ページ

2011年5月3日火曜日

第5講3節 和と積の公式 練習問題(7)

佐藤の数学教科書「三角関数」編の勉強

(以下の問題は、「5講1節(2)覚えておく計算方法」の応用問題です。

【問1】
sinA+sinB=2/3,cosAcosB=1/2のとき、

sinAsinBの値を求めよ。

【解答の心構え】
(1)先ず考えるべきことは、問題をもっとやさしい問題に変換できないかを考えること。
 今回は、求める式がsinAsinBという単純な式なので、求める式をこれ以上にはやさしくはできないと考える。

(2)次に考えることは、なるべく、加法定理関係の公式を使わないで、正弦定理や余弦定理や、「5講1節(2)覚えておく計算方法」を使った見通しが良い解答が無いかを考える。
 その結果、以下に説明するように、加法定理も、和と積の公式も使わないで答えが得られるが、それが正解です。

(解答の方針)
この問題は、「5講1節(2)覚えておく計算方法」を使うと式が単純になることを思い出して、sinAsinB=xとあらわして、xの方程式を書いて、xを解く。

 先ず、値がわかっているcosAcosB=1/2と、未知数sinAsinB=xとを、「5講1節(2)覚えておく計算方法」にあてはめて、以下の式を書く。
cosAcosB-sinAsin
=cosAcos
+(cosAsinB-cosAsinB)
-sinAsin
=cosA-sin
 次に、値がわかっているsinA+sinB=2/3を式の中に組み込めるように式を変形する。
=1-sinA-sin
=1-(sinA+sinB)+2sinAsinB

以上の計算で、以下の方程式が書けた。
cosAcosB-sinAsin
=1-(sinA+sinB)+2sinAsinB

この方程式の各項を、定数あるいは未知数xに置き換えてxの方程式を書く。
(1/2)-x=1-(2/3)+2x
+2x+1-(2/3)-(1/2)=0
+2x+(36-16-9)/36=0
+2x+11/36=0
(x+(11/6))(x+1/6)=0
x=-11/6, 不適(|x|=|sinAsinB|≦1であるため)
or x=-1/6
∴ sinAsinB=x=-1/6
(答おわり)

リンク: 
高校数学の目次

2011年5月1日日曜日

三角形の三角関数の3重積と3項和の公式(2)

以下の公式は、三角形の内角における和積公式のサイトの説明が詳しいです。

(以下の問題は、「覚えておくべき三角形の公式」の応用問題です。
【問1】
△ABCにおいて、次の等式がなりたつことを証明せよ。

【問2】
 △ABCにおいて、次の等式がなりたつことを証明せよ。

【問3】
三角形の外接円の半径と内接円の半径の関係を求めよ。

この問題の解答は、ここをクリックした先にあります。

リンク:  
高校数学の目次

三角形の三角関数の公式

以下の、三角形の三角関数の公式を直ぐに導き出せるようにしておくと便利です。

【問1】三角形ABCの角度の以下の公式を証明せよ


(証明開始)
sin((A+B-C)/2)=sin((A+B+C-2C)/2)
=sin((π/2)-C)=cosC
(証明おわり)
 他の式の証明も同様である。

【問2】三角形ABCの角度の以下の公式を証明せよ
sin(A+B-C)=sin(2C)
sin(B+C-A)=sin(2A)
sin(C+A-B)=sin(2B)

(証明開始)
sin(A+B-C)=sin(A+B+C-2C)
=sin(π-2C)=sin(2C)
(証明おわり)
他の式の証明も同様である。

【問3】三角形ABCの角度の以下の公式を証明せよ
cos(A+B-C)=-cos(2C)
cos(B+C-A)=-cos(2A)
cos(C+A-B)=-cos(2B)

(証明開始)
cos(A+B-C)=cos(A+B+C-2C)
=cos(π-2C)=-cos(-2C)=-cos(2C)
(証明おわり)
他の式の証明も同様である。

上の公式を直ぐに導き出せるようにしておくと、三角形の三角関数の式の証明がやさしくなります。

リンク:
高校数学の目次

三角形の等式の証明の難問の別解(三角関数の和と積の公式)

佐藤の数学教科書「三角関数」編の勉強

【難問】
三角形ABCにおいて
2cosA+cosB+cosC=2 (式1)
が成り立っていれば、
2sinA=sinB+sinC (式2)
が成り立つことを証明せよ。
 
この問題は、「第4講2節 加法定理(等式の証明(1))」で解いた問題です。
 【重要な注意】
三角関数(特に三角形の角度の三角関数)の問題を自由に解くためには、三角関数の式を、なるべく、ベクトルの式やxy座標の式に変えて計算する必要があります。

(問題をより易しい問題に変換してから解くこと)
「第4講2節 加法定理(等式の証明(1))」のように解くのが近道ですが、
以下では、どうしても、三角関数の和と積の公式を使ってこの問題を解きたい人のために、和と積の公式を使って遠回りして問題を解きます。

(解答の方針)
証明すべき対象の
2sinA=sinB+sinC (式2)
を直接証明しようとする前に、この式を、できる限り、問題をかみくだいて易しい問題に変換しておいてから問題を解きます。

式2は、3つの項の関係式であるから難しい式になっています。そのため、この式を2つの項だけであらわされる、もっと単純な式に変換しておいてから、問題を解く方針で問題を解きます。

また、式1についても、式2同様に3つの項からなるので難しい式です。この式1も、式2と同様に、2つの項だけであらわされる単純な式に変換して、その上で、その単純な式同士を比較して問題を解きます。

(解答開始)
先ず、∠A=0、又は、∠A=180°で三角形ABCがつぶれている特別な場合を考えます。
その場合でも、点B≠点Cという条件は成り立っているとすると、
0=sinA=sinB=sinC
となる。
その場合は、式2が成り立っている。

以下では、
∠A≠0
かつ、
∠A≠180°
の場合を考える。

式2を、以下のように変形して、もっと単純な式に変換します。
ここで、∠Aが180°では無いものとする。
すなわち、
であるものとする。
上の式をこの0で無い項で割り算すると以下の式が得られる。

こうして、式2は、式3のように、2つの項の関係であらわせました。

 次に、式1を、変形して2つの項の関係式に変換します。

ここで、
が成り立っているものとする。すなわち、∠A=0となるつぶれた三角形では無いものとする。
その場合は、この0で無い項で上の式を割り算して以下の式が得られる。
式1は、式4のように、2つの項の関係であらわせました。
この式4は、式3と同じ式です。
よって、式1と式2は同じ式3(=式4)に帰着することがわかりました。
(証明おわり)

【解答(その2)】
 上の解き方における式の変形の順番を変えると、以下の様にして解くこともできます。
 ただし、この解き方は、この問題だけに通用する偶然にできる解き方であって、他の問題を解く参考にもならない劣った解き方です。
 この解き方よりは、先の解き方(問題の2つの式を単純化する変形をして式を比較する、式の分析をする)の方が、見通しが良く優れた解き方です。

(解答開始)
 先ず、式1を、変形して2つの項の関係式に変換します。
ここで、
が成り立っているものとする。すなわち、∠A=0となるつぶれた三角形では無いものとする。
その場合は、この0で無い項で上の式を割り算して以下の式が得られる。
式1は、式4のように、2つの項の関係であらわせました。
この式4を以下のように変形して解いていきます。
よって、式1から式2が導けました。
(証明おわり)

リンク:
高校数学の目次