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2017年2月25日土曜日

双対曲線を求める問題

【問】
上の式1があらわす曲線の双対曲線を求めよ。

(コメント)この問題は大学の数学科に入学した学生用の問題です。そのため、この問題は、医学部をめざす受験生も、無視してください。

【双対曲線とは】
 双対曲線とは、以下に説明する曲線です。
正式な定義は、以下の通りです。
(双対曲線の定義)
上記のように、射影空間における、(Z,X,Y)の(連比の)点の集合
F(Z,X,Y)=0  (2)
で曲線を定義する。
その曲線上の点毎に、関数Fの偏微分係数(の連比)

を求める。
その偏微分係数の連比であらわした、射影空間上の点の集合が双対曲線である。

この双対曲線は、以下の曲線であると言い換えることができる。

(双対曲線の定義の言い換え)
曲線1の点(x,y)に以下の直線8(接線)が接すると:
この接線の係数(U,U,Uは、
この接線8を、
F(Z,X,Y)=Z+UX+UY=0
という形であらわした時の、
関数Fの偏微分係数

に等しい。
その(U,U,U)ベクトルの要素の連比を、射影空間(無限遠直線を加えた空間)の点とする。
その点の集合を双対曲線と呼ぶ。
もっと具体的には、その点の集合をあらわす曲線の式:
P(=0
を双対曲線の式と呼ぶ。

射影空間から無限遠直線を除外した空間を考えると、 
ux=U/U
uy=U/U
であらわした、ベクトル
uxuyの集合をあらわす
曲線
P(1,p(x,uy)=0
が、無限遠直線を除外した空間における双対曲線です。
(無限遠直線を除外しても、なお、複素数座標で双対曲線を考える)

【解答1】
 式1のような2次曲線に限って通用する、以下の方法で双対曲線を計算することができる。

 先ず、式1を射影空間の座標であらわした式2に変換する。
 上の式3のように、式2を対称行列Tを使ってあらわす。
式3の行列Tの各要素は以下の通りである。
式3であらわした曲線に接する接線の係数Uは以下の式5で計算できる。
式5から式6が得られる。
この式6を式3に代入すると係数Uのベクトルがあらわす曲線(双対曲線)7が計算できる。
ここで使っている行列Tの逆行列は、以下のようにして計算できる。
こうして、双対曲線7’(又は7’’)が得られた。
(解答おわり)

【解答2】
 2次曲線にしか使えない方法はつまらないので、3次以上の曲線の双対曲線の計算にも使える以下の方法で双対曲線を計算する。
 この曲線1に点(x,y)で接する直線を、以下の式8であらわす。
 この式1に式8を代入してyを消去する。
 式8が式1に接するので、式8を式1に代入して得た式9では、接点のx座標が重根になっているハズである。その重根をgxとすると、
(x-gx) の2乗の式が式9の左辺にある。
その2乗の式を微分しても、なお、(x-gx)が消えずに左辺に残る。
そのため、式9を微分した式11も、(x-gx)を左辺に持つのでその重根gxを根の1つに持つ。

式9と式11が共通する根gxを持つので、
式9の係数と式11の係数で作るシルベスターの行列式が0になる。
それを計算することで、ベクトルUの要素の関係をあらわす式(双対曲線の式)が計算できる。

先ず、fをあらわすxの多項式12を計算し、それを微分してf’をあらわす多項式13を計算する。
 この式12と式13の係数を使ったシルベスターの行列式を計算する。

 これで、求める双対曲線16が計算できた。
(解答おわり)

【解答3】
解答2でシルベスターの行列式を使ったが、
その解答の本質は、与えられた曲線1に接する直線8の係数を求めることにあります。
その解答の本質を見るため、シルベスターの行列式の助けを借りずに、以下の様にしてこの問題を解きます。
 この曲線1に点(x,y)で接する直線を、以下の式8であらわす。
 この式1に式8を代入してyを消去する。
 式8が式1に接するので、式8を式1に代入して得た式9では、接点のx座標が重根になっているハズである。その重根をgxとすると、
(x-gx) の2乗の式が式9の左辺にある。
その2乗の式を微分しても、なお、(x-gx)が消えずに左辺に残る。
そのため、式9を微分した式11も、(x-gx)を左辺に持つのでその重根gxを根の1つに持つ。

