ページ

2018年9月30日日曜日

三角形の垂心の図の全ての線分を三角関数の積で表す

【問題1】
 下図の三角形ABCにおいて外接円の半径をRとするとき、三角形ABCの垂心に係る各線分の長さが図に書き込んだ長さになる事を導き出せ。
 この問題の解答は特に書きませんので、上図の長さを全て、自力で導出して下さい。

(補足1)
上の三角形の辺BC=BD+DC
2RsinA=2RsinCcosB+2RsinBcosC,
∴ 
sinA=sinCcosB+sinBcosC,

この公式を使えば:
∠Bと∠Cのsinやcosが良く知られている場合は、
∠Aのsinが容易に計算できる。

(補足2)
 この図の各線分は全て(2R)との積なので覚え易いです。この図を覚えていると、三角形ABCの面積Sは、
S=ah/2=(a/2)*(2R)sinBsinC
(a/2)*b*(c/2R)
と計算でき、三角形ABCの面積Sを外接円の半径Rと辺の長さa,b,cであらわす公式が速やかに導き出せ、その面積Sの公式を覚え無いでも良くなります。

(補足3)なお、下図が描ける。
上図で、三角形DCHの外接円は、∠HDCが直角なので、辺HCに係る円周角が直角である。円周角を直角にする辺HCはその円の直径である。
三角形DCHの外接円において、辺HCに係る、点E側の円周角が直角であるが、∠CEHが、その円周角と同じ値の直角なので、点Eは、三角形DCHの外接円上にある。
よって、四角形HDCEは、HCを直径とする円に内接する。
 ただし、四角形HDCEが内接する円は、以下の図のように、三角形ABCの外接円と接しているわけでは無い。
 このように、四角形HDCEが、HCを直径とする円に内接することが導き出せるので、それを解にする、以下の問題を作る事ができる。
【問題2】
  三角形ABCの垂心Hに係り作図した上図の点が作る四角形HDCEが1つの円に内接することを示せ。

 また、上図の辺の長さを眺めていると、余弦定理を変形した形を問題にした以下の問題を作る事ができる。
【問題3】
 三角形ABCの頂角A,B,Cに関して、以下の式が成り立つことを示せ。
(sinA)=(sinB)+(sinC)-2sinBsinCcosA,

(補足4)
 この図の様に、三角形の各部の長さを三角関数であらわせても、三角形の長さの公式が三角関数の組み合わせで速やかに導かれるだろうと考えるのは間違っている事を注意しておきます。
 辺の長さを使って何かを表す定理を導き出すには、先ずは、三角関数で表された長さをあらわす式を、なるべく早く三角関数を使わない式に変換して三角関数を無くしてから問題を解くのが一番の近道です。三角関数をいつまでも残さない様にして問題を解いてください。

リンク:
高校数学の目次


2018年9月17日月曜日

2次方程式の解き方(解の公式を使わず以下の様に解く)

(解の公式は無理して覚える必要はありません)
aX+bX+c=0
このような形をしている2次方程式を計算間違いをせずに速く解くには、
解の公式を使わずに以下のように直接計算します。

以下のように変形していけば速くミスが少なく解くことができます。

 また、以下のように変形して因数分解して行っても速くミスが少なく解くことができます。
 以下の式では、
「xの有無項の二乗の引き算の公式」


を使った平方完成の公式を適用しています。
(また、式全体を定数で割り算する変換を含む計算をしている事にも注意すること)

《公式 P - Q =(P-Q)(P+Q)も使う》



解の公式も、無理したうろ覚えで使うよりは、以下の様に計算して導き出すようにしましょう。
この解の公式には、分母に2が入っていません。そうなるように、元の2次方程式の係数を、以下の様に定めたからです。
aX+2bX+c=0
解の公式は、前提条件の2次方程式を変えれば、この様に形が変わって来ます。
 固定した形の解の公式を暗記しても、方程式を解く作業には窮屈な公式になり、あまり役に立ちません。
 また、上の式のような新しい解の公式を覚えようとすると、それを覚える必要のために、旧い解の公式の記憶が消え、解の公式を忘れ去ります。
 そのため、無理して解の公式を覚えるよりは、毎回、上の様に式を展開して、その場合に必要な最適な解の公式を導き出して使って下さい。

(計算例1)


もう1つの計算例を示します。
(計算例2)

以上の計算例のように分数を使った平方完成の計算をしてください。
分数計算がしっかりできるようになってください。分数計算ができないから解の公式を使うという逃げ道に進まないで欲しい。
《正しい分数の計算》を参照。


(数学の公式の覚え方の注意)
 中学生のときは数学ができたのに、高校生になると数学ができなくなったと感じて数学をあきらめて脱落する学生が多いようです。そうなるのは、中学生のときから数学の公式の間違った覚え方を身につけ、それが現実の数学の公式群を覚えるのに通用しなくなるからだと考えます。
 解の公式をごろ合わせで覚えるのは公式の間違った覚え方です。上で説明した様に、毎回、式を展開して、必要な解の公式を導き出して使うのが、正しい、解の公式の覚え方です。

