【課題】
以下の2次元ベクトルzと、
単位ベクトルaとbと、それらのベクトルを反時計回りに90度回転した単位ベクトルavと単位ベクトルbvをがあるとき:
ベクトルzをベクトルaとbであらわす公式を導き出す。
(課題おわり)
(補足)
ベクトルaを反時計回りに90度回転したベクトルav=fを、
更に反時計回りに90度回転したベクトルfvは-aになる。
そのため、ベクトルの内積av・bを、
両ベクトルを一緒に反時計回りに90度回転して内積した値は同じ値になるが、
その関係は、以下の式であらわされる。
av・b=-a・bv
一方で、ベクトルaとベクトルbと、それらを左回りに90度回転したベクトルavとベクトルbvとの間の
以下の式の内積は、
全ベクトルを左回りに90°回転する操作を繰り返すと、
以下の関係が成り立つ事が分かる。
a・b
=av・bv
=(-a)・(-b)=a・b
【解法その1】
ベクトルaとbを反時計回りに90度回転した単位ベクトルavと単位ベクトルbvを加えて考えると、以下の図の関係がある。
ベクトルOZは、上図の式、又は、以下の式で、ベクトルaとbであらわせる。
この式がベクトルの分解の公式である。
(解答おわり)
以下の2次元ベクトルzと、
単位ベクトルaとbと、それらのベクトルを反時計回りに90度回転した単位ベクトルavと単位ベクトルbvをがあるとき:
ベクトルzをベクトルaとbであらわす公式を導き出す。
(課題おわり)
(補足)
ベクトルaを反時計回りに90度回転したベクトルav=fを、
更に反時計回りに90度回転したベクトルfvは-aになる。
そのため、ベクトルの内積av・bを、
両ベクトルを一緒に反時計回りに90度回転して内積した値は同じ値になるが、
その関係は、以下の式であらわされる。
av・b=-a・bv
一方で、ベクトルaとベクトルbと、それらを左回りに90度回転したベクトルavとベクトルbvとの間の
以下の式の内積は、
全ベクトルを左回りに90°回転する操作を繰り返すと、
以下の関係が成り立つ事が分かる。
a・b
=av・bv
=(-a)・(-b)=a・b
【解法その1】
ベクトルaとbを反時計回りに90度回転した単位ベクトルavと単位ベクトルbvを加えて考えると、以下の図の関係がある。
この式がベクトルの分解の公式である。
(解答おわり)
ただし、この式の分母には、以下の関係があることに注意。
(補足1)
この公式は、単位ベクトルaとbとavとbvそれぞれを、単独に定数倍した任意の長さのベクトルに置き換えても、それらの定数倍の係数が公式の分母と分子で打ち消し合うので、それらの任意の長さのベクトルに関しても成り立つ公式である。
(補足2)
この公式が正しいか否かを調べるため、ベクトルzをこの公式で分解した式について、以下のように、ベクトルavとベクトルbvとの内積を取ることで、ベクトルaとベクトルbの方向の成分を計算する。
その結果、それらの方向の成分は、それらの方向のベクトルzの成分に等しいので、この公式が正しいことがわかる。
【解法その2】
以下の、ベクトルの係数k1とk2が未知数であるベクトル方程式1を考える。
この式1に、係数k2を消去するベクトルbvを掛け算する。
同様に式1に、係数k1を消去するベクトルavを掛け算する。
以上の計算で式3と式5が得られた意味は、ベクトル方程式1をあらわした以下の連立方程式1aと1bの解が式3と式5で与えられるという、連立方程式の解の公式があることを意味する。
式3と式5で得られたベクトルの係数k1とk2を式1に代入する。
これにより、ベクトルの分解の公式がえられた。
(解答おわり)
【図形で説明】
ベクトルZの分解の公式は、以下の図の様にあらわせる。
この図での三角形OZBの面積の三角形OAB面積の比の大きさのベクトルOA成分を計算している。上記のベクトルZの分解の式が三角形の面積の比の式になる理由を以下の図を用いて説明する。
上図のように、ベクトルcを90°回転したベクトルとベクトルbの内積はベクトルbとベクトルcで囲まれる三角形の面積Sの2倍という普遍的な定数を表す式です。
先のベクトルZの分解の式において、ベクトルOBを水平線として考える。それらの三角形の面積の比は、その水平線上の点Zの高さと点Aの高さの比である。
(補足2(その2))
先に補足2でこの式6を証明しましたが、その証明の記載方法は、以下の様に書いた方が、より分かり易いのではないかと考えます。
(証明開始)
この式6の左辺と右辺のベクトルの成分を比較する。
式6の右辺と左辺のベクトルの成分が一致する。
そのため、式6の右辺と左辺は等しい。
(証明おわり)
(補足3) 3つの2次元ベクトルの恒等式の公式
この式7は、任意の3つの2次元のベクトルz,a,bに対して恒等的に成り立つ公式である。
(補足4:ベクトルの分解の公式の言い換え)
ベクトルuとwを以下の式で定義する。
このベクトルuとwを使って公式2が以下の形の式であらわせる。
ベクトルの分解の公式はこの形の式に言い換えた方が覚えやすいかもしれない。
(補足1)
この公式は、単位ベクトルaとbとavとbvそれぞれを、単独に定数倍した任意の長さのベクトルに置き換えても、それらの定数倍の係数が公式の分母と分子で打ち消し合うので、それらの任意の長さのベクトルに関しても成り立つ公式である。
