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2019年11月30日土曜日

微分積分の難関大学の入試問題

以下の、
京都大学の微分積分の入試問題の解説が参考になると思う。

京都大学 文系 2014年度 第2問
【問題】
t を実数とする。 y=x3−x
のグラフ C へ点 P(1,t) から接線を引く。
(1) 接線がちょうど1本だけ引けるような t の範囲を求めよ。
(2) t が(1)で求めた範囲を動くとき、 P(1,t) から C へ引いた接線と C で囲まれた部分の面積を S(t) とする。

S(t) の取りうる値の範囲を求めよ。
 
(1)の解き方の考え方:
P(1,t)を通る式
y-t=k(x-1),  ①
与えられた3次関数にx=uで接する式
k=3u^2-1, ②
u^3-u-t=k(u-1), ③
式②と③を連立して考え始めると良いと思う。
先ずは手を動かして考える。
②を③に代入してkを消去してみる。
u^3-u-t=(3u^2-1)(u-1),
uに関する3次式が得られることがわかる。
u^3-u-t=3u^3-u-3u^2+1,
0=2u^3-3u^2+1+t, ④
式④の実数解が3つあれば、接点が3つあることを意味することになると考える。
式④の実数解がただ1つのみあれば接点が1つのみあるだろうと考え、計算の見通しを立てる。
式④のグラフがどのような形をしているかを把握して計算の見通しを良くしようと考える。
式④の右辺をf(u)とおいてみる。
f'(u)=6u^2-6u=6u(u-1),
を考える。
f(u)のグラフの傾きは、
0<u<1, では負になり、その外側に領域では正であり、
境界点では傾きが0となる、
蛇行しているグラフになると把握できた。
ここまで解析できたら、(1)は解けそうである。

2019年11月17日日曜日

ベクトルaに直交するベクトルの作り方

以下の図に、ベクトルaを左回りに90度回転したベクトルaを作る方法を考えます。
上図のように、ベクトルのx成分とy成分を入れ替えて、片方の成分をマイナス1倍にすれば、元のベクトルに直交するベクトルが作れます。

(補足)

ベクトルaを反時計回りに90度回転したベクトルa=fを、
更に反時計回りに90度回転したベクトルfは-aになる。

このベクトルを、ベクトルaに直交しないベクトルbとcであらわせる以下の公式があります。
このベクトルがベクトaに直交する事は、以下の内積の計算で確認できます。
 また、ベクトルを、ベクトルbとcであらわせる以下の公式も成り立つ。
係数kは以下の計算で求められる。

この式において、左辺の、ベクトルaを90°回転したベクトルを表わす式の右辺に、ベクトルcを90°回転したベクトルが含まれているので、求めるべき90°回転したベクトルを式の右辺に含んでいるので、90°回転したベクトルを求める役に立たない式のように見えるかもいるかもしれません。しかし、この式の右辺にある、ベクトルcを90°回転したベクトルとベクトルbの内積は下図のように、ベクトルbとベクトルcで囲まれる三角形の面積Sの2倍という普遍的な定数を表す式です。その三角形の面積Sは下図の式のように、他の形で表すこともできる普遍的な定数です。上の式は、その三角形の面積Sを右辺に使った式なので計算の役にたちます。


上記の式において、特に、そのベクトルcがベクトルaに等しい特別な場合は、上記の式は以下の式になる。

根号を含む上記の式は、ベクトルaとベクトルbの張る三角形の面積Sの符号が正の場合の式です。面積Sが負の場合は、根号の前にマイナス符号が付きます。

以下の式は、ベクトルbのベクトルaへの垂直ベクトルの公式である。


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三角形の垂心の足を結ぶ線の方向

外心Oを原点にしたベクトルの問題

【問1】
以下の図で、三角形の頂点A及びCから対辺に下した、垂心Pの足DとEを結ぶ線と、頂点Bと外心Oを結ぶ線が垂直であること、すなわち、
DE⊥OB
である事を証明せよ。
この問題の解答はここをクリックした先にあります。

リンク:
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2019年11月16日土曜日

複素数平面のグラフの変換には媒介変数を使うべし

【共役複素数を使ってグラフを解析する方法に関する本質的な問題点】
 共役複素数を使ってグラフを表現する方法では、以下の双曲線のグラフを変換した場合のグラフの形がどういう形になるかを解析することができません。

 要するに、グラフを複素数zとその共役な複素数で表した場合、そのグラフの形が理解できるのは、答えのグラフが、直線か円かの、よく知られた形のみに限定されます。
 自分の知らないグラフに対しては新しい情報を得ることができないという、有用性が限定された手法です。

【複素数平面のグラフの変換には媒介変数を使うべし】
 そのため、複素数平面の変換には、この様に制約されないため、媒介変数を使ってグラフを変換するべきです。 

双曲線の座標zは、媒介変数θを使って以下の式で表せます。
(式2で双曲線があらわせます)

