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2023年10月27日金曜日

位置ベクトルの公式

ページ内リンク:
▷位置ベクトルと普通のベクトルの違い

下図の点Pの位置ベクトルの式を考える。

この式(1)は、点Pから三角形の頂点までのベクトルの所定係数の和が0ベクトルになる関係をあらわす式である。以下の計算によって、この式(1)から、点Pの位置ベクトルの式を求める。

《点Pを与える位置ベクトルの係数和が1の公式》
上記の式は、点Pの位置ベクトルを表す式である。
上記の式には、位置ベクトルAとBとCの係数の合計が1になるという特徴がある。

この式が、点Pを与える位置ベクトルの係数和が1の公式である。

 以下の式のように、位置ベクトルAとBとCが一斉にベクトルPQで平行移動する場合を考える。


この式であらわされる点Pの位置ベクトルは、以下の式で計算されるように移動する。

位置ベクトルAとBとCの係数sとtとuの合計が1であるので、点Pも他の点Aらと同じベクトルPQで平行移動する。
 すなわち、上記の式は、点AとBとCと点Pの位置を平行移動しても変わらず成り立つ。それが成り立つ理由は、位置ベクトルAとBとCの係数の合計(s+t+u)が1だからである。

《図形を平行移動し、直線BC上の直線APとの交点を原点Oまで移動する》

上図のように、図形を平行移動し、直線BC上の直線APとの交点を原点Oまで平行移動すると、 点Pの位置ベクトルの式が2行目の式に単純化される。すなわち、位置ベクトルAの係数sが同じ値に保たれた単純な式になる。
(ただし、2行目の式でも、s+t+u=1が成り立っていて、tやuも0でない値に保たれている。原点Oがその位置にある場合にベクトル(tB)とベクトル(uC)が打ち消し合っているだけである)
 この式が意味することは、頂点Aに対向する直線BCから点Pまでの高さは、頂点Aまでの高さのs倍の高さにあることを意味する。
すなわち、点Pの位置ベクトルを与える式の頂点Aの位置ベクトルの係数sは、
「頂点Aに対向する直線BCを基準にした点Pの高さの、頂点Aの高さに対する割合=s」
をあらわしている。
《点Pを与える位置ベクトルの係数の意味の公式》
 先ず、上図の、平面上の点P,A,B,Cで以下の位置ベクトルの公式が成り立つ。

そして、平面での、点Pの位置ベクトルを与える上式の右辺の、各頂点(頂点Z(上図の点A)とする)の位置ベクトルに掛かる係数は、
「頂点Z(点A)に対向する直線を水平線とした点Pの高さの、頂点Z(点A)の高さに対する割合」
をあらわしている。


(点Pが三角形ABCの内部にある条件)
 そう理解すると、点Pが三角形ABCの内部にある場合に以下の不等式が成り立つ。


点Aを始点に持つベクトルでは、点Pが三角形ABCの内部にある場合に以下の不等式が成り立つ。

以上の不等式をまとめた等価な式が:

(以上が、点Pが三角形ABCの内部にある条件)

 なお、先の位置ベクトルの公式は、空間での点P,A,B,C,Dでも成り立つ。

そして、空間での、点Pの位置ベクトルを与える上式の右辺の、各頂点(頂点Zとする)の位置ベクトルに掛かる係数は、
「頂点Zに対向する平面を水平面にした点Pの高さの、頂点Zの高さに対する割合」
をあらわしている。


《線分BCの内分点Dの位置ベクトルの公式》
 線分BCを1:2で内分する点Dの位置ベクトルの公式は以下の式(10)であらわせる。

式(10)は、内分点Dの位置ベクトルの式である。そして、位置ベクトルBの係数と位置ベクトルCの係数の和が1であって位置ベクトルの公式が成り立っている。
 この式(10)の位置ベクトルの式は:
「頂点Bに対向する点(すなわち点C)を水平線の点にした点Dの高さの、頂点Bの高さに対する割合が(2/3)である式」
と覚えれば良い。

内分点の位置は、(内分の比が大きい点から遠くにあり、ベクトルの係数が大きい点に引き込まれる)と覚えれば良い。

 内分点Dは上の式(11)でもあらわせる。
〔式(11)は、頂点Cに対向する点Bを水平線の点にした点Dの高さの頂点Cの高さに対する割合が(1/3)であることをあらわしている。〕
 位置ベクトルDの式(11)は、係数が1の位置ベクトルBと、図形の平行移動によっても値が変わらない(位置ベクトル以外の)ベクトルBD=(1/3)ベクトルBCと、を合成した式である。この式(11)のような位置ベクトルの式の場合でも、位置ベクトルB(のみ)の係数の和が1になる。

《位置ベクトルと普通のベクトルの違い》
 図形(上図の直線BDCの各点B,D,C)を原点Oに対して相対的に平行移動しても変わらないベクトルが普通のベクトルであり、
 図形(直線BDCの各点B,D,C)を原点Oに対して相対的に平行移動すると変わるベクトルが位置ベクトルである。すなわち、位置ベクトルとは、所定の点の、原点Oとの間の相対位置関係をあらわすベクトルである。

