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▽はじめに
▽連続関数
▽1817年に歴史上初めて連続関数が正しく定義された
▽微分積分を使いものにする言葉
▽開区間での連続と閉区間での連続
▽区間の定義
▽連続関数の誤った定義
▽連続関数の正しい定義
▽連続関数の定義域
▽第1の定義の連続
▽(高校数学の迷信に注意)
▽第2の定義の連続
▽連続の事例と、連続で無い事例
▽一様連続性
▽関数の合成関数の例
(はじめに)
「微分・積分」の勉強
高校2年生から、極限・微分・積分の「意味がわからない」「つまらない」「教わる計算方法が正しいと言える理由(証明)がわからない」で数学の学習から脱落する高校2年生が多いらしい。
その脱落の原因を考えます。
脱落する原因は、微分積分には歴史的に説明のあいまいさがある事、そして、日本の高校の微分積分の教育では、そのあいまいさを更にあいまいにして、異なる事を同じことだと言って説明を単純化したり、証明が難しい事は証明しないで、それが証明されたと感覚的に感じるようごまかして教え、その説明のおかしさに生徒が気付かないよう生徒の数学感覚を麻痺させるよう誘導している事が、脱落の原因だと思います。また、そのように数学感覚が麻痺したまま大学に入ると、大学で学ぶ正しい微分積分が全く理解できなくなります。
公式を生徒に覚えさせるときに、間違ってはいるが覚えやすい事を生徒に覚えさせる事が、微分積分を生徒にやさしく覚えられるようにした親切な教育である、といった誤解があるから、教わる高校生が混乱することが原因で生徒が脱落するのではないかと考えます。
ごまかしがある説明は、どう説明しても、論理的には筋が通りません。論理的には理解され得ない事ですので、数学センスのある学生には受け入れられず、それ以上一歩も前に進めなくなると思われます。
数学の公式を覚える数学センスから考えると、嘘とごまかしは、数学を覚えにくくするので禁物なのです。なぜかと言うと、数学の公式を覚えるというのは公式を導き出す小さなヒントだけ覚えて、そのヒントから公式全体を導き出せるようにすることだからです。
小さなヒントだけ覚えれば良いので多くの公式を覚える量が本当に少なくて済み、覚えるのが楽になります。
しかし、嘘とごまかしによっては、そこから正しい公式全体を導き出せ無くなります。そのような不純物(嘘、ごまかし)が心に入ると、もう数学の力は失われてしまい、何もわからなくなります。そのため、数学センスのある学生には、嘘とごまかしは受け入れられないのです。
数学センスのある学生が学習を一歩も前に進めることができなくなることが無い、安心して微分積分の勉強を進めることができる、ごまかしの無い本は、高校生用の教科書や参考書なのでは無く、大学1年生向けの参考書です。
「やさしく学べる微分積分」
https://bookmeter.com/books/270259
「素晴らしいほどわかりやすい。 高校2年の知識があれば、すらすら読める。 数学苦手な人でも、やさしくシリーズは、微積とベクトルはとっつきやすいと思うので、おすすめです。 」
高校数学の参考書では、ごまかしたところで学習につまづくのですが、、、
この本は、大学1年生(文系)向けの本ですので、ごまかしや嘘がないので、そういうことがなく、一気に(高校数学の範囲を)読めます。
【被積分関数の単位】
微分積分で扱う被積分関数は、均質な基本的な要素の単位で考える。
具体的には、被積分関数を、全て、1つながりに連続する関数を単位にして考える。1つながりに連続する関数を扱うのであれば、積分の計算で誤りに陥る事を防ぐことができます。
その1つながりに連続する関数が、正しく定義された連続関数です。
《連続関数》
微分積分の命綱を握っているのが
連続関数の概念です。
その連続関数の高校数学での定義が間違っている事が、微分積分がわからなくなる原因ではないかと考えます。
連続関数の定義が間違っているので、連続関数という言葉を使ったあらゆる定理が無意味になります。また、その無意味になった定理を少しでも使ったあらゆる定理が無意味になります。
その連続関数の正確な定義を把握し、頭を整理しましょう。
「関数の連続性と一様連続性」のサイト(ここをクリックした先のサイト)が参考になります。
そのサイトでの定義は、
『「関数がつながっている,ちぎれていない」のが連続関数。
(xの数直線上の点aでの)連続性の定義:
xの数直線上の点aで関数f(x)が連続であるとは、その点aを含む区間 I とセットで定義する。
その区間 I 内の任意の実数xと,任意の正の実数 ϵ に対して,ある δ が存在して
「 ∣x−a∣<δ なら ∣f(x)−f(a)∣<ϵ 」
が成り立つことが、点aでの関数f(x)の連続性の定義である。』
(点xや点aで関数f(x)が定義されていない場合はこの式が成り立たないものとする。その点でこの式が成り立たない場合はその点で関数f(x)が連続ではない。)
また、所定の大きさの連結区間で、その区間内の全ての点aで、以上の式が成り立っていれば、その連結区間を定義域にした関数f(x)は連続関数である。
そのサイトを見た後で、このサイトも読んでもらえると嬉しいです。
《原始関数》先ず、連続関数のうちの1つである「原始関数」(ここをクリックした先のページ)を学ぶと、連続関数の正しい定義を理解する助けになると思う。
大学数学における、xの数直線上の点xでの連続性の定義、及び、区間での連続関数の定義では、区間の設定がキーポイントになっている。高木貞治の「解析概論」では、区間を「区域」と呼んでいる。区間は実数がすき間なくつまった1つの連結領域である。関数がちぎれる場合は、関数のグラフの上方向にすき間を空けてちぎれる場合と、変数xの数直線の方向にすき間を空けてちぎれる場合との2通りのちぎれ方がある。その2通りをともに判定できるようにするには、変数xの数直線上の実数がすき間なくつまった区間内の点毎に、ちぎれているか、連続であるかを把握することが好ましい。
連続関数の定義は、1817年にBolzanoが中間値の定理を証明する前提条件に定義した連続関数の定義により、歴史上初めて連続関数が正しく定義された(その定義は関数の連続性を区間で定義するものである)。その歴史的経緯から、中間値の定理を成り立たせない関数を連続関数と呼ぶ日本の高校数学の連続関数の定義(世界の高校数学の連続関数の定義とは異なると思う)は偽物である。
なお、日本の高校数学で定義された連続関数という言葉が使い物にならないので、日本の大学数学では、連続関数という言葉を使わずに「区間で連続な関数」という言葉で本来の意味の連続関数をあらわすことにしています。
日本では、連続性に関係する定理には、前提条件に「連続関数」という言葉は使わず、「区間で連続な関数」という言葉が使われている。日本では、定理を扱うときに「連続関数」という言葉を使わないように注意すること。