この複素数zを
ω=1/z
で変換したグラフは、以下の式で表せます。
 (変換結果の式)
cos(2θ)が負になるθの値では、グラフがあらわせませんが、その場合には双曲線でもグラフが表せていませんでしたので、双曲線と事情が同じです。

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2019年11月10日日曜日

複素数の分解の公式と、合成の公式

【課題】
 ベクトルの分解の公式と合成の公式に対応して、複素数平面の複素数の分解の公式と合成の公式が考えられます。

【ベクトルの分解の公式】
 ベクトルaとbを反時計回りに90度回転した単位ベクトルaと単位ベクトルbを加えて考えると、以下の図の関係がある。
ベクトルOZは、上図の式、又は、以下の式で、ベクトルaとbであらわせる。
この式がベクトルの分解の公式である。

【図形で説明】
ベクトルの分解の公式は、以下の図の様にあらわせる。

この、ベクトルの分解の公式に対応して、複素数平面の複素数の分解の公式が以下の式であらわせる。
【複素数の分解の公式】
 この複素数の分解の公式は、以下の式の変形によって証明できる。
 (証明おわり)

【複素数の合成の公式】
以下の形の式の複素数があれば、それは複素数Zに合成できる。
【証明開始】
この式の左辺が以下のように変形できる。
 (証明おわり)

リンク:
複素数平面のベクトル方程式(1)の解答
2次元ベクトルの合成の公式と分解の公式と2つのベクトルの大きさの積の三平方の定理

高校数学の目次

2019年11月4日月曜日

三角形の高さhの公式の証明の簡単さの差

【三角形の高さhの公式】以下の公式の証明を考える。

この図の上記の式が成り立つ。


【証明1】先ず、三角関数を使って証明する。
(証明おわり)

【証明2】ベクトルを使って証明する。
(証明おわり)
この証明の簡単さの差はどこから来たのだろうか。
それは、以下のように証明する事でわかる。
【証明3】
(証明おわり)
 これは、証明というよりも、ベクトルcをあらわす式そのものが、公式の本質を含んでいると言う方が正確な状況をあらわしている。

(公式の位置付け)
 この公式は、ベクトルaとbとcが分かっている場合に外接円の半径が分からないでも、三角形の高さhを求める公式として使える。
 そして、他の公式から、高さhは、
2hR=|c|・|b| 
という事も分かるので、
両公式を使う事で外接円の半径Rも計算できる。 
 ただし、外接円の長さRを求めるだけならば、
外心の辺BC上の高さmが分かった時点で、
辺BC/2の2乗とmの2乗の和がRの2乗になる事から求められるという他の計算の道もある。 

【ベクトルaが任意のベクトルの場合】
この公式のベクトルaが、
の場合も含む任意のベクトルの場合、
この公式は以下の形の式になる。
(ここで、ベクトルavは、ベクトルaを左回りに90°回転させたベクトルである。)

 この式は、座標軸をベクトルaとベクトルav の座標系に変えた場合の、新座標系で見たベクトルの成分で計算する、ベクトルの内積の公式をあらわしている。
 座標系の回転変換は、ベクトルの得意技です。回転変換に係る計算をする場合は、三角関数の計算よりも、ベクトルの計算の方が簡単になります。

【練習しておこう】
また、この公式の変形として、
以下の左辺の式があらわれたら、直ぐに右辺の式を思い付く練習もしておいてください。
ベクトルaが、
の場合も含む任意のベクトルの場合、
になります。すなわち、ベクトルcの、ベクトルaに垂直な高さと、ベクトルbの、ベクトルaに垂直な高さとの積になります。

この式は、
「90度回転したベクトルをベクトルの分解の公式であらわす」のページの以下の式にベクトルbを内積した式です。
そのため以下の公式を先に覚えましょう。

また、以下の式については:
この式の本質は、
「90度回転したベクトルをベクトルの分解の公式であらわす」のページの以下の式です。
そのため以下の公式を先に覚えましょう。

【三角形の高さベクトルhの公式】
また、以下の図の三角形での以下の公式を覚えましょう。
三角形の高さベクトルDA=hを表す以下の公式が成り立つ。
(高さベクトルの公式おわり) 

なお、三角形の辺のベクトルを以下の図のように定義すれば、三角形の面積Sに係わる以下の公式が成り立つ。

すなわち、三角形の辺のベクトルa,b,cとそれを90°回転したベクトルav, bv, cvの内積の上の式が等しい。それは、三角形の面積の2倍になる。

【三角形の垂線の足までのベクトルの公式】
また、三角形の高さベクトル(垂線)の足までのベクトルBDを表す以下の公式が成り立つ。
(垂線の足までのベクトルの公式おわり)

逆に、この垂線の足までのベクトルの公式を使うと以下の公式が成り立つ。

(高さベクトルhをあらわす別の公式も得られた)

 また、ベクトルBA=cと、ベクトルCA=bを使って高さベクトルを表すと、以下の公式になる。


リンク:
高校数学の目次
三角形の高さと外接円の半径の関係
三角形の垂心の図の全ての線分を三角関数の積で表す