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2017年7月12日水曜日

円と放物線が接する条件

https://schoolhmath.blogspot.jp/2017/06/blog-post_2.html
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(2つのグラフが接する条件を求める問題)

【問】
 以下の2つの式であらわされる円のグラフと放物線のグラフが接するkの条件を求めよ。

【解1】
 先ずは、下図のようなグラフを描いて、問題の見通しを良くしてから問題を解きます。
次に、方程式1のあらわすグラフと方程式2のあらわすグラフの交点を計算します。
その解の交点が2重点になれば、それが、グラフが接する条件です。

 2つの方程式のグラフの交点を求めるために、
先ず、方程式同士を引き算して以下の式3を作ります。

 この式3は、式1と式2から作りましたが、
式2から得たxの式を式1のxに代入したのでは無く、
xの二乗を代入することでxを消去したので、式の代入方法に無理があります。

このような場合に、
確実に計算をするためには:
この式3を得た時点で、
式1と式2との連立方程式が、
式3ともう1つの式(式1を使うことにする)との連立方程式に変換されただけであるとみなします。
式3は2つの直線を合わせた式なので、式3のあらわす2つの直線の1つづつと式1のグラフが交わる点を計算し、その解が、式1と式3の解です。

(注意)
「式3が重根y=-2を持つのがグラフが接する条件だ」
と考えることは、
条件が合えば、そう考えても良いが、
この問題の場合は、
式1 によって、
-1≦y≦1
なので、y=-2となり得ない。
そのため、この問題では、y=-2となる重解は存在しない。
 (注意の補足)
 変数yの重解で求められる接点は、グラフがX軸に平行で無い部分の接点に限られています。これは、グラフの変数yでの微分を利用して接点を求める場合に、グラフのX軸に平行な部分は変数yでは微分できないので、接点が求められないのと同じ現象です。

式1と式3のグラフの交わる点の解が2重点を持つ(グラフが接する)場合が、上図から、以下の点として求められます。 

(y座標の解は1つで、x座標の解は2つの解が重なった重解)
よって、グラフが接するkの条件は、
k=±1
です。
(解答おわり)

(補足1)
 上に記載した解答で、式4a以降の解答の部分では、図から接点の解を求めているので、方程式を使って解を求める計算のルールに違反していると考え、解き方に納得できない人は、式4a以降を、以下の様に解くこともできます。

(式4a以降の解の置き換え)
 式1と式3のグラフの交点のy座標は、以下の式4であらわされる。
式4に、式2を変形した式2’を代入して、交点のx座標を求める式を得る。その式を以下の様に変形する。
これで交点のx座標の式が得られた。
この式から、交点のxの値の数が2つの場合と、xの値が1つになる、交点が重解になる場合を判別する判別式Dが以下の式6である事がわかる。
(この様に、方程式の解が重解になる判別式Dの求め方は、先ず、どの点とどの点が1つの点になって重解になるかをグラフから見つけます。次に、その点が重解になる条件の式を求めます。その式が重解の判別式です。)

この判別式6を式7に変形する。
この式7に等価な連立方程式8と9を得る。
この式9を、以下の式10に変形する。
この式10は式8を満足する。
そのため、式10は、連立方程式8と9を満足し、それゆえ、式7を満足する解である。 
(解答おわり)

(補足2)
 以上の計算における曲線の接触の判定の計算は:
「この式4a(あるいは4b)で得られた、
=0
という式が得られることで、
それにより正しく重解の存在を判定できるのか?」 
という疑問が湧くという、
接点の判定条件が怪しげで不明瞭であるという問題がある。

交点の重解の判別式Dについても、上の計算で求めた式6の判別式Dの様に、決まった形が無く、方程式事に判別式Dを導き出す必要がある問題があった。

また、以下のグラフの接点Aを求める場合:
このグラフの接線の傾きkを求める方程式を、重解を利用して得る計算方法の見通しが悪いという問題がある。

 このような接点の判定の不明瞭さを解消するには、式の微分を用いることで明瞭な判定ができる。その判定方法は、後のページの例題で例示する。

【解2】
 この問題は、以下の様に図で考えて、図で答えを求めると簡単に解けます。
 先ずは、下図のようなグラフを描いて、問題の見通しを良くしてから問題を解きます。
次に、方程式1のあらわすグラフと方程式2のあらわすグラフの交点を計算します。
 2つの方程式のグラフの交点を求めるために、
先ず、方程式同士を引き算して以下の式3を作ります。

式1と式2との連立方程式が、
式3と式1との連立方程式に変換されたと考えます。
式3を以下の様に解きます。
この式のグラフと式1のグラフの交点が、式1のグラフと式2のグラフの交点と同じ点である関係を以下の図であらわす。

式3は2つの直線を合わせた式なので、式3のあらわす2つの直線の1つづつと式1のグラフが交わる点が、式1のグラフと式2のグラフの交点の解です。

式1のグラフと式2のグラフが接する場合は、図から、以下の2つの場合であることがわかります。
そのため、この2つの場合のkの値を以下の様にして求めます。
 これが、場合1の解である。
これが、場合2の解である。
(解答おわり)

(補足3)
 この解2の解き方に対しては、解2の様に、方程式から答えを導き出さずに、図形から解を求めてしまうのはルール違反である、と考える人もいるかもしれません。
 しかし、方程式を解くどの解き方においても、どうしても、図形を考えて問題を解く作業が含まれます。どうしても、図形による考察が避けられないので、いっその事、使える解き方(図形によって解を求める)は何でも使って問題を解いて良いと考えます。

 また、本当に難しい問題を解くときには、方程式の変形だけで解こうとすると解くのが難しくなり、図形で考えて解く解き方を併用して問題を易しくして解きます。
 そのように、結局は、図形から解を得て問題を解くことになるので、いつでも図形から解を得て問題を解いても良いと考えます。

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