佐藤の数学教科書「微分」編の勉強
なめらかな曲線の接線は、微分によって初めて正しく定義できる。
(接線を求める式に重根が含まれるとは限らない。)
【難問】4次曲線
y= x4-x2+x (式1)
に、直線
y=ax+b (式2)
が相異なる2点で接するときa、bの値を求めよ。
(解答の方針)
問題の条件をあらわす方程式の形に従って、問題の解き方が決まってしまう。問題を解き易い形に問題の条件をあらわすには、問題の条件を可能な限り図形であらわして問題の条件をどういう図形であわらすかを工夫することが大切です。
この問題では、グラフを想像しながら方程式(のあらわすグラフ)を変形して問題を解くことが大切なポイントです。
4次曲線は、上の図のようにあらわせる。
式1に式2を代入すると、
x4-x2+x=ax+b
x4-x2+(1-a)x-b=0 (式3)
この式3が、接点のx座標x=αとx=βとで成り立つ、しかも、αとβそれぞれが重根であることが、式2の直線が式1のグラフに2点で接する接線になる条件である。
ここで、そのような式3を求めるということは、
y=x4-x2+(1-a)x-b=0 (式4)
という4次曲線がx軸と2点で接する条件を求めることと同じである。
(1)4次曲線は、座標軸xを平行移動することで、3次の項が無い式になる(式1は既にそうなっている)。
(2)次に、その4次曲線はxの1次の項を無くせば、y軸に関して、x方向の左右で対称な形のグラフになる。そのグラフは、x軸に平行な直線に2点で接する。
すなわち、式3のxの項の(1-a)=0にすれば、x軸に平行な線に接するグラフになる。
(3)そうすれば、y軸に関して、x軸方向で左右対称なグラフになるので、接点のx座標はαと-αとになる。
つまり、式4は、
y=((x-α)(x+α))2+C
y=(x2-α2)2+C
というグラフになる。
このC=0とするように、値bを調整したグラフにすれば、そのグラフはx軸に2点で接する。
そのようにグラフを変形するように、aとbを定めれば良い。
【解答1】
(1)
式1に式2を代入すると、
x4-x2+x=ax+b
x4-x2+(1-a)x-b=0 (式3)
この式3が、接点のx座標x=αとx=βとで成り立つ、しかも、αとβそれぞれが重根を持つことが、式2の接線に対して成り立つ条件である。
その条件は、
y=x4-x2+(1-a)x-b=0 (式4)
という4次曲線がx軸と2点で接する条件を求めることと同じである。
(2)
先ず、
a=1 (式5)
とすると、
式4は、以下の式になる。
y=x4-x2-b=0 (式6)
この式6のグラフはx軸に平行な線に2点で接するグラフである。
この式6を変形する。
y=(x2-(1/2))2-(1/4)-b=0 (式7)
(3)
次に、
b=-1/4 (式8)
とすると、
式7は以下の式になる。
y=(x2-(1/2))2=0 (式9)
この式9はx軸と2点で接するグラフである。
その接点のx座標は、
x2-(1/2)=0
x=±√2/2
このように、式4で、a=1、b=-1/4としたら、x軸にx=±√2/2で接する式9のグラフになったので、求める直線のaとbは、
a=1 (式5)
b=-1/4 (式8)
である。
(解答おわり)
(補足)
この問題は、図形を思い描かないで計算力だけで答えを得ようとすると落とし穴に落ちる難問です。
なぜなら、この問題で、(重なることを許した)2点で接するという問題と考えて計算力だけで答えを計算しようとすると、答えは:
(1)下凸の異なる2点で接する。
(2)下凸の1点と上凸の1点との2点が1点に重なった点で接する。
という2種類の答えが出て来るからです。
その2種類の答えのうち、(1)の答えのみが、異なる2点で接しますので、計算力で求めた答えを選別してやっと答えにたどり着きますので、その回り道をする分だけ時間がかかってしまうという落とし穴に落ちます。
その落とし穴に落ちないために、先ず、グラフの図形を思い描いて答えの条件を絞り込んだ上で答えを計算することが望ましいです。
【解答2】
以下で、図形を思い描かないで計算力だけで行なった解答例を示します。
(1)
式1に式2を代入すると、
x4-x2+x=ax+b
x4-x2+(1-a)x-b=0 (式3)
この式3は、
y=x4-x2+(1-a)x-b=0 (式4)
という4次曲線がx軸と2点で接する条件を求めることと同じである。
