2022年3月6日日曜日

樹形図の基本ルール(その2)

樹形図の基本ルール:
《基本ルール》
(1)樹形図を横断する枝の総和(太さ)は常に一定。
(2)発生確率が同じ事象の樹形図の枝の太さは同じ。
(3)樹形図は、根元から枝先まで一定の太さの糸を根元側で束ねた、糸の集合でもある。1本の「糸」は、事象の連鎖の1つの場合を表す。
(4)樹形図の根から展開した複数の枝を書き、その先で、複数の枝をいったん節に束ねて糸の束を再編成して再度複数の枝(個々の枝は複数の糸の束で作る)に展開することもできる。
 樹形図の糸の束を、以下の例題のように解釈して問題を解くことができます。

【例題1】
 白球3個と赤球2個の入っている袋から、 1個ずつ順に、取り出 した球はもとに戻さずに、3個の球を取り出した。3番目の球が赤球である確率を求めよ。

【解答】
 3個の白球と2個の赤球を合わせた5個の球1つ1つを対等な球であると区別して考える。球の色分けはその対等な球に追加した付加的な区別であると考える。
 そう考えると、その5個の球の各球を取り出す確からしさは、5つの球の番号に影響されずに同様に確からしい性質を持つ。そして、下図の樹形図(樹形図の一部のみを表す)が書ける。


上図の樹形図は、取り出 した球はもとに戻さずに3個の球を順に取り出す場合を表す樹形図の糸の束の一部(1番目の球が赤球1の場合のみ)を表している。この樹形図の糸(事象の連鎖)の1本1本が同じ確からしさを持ち、どの糸の太さも同じになります。各糸(事象の連鎖)は、取り出す球の番号で示した数字の連鎖(例えば1, 2, 3)と等価である。それは、最小単位の「場合」を表し、その糸の総数が全ての「場合の数」を表す。
 上図の事象の連鎖の糸を12本書くよりは、
この事象の連鎖12個を、
(1,2,3)
(1,2,4)
(1,2,5)

(1,3,2)
(1,3,4)
(1,3,5)

(1,4,2)
(1,4,3)
(1,4,5)

(1,5,2)
(1,5,3)
(1,5,4)
とあらわす方が単純になる。
これは、以下のように単純化した樹形図であらわせる。

このように、事象の連鎖を併記すると、樹形図が単純な形であらわせる。

 この事象の連鎖の糸の1本の太さを1とすると、1番目に取り出す球が赤球1(球1)である糸の束の太さが、
4×3=12
になります。それは、1番目に取り出す球が赤球1(すなわち球1)である場合の数が12であることを意味する。

次に下図を考える。


上図の、樹形図の一部の表示では、3番目の球が赤球1(球1)の場合の糸(事象の連鎖)の束を表している。
事象の連鎖を併記した形の樹形図は下図になる。

このように単純な形で樹形図をあらわせる。

 3番目に取り出す球が赤球1(球1)である場合の樹形図の糸の束の太さは、4×3=12になります。それは3番目に取り出す球が赤球1(球1)である(事象の連鎖の)場合の数が12であることを意味する。
 3番目に取り出す球が赤球2(球2)の場合の樹形図も加えて、更に、3番目が白球である場合も加えて、樹形図を完成させると、完成した樹形図では、
3番目の束が赤球で束ねられる束の太さと、
白球で束ねられる束の太さと、
の比(場合の数の比)が
(4×3×2):(4×3×3)
=(12×2):(12×3)
=2:3
になります。
よって、 3番目の球が赤球である確率=
=2/(2+3)
=2/5
になります。
(解答おわり)


 樹形図は、最細の糸という基本単位の糸を束ねて構成されます。
 「糸」の1つは、事象の連鎖であり、樹形図の根元から枝までひとつながりである糸です。その糸を具体的に表現する方法は、各試行毎の事象の番号の連鎖:各試行毎に取り出す球の番号の連鎖(1 2 3)であらわすことができます。
 3番目に球を取り出す事象を最初に考えて樹形図を解釈することは、3番目に球を取り出した球が何になるかの場合の数を求めて確率を計算することと等価です。
場合の数を使って確率を計算するならば、球を取り出す試行の順番に依存せずに確率を計算できます。
樹形図の糸を網羅して把握できる場合は、場合の数を使った計算と等価な計算ができるため、3番目に球を取り出す試行を最初の試行として計算しても正しい確率の値を計算することができます。

 この様に、樹形図の「糸」が貫く、1番目と2番目と3番目の各試行の結果の各事象のセットを、その各試行を順番通りに考えないでも、正しい確率の値を計算することができます。

【例題2】
 1枚の硬貨をくりかえし投げ、表が2回出たら賞品がもらえるゲームをする。ただし、投げられる回数は6回までとし、2回目の表が出たらそれ以上は投げない。1回目には裏がでるが結局は商品がもらえることになる場合の確率を求めよ。

【解1】
 下図のような、事象の連鎖を併記した樹形図を書いて問題を整理する。

この樹形図での事象の連鎖の記号の意味は、硬貨の表が出る事象を1とし、裏が出る事象を0とした。

この樹形図は、
3回で商品を獲得する事象、
4回で商品を獲得する事象、
5回で商品を獲得する事象、
6回で商品を獲得する事象、
の順に、事象の連鎖のバラエティを並べた樹形図である。

このような樹形図を書けば、以上の計算式によって、確率が計算できる。
(解1おわり)

【解2】
 下図のような、事象の連鎖を併記した樹形図を書いて問題を整理する。

(解2おわり)

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