(質問)『分数関数は連続関数ですが、中間値の定理は成り立つのですか?x=0のときのグラフがないので成り立たない気がするのですが……。また、例えばf(x)=1/xにおいて、区間[-1,1]は連続なのでしょうか?』
という質問があります。その回答は:
(回答)『変数xの数直線上の点x=0において、f(x)=1/xの値が定義されていないので、その数直線上の点x=0で関数f(x)は連続ではありません。極限の点x=0で関数f(x)が定義されていなくても関数f(x)の極限値が定義されていることに注意。関数f(x)がx=0で連続である大前提は、そのxの点において関数f(x)が極限値を持つことです。点x=0で関数f(x)は極限値を持たない。そのため、その点で関数f(x)は連続ではありません。
区間[-1,1]におけるf(x)=1/xについては、中間値の定理は成り立ちません。その、区間[-1,1]における関数f(x)=1/xは連続関数ではありません。その関数は、その区間で「区間連続」ではありません。』
です。
なお、関数は定義域と組み合わされて定義されています。
f(x)=1/x, (x>0)という連続関数があり、
それとは異なる関数である、f(x)=1/x, (x<0)という連続関数があり、
f(x)=1/x, (10<x<100)という連続関数もあります。
それぞれの関数は(定義域が異なるので)異なる関数です。
xの数直線上のxの点の近傍の微小区間を定めてその区間で関数f(x)を解析することで、xの点での関数f(x)の連続性を判定する。
関数には、関数f(x)のグラフの形が設定され、関数値が定義される変数xの範囲(定義域)がある。
あるxの値の点での関数f(x)の連続性を判定する場合に、そのxの値の近くの微小な区間を使う。関数の定義域が、その微小区間を完全に包含していない場合は、その点で関数f(x)は連続では無い。
更に、xの数直線上でのある程度の大きさの広がりを持つ区間を定めて、その所定の区間内の全ての実数のxの点で関数f(x)が連続である場合に、その区間の関数f(x)が連続関数であると定義する
(高木貞治「解析概論」では、「関数が区域において連続」と表現している)。
そのxの所定の区間の領域と関数f(x)の定義域は一部が重なるだけかもしれない。f(x)が連続関数であるためには、その所定の区間の領域の全ての実数がf(x)の定義域に重ならなければならない。所定の区間内の一部にでもf(x)の定義域の外のxの点が入ってその点でx座標方向で関数がちぎれる場合は、その区間のf(x)の関数は連続関数では無いと判定される。
下図の3つの原始関数F(x)が3つの連続関数です。
1つながりのグラフが1つの連続関数です。
上図のグラフでは3つの別々の連続関数があります。
連続関数について、しっかりした説明が欲しいと思っている人には、参考書として、学生が微分積分を無駄なく学べるよう工夫がこらされている大学生向けの参考書:小平邦彦「[軽装版]解析入門Ⅰ」をお勧めします。その本の80ページから88ページまで親切丁寧に連続関数を説明していますので、是非、そのページだけでも一読する事をお勧めします。
(微分積分を使いものにする言葉について)
数学者の小平邦彦「[軽装版]解析入門Ⅰ」では、連続関数を、連結区間で1つながりに連続する関数と定義しています。
また、使いものにならなくなっている「不連続点」と言われている言葉を使わず、微分積分の概念の理解のために役立つ言葉で、連続点以外の点をあらわす「連続で無い点」という言葉を使っています。そのため、当ブログでも、小平邦彦「[軽装版]解析入門Ⅰ」に従って、「不連続点」という言葉は使わず、「連続で無い点」という言葉を使います。
(高木貞治「解析概論」を読むと「連続点」や「連続では無い点」とは、変数xの数直線上の点(変数xが複素数の場合は、変数xを表す複素数平面上の点)を点と呼んでいる。点とは、関数をあらわすグラフ上の点ではなく、変数xの数直線上の点であることに注意すること。)
(不連続点の当初の定義も、連続で無い点の定義と同じでした。藤原松三郎の「微分積分学 第1巻」によると、「f(x)がx=ξで連続でない場合に、x=ξ(という変数xの数直線上の点)をf(x)の不連続点という。」と定義されていました。)
(蛇足かもしれませんが、、、)高校生に正しい微分積分を教えようとする心ある先生が書いている参考書には、高校数学の誤った定義の「連続関数」という言葉が使いものにならなくなったとみなした対応をしている参考書もあるように思います。すなわち、その参考書では高校数学の「連続関数」という言葉は使わずに、大学数学での正しい定義の連続関数をあらわす言葉として「連続な関数」という言葉を使って微分積分を教えている参考書もあります。
《開区間での連続と、閉区間での連続》
(1)第1の定義の連続関数:
(連結した)開放された区間(a<x<b)で連続な関数f(x)。その開放区間内の(xの数直線上の)どの点でも完全に連続な関数。
すなわち、両端が開放された連結区間で1つながりに連続する関数。
(2)第2の定義の連続関数:
(連結した)閉区間( a≦x≦b)で連続な関数。a<x<bとなる(xの数直線上の)どの点でもf(x)が完全に連続。x=aとx=bとの(xの数直線上の)端点では、片側連続である関数f(x)。
すなわち、端点を持つ連結区間で1つながりに連続する関数。
(1)と(2)との2通りの定義があるので要注意です。
《実数の連続性》
実数には連続性がある。有理数には連続性が無い。
実数の連続性とは、連続性の公理を満足することである。連続性の公理とは、
「実数の部分集合のうち、上に有界かつ空でないものは、必ず最小上界を持つ(連続性の公理)」
というものである。
実数が連続性の公理を満足するという意味は、「独立変数xの実数値の数列が収束するときに、その収束先の極限が存在する」という意味である。独立変数xが実数で定義されていなければそうならない。
例えば、以下の図の規則によってx=1から、x=2、次にx=3/2 というように有理数の値を変えてくと、限りなく近づく先の数が実数の中にあるが、有理数の中には無い。
このように、連続性の公理を満足しない数の集合(有理数)の場合では、限りなく近づける先の数がその数の集合(有理数)の中に無い。その場合には、「限りなく近づける」先が定義できず、「限りなく近づける」=「極限」の概念の根底が崩れてしまう。
関数の連続性を極限で定義する前提条件として、先ずは、独立変数x自体において、収束する数列には収束先の極限が存在する必要がある。関数の極限を考えるためには、独立変数xは実数の区間で定義されていなければならない。
ーー【区間の定義】ーー
「区間」という数学用語は、変数xの数直線上の1つの範囲内の、実数のすき間がない1かたまりの数の集合をあらわす数学用語である。「数のすき間が無い」大前提のために、連続性の公理を満足する数(実数)の集合でなければならない。
《神奈川大学》【定義 14.2.4.】
a, b を実数とする. a 以上かつ b 以下の実数をすべて集めた集合を [a, b] と書き, これを閉区 間と呼ぶ.