《外分点の公式》
 外分点Pの位置ベクトルOPをあらわす公式は以下の公式である。


(外分点の公式おわり)

《平面の点の位置ベクトルを4点であらわす》
 以下の図の垂心の位置ベクトルの式は、外心の位置Gを含む位置ベクトルの式であらわせ、位置ベクトルの公式を満足する。


リンク:
ベクトルの公式一覧
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2023年10月25日水曜日

三角形内の点Pからのベクトルの式と三角形の面積比と点Pの位置

《ベクトルの分解の公式》
 先ず、下図のように、三角形ABCの頂点Aから点PまでのベクトルAPは、ベクトルの分解の公式によって、以下の式であらわされる。

 この式を同値変形すると、以下の式が得られる。

《三角形の面積の比の係数を持つベクトルの和が0ベクトルになる公式》
 上記の式は、三角形の面積の比の係数を持つベクトルの和が0ベクトルになる公式である。

 この公式は、以下の図のように、点Pから三角形の頂点までのベクトルの所定係数の和が0ベクトルになる式である。

 この式のように、点Pから三角形の頂点までのベクトルの所定係数の和が0ベクトルになる式が成り立つ場合に、この式を以下のように同値変形する。

《点Pの位置ベクトルの公式》
 上記の式のように、先の点Pと三角形の各頂点を結ぶベクトルで表した等式から、点Pの位置ベクトルを、先の等式と同様な形をした、頂点の位置ベクトルで表す式が得られるという公式がある。

この三角形の形を具体化する。
【問1】
 以下の図のように、3つの単位ベクトルPA,PB,PCが以下の式1を満足するとき、点A,B,Cを頂点とする三角形ABCの各辺a,b,cの長さを求めよ。
(この問題は、ベクトルの内積を学んだ後で解いてください)


この問題の解答は、ここをクリックした先にある。

リンク:
三角形の3頂点のベクトルの張る三角形の面積比の公式
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2023年10月21日土曜日

2次元ベクトルの分解の公式の要約

【課題】 
 以下の2次元ベクトルzと、
単位ベクトルaとbと、それらのベクトルを反時計回りに90度回転した単位ベクトルaと単位ベクトルbがあるとき:
ベクトルzをベクトルaとbであらわす公式を導き出す。
(課題おわり)

(補足)
ベクトルaを反時計回りに90度回転したベクトルaを、
更に反時計回りに90度回転したベクトルは-aになる。
そのため、ベクトルの内積

を、両ベクトルを一緒に反時計回りに90度回転して、その後で両者を内積した値は同じ値になる。

その関係は、以下の式であらわされる。


一方で、ベクトルaとベクトルbと、それらを左回りに90度回転したベクトルaベクトルとの間の
以下の式の内積は、
全ベクトルを左回りに90°回転する操作を繰り返すと、
以下の関係が成り立つ事が分かる。


【解法その1】
 下図に、ベクトルaとbを書き、更に、そのベクトルを反時計回りに90度回転した単位ベクトルaと単位ベクトルbを書き加えて考える。すると、以下の式の関係があることがわかる。
ベクトルOZは、上図の式、又は、以下の式6で、ベクトルaとbであらわせる。
式6:

この式6がベクトルの分解の公式である。
(解答おわり)
 ただし、この式6の分母には、以下の関係があることに注意。


(補足1)
 この公式は、単位ベクトルaとbとaとbそれぞれを、単独に定数倍した任意の長さのベクトルに置き換えても、それらの定数倍の係数が公式の分母と分子で打ち消し合うので、それらの任意の長さのベクトルに関しても成り立つ公式である。


【図形で説明】
ベクトルZの分解の公式は、以下の図の様にあらわせる。

この図での三角形OZBの面積の三角形OAB面積の比の大きさのベクトルOA成分を計算している。


(補足)

上の式6の左辺と右辺のベクトルの成分を比較する。
式6の右辺と左辺のベクトルの成分が一致する。
そのため、式6の右辺と左辺は等しい。 
(補足おわり)

【究極の方法】
 経験的に分かって来たことですが、問題を解くためにとても役にたつ公式は、このベクトルの分解の公式等を使うよりも、以下の図の方法の方が優れている。

上図のように、ベクトルaとavによる直交座標系を導入して、上の式の様に、ベクトルZをその直交座標系への成分に分解して問題を解く方が、問題を解くのに役に立つ。

リンク:
ベクトルの合成の公式と分解の公式と2元連立方程式の解

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三角形の高さベクトルhの公式の要約

【三角形OABの高さベクトルh】

三角形OABの高さベクトル h は、上の式であらわせます。
 以下の図に示すように、高さベクトル h は直線の方程式の係数であらわされる法線ベクトルに平行です。


下図は、直線に関して点Dに線対称な点Eの座標のベクトルの公式をあらわす。

直線上の2点を点Cと点Zとすると、


リンク:
高校数学の目次
三角形の高さと外接円の半径の関係
三角形の垂心の図の全ての線分を三角関数の積で表す


2023年10月15日日曜日

関数と区間と定義域

  高校では、中学で学んで来た関数の概念を広くした関数を学びます。

《1.1 関数の定義(definition of function)》
 2 つの集合の間の関係を決める規則を関数といいます.ここでは,実数の集合を考えます.
Rを実数全体の集合とします.
ある実数の集合D に属する各数x に対して,実数y が1 つ定まるような規則 f を、
D からR への1 価関数(single-valued function),または、1変数(の1価)関数、または単に関数といいます.