式9と式11が共通する根gxを持つので、式9と式11を、ユークリッドの互除法を用いて加減乗除することで、その共通する根gxを解に持つ最大公約多項式(それはxの一次式になるだろう)を計算する。

先ず、fをあらわすxの多項式12を計算し、それを微分してf’をあらわす多項式13を計算する。
この式12と式13の最大公約多項式(xの1次式になるだろう)を、ユークリッドの互除法で、以下の様に計算する。
ここで得た式17と、先に得ていた式13とは、
ともに1次式であるが、 
共通する根gxを持つ。
そのため、式17と式13は係数だけ違う同じ式である。
それゆえ、以下の式18が成り立つ。
以上の計算のように、式18を変形することで、再び式16が得られた。
(解答おわり)

(コメント1)
 数学の専門家は、ミルナー数μ等を駆使して双対曲線を計算するらしい。しかし、それをどのようにして行なうかは、私は勉強不足のため、分からない。

(コメント2)
 式2の代数曲線
F=0
のFを各X(i=0~3)で微分した値が全て0になる点が「特異点」と呼ばれていて、注目すべき重要な点です。
すなわち、(X,X,X)が(0,0,0)以外の点で
0=U=U=U    (17)
となる点が特異点で、それは、双対曲線の原点となっているので分かり易いです。
式5で、行列Tを使ってが計算できます。
=-2X
=2X
=2X/9
ですので、
その値全て0になる点は、
0=X=X=X    (18)
となる点です。これは(0,0,0)なので特異点ではありません。
特異点が有るか無いかを含め、特異点を詳しく調べることで代数曲線の特徴が分かるようです。

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2017年2月13日月曜日

実数に関する問題

【問】
「任意の実数xに対して、

を成り立たせる整数 p,qが存在する」 
なる条件を満たす実数yをすべて求めよ。

【解答】
 実数xに関しては、以下の式2を満足する整数pとqが存在する。
(ディリクレの原理)
更に、この式2の右辺をもっと小さくした以下の式3を満足するpとqが存在することも分かっている。
この式3は、参考文献:「無理数の話」ジュリアン・ハヴィル著:松浦俊輔訳(青土社)の217ページにある。

 この問の趣旨は、この文献を探し当てるまで実数論を勉強し、更にこの文献を発見したら、この文献を読了することではないかと考えます。それこそが、この問に対する真の解答だと考えます。

この式3を満足する限界を与える以下の式4を式1に代入する。
その結果、以下の式が得られる。
そのため、
任意の実数xに関して式1を満足する実数yは、
その実数x毎に、 式3を満足する整数p,qの組を求めた後に、そのうちの整数qによって以下の式6であらわされる式である。
 一方、y=0に固定して、あらゆる実数xについてpとqを選んで式1を満足させるということはできない。
 その理由は、整数p、qを使ってp/qとあらわすことができるのは有理数だけであり、実数の中の無理数は、有理数では無く、無理数と有理数の差の二乗は0にはならないからである。
(解答おわり)

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2017年2月10日金曜日

ペル方程式だけでは解けない不定方程式(難問)

【問】(ペル方程式だけでは解けない難問)
以下の不定方程式の整数解をすべて求めよ。


【解答】

ここで、この式2の項の整数12による剰余を考える。
この式3を式2に代入して、以下の式4を得る。
ここで、新たに導入したs,tとx,yの関係を、以下のようにして整理する。
先ず、式3’の不定方程式を解く。

また、式5に式8を代入して式9を得る。

ここで、このペル方程式4を、以下の簡単なペル方程式10にした方が解き易いので、それで解く。
後で適切な解を選別することにする。
上の式12でペル方程式の基底の解を得て、式13で第1の解を得た。これを使って、以下のようにしてペル方程式を解く。
式16の漸化式を得た。
この漸化式を使って、解を求める。
その解から、式9(それを遡った式5)から得る以下の式17を満足する解を抽出する。