a より大きくかつ b 未満の実数をすべて集めた集合を (a, b) と書き, これを開区間と呼ぶ.
----定義おわり----
a≦x≦bを満足するxの区間という表現は、a≦x≦bの範囲内の全ての実数xという意味です。
-∞<x<∞という区間もあります。
区間はxの値の範囲を限定するためのa≦x≦bという式とは意味が異なることに注意する必要があります。
「区間」という用語は、特に重要な関数である連続関数の連続性を定義するために必要な、連続関数f(x)の変数xの集合体がいつも持っていなければならない連続性という重要な性質が「区間」という概念を用いてあらわされていると思います。
すなわち、変数xの「区間」の性質で大切なのは、
「区間」のなかに変数xの値が隙間なく存在すること。
つまり所定範囲内での隙間が無い全ての実数の集合という概念が「区間」という用語で定義されています。
(A)「0≦x≦2の区間の変数xで定義された関数f(x)がその区間の(xの数直線上の)各点で連続であるとき,f(x)は連続関数である」という文では、
f(x)は、0≦x≦2の区間で1つながりに連続した関数f(x)として定義されます。
一方で、区間の概念を用いない定義:
(B)高校数学での、誤った連続関数の定義
「変数xの0≦x≦2の範囲内の値で関数f(x)が定義されていて、その関数f(x)が定義域の各点で連続であるとき,f(x)は連続関数である」という高校数学の連続関数の定義では、f(x)は、例えば、
0<x<1で f(x)=0, この定義域内の各点で連続。
1<x<2で f(x)=1, この定義域内の各点で連続。
結局、0≦x≦2の範囲内の全ての定義域の各点で連続という関数も連続関数f(x)にされます。しかし、そのように、すき間をはさんだ2つの区間を合わせた複合区間を定義域とする関数は平均値の定理を満足しない。それは連続関数ではなく、その定義は正しい連続関数の定義ではない。
この例の様に、「区間」という用語は変数xの数直線上の、すき間がない1かたまりの実数の集合をあらわす。変数xの数直線上の「区間」では、その変数xの範囲内に実数のすき間があってはいけない。
区間a≦x≦bが命題の中に記載されている場合は、その範囲内の全ての実数xについて命題を検討する必要があります。被積分関数f(x)が定義されていない変数xの(数直線上の)点があっても、その(xの数直線上の)点も、その命題が検討されるべき(xの数直線上の)点の1つです。
【連続関数の誤った定義が問題を起こしている】
高校の教科書では「定義域」という言葉を使って、
「関数 f(x) が、定義域のすべての x の値で連続であるとき、 f(x) は連続関数である、という。」
と書かれていると思います。
(注)上の教科書の定義は誤っています。正しくは、「区間で定義された関数f(x)が区間のすべてのxの値で連続であるとき、f(x)は連続関数である、という。」と書くべきです。
中学生のときから教わって来た「定義域」という言葉の定義が、高校以上の数学では、所定の区間を指すだけではない、区間内の数の集合の様々な部分集合を定義域にできるように変わりました。
変数xの数直線の中の自然数だけの集合の定義域もあります。
一方で、関数の連続性は、変数xの区間の実数の連続性と、その変数xに対応する変数yの値域における連続性をあらわす概念です。
その概念は、xの定義域が変わってしまっても定義域の変更にともなって変わる概念ではありません。関数の連続性の判定は、関数の変数xの数直線上の点の部分集合である定義域のxの点だけ見て判定するのではない。関数の連続性は、xの数直線上の、x=2の近傍の実数にすき間がない区間内の全ての点を見て判定します。
なお、y=f(x) ≡ 1/xは、x=0で不連続でグラフが途切れた関数ですが、
x=0での関数値が無い、すなわち、x=0は定義域に含まれない。
そして、x=0以外の、全ての定義域の点で連続なので「連続関数」と呼ばれています。
しかし、定義域という言葉は、関数f(x)の値が存在する変数xの値の集合の事であって、その集合に含まれないxの値であっても、変数xの数直線上の値は存在します。
連続は、変数xの数直線上の点毎に判定します。変数xの数直線上のx=0という点が存在します。その点のxの値0に対してf(x)の値が無いので、数直線上のx=0の点においては、関数f(x)の連続の条件が満足されない。そのため、x=0の点では関数f(x)は連続ではない。このように、xの数直線上のx=0の点で連続でない関数f(x)を「連続関数」と呼ぶのは間違っています。
【閉区間で連続な関数の最大値・最小値の定理】
閉区間( a≦x≦b)で連続な関数f(x)は、
その区間内で有限の値の最大値と最小値を持つ。
(ここまでが定理)
この定理は、誤った連続関数の定義と異なる、正しい連続関数の定義を前提にした定理です。そのため、この定理は、高校数学では無視することが強いられています。
高校数学では、
y=1/xは、x=0以外の、全ての定義域の点で連続なので「連続関数」と呼ばれています。
また、高校数学では、閉区間( a≦x≦b)とは、変数xの値の範囲を限定する式のことであるという間違いが教えられています。
その誤った知識に基づくと、
【閉区間で連続な関数の最大値・最小値の定理】とは、
変数xの範囲(a≦x≦b)内に関数が連続である定義域を持つ連続関数f(x)は、
その範囲(a≦x≦b)内で有限の値の最大値と最小値を持つ。
(ここまでが定理)
という定理と解釈されます。
この「定理」には以下の反例があります。
関数f(x)=1/xは、
変数xの範囲
-1≦x≦1
内に定義域(ただしx≠0という定義域)が存在し、
-1≦x≦1
内で定義されているどの点でも連続なので、
連続関数です。しかし、この連続関数f(x)は、
x→0の近くで∞と-∞に発散するので、
有限の値の最大値と最小値を持たない。
(反例1おわり)
(反例2)
関数f(x)=1/x2は、
変数xの範囲
-1≦x≦1
