変数s,t,uの式に変換する式の1行目から6行目の式(sで因数分解をした式)は、変数x,y,zの式のxを少しづつsの式に置き換えて変数s,y,zの式に変換する式と同じです。 

ただし、変数x,y,zの式を変数s,t,uの式に変換する式の変形において、式の対称性を維持しつつ変形すると、以下のようになり、より優れた解答が得られます。

更に進んだ内容は、ここ「因数分解の難問」をクリックした先にあります。


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