この式17の関係を満足する解を抽出する。先ず、基底の解から、以下の解が選別できる。
第1の解からは、以下の通り、適切な解が抽出できない。
 第2の解からは、適切な解が抽出できる。
 
以下は、同様にして、偶数番目の解からは、適切な解が抽出でき、奇数番目の解には適切な解が無い。
そのため、適切な解(偶数番目の解)を求める漸化式を以下の様にして作ることができる。
この式26で得た解のsを式5に代入してyを求める。
そのyと、u/2=tを式3に代入してxを求める。

xが整数になる解は(S12,u12) になって初めて現われるように思ったが、その値が大きいので、それは計算誤差だと考える。

なぜならば、
式8(更に遡り式3)に従ってyは奇数にならなければならない。
しかし、式26の漸化式によると、
(49=12×4+1
と置き換えて計算すると)
=-(12×4+1)
=-(12×4+1)+120C
=-(12×4+1)+120C
・・・
2n=-(12×4+1)+120C2n
になる。
(ここでCやC等は、ある整数である。)
そのため、yは、
y=(1+S2n)/12
=(1-(12×4)・・-n・(12×4)-1+120C2n)/12
= - 4(12×4)n-1-・・・・-n・(4)+10C2n
になり、
yは偶数になってしまう。

漸化式によってyが偶数と計算されるので、式3によってyが奇数でなければならないことと矛盾する。
そのため、式1は整数解を持つことができない。
(解答おわり)

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2017年2月3日金曜日

不定方程式の解き方

(補足)
 一次不定方程式の正しい解き方は、ここをクリックした先のサイトにあるように:
1.先ず整数解を1つ求める。
2.もとの方程式と引き算する。
3.一般解を求める。
という計算方法が一番すぐれた解法だと考えます。

【問1】
以下の不定方程式の整数解をすべて求めよ。
【問2】
以下の不定方程式の整数解をすべて求めよ。
【問3】
以下の不定方程式の整数解をすべて求めよ。
【問4】
以下の不定方程式の整数解をすべて求めよ。
【問5】
以下の不定方程式の整数解をすべて求めよ。

これらの問題の解答は、ここをクリックした先にあります。

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高校数学の目次


整数解が無い不定方程式

【問1】(超難問)
以下の不定方程式の整数解をすべて求めよ。

(コメント)
 この問題はとても難しいので、理系最難関大学か医学部を受験する大学受験生も含め、大学の数学専門コース専攻者以外は、この問題を無視して良いと考えます。

【解答】
 この問題の解として、正の整数x=zとy=zを求める。以下で扱うx,yは全て正であるものとする。
 先ず、この問題の解が1つでもあれば、それ以外の解を1つ求めるための漸化式を以下の様にして求めます。
(その漸化式は、残りの解のうちの一部を導き出せるだけの漸化式が見つかれば、それで十分である。)
以下の式2の行列Mで定義される漸化式を求めます。
なお、問1の式1は、以下の式3(及び4)に一般化します。
 式3及び4は以下の式5で代表させる。
そして、式5に漸化式Mの行列を導入し易くするために、行列aを使って式5の左辺をあらわします。
式8に行列Mを導入して変形すると以下の式9が得られます。
ここで、行列Mが以下の式10を満足するものとします。そうすれば、この行列が漸化式をあらわす行列になります。
式10を成り立たせる行列Mであれば、以下の式11が成り立つからです。
式10が成り立てば、行列Mの行列式の絶対値が1になります。ここで、行列式の値が1とした式12も、行列Mを限定する条件に加えます。
式11が式13に変形でき、更に式14に変形できる。
式14を具体的に以下の式に書く。
 この式の左右の項を計算し以下の式15が得られる。
 この式を解き、変数cとdで表した以下の式16が得られる。
 ここで、行列式12によって、以下の式17が得られる。
 この式17はペル方程式である。
この式17の最小の解を探し、以下の解18を得た。
 この解を使って以下の式19の行列Mが得られ、漸化式20が得られる。
これで、解が1つ見つかれば、それ以外の解を計算できる漸化式が得られた。