内に定義域(ただしx≠0という定義域)が存在し、
-1≦x≦1
内で定義されているどの点でも連続なので、
連続関数です。 しかし、この連続関数f(x)は、
x→0の近くで∞に発散するので、
有限の値の最大値と最小値を持たない。
(反例2おわり)
しかし、この定理の基礎となっている正しい連続関数の定義が高校数学での連続関数の定義とは違うので、これは定理の反例にはなっていません。
(注意)
「不連続点」の定義は、その不連続な値で関数値f(x)がある事と決められているため、上の例のx=0のように関数値f(0)が存在しない点は不連続点とは呼ばれません。
連続点という概念は数学の重要な概念であって、数学的に厳密に定義されています。不連続点という言葉は、その重要な概念である連続点の定義に従属して、その反対の性質を持つ点として定義する必要があります。
しかし、「不連続点」の定義では、そうせず、たいした根拠も無く、上の例のように関数値が存在しない点は「不連続点」とは呼ばず、連続点の概念とは無関係な言葉として定義されています。
そのように定義した「不連続点」という概念によっては、上のf(x)≡1/xという関数の例のように、xの数直線上のある値x0の点では、f(x0)が存在しないので連続では無いということが把握できなくなっています。
しかし、関数の変数xの数直線上の点で判定する連続性は、関数の極限によって関数のグラフの点の値の候補が定められる。そして、変数xの数直線上の点で、そのxの関数の値の極限値とそのxの関数値が一致しないxの点は連続で無い点であると把握されます。それは、その点の関数値が存在しない場合にも当てはまり、関数値が存在しないxの数直線上の点は、連続の条件が満足されないので連続で無い点と把握できます。
数学センスがある学生は、関数の連続点の否定を表すのではない「不連続点」という言葉は数学的に無意味で数学研究に役立たないと見抜き、「不連続点」という言葉は使わず別の言葉「連続で無い点」を自分で独自に定義して自分の研究に役立てると思います。
そのため、当ブログでは、上の例のx=0の点は、連続で無い点と呼び、「不連続点」という不完全な言葉は使わない事にします。(不連続点の当初の定義も、連続で無い点の定義と同じでした。藤原松三郎の「微分積分学 第1巻」によると、「f(x)がx=ξで連続でない場合に、x=ξをf(x)の不連続点という。」と定義されていました。)
ここで、関数から所定の点を除去することで連続で無い点を作った場合を考える。
その場合に、その点は定義域から除外されるので、定義域の全てのxで連続であるから、依然として連続関数であるとするならば、下図のように:
xが整数の点が除外され、
整数で無いxについては、
y=1
という、
xが整数の点が定義されていない、長さ1のグラフの集合の切れ切れのグラフの関数が考えられます。
(中学生のときには、その様な関数は教えられていませんでした。)
この切れ切れのグラフの関数も、定義域内のxで連続なので、連続関数という事になってしまい、不自然です。
これを連続関数とみとめてしまうと、
分母が10000の有理数n/10000の点を全て除去した関数も、定義域内のxで連続なので、連続関数であるとする事になってしまいます。
また、下図の関数も、定義域内のxで連続なので、
-∞<x<∞
の範囲内で連続関数であるとする事になってしまいます。
また、下図のノコギリ状の関数は不連続関数ですが:
上図の関数g(x)の不連続点のx=0.5, 1.5, 2.5等を全て除去した関数f(x)を作れば、
その関数f(x)も、途切れた関数ではありますが、
定義域内のxで連続なので連続関数という事になってしまい、不自然です。
しかも、事態が深刻なのは、
「連続関数の積分は微分可能であり、微分積分学の基本定理が成り立つ」と教わった場合に、
その定理にこの切れ切れのノコギリ状の連続関数f(x)を適用した場合です。
f(x)を積分した関数F(x)を求めてみます。
ここで、f(x)を、定義積分されていないxの点を含めて積分することは、広義積分と呼ばれています。
「[軽装版]解析入門Ⅰ」の177ページの広義積分の説明において、
「f(x)はx=c1,c2,・・・で定義されていなくても良い」
と述べた文脈の中で、
「f(x)が有限個の(xの数直線上の)点x=c1,c2,・・・を除いて連続であるとき」
と述べ(xの数直線上の点x=c1,c2,・・・については、関数の定義域外なので連続ではない)、
その数直線上の点x=c1を含めて積分することを広義積分と呼んでいる。
このように積分して求めた関数F(x)を微分すると、x=0.5, 1.5, 2.5等では、F(x)の微分係数が計算できません。
それは、「連続関数の積分は微分可能であり、微分積分学の基本定理が成り立つ」という教えと矛盾した結果になってしまいます。
すなわち、「微分積分学の基本定理:連続関数の積分は微分可能である」と言う教えが、この反例によって否定されてしまうという深刻な問題が起きます。
そういう問題に直面した高校生に心から同情します。
もう1つの反例を示します。
関数f(x)の連続で無い点を定積分の範囲内に入れてしまうと以下の間違いをおかします。
F(x)=1/xをxで微分したら
になるので、
関数
の、複合区間を定義域にする誤った原始関数がF(x)=1/xです。そして、変数xの積分区間に、f(x)が不連続になるx=0を含めた、xが-1から1までの区間で、
関数f(x)の定積分を、複合区間を定義域とする誤った原始関数F(x)を使って、 F(1)-F(-1)=1-(-1)=2
という 計算で求めると、明らかに間違えます。
上の図で明らかな様に、-1から1までの範囲でのf(x)の積分はf(x)のグラフの面積にならなければなりません。そのため、定積分の答えは、マイナス無限大にならなければなりません。
しかし、複合区間を定義域とする誤った原始関数F(x)を使った上の計算結果はそれと全く違い、面積が正の値の2になり、
