ページ
▼
以下の式のような複数の角度の三角関数の多項式1がある場合:
以下の式のように、1つの角度の三角関数の式2に変換する「三角関数の単純化パターンの公式」が成り立ちます。
この公式は、三角関数の難問の問題を解きながら、得られた式をより答えに近づけるには、どういう形に式を変形すれば良いか、という式の変形技術を探究する中で見出した、式の変換すべき形です。
三角関数の値が分かっている角度Cを使う。
(公式おわり)
この三角関数の単純化パターンの公式を適用する例を以下に示す。
【問1】
上の三角関数の式1を単純化せよ。
【解1】
以下の計算で式1を式2に単純化する。
(解答おわり)
【解2】
以下の計算でも、式1を式2に単純化できる。
(解答おわり)
リンク:
高校数学の目次
【問題】
下図のように半径1の円に内接する三角形ABCがある。この場合に、点Aから辺BCに下ろした垂線の足の点をDとし、点A,B,C,Dの複素数平面での位置の値をA,B,C,Dとすると、以下の式1の関係が成り立つことを示せ。
【ベストな解答】
(1)式1は、三角形CAEと三角形DABが相似であるという関係を示している。
(2)円周角の定理より、∠CEA=∠CBA
(3)2つの頂角が等しいので、△CAE∽△DAB
(4)よって、式1が成り立つ。
【解答(その2)】
式1を図形的に証明しないで複素数で計算しようとすると、以下のように苦労します。
あまり推薦できませんが、複素数の計算による解答を以下に書きます。
(1)先ず、この図のままだと、複素数の計算が難しいので、この図形を以下の図に回転させて、それから計算する。
(この形に整えることが解答のポイントです)
式1は、式2の形に書き換えることができる。
(2)この式2を以下のように変形していく。
この式3は確かに成り立っている。
(3)そのため、この式3から始めて、上の式2に至るまで、順番に式を変形して式2を導き出すことで、この問題の解答とする。
(解答おわり)
(補足)
この問題を複素数の計算問題として解く場合に、上の図のように整えた配置に図形を回転させてから問題を解く必要があります。そうしないと、解くことが困難になるからです。
そういう図形の操作もしなければ解けないことから考えると、この問題は、複素数の計算をするよりは、図形の証明問題として解く方が優れた解答であると考えます。
複素数平面の問題は、なるべく図形で解くべし。
(補足2)
式1は、以下の式4に変形できます。
(1)式1を、三角形CAEと三角形DABが相似であることから導き出して、
(2)その式を式4に変形して使う。
これを覚えておくと何かの計算に役立ちそうです。
三角形ABCの外心をGとして、
下図の様に、三角形ABCを平行移動して点Aを複素数平面の原点にすると、この式4は以下の式5で表せます。
ただし、複素数平面での各点の位置を表す複素数を、それぞれ、C,B,G,Dとする。
この式は、点Aから辺BCまで引いた垂線ADのベクトルを複素数であらわす式であるとも解釈できます。
上図の様に点Aを原点にした場合の垂線ADのベクトルを表す公式は、以下の式6ですが、
外心の複素数を使うと式5から導いた単純な式で垂線の式が表せる。
また、外心の複素数の式も、垂線の複素数を使った以下の単純な式で表せます。
リンク:
ベクトルの難問の強力な解答手段
複素数計算の公式を覚える
高校数学の目次
ベクトルA(a1,a2)とB(b1,b2)の張る平行四辺形の面積Sの公式は、
S=a1b2-a2b1
で計算する公式が知られています。
この平行四辺形に外接する図のような平行四辺形CDEFの面積は、ベクトルAとBの張る平行四辺形の面積の2倍です。
(2重平行四辺形の面積の公式)
この公式は上図から明らかですが、
以下で、この公式を、ベクトルの計算からも導き出してみます。
(2重平行四辺形の面積の公式の導出)
先ず、ベクトルA,Bを反時計回りに90度回転したベクトルAv,Bvを考えます。
そして、ベクトルAとBの張る平行四辺形の面積SをベクトルAとBの外積であらわして、それをこれらのベクトルを使って内積であらわします。
ベクトルCDとCFとそれらのベクトルを反時計回りに90度回転させたベクトルを以下の式であらわします。
次に、ベクトルCDとCFが張る平行四辺形の面積を以下の式で計算します。
ベクトルCDとCFが張る平行四辺形の面積が、ベクトルAとBが張る平行四辺形の面積の2倍である、以下の公式が得られました。
(公式の導出おわり)
リンク:
高校数学の目次
以下の式のように大きさが等しいベクトルAとBがある場合:
以下の式のように、ベクトルの内積を切り替える「ベクトルの切替の公式」が成り立ちます。
(公式おわり)
このベクトルの切替の公式を適用する例を以下に示す。
【問1】
上の三角形において、上のベクトルの内積の式が成り立つことを証明せよ。
【解答】
先ず、ベクトルbとcを、外心から引いたベクトルAとBとCであらわす。
この式を、大きさRが等しいベクトルAとBとCの内積であらわし、式を変換する。
ここでベクトル(B+C)は、上図の辺BCに垂直であり、長さが2mである。
(証明おわり)
(補足1)
この式の変形は、ひし形の対角線の直交の公式を使って以下の様に計算する事もできる。
ひし形の対角線の直交の公式で以下の式が成り立つ。
この公式を使って以下の様に式を変形できる。
ここでベクトル(B+C)は、上図の辺BCに垂直であり、長さが2mである。
(証明おわり)
リンク:
高校数学の目次