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2019年9月22日日曜日

三角形の高さベクトルhの公式

このページの構成
▽問題1
▽ベクトルbに垂直なベクトルとベクトルcの内積
▽ベクトルbとベクトルcの内積
▽式の展開に同期させた図形の変換
▽三角形の高さベクトルhの公式
▽三角形の高さベクトル
▽線対称な点の公式
▽高さベクトルhを表す2つの式
▽三角形の高さhの公式

【問題1】
以下の図の、高さhの三角形ABCについて、
点Oを中心にする外接円の半径がRの場合に、
公式:
bc=2Rh
を、
ベクトル計算で証明する。
以下の図では、
ベクトルOA=ベクトルA,
ベクトルOB=ベクトルB,
ベクトルOC=ベクトルC,
と表した。

この問題の、以下の解答の一部は、ここをクリックした先の問題の解答でもあります。

【注意】
 この公式:
 bc=2hR
は、ベクトル計算で証明するような公式では無く、
逆に、この公式を前提にして、ベクトルの種々の計算をするべき公式です。
 しかし、ここでは、ベクトル計算の練習用に、あえて、この公式をベクトル計算で導き出してみます。

【解答】
 この問題を解くために、下図のように、2つのベクトルbとcがある場合に、そのベクトルcを90°回転したベクトルとベクトルbの内積がベクトルbとベクトルcで囲まれる三角形の面積Sの2倍という普遍的な定数を表す式であることを利用する。



(1)先ず、問題1の図において:

 ベクトルbに垂直なベクトルbvとベクトルcの内積を、以下の式で、三角形の高さベクトルhを導入して、計算する。
(以下の式でSは三角形ABCの面積をあらわす。)
この計算結果は、
2S=2hR・sinA
を意味する。
2S=ab・sinA
と組み合わせると、
2hR=ab
が導ける。

 しかし、その解き方では、ベクトルBOが、垂直ベクトルhと角度Aを成すという、円周角の定理に関連する定理を使っています。

 以下では、その角度Aに関する定理が分からない(証明されていない)事を前提にして、
以下の様にして、この問題を解いてみます。

(2)ベクトルbとベクトルcの内積
 次に、ベクトルbとベクトルcの内積を以下の式で計算する。
先ず、ひし形の対角線の直交の公式により、以下の式が成り立つ事を利用する。
以下の様にベクトルbとベクトルcの内積を、三角形の高さベクトルhを導入して、計算する。
(3)
 以上(1)と(2)で得た式を、
《2つのベクトルの大きさの積の三平方の定理》
に代入する以下の計算をする。


(証明おわり)

【式の展開に同期させた図形の変換】
(1)
 ベクトルbに垂直なベクトルとベクトルcの内積の式の変形計算は、以下の図形でのベクトルの変換の想像と同期させて欲しい。
(2)
 また、ベクトルbとベクトルcの内積の式の変形計算は、以下の図形でのベクトルの変換の想像と同期させて欲しい。

以上の図形でのベクトルの変換の想像に同期させて、ベクトルの式の変換の計算をする事が望ましい。
 図形でのベクトルの変換の方が、単なるベクトルの式の変換の計算よりも解を得る見通しが良いからです。
 自分の頭の中では、図形でのベクトルの変換を思い描く。
そのように、自分の頭の中では、図形の変換を想像し、解答用紙には、ベクトルの式の変形の計算を記載すれば良いと考えます。
こうして得た結果を使って、
最後の式:
を記載して、解答用紙の証明を終了すれば良い
と考えます。

頭の中で思い描く図形のベクトルの変換は解答用紙に記載できませんが、
常に、以上の図形でのベクトルの変換を頭の中で思い描く想像力を働かせて欲しいと思います。

【三角形の高さベクトルhの公式】
また、以下の式も、三角形の高さベクトルhの公式として覚えて欲しい。
以上の2つの式から直ぐに導き出される以下の公式も、
ついでに覚えておくと役に立つかもしれない。
 この様な式を証明せよという問題が出題されても、この様にあり得なさそうであって、どこから手をつけたらよいか分からず途方にくれるような問題が出題されても、大丈夫だと思えるようになる。
そう思えれば、受験のプレッシャーから開放される、おまじないになるかもしれない。