全く間違った答えになりました。
高校で習う、
「原始関数F(x)を使って、以下の計算で定積分する。」
に従って、
(高校で教えられていない必須作業の、関数f(x)が定積分の区間で連続か否かのチェックをしないで)
複合区間を定義域にする誤った原始関数F(x)の差を計算すると、上の計算の例の様に、
元の関数のグラフの面積が計算できず、
間違った答えになります。
高校数学の誤った定義が固着した連続関数という言葉を使わずに、(大学数学が実行しているように)本来の連続関数をあらわす「区間で連続な関数」という言葉を使うと良い。
連続関数を定義域で連続な関数として定義する事の重要な第1の欠陥は、連続関数という言葉を使ってあらわされている全ての定理は、それとは異なって定義された連続関数に対して成り立つ定理であるから、それらの定理全体を無視することを強いる事だからです。
また、この、連続関数の誤った定義が排除されるべき理由は、この定義は、1つながりの連続関数を組み合わせた関数群まで指定してしまう事にあります。
それは、常に、互いに無関係な関数群の全てを考慮する事を強いる、数学的考察をする際の負担を重くする。数学の問題を、解きやすい単純な要素に分解して解きやすくする考察をじゃまする(場合分けして問題を解くことを不可能にする)複雑さを持ち込むからです。
数学は、なるべく考察対象を単純化して表現することで、問題を解く助け手になるべきです。しかし、この定義はそれに反しているからです。
「関数の点での連続性」の定義では、変数xの数直線上の、関数の定義域ではなく、区間が主役です。xの数直線上のxの点の左右の部分を含む微小区間によって関数の連続性を判定する場合を考える。その場合は、その微小区間内では、たとえ関数が定義されていなくても、強制的に、その微小区間のxの数直線上の点を見て点xでの連続性を判定する。
xの点の左右の部分を含む微小区間によって関数の連続性を判定する場合は、関数の点の右側極限と左側極限とその点での関数値が一致する事がその点での関数の連続性の条件です。
xの数直線上の点xでの関数値が存在しても、右側極限か左側極限の一方が存在しなければ、そのxの点で関数は連続ではありません。
一方、右側極限と左側極限が存在しても、その点での関数値が定義されずに存在しなければ、その点で関数は連続ではありません。定義されていないことが点の連続性の判定に影響します。関数の極限によって見出されたその点は連続で無い点と判定されます。
連続関数は変数xの連結区間内でグラフの点が連続している関数と考えるのが自然な数学的発想です。変数xの数直線上の連結区間内のすべての点で、たとえそのxの点では関数の値が定義されず存在しなくても、xの点における連続性の条件を検査します。
xの数直線上の所定の連結区間内の全てのxの点で連続な関数を連続関数と定義する(大学での)定義が、自然な数学的発想から導かれる正しい連続関数の定義であると考えます。
高校数学の連続関数の定義は、この正しい定義に反しているから誤りであると考えます。
このような誤った連続関数の定義が高校数学の教科書に書かれていたのは以下の原因によると考えられます。
[室蘭工業大学 山口 格] 数学者の吉田洋一が以下のようになげいています。「“論証"・論証"とやかましくいっておきながら,微積のところへ来ると,とたんにいいかげんな議論でごまかしている。一ーまた高校ではごまかさざるを得ないだろう。高校数学の目的は生徒のあたまを混乱させることにあるのだろうか。」
現在の高等学校の教科書は,積分の概念の説明を回避している。
1997年からは、日本の高校の数学IIで面積が無定義に用いられという、数学センスを否定する蛮行が行なわれた。そして、関数f(x)のグラフとx軸で囲まれる領域の面積を,x方向で微分するともとの関数f(x)になり、面積の微分がf(x)となるという本末転倒なことを教えるようになった。
また、大学で学ぶ、正しい連続関数の定義の知識は、高校の微分積分の教義から見れば異端の知識です。そのため、それを知っていることを隠してください。
ガリレオ・ガリレイが「太陽が地球の周りを回っているのでは無く、地球の方が動いている」と言ったときにどのような目にあったかの歴史を学んでください。
くれぐれも、授業中に、先生や生徒が間違った連続関数の定義を使っているときに、その誤りを指摘したりしないように、慎重に、周りの空気を読んで行動してください。自分の身が高校数学から異端審問され無いように大人の対応をしてください。ただし、この誤りは、連続関数に係る定理に通用しませんが、、、
この助言に従い「空気を読む」先輩や「空気を読む」数学の先生が、このように誤った情報が教え続けられるように守り、維持して来たとは思いますが、仕方がありません。
このような、数学センスに反する無価値な情報をおぼえることを強制された場合、それを覚えることを拒否して良いと考えます。
一つの選択としては、理系に進むのを止めて文系に進むことがあります。
しかし、数学が好きな学生には、それはできない、と考えます。
その学生のために、以下の様に連続関数を学ぶことを推薦します。
《連続関数の正しい定義》
小平邦彦「[軽装版]解析入門Ⅰ」で定義されている連続関数の定義のように、大学では、定義域として、xの数直線上の実数を完全に含んで連結している1つながりの「区間」の全てのxの点で関数値が定義されている関数f(x)に限って連続関数を定義しています。
小平邦彦「[軽装版]解析入門Ⅰ」80ページ:
定義2.2
f(x)をある区間I(xの数直線上のある連結する範囲内の全ての実数xの集合)で定義された関数とする。
このとき、区間Iという集合の要素(実数x)の中の1つの実数 a において、
ならば、
f(x)は 数直線上の点a で連続である。あるいは 、xの数直線上の点x=a で連続であるという。関数f(x)がそのxの区間Iに属する全ての(実数の)xの点で連続であるとき、f(x)を連続関数、または x の連続関数とよぶ。
(定義おわり)