 次に、この行列Mの逆行列が以下の式21で得られ、漸化式20の逆に、解の値を小さくしていく式22が得られた。
 この式22があらわす逆漸化式を使うことで、もし解があれば、その解を小さくしていくことが可能である。
 ただし、この逆漸化式22は、正の値のx=zとy=zに適用して、正の値のx=zと負の値のy=zを導き出すことが可能であるという特徴がある。
 また、そうして得た正の値のx=zと負の値のy=zにこの逆漸化式を適用する場合を考えると、xと(-y)に対する漸化式に書き直すと、式20になる。すなわち、xと(-y)の解の絶対値を大きくしていく漸化式であるとも言える。

(漸化式によって得られる解の大きさ)
 漸化式20のうちの1つは以下の式23である。
ここで、式1から、解のx=zとy=zとは以下の式24であらわされ、概ね比例する。
式23を変形して以下の式25が得られる。
 また、式18から、以下の式26が得られる。
 この式26を式25に代入して以下の式27が得られる。
 この式27の関係により、漸化式は、解のx=zとy=zの大きさを概ね89×2≒180倍に大きくする。
その逆に、行列Mの逆行列による逆漸化式は、解の大きさを概ね180分の1程度に小さくする。

例えば、この漸化式は、
(x,y)の、
(1,1)を(155,209)にし、
(1,2)を(221,298)にし、
(2,3)を(376,507)にする。

 もし式1に180以上の解があれば、その解は、その解から逆漸化式によって180分の1になる小さな正値の解にリンクしている。

逆漸化式22のうちの1つは、以下の式28である。
ここで、式1から、解のx=zはy=zで、以下の式29であらわされる。 
式29を式28に代入して計算する。
(この式30からも、yが逆漸化式によって180分の1以下に小さくなることが言える) 
なお、 x=zは、以下の式で与えられる。
式30は、y=zがある値よりも小さければ、逆漸化式22で得られるyの値は負の値になってしまうが、その値よりも大きければ正の値になることを示している。
これが、逆漸化式22によってより小さな正の解を導く限界を与える。
 この限界値以上のyの解は、逆漸化式22によって、より小さな正の値の解が導き出され、その小さな解に漸化式20を適用することで導き出すことができる解なので、調べる必要は無い。
 一方、その限界値未満の解は、逆漸化式22によってはより小さい正の解が得られないので、正の値の解に漸化式20を適用することでは得られない。 
 そのため、その限界値未満の解については、それが解であるかを直接に計算して調べる必要がある。

 以下で、解を調べるべき限界値を計算する。
式30が正になる条件がその限界の条件である。それは、以下の式で与えられる。
式32により、x=z≧20が、式30が正になる条件である。よって、xが20以上の範囲の解を除外した、xが20未満の解を調べるだけで、全ての解の存在の有無を確認することができる。
 その範囲内の全ての値のxが解にはなら無いことを計算して確認した。
 そのため、 式1には、どのように大きな解も存在し得ず、解が存在しないことがわかった。

【問2】(超難問)
以下の不定方程式の整数解をすべて求めよ。


【解答】(途中まで)
 この問2は、更に難問ですが、以下の式に変形できるので、同様に「無限降下法」を使うことで、限定された値の範囲に解が存在しなければ、全く解が無いことが証明できる。
(その限定された値の範囲で解を発見できれば、漸化式を適用することで得られる無限個の解がある。)

この式2は、以下のように変形できる。
 この式4は、
解が無さそうであるが、
解が無いことが簡単には証明できない。
しかし、問1と同様に漸化式Mを求めて「無限降下法」を使うことで解が存在しないことを証明できると考える。
 そのためには、ある限定された値の範囲内で解が存在しないことを確認する。
(あるいは、その限定された値の範囲内で、1つ以上の解を発見するかもしれない)
その、有限の範囲内の確認を行なえば解が存在するかしないかの決着をつけられると考える。
・・・
(解答の途中)

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