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2022年12月7日水曜日

確率の同様に確からしい事象と事象の対称性

《事物の対称性の把握》
 確率の問題を解くために、事物の対称性の認識が不可欠です。
互いに平等・対等で対称な関係にある複数の対象物に対して、その各々が選ばれる可能性を、「同様に確からしい」としている。
 互いに平等・対等で対称な関係にある複数の対象物とは、例えば、サイコロの6つの目がある。
【サイコロの目】
 サイコロを振ると出て来る1から6までの6つの目について考える。
 それらの目は、サイコロという正6面体の、互いに対称な6つの面を、番号付けして区別したものです。
その6つの面は、どの面も平等で、互いに対等で対称な関係がある。すなわち、それらの間には差別が無い。
それゆえ、その6つの面のどの面が選ばれるかの可能性を「同様に確からしい」と考える。そのように考えて定める確率を「数学的確率」と呼ぶ。
 また、互いに対等で対称な関係があると認識された6つの目の選ばれる事象のバラエティが6つあると考える。

【袋の中の複数の玉】
 袋の中の同じ形同じ重さの複数の玉で、色だけが異なる玉を取り出す問題について考える。
 それらの複数の玉は、どの玉も平等であって対等である。すなわち、玉同士の関係は対称な対等な関係であって、玉を取り出す可能性が玉毎に(その色などの性質によっては)差別されない。
 それゆえ、同じ色の玉も区別するように、全ての玉を区別して考える。そのように区別したどの玉も平等で対等であり、玉同士の間に対称な関係がある。そのように区別した複数の玉のどの玉が選ばれるかの可能性を「同様に確からしい」と考える。
 また、互いに対称な対等な関係が認識された複数の玉は、そのどれかの玉が選ばれるかの事象のバラエティが玉の数だけあると考える。

【個々の対象物の全てを区別して考える】
 事物の対称性を考えるときの、考えるべき個々の対象物については全てを異なる物と把握する。その理由は、人が見分けられないように見えても、1つ1つの対象物は全て異なって数えられる物なので、個々の対象物は全て区別して把握する。そのうえで、各々の対象物を平等・対等に扱う。
(区別して考えられない物同士は独立した物として互いに比較することもできない。互いに対等な物と比較・把握できるためには、互いを区別できることが重要)
 更に、対象物を袋から取り出す時刻についても、設問が「同時に取り出す」という条件を設定している場合であっても、わずかに異なる時間のずれがあるとし、各々の対象物を袋から取り出す時刻も全て異なるものとみなす。

 そういうふうに全ての対象物を、各々が区別される1つの対等な単位にまで区別して考える。そういうふうに対象物を明確に区別したうえで、その対等な対象物のどれが選ばれることも「同様にたしからしい」と考える。「同様にたしからしい」と考えることは、対象物をすべてが区別された対等な物として平等化して考える。そして、それらの区別した上で平等化した1単位の対象物の間に対称な関係があると考える。すなわち、「同様に確からしい」と考えることは、事物の対称性をみつける作業です。
(ここをクリックした先のページの(補足)に、同様に確からしくない事例がある)

 例えば、りんご2個と梨5個が入った袋から1個を取り出すとき、
りんご1,りんご2,
梨1,梨2,梨3,梨4,梨5,
の合計7個の物に区別して把握し、各物を平等化する。
そして、平等化したそれらの物のうちのどの1つを取り出すことも、
互いに、同様に確からしいと考える。

りんごのどれか1つを取り出す事象と、梨のどれかの1つを取り出す事象については、
両者が同様に確からしいとは考えない。
(両者は対等では無いからです)

【確率の基本について】
「確率の問題を間違えてしまう5つの原因と求め方とは?」のサイト
に記載されている、確率についての基本的考え方が身についていますか?
「確率が苦手な人には、共通する5つの原因があります。

今回の記事では、その5つと正しい求め方を数学が苦手な人にも易しく解説します。この記事を読むと自分がどうして確率の問題を間違ってしまっているかの答えが出ると思います。

Q1. リンゴ2つとバナナ4つの入ったかごから3つの果物を同時に取り出すとき、リンゴ1つとバナナ2つを取り出す確率を求めてください。

《よくある間違い》
果物を取り出した時に考えられる組み合わせは・・
{リンゴ、リンゴ、バナナ}、{リンゴ、バナナ、バナナ}、{バナナ、バナナ、バナナ}の3通り。
だから、
{リンゴ、バナナ、バナナ}になる確率は1/3になります・・・
 これは大きな間違えです。
もしこれが正解だとすると、リンゴが2個の場合で、バナナが4個の場合も100個の場合も200個の場合も、答えは1/3になってしまいます。」


《解答の基本》
 玉を選ぶ確率の問題を解くための根本的な考え方は、以下の考え方である。
(1)全ての玉は1つ1つに名前が付いていて異なっていると考えるべき。その個性のある個々の玉に係わる計算によって問題を解くべき。
(2)計算は、必ず、それらの個性のある個々の玉に結び付けて行うべき。
(3) そして、「複数の玉を同時に取り出す確率の問題とコンビネーションを用いて良い定理」のサイトの結論により、「同時に」玉を取り出す問題であっても、その玉を、時間差をもうけた「順番に」取り出す問題と考えて問題をわかり易くして解くのが良い。

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