「区間 I で定義された関数f(x)がそのxの定義域I(すなわちxの区間 I)に属するxの数直線上のすべての実数の点で連続であるとき,f(x)を連続関数とよぶ」
という表現が正しい連続関数の定義です。
ここで、「区間」という言葉が使われた時点で、それは1つにまとまった連結区間であって、それは、ある点で切れてバラバラになった複数の領域のことでは無い事に十分に注意する必要があります。
複数の(連結されない)区間で定義された関数という意味では無く、1つの連結区間で定義された関数に限る、という意味です。
「xの数直線上の連結区間Iの点xで定義された関数f(x)が、そのxの区間Iのxの数直線上のすべての実数の点で連続であるとき,f(x)を連続関数とよぶ」
という文で覚えた方が定義の勘違いを防げるのではないかと思います。
連続関数のグラフは1つながりの曲線であらわされるのです。
また、「区間」の定義は、その区間の範囲内に実数が隙間無く完全に密集して入っている変数xの範囲であると定義されています。そのため、「区間で定義された関数f(x)」と言う文の意味は、「区間の範囲内の全ての実数xに対してf(x)の値が有限の値で存在している」という意味を持っています。
更に、「区間」の定義は、ある数aからbまでの連結した1つながりの連結領域が区間と定義されている事に注意して欲しいと思います。 閉区間[a,b]や、a,bを含めない開区間(a,b)等がありますが。
東海大学(貴田 研司)~連続関数の厳密な定義~
「関数f(x) がある区間 I に属するすべての値 x で連続であるとき 、f(x) は区間 I で連続である,または区間 I で連続関数であるという.」
高木貞治「解析概論」の10.連続関数、
の24ページで、
「或る区域内において、変数xが連続的に変動するに伴って連続的に変動する関数f(x),すなわち、いわゆる連続関数」
と言って連続関数を定義している。
26ページでは、
f(x)=(x^2-1)/(x-1)において、
x=1において、
f(x)は意味を有しないが、
x=1において、
「式の欠点から生ずる不連続」である
と述べている。
f(x)=(x^2-1)/(x-1)は、x=1において連続ではない。
x=1で関数f(x)が定義されていないということは、
x=1でf(x)が不連続であることを判定する妨げにはならない。
「解析概論」をもっと読んでいくと、
30ページで、
「12.区域・境界
区域、境界~、ここで少しくその意味を明確にしておこう」
32ページで、
「領域・閉域
区域というのは、一つの点集合である。・・・また区域が連結されていることを要求する」
と言っている。
ここまで読めば、
連続関数f(x)が
「或る区域内において、変数xが連続的に変動するに伴って連続的に変動する関数f(x)」
と言う定義の意味が、
連結した区域(区間)で連続関数f(x)が定義されている、
ことがはっきり分かる。
大学数学では、連続関数を、例えば関数f(x)=1/x, (x≠0)のようなx=0を除いた定義域を持つ関数f(x)のような、分断された定義域では連続関数を定義していない。
大学数学における、xの数直線上の点x=aでの連続の定義、及び、区間での連続関数の定義では、区間の設定がキーポイントになっている。
関数f(x)のグラフの形が設定され、また、関数値が定義されているxの値の範囲(定義域)がある。ここで、xの数直線上のx=aの点の近傍の微小区間を定めてその区間で関数f(x)を解析することで、x=aの点での関数f(x)の連続性を判定する。
また、xの数直線上でのある程度の大きさの広がりを持つxの点の所定の区間を定めて、その所定の区間内の全ての実数のxの点で関数f(x)が連続である場合に、その区間の関数f(x)が連続関数であると判定している。
そのxの所定の区間の領域と関数f(x)の定義域は一部が重なるだけかもしれない。f(x)が連続関数であるためには、その所定の区間の領域の全ての実数がf(x)の定義域に重ならなければならない。所定の区間内の一部でもf(x)の定義域の外のxの点が入ると、その区間のf(x)の関数は連続関数では無いと判定される。
このことは、x=aの点の近傍の微小区間で関数f(x)のx=aの点の連続性を判定する場合も同様である。xの微小区間内の全ての実数の一部にでもf(x)の定義域の外のxの点が入ると、x=aの点において関数f(x)は連続ではないと判定される。
(1つ目の連続関数)
上図の関数で、連結区間x>0で定義されるy=1/xは(第1の定義の)1つながりの連続関数と定義されます。
(2つ目の連続関数)
上図で、連結区間x<0で定義されるy=1/xも(第1の定義の)1つながりの連続関数と定義されます。
これらの2つの連続関数は、それぞれ、連結区間で連続な1つながりのグラフの関数です。
それらの2つが連続関数という定義で充分と考えます。
この2つの区間を合わせて1つの定義域にした関数は、もはや、連続関数では無いことに注意してください。
-∞<x<∞で(x≠0)とする定義域は、x=0で切れているので1つながりの連結領域では無い。この定義域を持つ関数を、x=0の点を含む連結区間と重ねて解析すると、その関数は、x=0では連続では無いので、連続関数では無いと判定される。
以下の関数の例を考えると、2つの区間を合わせて1つの定義域にした関数が連続関数にならない例として分かり易いと思います。
(1つ目の連続関数)
連結区間x>0で定義されるy=(1/x)は(第1の定義の)1つながりの連続関数と定義されます。
(2つ目の連続関数)
連結区間x<0で定義されるy=-100も(第1の定義の)1つながりの連続関数と定義されます。
これらの2つの連続関数は、それぞれ、各関数が定義されている連結区間で連続な1つながりのグラフの関数です。
(定義域を合成すると)
この2つの連続関数の定義域を合わせて1つの定義域(x≠0)にして定義した関数は、定義域内のどの点でも連続ではありますが、x=0を含む区間を設定して解析すると、連続関数では無いと判定される。
