ページ

2013年8月14日水曜日

(3a)複素数はベクトルの一種:3次方程式の解





大学への数学(旧B)「複素数」編の勉強

【問】
 x=1の複素数の解を複素数平面上で表示すると、以下の図のようになります。

上の図で、x=1,A,Bが、x=1の3つの解です。
全ての複素数yは、2次元べクトルと同様に、2つの独立な複素数AとBの合成で、
y=(s×A)+(t×B)   (1)
とあらわすことができます。
(ただし、sとtは実数とする)
そのようにして、
+py+q=0       (2)
(pとqは実数とします)
の形であらわされる3次方程式が実数でない複素数解を1つは持つ場合に、その1つの複素数を、式(1)であらわしてみます。

その場合に、この式(2)の3次方程式の残りの解を求めよ。

【解答】
実数係数の高次方程式の複素数解は、その解に共役な複素数も、その解である。
よって、複素数Aを共役な複素数Bに置き換え、BもAに置き換えた、式(1)の複素数に共役な複素数
y=(s×B)+(t×A)   (3)
もまた、式(2)の解である。
よって、式(2)は、第3の解をCとすると、以下の式であらわせる。
(y-(sA+tB))(y-(sB+tA))(y-C)=0  (4)
この式が、式(2)の形であって、yの2乗の項の係数が0になるためには、
式(4)のyの2乗の項の係数を0にする以下の式が成り立つ必要がある。
(sA+tB)+(sB+tA)+C=0
(s+t)(A+B)+C=0        (5)
ここで、A+B=-1であるので、式(5)は以下の式になる。
-(s+t)+C=0,
C=s+t,                (6)
よって式(2)の3つ目の解Cは、上の式(6)であらわせる。
以上をまとめると、式(2)の全ての解は、
sA+tB   (1)
sB+tA   (3)
s+t     (6)
の3つである、
(解答おわり)


【研究】
この問題の場合に、式(2)の方程式の各項の係数pとqと、解のパラメータsとtとの関係はどうなっているか調べてみよう。
式(2)と、式(4)を展開した式のyの項の係数と定数項を比較する。
yの1次の項は:
p=(sA+tB)(sB+tA)+C(sA+tB+sB+tA)
=sAB+st(A+B)+tAB+C(A+B)(s+t)
=s+st(B+A)+t-C(s+t)
=s-st+t-(s+t)(s+t)
=(s+t)(s+t)-3st-(s+t)(s+t)
=-3st         (7)
定数項は:
q=-(sA+tB)(sB+tA)C
=-(sAB+st(A+B)+tAB)C
=-(s+st(B+A)+t)(s+t)
=-(s-st+t)(s+t)
=-(s+t)      (8)
よって、pとqと、解のパラメータsとtとの関係は:
p=-3st         (7)
q=-(s+t)      (8)
の関係がある。
この(7)と(8)を使うと、pとqが与えられたら、sとtを計算でき、それから、sとtを計算できます。

リンク:
高校数学の目次

0 件のコメント:

コメントを投稿