ある実数 x の集合Dを定義域と呼びます。
すなわち、関数f(x)は、定義域(ある実数 x の集合)Dと組み合わされて定義されています。

ある実数 x の集合Dの要素の実数 x はどの数を選んでも良いです。その集合Dの要素の選び方の違いによって違う関数が定義されます。

そのように、中学生のときから教わって来た「定義域」という言葉の定義が、高校以上の数学では、所定の区間を指すだけではない、区間内の数の集合の様々な部分集合を定義域Dにできるように変わりました。

変数xの数直線の中の自然数だけの集合の定義域Dもあります。

中学で教わって来た関数の定義域Dは、数直線上の区間だったと思います。

ーー【区間の定義】ーー
「区間」という数学用語は、変数xの数直線上の「一繋がり(ひとつながり)」になった範囲内の、実数のすき間がない1つながりの実数の集合をあらわす数学用語である。
《神奈川大学》【定義 14.2.4.】
 a, b を実数とする. a 以上かつ b 以下の実数をすべて集めた集合を [a, b] と書き, これを閉区 間と呼ぶ.
 a より大きくかつ b 未満の実数をすべて集めた集合を (a, b) と書き, これを開区間と呼ぶ.
----定義おわり----


a≦x≦bを満足するxの区間という表現は、a≦x≦bの範囲内の全ての実数xという意味です。
-∞<x<∞という区間もあります。
区間はxの値の範囲を限定するためのa≦x≦bという式とは意味が異なることに注意する必要があります。
 変数xの「区間」の性質で大切なのは、
「区間」のなかに変数xの値が隙間なく存在すること。
つまり所定範囲内での隙間が無い全ての実数の集合という概念が「区間」という用語で定義されています。

「区間」という概念は、「その範囲内の全ての実数」という意味です。
そのため、「範囲」a<x<b という概念と「区間」とは異なる概念です。

「範囲」という数学用語は、
「範囲」a<x<b という表現は、xがaより大きくbより小さいという、xが定まる限界を定めるものであり、それが変数xの「範囲」です。
a<x<b
という表現が「範囲」を意味している。

範囲で指定された数の集合であって、その範囲内においてすき間が無い全ての実数の集合という意味を込めた概念が「区間」です。

関数の「定義域」の決め方の自由度がとても大きいです。
その大きい自由度のうちの1つとして、
a<x<b の区間を定義域にする関数、
という関数の定義域の決め方があります。
区間を定義域にすることは、xは、その範囲内の全ての実数に対して関数値f(x)が定められる規則を関数f(x)とすることです。

定義域を自然数nとした関数f(n)は、
区間を定義域にしないで、
nが自然数のときにだけ関数値f(n)が定められる規則を関数f(n)とした関数です。

(関数の例1)
自然数の関数f(n)を考えます。
1≦n≦1000,
f(n)=2n,
という関数があります。

(関数の例2)
1≦n≦5
f(1)=1,
f(2)=4,
f(3)=2,
f(4)=10,
f(5)=8,
というのも関数です。
1≦n≦5の範囲内の自然数の集合に対して、f(n)を何にするかの規則が定められているからです。

 そのように高校数学では、関数の概念を広くした結果、変数xに対応する関数値を定義する変数xの集合の範囲(変数xを想定する範囲)を明確化する(変数xの「定義域」を指定する)必要が生まれました。

《定義域が異なる関数は、異なる関数》
 そのように、関数は変数xの定義域の各変数値に対して関数値f(x)を対応付けさせる関係の事です。f(x)をxで演算する演算が同じであっても、定義域が異なれば異なる関数です。そのため、関数の変数xの定義域の数だけ関数が作れる事になります。


また、関数 f の値の集合を「値域」と呼びます。


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2023年10月13日金曜日

放物線の2つの接線が45°で交わる交点の軌跡

2008 年 筑波大学(前期) 【大問6】

【難問】放物線 C : y=x 上の異なる 2 点 P(t,t2); Q(s,s2) (s<t) における接線の交点を R(X,Y) とする.
(1) X,Y を t,s を用いて表せ.
(2) 点 P,Q が ∠PRQ = π/4 を満たしながら C 上を動くとき,点 R は双曲線上を動くことを示し,かつ,その双曲線の方程式を求めよ.


この問題の解答は、ここをクリックした先にある。
 
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放物線の直交接線の交点の軌跡
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