1つにつながらない関数の定義域の全て包む区間を設定すると、その関数は連続関数とは判定されない。その関数を、高校数学で連続関数と定義することは誤っています。
また、関数の定義域は、関数を定めるために自由に定めるものであって、関数を定義する数式は、その関数値を定めるために補助的に使われる手段であって、定義域を定める元というものでは無い。関数の定義域というものは、もっと自由に定められるものです。
高校生も、大学での正確な定義に合わせて、連続関数とは、
連結区間で1つながりに連続している関数の事と覚えると良いと考えます。
高校の先生の問題への解答には、自分が考える「区間」を、不正確ではありますが、「定義域」という言葉に置き換えて書けば良いと考えます。
定義域という言葉を、実数を完全に含む区間という言葉に置き換えて使うので、大分不正確なあいまいな言葉になりますが、仕方がありません。
定義域が、a≦x≦bである、、、
等と解答に書いて、区間という概念が損なわれないように工夫して解答を書いて欲しいと思います。
(大学の入試問題の解答に「区間」という言葉を使って解答するのは問題ありません。)
(数学者の本に聞いてみた)
小平邦彦「[軽装版]解析入門Ⅰ」の80ページに連続関数の定義が書いてあり、連続関数の定義を明確に
(1)第1の定義の連続関数
「連結な開区間で1つながりに連続している関数」
(2)第2の定義の連続関数
「連結な閉区間で1つながりに連続している関数」
に限っています。
すなわち、連結区間で連続な1つながりの関数のみを連続関数と定義し、それ以外の連続関数の定義を排除しています。これは、微分積分の定理が連続関数を使うときに必ず使う形に整合させた連続関数の定義です。
また、小平邦彦は「不連続点」という言葉は使わず、「連続で無い点」という言葉を使って、不連続点の替りにしています。有理式:f(x)/g(x)のg(x)=0なる点は、連続では無いのであるから、「連続では無い点」です。
関数y=1/xのx=0となる点は連続では無い点です。
【高校数学の連続関数の定義と不連続点の定義のあいまいさ】
積分で利用する原始関数は1つながりに連続な連続関数です。連続関数を連結区間で連続な関数であると定義するなら、連続関数は1つながりに連続している関数であると明確に定義できます。しかし、高校の教科書の定義である、
「関数 f(x) が、定義域のすべての x の値で連続であるとき、 f(x) は連続関数である、という。」
と定義するならば、1 つながりに連続している関数を複数合わせた途切れた関数も連続関数であると定義することになります。
そうすると、1つながりに連続している関数である原始関数を連続関数という言葉を使っては正しくあらわせなくなります。
そういう連続関数の定義のあいまいさは、微分積分をわからなくしている原因の1つと考えます。
また、上図の関数を2つに分ける分け目の点では、関数値が無限大に発散して関数値が定義されません。そういう、関数値が定義されていない点は定義されていないからという理由でその点が連続とも不連続とも言えないと定義しているようです。
しかし、その分け目の連続で無い点では、関数値f(x0)が定義されていないので、以下の、点が連続する条件を満足していません。
関数の極限の
がf(x0)に等しい場合に、
x0 で関数f(x)が連続であると定義する。(定義おわり)
分け目の連続で無い点は、f(x0)が定義されていないので、この条件を満足していません。そのため、その点で連続で無い点です。
しかし、その連続で無い点を、関数値が定義されていないから関数にかかわる定義ができず、不連続点であると言えないようです。連続で無い点は不連続点と定義すべきと思います。
(不連続点の当初の定義も、連続で無い点の定義と同じでした。藤原松三郎の「微分積分学 第1巻」によると、「f(x)がx=ξで連続でない場合に、(xの数直線上の点)x=ξをf(x)の不連続点という。」と定義されていました。)
この理不尽さも、微分積分をわからなくしている原因の1つと考えます。
当ブログでは、微分積分を分かり易くするため、数学者の小平邦彦「[軽装版]解析入門Ⅰ」に従って、使い物にならなくなった「不連続点」という言葉を使わず、「連続で無い点」という言葉を使うようにします。
《連続関数の定義域の指定》
また、連続関数は、所定区間とセットにして「連続関数」が定義され、その所定区間外で関数が連続で無い点を持つても良いことにも注意する必要があります。常に所定区間とセットで連続関数を考えます。その所定区間を連続関数の定義域とするのです。
上図の関数f(x)は、X=0とX=2で不連続ですが、
その0≦x≦2の区間内の部分の関数f(x)は、
閉区間0≦x≦2で定義された連続関数です(第2の定義の連続関数)。
定義域に関する、このことも、小平邦彦「[軽装版]解析入門Ⅰ」の82ページに書いてありました。
不連続関数という表現は誤解を招く表現です。関数を扱う区間内に連続で無い点があれば「不連続関数」と表現できると思いますが、その連続で無い点を避けた区間では、その関数は連続であって「連続関数」になりますので、「不連続関数」という表現は不適切な表現であり、そういう表現は使わない方が良いと考えます。
【第1の定義の連続】
「微分積分学入門」(横田 壽)の39ページ近くに、連続の第1の定義が書いてあります。
極限を求める点が連続で無い点であっても定義される関数の極限、
を考えるときには、
x0 での関数f(x)の値f(x0)が定義されている必要はありませんでした。
また,x0 での関数f(x)の値 f(x0) が定義されていても、その値 f(x0) がx0 での極限値
と一致する必要もありませんでした。
そのように無制限な関数の条件に、新たに、
極限値とそこでの関数の値が等しいという条件を加えてみます。
そうすることは,以下で説明するように、
関数がある点で連続である
という条件を加えるという意味を持ちます.