この式3が、接点のx座標x=αとx=βとで成り立つ、しかも、αとβそれぞれが重根を持つことが、式2の接線に対して成り立つ条件である。
その条件は、式9であらわされる。
この式9の形をしている式 f を微分した式gを計算する。
この式 g と式 f の最大公約多項式 h が式12になる。
「グラフが直線に相異なる2点で接する」という条件を、上の式13であらわす。
(2)
次に、ユークリッドの互除法を利用して式 f を式 g で割り算した余り h が式 f と g の最大公約多項式になる条件を導き出す。
ここで、この余りの式 h =式12に関する式13の条件は、以下の式15であらわせる。
余りの式 h が式 f と g の最大公約多項式になる条件は、この式 h で式 g を割り算した余り k が0になることである。
この式16であらわされる余りの多項式 k が0になる。
そのため、以下の式17と18が成り立つ。
(3)
この式17と18を連立して解を求め、その解のうち、式15を満足する解を選別する。
式18から式19が得られる。
この解は式15を満足した。
次に、b=1/12の場合の解を調べる。
この解は式15を満足しない。
よって、求める解は、
a=1,
b=-1/4,
である。
(解答おわり)
リンク:
高校数学の目次
なめらかな曲線の接線は、微分によって初めて正しく定義できる。
(接線を求める式に重根が含まれるとは限らない。)
【難問】4次曲線
y= x4-x2+x (式1)
に、直線
y=ax+b (式2)
が相異なる2点で接するときa、bの値を求めよ。
(解答の方針)
問題の条件をあらわす方程式の形に従って、問題の解き方が決まってしまう。問題を解き易い形に問題の条件をあらわすには、問題の条件を可能な限り図形であらわして問題の条件をどういう図形であわらすかを工夫することが大切です。
この問題では、グラフを想像しながら方程式(のあらわすグラフ)を変形して問題を解くことが大切なポイントです。
4次曲線は、上の図のようにあらわせる。
式1に式2を代入すると、
x4-x2+x=ax+b
x4-x2+(1-a)x-b=0 (式3)
この式3が、接点のx座標x=αとx=βとで成り立つ、しかも、αとβそれぞれが重根であることが、式2の直線が式1のグラフに2点で接する接線になる条件である。
ここで、そのような式3を求めるということは、
y=x4-x2+(1-a)x-b=0 (式4)
という4次曲線がx軸と2点で接する条件を求めることと同じである。
(1)4次曲線は、座標軸xを平行移動することで、3次の項が無い式になる(式1は既にそうなっている)。
(2)次に、その4次曲線はxの1次の項を無くせば、y軸に関して、x方向の左右で対称な形のグラフになる。そのグラフは、x軸に平行な直線に2点で接する。
すなわち、式3のxの項の(1-a)=0にすれば、x軸に平行な線に接するグラフになる。
(3)そうすれば、y軸に関して、x軸方向で左右対称なグラフになるので、接点のx座標はαと-αとになる。
つまり、式4は、
y=((x-α)(x+α))2+C
y=(x2-α2)2+C
というグラフになる。
このC=0とするように、値bを調整したグラフにすれば、そのグラフはx軸に2点で接する。
そのようにグラフを変形するように、aとbを定めれば良い。
【解答1】
(1)
式1に式2を代入すると、
x4-x2+x=ax+b
x4-x2+(1-a)x-b=0 (式3)
この式3が、接点のx座標x=αとx=βとで成り立つ、しかも、αとβそれぞれが重根を持つことが、式2の接線に対して成り立つ条件である。
その条件は、
y=x4-x2+(1-a)x-b=0 (式4)
という4次曲線がx軸と2点で接する条件を求めることと同じである。
(2)
先ず、
a=1 (式5)
とすると、
式4は、以下の式になる。
y=x4-x2-b=0 (式6)
この式6のグラフはx軸に平行な線に2点で接するグラフである。
この式6を変形する。
y=(x2-(1/2))2-(1/4)-b=0 (式7)
(3)
次に、
b=-1/4 (式8)
とすると、
式7は以下の式になる。
y=(x2-(1/2))2=0 (式9)
この式9はx軸と2点で接するグラフである。
その接点のx座標は、
x2-(1/2)=0
x=±√2/2
このように、式4で、a=1、b=-1/4としたら、x軸にx=±√2/2で接する式9のグラフになったので、求める直線のaとbは、
a=1 (式5)
b=-1/4 (式8)
である。
(解答おわり)
(補足)