 式を展開するだけでは、何も覚えていない様に見えますが、実はそうでは無く、式を展開する毎に、その正しい式の展開の手順を無意識に覚えているのです。そういうふうに公式を覚えるのが、 高校生になった後でも数学の学習から脱落しない公式の正しい覚え方だと思います。

(補足1)
高校2年生になると複素数での因数分解を学びます。その場合は、以下のように計算します。


(補足2)
方程式:
の解を求めよ、
という問題の場合は、以下の様に解きます。
(解答おわり)

この問題で、
xの解とともに、(1/x)の解も求める必要がある場合、
xを求め、それから(1/x)を求めれば良いのですが、
計算に慣れてくると、以下の様な解き方もできるようになります。

(解答おわり)

リンク:
中学数学の目次
高校数学の目次

2018年9月15日土曜日

余弦定理の式の値を具体的長さに関係付ける

余弦定理の式の値を具体的長さに関係付ける研究をした。
その結果を以下で報告する。
 上図の三角形ABCに対して、点Cを移動させて直角三角形を作る。すると、その直角三角形の辺の長さが、余弦定理の式にかかわる長さであることがわかった。
以上の計算の途中で、三角形の辺の二乗の引き算の公式を使いました。

 点Bを移動させて直角三角形を作ると以下の様になる。
の直角三角形の辺の長さも、余弦定理の式にかかわる長さである。
以上の2つの直角三角形の辺の長さを一緒にあらわすと、以下の図になる。
ここで、覚え易い形の以下の式が成り立っています。
これにより、余弦定理の式の値が具体的長さに関係付けられ、親しみ易くなりました。

(補足)
 また、これにより、bc・cosAのあらわす長さの積のバラエティが、以下の図の関係も含めて、とても多くなりましたので、それらの関係は皆成り立っている事を再認識しましょう。それにより、新しい事を覚える際に似ている関係を忘れる現象に抗って記憶をリフレッシュして、今までの記憶も維持できるようにしましょう。
https://schoolhmath.blogspot.com/2017/10/blog-post_11.html

(問題作り)
この研究の結果、以下の問題を作ることができました。
研究の結果、上図の、Cを頂点とする二等辺三角形のcとbが等しいので、明らかに、=c/(√2)です。
 そのため、以下の問題が作れます。
【問1】
 上の左の図の、Cを頂点とする二等辺三角形CABの、点Bから辺CAに下ろした垂線BD上の点Eを、∠AECが直角になるように置く、そのとき、辺AE=cについて、
AEc/(√2)
であることを示せ。

(解答)
(解答おわり)
 以上の解答の計算の途中で、三角形の辺の二乗の引き算の公式を使いました。

(別解)
 三角形の辺の二乗の引き算の公式により以下の式1を得る。
(解答おわり)

 上のように、三角形の辺の二乗の引き算の公式を使ってこの問題が解けるのは、三角形の辺の二乗の引き算の公式と余弦定理が等価な公式であるからです。
 等価な公式であるので、三角形の辺の二乗の引き算の公式を覚えていれば余弦定理を覚えないでも問題を解くのに支障がありません。
 しかし、それでは寂しいので、また、ここで、余弦定理の式の値が具体的長さに関係付けられ、余弦定理が親しみ易くなったので、以下のように、三角形の辺の二乗の引き算の公式から1行の式の変換で余弦定理を導出して余弦定理を思い出す習慣をつけましょう。
https://schoolhmath0.blogspot.com/2016/09/blog-post_96.html
(これが余弦定理)

リンク:
ベクトルによる三角形の余弦定理のやさしい覚え方
高校数学の目次

2018年9月7日金曜日

三角形の辺の二乗の引き算の公式

【三角形の辺の二乗の引き算の公式】
(以上が、三角形の辺の二乗の引き算の公式)
 この三角形の辺の二乗の引き算の公式は、三角形の2辺の1辺への射影の長さの関係を表す公式であり、かなり多くの問題を解くのに役立つ万能の公式です。種々の問題を解く際に、この公式を使うよう試してみてください。

 数学の問題を解くヒラメキが欲しいという話を聞きます。三角形の辺の二乗の引き算の公式を使って問題を解く解答を書く場合に、簡単にできるので三角形の辺の二乗の引き算の公式を導き出して使います。その解答を見た人には、ヒラメイた解き方に見えますが、実際は、三角形の辺の二乗の引き算の公式を覚えた知識から問題の解き方が分かるのです。

(応用例)
 この公式は、以下の図の三角形の部分の長さxを、以下の式で計算するために使えます。


リンク:
中学数学の目次