【三角形OABの高さベクトルh】

三角形OABの高さベクトル h は、上の式であらわせます。
 以下の図に示すように、高さベクトル h は直線の方程式の係数であらわされる法線ベクトルに平行です。

下図は、直線に関して点Dに線対称な点Eの座標のベクトルの公式をあらわす。

直線上の2点を点Cと点Zとすると、


先の式であらわされる三角形の高さベクトル h の式を少し変形してみます。

ここで、この式を、次に説明するように、ベクトルbとcだけであらわそうとすると式が複雑になります。
三角形の、ベクトルaに垂直な高さベクトルhをあらわすには、
ベクトルaとそれを90°回転させたベクトルを使った最初の式の方が良いと考えます。

(補足)
 高さベクトルhを表す公式は、以上で示したように、1つの形には定まらない。
式が1つの形には定まらないことが、式のバラエティをとても大きくするので、計算が複雑になり得る(計算の森の中で迷子になり得る)ので注意が必要です。


【高さベクトルhを表す2つの式】
以下の図の三角形を考える。
三角形の高さベクトルDA=hを表す以下の公式が成り立つ。
ここで、av は、ベクトルaを反時計回りに90度回転したベクトルをあらわし、それはベクトルPです。 
avと同様に、bvとcvも、それぞれ、ベクトルbとベクトルcを反時計回りに90度回転させたベクトルです。

なお、三角形の辺のベクトルを以下の図のように定義すれば、三角形の面積Sに係わる以下の公式が成り立つ。


(ベクトルbとcだけであらわす)

このベクトルDAを、ベクトルbとc(そして、ベクトルa=ベクトルc-ベクトルb)を使って、以下の式で表す。
この様に、ベクトルh=ベクトルDAを、ベクトルbとcであらわすこともできますが、式が複雑です。
また、この式を使ってベクトルDAの成分を計算する計算も複雑です。
ここで、この式を以下の式に変形してみます。



このベクトルavは、ベクトルaを90°回転させたベクトルです。

 この複雑な式も、先に示した簡単な式も、異なる観点から表した式であって、最終的な解をどの式が表すのが良いのか決められない、対等の価値を持つ式です。

 この様に、同じベクトルDAであっても、そのベクトルを表す観点の違いによって、異なる式であらわされます。
 また、その一方の式から他方の式へ変換する計算は簡単ではありません。 
 ベクトルDAが2つの式であらわされるので、以下の式が成り立つ。

【三角形の高さhの公式】
以下の公式も覚えておくと便利かもしれない。
この図で、以下の公式が成り立つ。
【証明1】
(証明おわり)

【証明2】
(証明おわり)
 
《最後に一言》
以上では三角形の高さhと外接円の半径Rが密接な関係があることを説明してきました。
 しかし、三角形の三辺の長さa,b,cが分かっているとき、三角形の高さh(三角形の面積S)や外接円の半径Rはどうやって求めるか。
それは、以下の公式(ヘロンの公式)で求められます。
 
S=ah/2
であって、
=(1/16)・(a+b+c)(-a+b+c)(aーb+c)(a+b-c)
 
ヘロンの公式は、hを求める公式:
h^2=(c{sin(B)})^2
=c^2-c^2{cos(B)}^2
から導けます。
 
この公式は何度おぼえても忘れます。

この公式は以下の、外接円の半径Rを求める公式に変換されます。
(abc/R=(a+b+c)(-a+b+c)(aーb+c)(a+b-c)
 
この変換は:
bc=2Rh,
から、
abc /(4R)=ah/2=S,
を導いて変換に使います。
 
この、三角形の外接円の半径Rを求める公式の方が覚えやすいかもしれません。

リンク:
高校数学の目次
三角形の高さと外接円の半径の関係
三角形の垂心の図の全ての線分を三角関数の積で表す


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