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2017年7月16日日曜日

極限:ロピタルの定理の一部

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「微分・積分」の勉強

(3)極限:
 以下の極限の問題があるとき、対応に困ります。
 この問題では、極限の計算をしようとすると、0を0で割らなければならないので困ります。
この問題を解くには、以下の様に考えると問題がやさしくなります。
この様に、微分を利用すると、極限の計算が楽になります。
これは
媒介変数表示による関数の微分法であり、ロピタルの定理の一部でもあります。
(ロピタルの定理は、上式のような微小量で微分する場合以外にも成り立つ定理です)

この問題の式は、0に近い関数f(x)を0に近いxで割ることで微分係数を求める式に以下の点で似ています。

すなわち、問題の式は、0に近い関数f(x)を、 xを媒介変数にした0に近い分母の関数g(x)で割ることで、関数f(x)を関数g(x)で微分する式であると解釈できます。
そういう微分は、以下の様に変換できます。
媒介変数表示による関数の微分法は、この重要な数学的意味を伝えるという、微分を理解する重要なかなめ石としての役割を持っています。

媒介変数表示による関数の微分法は、xの微小量を使って分子の関数 f と分母の関数 g を微分します。
ここをクリックした先のページのpdfの78ページ(「微分積分学入門」著者:横田 壽)を参照

この概念を教えないならば、それは、微分の概念を本気で教えるつもりが無いということだと思います。

(注意)
 この、分子の関数と分母の関数の微分を利用して極限を求める方法は、以下の条件が成り立つ場合に使える方法です。
(1)媒介変数xで分子の関数が微分でき、f’(a)が存在し、
(2)かつ、分母も微分でき、g’(a)が存在する。
これらの微分係数が存在しなければ、この方法は使えません。
おもしろいことに、この方法は使えないが、この方法を使わないでも直接に解が得られる場合もあります。

《重要な注意》

「ロピタルの定理と三角関数の微分」
のサイトにあるように、
x→0での
sin(x)/xの極限の値(sin(x)の微分の公式の根拠になっている)
を求める計算では、
sin(x)の微分の公式
sin(x)'=cos(x)
を使ってはいけません。


(その公式を使っていけない理由)
(sinx)'=cosx
という公式は、
sinx/x→1 (x→0)
を用いて証明される公式です。
極限の値 sinx/x→1 (x→0) を計算するために、その極限値の計算結果を使って得られる公式である、 (sinx)'=cosx を使うのは、循環論法になり、
極限値を正しく計算したことにはなりません。

 正確に説明すると、ロピタルの定理は使って良いのですが、(sinx)'=cosx という公式を使ってはいけないのです。


(注意)
 ロピタルの定理は高校では教えないことに決まっています。
そのため、高校の数学の試験問題では、ロピタルの定理を使って問題を解答してはいけません。


ただし、「ロピタルの定理」という言葉を使うのでは無く、上の最初の式のように、媒介変数表示による関数の微分法をその場で導き出して使うならば、使っても大丈夫と考えます。

 大学入学試験では、
媒介変数表示による関数の微分法を使って解答して良いです。ロピタルの定理も使って良い(但し間違って適用する誤答をしないこと)と考えます。大学入学試験では、進んだ知識を持っていることは入学を拒否する理由にはならないからです。

 「ちょっと便利な方法だけを、深い理解無しで教えるのは良くないから」というのがロピタルの定理を無視する方針の根拠と考えます。ロピタルの定理を教えない方針に引きずられて、それに近い公式の媒介変数表示による関数の微分法も教えていないのではないかと考えます。
 しかし、一見正当に見えるその理由も、
「学生の深い理解に至るまでとことん教えるのは面倒だから、それはやらない。」
という理由の言い換えにすぎず、間違っていると考えます。
学生が必要に応じその場で媒介変数表示による関数の微分法を導き出して使うように教えるのが正しい教育と考えます。 

 先生が高校生に本当に数学を教えることができるように先生の立場を守ることができない日本の教育体制の問題がここにあらわれているのだろうと考えます。

 このような矛盾をかかえた教育では、「数学の試験」は、生徒の実力を正しく測る絶対的な方法ではなく、便宜的なものにすぎないと考えます。
 そのため、数学を学ぶ学生は、試験の結果をあまり気にせず、自分の「わかった」という心に従って数学を学ぶのが良いと考えます。

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