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2020年5月20日水曜日

関数で表した恒等式とは何

【問1】
以下の関数f(x)が全ての実数xで恒等的に0になる事を証明せよ。

g(x)=0,  (x≠0)
g(x)=100,  (x=0)
とした場合の
f(x)=xg(x),
について:

f(x)=0,
この式は恒等式であるか。

【証明】
(A) x=0 の場合:
f(x)=(0・100)=0,

(B) x≠0 の場合:
f(x)=(x・0)=0,

(C)
ゆえに、全ての実数xで
f(x)=0,
f(x)=0は恒等的に成り立つ恒等式である。
(証明おわり)

【問2】
問1の恒等式 f(x)=0 をxで割り算した式は恒等式になるか。

【解答】
f(x)=0,
f(x)=xg(x)=0,

(A) x≠0 の場合:
式 f(x)=0 をxで割り算でき、
g(x)=0, 
になる。
この式は成り立つ。

(B) x=0 の場合:
式 f(x)=0 をxで割り算した式はg(x)になり、g(x)はx=0でg(0)=100≠0である。よって、
恒等式 f(x)=0 をxで割り算した式は、恒等式にならない。

すなわち:
xg(x)=0,
は恒等式であるが、
g(x)=0,
は、x=0の場合には成り立たたず、恒等式ではない。
(解答おわり)

【恒等式を因数xで割り算した式が恒等式になる場合】
 恒等式:
xg(x)=0,
がある場合に、
その恒等式を共通因数xで割り算すると、
g(x)=0,
が得られる。
もし、この式g(x)がx=0の点で連続であるならば、この式は恒等式になる。
(証明開始)
x≠0の場合、
xg(x)=0,
の両辺をxで割り算して、
g(x)=0,
が得られる。
一方g(x)がx=0の点で連続であれば、
x→0のg(x)の極限値がg(0)に等しい。
また、xg(x)が恒等式であるので、x≠0でg(x)=0。
そのため、x→0でのg(x)の値は、いつもg(x)=0である。
ゆえに、x→0でのg(x)の極限値は0である。
g(x)がx=0で連続であるので、g(0)=0,
である。
ゆえに、
xの全ての値において、
g(x)=0,
すなわち、この式は恒等式である。
(証明おわり)

(補足)
g(x)が整式(単項式や多項式)の場合には、g(x)は連続関数です。
sin(x)やcos(x)も連続関数です。

リンク:
恒等式の定義
高校数学の目次

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