(補足2)
この公式が正しいか否かを調べるため、ベクトルzをこの公式で分解した式について、以下のように、ベクトルavとベクトルbvとの内積を取ることで、ベクトルaとベクトルbの方向の成分を計算する。
その結果、それらの方向の成分は、それらの方向のベクトルzの成分に等しいので、この公式が正しいことがわかる。
【解法その2】
以下の、ベクトルの係数k1とk2が未知数であるベクトル方程式1を考える。
同様に式1に、係数k1を消去するベクトルavを掛け算する。
以上の計算で式3と式5が得られた意味は、ベクトル方程式1をあらわした以下の連立方程式1aと1bの解が式3と式5で与えられるという、連立方程式の解の公式があることを意味する。
これにより、ベクトルの分解の公式がえられた。
(解答おわり)
【図形で説明】
ベクトルZの分解の公式は、以下の図の様にあらわせる。
この図での三角形OZBの面積の三角形OAB面積の比の大きさのベクトルOA成分を計算している。上記のベクトルZの分解の式が三角形の面積の比の式になる理由を以下の図を用いて説明する。
上図のように、ベクトルcを90°回転したベクトルとベクトルbの内積はベクトルbとベクトルcで囲まれる三角形の面積Sの2倍という普遍的な定数を表す式です。
先のベクトルZの分解の式において、ベクトルOBを水平線として考える。それらの三角形の面積の比は、その水平線上の点Zの高さと点Aの高さの比である。
(補足2(その2))
先に補足2でこの式6を証明しましたが、その証明の記載方法は、以下の様に書いた方が、より分かり易いのではないかと考えます。
(証明開始)
この式6の左辺と右辺のベクトルの成分を比較する。
式6の右辺と左辺のベクトルの成分が一致する。
そのため、式6の右辺と左辺は等しい。
(証明おわり)
(補足3) 3つの2次元ベクトルの恒等式の公式
この式7は、任意の3つの2次元のベクトルz,a,bに対して恒等的に成り立つ公式である。
(補足4:ベクトルの分解の公式の言い換え)
ベクトルuとwを以下の式で定義する。
このベクトルuとwを使って公式2が以下の形の式であらわせる。
ベクトルの分解の公式はこの形の式に言い換えた方が覚えやすいかもしれない。
【究極の方法】
経験的に分かって来たことですが、問題を解くためにとても役にたつ公式は、このベクトルの分解の公式等を使うよりも、以下の図の方法の方が優れている。
上図のように、ベクトルaとavによる直交座標系を導入して、上の式の様に、ベクトルZをその直交座標系への成分に分解して問題を解く方が、問題を解くのに役に立つ。
《究極の方法の応用》
以下の図のように、ベクトルaとbを単位ベクトル化した2つのベクトルaeとbeの和のベクトルと差のベクトルが互いに直交することを利用してベクトルzを分解できる。
この2つのベクトルを合成した2つの、互いに直交するベクトルを使って、ベクトルzを以下のように分解できる。
(途中の計算を省略) ここをクリックした先の計算で求められる式(2b)と式(5b)で表される、90度回転したベクトルを表す以下の式が出てきて:
再び、最初の【解法その1】で求めた公式が得られた。
【図形を変換して考える】アフィン変換
以下の左図の直線OAを水平線であると考える。そして、左図を、右図のように、ベクトルaを0ベクトルに変換して点Aを点Oに一致させるアフィン変換をする。
右図へのアフィン変換の結果、点Zは直線OB上に移動する。そして、ベクトルZを分解した式のベクトルbの係数yは、点Zと点Bの高さの比(それは△OAZと△OABの面積の比)であることがわかる。
リンク:
ベクトルの合成の公式と分解の公式と2元連立方程式の解
高校数学の目次
上図のように、ベクトルaとavによる直交座標系を導入して、上の式の様に、ベクトルZをその直交座標系への成分に分解して問題を解く方が、問題を解くのに役に立つ。
《究極の方法の応用》
以下の図のように、ベクトルaとbを単位ベクトル化した2つのベクトルaeとbeの和のベクトルと差のベクトルが互いに直交することを利用してベクトルzを分解できる。
この2つのベクトルを合成した2つの、互いに直交するベクトルを使って、ベクトルzを以下のように分解できる。
(途中の計算を省略) ここをクリックした先の計算で求められる式(2b)と式(5b)で表される、90度回転したベクトルを表す以下の式が出てきて:
再び、最初の【解法その1】で求めた公式が得られた。
【図形を変換して考える】アフィン変換
以下の左図の直線OAを水平線であると考える。そして、左図を、右図のように、ベクトルaを0ベクトルに変換して点Aを点Oに一致させるアフィン変換をする。
右図へのアフィン変換の結果、点Zは直線OB上に移動する。そして、ベクトルZを分解した式のベクトルbの係数yは、点Zと点Bの高さの比(それは△OAZと△OABの面積の比)であることがわかる。
リンク:
ベクトルの合成の公式と分解の公式と2元連立方程式の解
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