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2011年8月13日土曜日

微分の基本公式

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「微分・積分」の勉強

関数f(x)であらわされるグラフの傾きは、以下のようにあらわされます。
この傾きは以下に説明する微分によって求めます。

---(定義2.1 「微分積分学入門」(横田 壽)67ページ---
 (注:横田教授が芝浦工業大学を退官したため、この教科書を無料で掲載していたWebページが無くなりました。この本は書店で購入できます。

関数f(x) がx0 を含むある区間で定義されているとき,極限値
が存在するならば,
関数f(x) は, x = x0 微分可能(differentiable) であるといいます.
また,この極限値A を点x0 における微分係数といい,

で表わします.
-----(定義おわり)--------------------------- 

関数f(x) が,ある区間 I の各点で微分可能のとき
f(x) は区間 I で微分可能(differentiable on I) であるといいます.
この場合,区間 I の各点にそこでの微分係数を対応させることにより定まる関数を
f(x) の導関数(derivative) といい,

であらわします。
微分(導関数)を(df/dx)で表すことをライプニッツの記法と呼んでいます。

また、fの微分(導関数)を、f’とも書くことができます。その記法はラグランジュの記法と呼ばれています。

  この微分の定義に従って、関数の微分を考えると、
以下の公式が導かれます。

(基本公式)
(f・g)’=f’・g+f・g’
(証明開始)
(証明おわり)

 この「関数の積の微分の公式」は、ライプニッツ則と呼ばれる微分法の重要な公式です。
ライプニッツが、1684年に「極大と極小にかんする新しい方法」を出版して、その中で微分法を発表し、
ついで1686年に「深遠な幾何学」を出版して積分法を発表しましたが、
その研究の中心核を成す重要な公式です。


(基本公式の適用例)
(f・g)’=f’・g+f・g’
   この基本公式から、以下のことが言えます。

x’=1ですが、
(x)’=(x・x)’=x’・x+x・x’=2x
(x)’=(x・x・x)’=x’・(x・x)+x・x’・x+(x・x)・x’=3x
同様にして
(x)’=4x
(x)’=5x

 ライプニッツが、この「関数の積の微分の公式」を発見して、その応用の広さを知って感動し、『これは数学の1分野となり得る』と思って「微分学」を発表する理由の1つになったのではないかと推察します。

何と!この感動的な基本公式は、高校2年では教わらないことになっているそうです。
(この教育方針は1989年ころから続いているようです)
 この基本公式は、微分の定義を学んだなら、その定義の意味を知るためにも、直ぐ学ぶべき公式と考えます。
 この公式を教えないと言うのは、高校生には微分を教えないということに等しいと考えます。

 微分の本質が教えられていないと、その微分の応用を教えることができません。逆に、微分の応用が教えられない場合は、「微分の本質が教えられていないからである」と、微分の本質が教育できたか否かをチェックできます。
 この基本公式を教えられないというチェック結果から、高校生には微分の本質が教えられていないことが確認できます。

 そういうふうに教育されると、微分は全く理解できないことになると考えます。実際、その通りに、微分は高校生に全く理解されない結果が出ているようです。 

 実際、変数xで表される2つの関数があって、
変数xのある値xにおける、2つの関数のxによる微分係数が、以下の式であらわされて等しい場合に:
この関数を他の変数tで微分した場合に、
が成り立つと普通は考えますが、それが成り立たない場合もあります。
それが成り立つ場合と成り立たない場合を区別する条件は、「合成関数の微分の公式」を学ぶことで理解されますが、それが教えられていません。
高校生に微分が理解されないのも無理ないと考えます。

 このブログを読んでいる、数学を学ぶ後輩に、先輩から一言助言します。
 高校の微分積分の参考書は良くわからない。それに比べて、大学生向けの微分積分の参考書は分かりやすい。大学生向けの参考書は数学の本流にそって、ていねいに、公式は必ず証明した上で学生に使わせるようにしている。新しい知識は、必ず定義したり説明してから紹介している。
 ハッキリ言って、大学生向けの微分積分の参考書は、高校の微分積分の知識を全く知らない学生に理解できるように書かれている。
 しかも、大学生向けの微分積分の参考書の方が、やさしく分かり易い。
 高校の微分積分を勉強するなら、先ず、大学生向けの微分積分の参考書を読むことを推薦します。高校の微分・積分の教科書は分かりにくいだけで無く、間違いも含まれています。読まない方が良いのではないかと考えます。

 以前は、大学生向けの参考書で無料でダウンロードできた、
「微分積分学入門」(横田 壽)
 (注:横田教授が芝浦工業大学を退官したため、この教科書を無料で掲載していたWebページが無くなりました。この本は書店で購入できます。
をお勧めします。 
(しかし、同じ著者の書いた高校生向けの参考書「確実に身につく微分積分(2012年)」の1版は、内容が劣化しているのでお勧めできません。大学生向けの本物の知識の参考書「微分積分学入門(2004年)」を読んでください。)

 その他に、高校2年生が勉強するのに適切な、書店で購入できる微分積分の参考書は:
「やさしく学べる微分積分」(石村園子) ¥2000円
が内容がわかり易くて良いと思います。
この本の36ページから始めて、45ページまで読めば、微分の概念から始めて合成関数の微分の公式まで学ぶことができます。

「やさしく学べる微分積分」(石村園子)の読み方は、 36ページから始まる2章「微分法」の以前のページは斜め読みして、何が書いてあるらしいかを漠然と把握しておいて、2章「微分法」以降を精読することをお勧めします。読んでいるうちに知らない関数や概念が出てきたら、36ページ以前に書いてありますので、探して、その部分を読んで理解するように勉強してください。

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