この問題は、図形を思い描かないで計算力だけで答えを得ようとすると落とし穴に落ちる難問です。
なぜなら、この問題で、(重なることを許した)2点で接するという問題と考えて計算力だけで答えを計算しようとすると、答えは:
(1)下凸の異なる2点で接する。
(2)下凸の1点と上凸の1点との2点が1点に重なった点で接する。
という2種類の答えが出て来るからです。
その2種類の答えのうち、(1)の答えのみが、異なる2点で接しますので、計算力で求めた答えを選別してやっと答えにたどり着きますので、その回り道をする分だけ時間がかかってしまうという落とし穴に落ちます。
その落とし穴に落ちないために、先ず、グラフの図形を思い描いて答えの条件を絞り込んだ上で答えを計算することが望ましいです。
【解答2】
以下で、図形を思い描かないで計算力だけで行なった解答例を示します。
(1)
式1に式2を代入すると、
x4-x2+x=ax+b
x4-x2+(1-a)x-b=0 (式3)
この式3は、
y=x4-x2+(1-a)x-b=0 (式4)
という4次曲線がx軸と2点で接する条件を求めることと同じである。
この式3が、接点のx座標x=αとx=βとで成り立つ、しかも、αとβそれぞれが重根を持つことが、式2の接線に対して成り立つ条件である。
その条件は、式9であらわされる。
この式9の形をしている式 f を微分した式gを計算する。
この式 g と式 f の最大公約多項式 h が式12になる。
「グラフが直線に相異なる2点で接する」という条件を、上の式13であらわす。
(2)
次に、ユークリッドの互除法を利用して式 f を式 g で割り算した余り h が式 f と g の最大公約多項式になる条件を導き出す。
ここで、この余りの式 h =式12に関する式13の条件は、以下の式15であらわせる。
余りの式 h が式 f と g の最大公約多項式になる条件は、この式 h で式 g を割り算した余り k が0になることである。
この式16であらわされる余りの多項式 k が0になる。
そのため、以下の式17と18が成り立つ。
(3)
この式17と18を連立して解を求め、その解のうち、式15を満足する解を選別する。
式18から式19が得られる。
この解は式15を満足した。
次に、b=1/12の場合の解を調べる。
よって、求める解は、
a=1,
b=-1/4,
である。
(解答おわり)
リンク:
高校数学の目次
c0; x-x^2-2 y-y^2+x^2 Sqrt[x^2+y^2]+y^2 Sqrt[x^2+y^2]=0;
返信削除を含む最小の代数曲線 は c ;
x^6+3 x^4 y^2-x^4+2 x^3+3 x^2 y^4-2 x^2 y^2-4 x^2 y-x^2+2 x y^2
+4 x y+y^6-y^4-4 y^3-4 y^2=0
であることを 示し その双対曲線 c^★ を 求め
その 特異点を求めることにより cの 二重接線達を求めて下さい;
> 探し物はなんですか、見つけにくいものですか
上 は ↓の XJAPAN に 倣いました ;
https://www.physicsforums.com/threads/finding-the-equation-of-a-bitangent-line-to-a-curve.868433/
XJAPAN
http://userdisk.webry.biglobe.ne.jp/020/691/47/N000/000/006/148475134078075794177.gif
Dual curve.
c0 の 二重接線 T は ?;
FAQ; Tとc0で囲まれる部分の面積は? ;
https://www.youtube.com/watch?v=AwzZBCWs6V0&list=RDGuHIw_16ZIA&index=2
双対曲線とは、射影平面で定義した、曲線Cの接線の式を定めるパラメータを射影平面上の点にし、その点の連鎖が双対曲線ですね。
削除そのため、双対曲線が自身と交叉する交差点があれば、その交差点が曲線Cへの二重接線をあらわす。
双対曲線の交差点で二重接線を一目瞭然に把握できるということがポイントと思います。
この問題は、もう少し勉強して、返答したいと思います。
双対曲線は、代数曲線における、接線を点に変換した、接線の集合をあらわす曲線ですね。双対曲線のポイントは、それが二重接線を見え易くするという事以外の点にもっと重要なポイントがあるようです。
削除代数曲線論をもっと良く勉強してみようと思います。