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2025年2月19日水曜日

ベクトルの一次独立とは何か

《ベクトルの一次独立とは何か》
 2つの独立したベクトルのことを、「2つの一次独立なベクトル」と呼びます。
 2つのベクトルのうちのある1つのベクトルが、他の1つのベクトルの実数倍であらわせる場合は、その2つのベクトルが1次従属である、と呼びます。
 2つの独立したベクトルという意味は、そういうことはない、という意味です。

 3つの独立したベクトルのことを、「3つの一次独立なベクトル」と呼びます。
 3つのベクトルのうちのある1つのベクトルが、他の2つのベクトルの合成であらわせる場合は、その3つのベクトルが1次従属である、と呼びます。
 3つの独立したベクトルという意味は、そういうことはない、という意味です。

〔2次元ベクトルの2つのベクトルが1次独立であるとは〕
 2つのベクトルが0ベクトルではなく、かつ、同一直線上にはないことです。
〔3次元ベクトルの3つのベクトルが1次独立であるとは〕
 3つのベクトルが0ベクトルではなく、かつ、同一平面上にはないことです。

別の視点から説明すると、
▷2つのベクトル(2次元平面上のベクトルであっても空間ベクトルであっても良い)が1次独立であるとは、

 その2つの(0べクトルではない)ベクトルで(直線につぶれていない)2次元(平面)の斜交座標系を作れるということです。

▷3つのベクトルが1次独立であるとは、
 その3つの(0べクトルではない)ベクトルで(平面につぶれていない)3次元(3次元空間)の斜交座標系を作れるということです。

 すなわち、
①1次独立な2つのベクトルが平面を構成し、 その2つのベクトルの合成により、その平面上のあらゆるベクトルがあらわせる。
 しかも、平面上のあるベクトルを2つの1次独立なベクトルの合成であらわすとき、各ベクトルの合成係数が1つに定まる(式の一意性)。

②1次独立な3つのベクトルが3次元空間を構成し、 その3つのベクトルの合成により、その3次元空間上のあらゆるベクトルがあらわせる。
 しかも、3次元空間上のあるベクトルを3つの1次独立なベクトルの合成であらわすとき、各ベクトルの合成係数が1つに定まる(式の一意性)。


 例えば、以下のように考える。
2次元ベクトル、又は3次元ベクトル、又は4次元ベクトルで、3つのベクトルが1次独立であるとは、
3つのベクトルが同一平面上にはないことです。
 3つの空間ベクトルが同一平面上にあることの確認方法や、同一平面上にはないことの確認方法は、ここをクリックした先のページで説明する。


 ここで、2次元ベクトルは、ある平面上のベクトルなので、
2次元ベクトルの3つのベクトルは、同一平面上にある。
すなわち、2次元ベクトルの3つのベクトルは、その3つのベクトルが一次独立になる条件(その3つのベクトルが3次元空間を構成する)を満足しない。
 そのため、
2次元ベクトルの3つのベクトルは1次独立にはならない。
2次元ベクトルでの3つのベクトルは、必ず1次従属になる。

 1次独立な2つのベクトルaとベクトルbがある場合を考える。その2つのベクトルを合成することで、その2つのベクトルを含む2次元平面上の全てのベクトルがあらわされる。
 その2次元平面に垂直な(ベクトルaに垂直で、かつ、ベクトルbに垂直な)ベクトルcを考える。(2次元平面に垂直なベクトルcの求め方は、ここをクリックした先にある)
 ベクトルcは、先の2次元平面上のベクトルでは無いので、ベクトルcは、ベクトルaとベクトルbの合成では作ることができない。また、ベクトルcとベクトルbを合成したベクトルにはベクトルaに垂直な成分が含まれるので、ベクトルaは、ベクトルcとベクトルbの合成では作ることができない。同様に、ベクトルbは、ベクトルcとベクトルaの合成では作ることができない。つまり、ベクトルcとベクトルbとベクトルaとの3つのベクトルは、3つの独立したベクトルになる。
 その3つのベクトルは1次独立なベクトルである。その3つのベクトルは同一平面上には無い。そして、その3つのベクトルを合成することで、3次元空間の全てのベクトルを表すことができる。

 一次独立な2個のベクトルは、平面に含まれる全てのベクトルをあらわす2次元平面の斜交座標系を構成する。一次独立な3個のベクトルは、3次元空間に含まれる全てのベクトルをあらわす3次元空間の斜交座標系を構成する。一次独立なn個のベクトルがn次元空間の斜交座標系を構成する場合に、そのn次元空間の全てのベクトルに垂直なベクトルcをn+1個目のベクトルにしたn+1個のベクトルは、n+1個の独立したベクトルになる。すなわち、一次独立なベクトルになる。そのn+1個のベクトルは、n+1次元空間に含まれる全てのベクトルを表すn+1次元空間の斜交座標系を構成する。
 n次元空間の斜交座標系の原点である0ベクトルをn個の一次独立なベクトルの合成で表す場合には、各ベクトルの合成成分が全て0の場合にのみ、0ベクトルがあらわせる(式の一意性)。

 大学数学では、n次元のベクトルをあらわすn次元の斜交座標系(つぶれていない)の原点(0ベクトル)をベクトルの合成であらわす式が、n個のベクトルの合成成分を全て0にした式のみであること(一意性)を使って、n個のベクトルの一次独立を定義している。

 n個の(0ベクトルでない)ベクトルの作る斜交座標系がつぶれていてn個のベクトルが(n-1)次元の空間に含まれる場合は、0ベクトルをn個のベクトルの合成であらわすとき、各ベクトルの合成成分が0で無い式でも0ベクトルがあらわせる。また、0ベクトルは、n個のベクトルの全ての合成成分が0の式でもあらわせる。そのように0ベクトルを複数の式であらわせるので、0ベクトルをn個のベクトルであらわす式の一意性が失われる。

 n個のベクトルが張る斜交座標系の原点(0ベクトル)をn個のベクトルの合成であらわす式が、n個のベクトルの合成成分が全て0の式のみである(式の一意性がある)ならば、n次元の斜交座標系はつぶれていない。そのとき、そのn個のべクトルが一次独立である、と定義している。


リンク:
ベクトルの1次独立と分解
1次独立(空間ベクトル)
(大学数学)ベクトルの一次独立,一次従属の定義と意味
高校数学の目次


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