【定義1.4 (連続) 】《イプシロンデルタ論法を使う》
関数f(x) は少なくとも、微小な連結区間
x0 − δ<x<x0 + δ
の全ての実数の点で定義されている.
(ここで、δは小さな正の実数)
が成り立つとき, f(x) はx = x0 で連続(continuous) であるという.
(定義のおわり)
(定義の意味)この連続の定義の意味は、関数の極限のときより条件が厳しくなり,今度は、更に、
「f (x) は x =x0= c で定義されている必要がある.」
という条件が、極限の条件に追加して加えられた。すなわち、連続性の判定条件は極限の判定条件よりも厳しくなった。
関数の極限の定義では、x=c において、f(x)が定義されていなくても、f(x)のx=c における極限があるかないかを判定した。
連続性の定義においても、x=c において、f(x)の極限が存在することが必要である上にさらに条件がきびしくなったのである。もちろん、極限が存在しなければ、当然ながら、x=c で f(x) が定義されていてもいなくても、その点x=c で関数 f(x) が連続とは言えないのである。
(定義されていない点で関数が不連続)
また、関数 f(x) が定義されていない(変数xの数直線上の)点 x=c では、「定義されていない」ということがあるだけで、その点で関数 f(x) が不連続である。例えば、「関数 f(x) が a≦x≦b で連続」ということが意味することは、a≦x≦b の範囲内に f(x) が定義されていない(数直線上の)点 x=c は存在しないということを意味する。
(高校数学の迷信に注意)
高校数学では、
関数f(x)=1/xについては、
x=0では、
f(x)の連続性を判定しない、
と解釈しているようです。
それは間違いで、
x=0の点では、f(x)は、
連続の定義が満足されないので、
連続ではない。
-----(定義の言い換え)----
この定義をハッキリ把握するために、想像力を膨らませて、この定義を、以下の様に噛み砕いて自分の言葉で言い換えて定義を覚えてください。
(なお、この定義をかみ砕いて考える考え方が、小平邦彦「[軽装版]解析入門Ⅰ」の80ページから81ページに詳しく書いてあります。)
(0)
この、関数の1点での連続の定義は、関数の1点の近傍の幅を持った区間で連続を判定しています。
すなわち、関数の連続を確認する点x=x0 については、その点の座標の周りに広がりを持つ区間の、少なくとも、x0 − δ<x<x0 +δ
(ここで、δは小さな正の実数)
という連結区間の全ての実数値xで関数f(x)が定義されていることが大前提です。
「区間」と言う場合は、それは1つの連結区間であって、その区間内の全ての実数が関数の定義域である事を意味します。
(1)
次に、
x0に近い(値x0も含む実数)xを考える。
(2)
x0から、正の値δの範囲内でずれる、x0も含む全ての実数xについてf(x)を考える。
この定義における「全ての実数x」の意味は、例えば関数の変数xの定義域による変数xの値の制限も無視して、その制限に制約されずにx0から、正の値δの範囲内でずれる値の実数変数xは全て考慮することを意味します。
(3)
その全てのf(x)の値のバラツキの誤差を求める。
その誤差<εとする小さな正の値εでバラツキの範囲を定める。
すなわち、どの実数x(ただし、x=x0の場合も含む)の値の関数値f(x)についても、
-ε< (f(x)-f(x0))<ε
となる正の値εを定める。
(4)
xの値のx0からずれる範囲を定める正の値δを十分小さくすれば、
その範囲内の全ての実数値のx(値x0も含む)によるf(x)の値のバラツキが小さくなり、バラツキの範囲の値 ε がいくらでも小さくできるならば;
f(x)はx=x0 で極限値を持ち、かつ、その極限値がf(x0)に等しい。
その場合に、
関数f(x)は、
x=x0 で連続である。
すなわち、
が成り立つ場合に、関数f(x)はx=x0 で連続になります(第1の定義の連続)。
言い換えると、
「点x0でf(x)が連続である定義は、
どんなに小さい正の値εに対しても、
十分小さい正の値δを使ってxの区間を、
x0 − δ<x<x0 +δ (x=x0となる場合も含む)
に限定すれば、どのxの値でも、
-ε< (f(x)-f(x0))<ε
が成り立つようにできる事である。」
----(定義の言い換えおわり)-----------
(注意1)このε-δ論法による連続の第1の定義は、
xの区間の x0 − δ<x<x0 +δ を使っていますので、その区間の全ての実数についてf(x)の値が存在する(定義されている)事を条件にしています。そのため、以下の例の様に関数値f(x)が区間で定義されていない場合は、連続であるとは定義しません。
x=0,1,2だけで定義された関数f(x)の例:
f(0)=10,
f(1)=11,
f(2)=12,
この関数f(x)は、
どんなに小さい正の値εに対しても、
正の値δ=0.5を使ってxの範囲(区間では無い)を、
1− δ<x<1 +δ
に限定すれば、
その範囲内のf(x)の定義域のxの値は、x=1のみになる。
その全てのxの値(x=1だけですが)に対して、
-ε< (f(x)-11)<ε
が成り立つようにできます。
ε=1/10000という小さなεの場合でも上の式が成り立ちます。対象となるxはx=1しか無いからです。
しかし、そうであっても、f(x)はx=1で連続ではありません。
連続の定義では、区間
1− δ<x<1 +δ
内の全て実数に対して、f(x)の値が存在する事を要請しているが、関数f(x)はその条件を満足しないからです。
(注意2)ここで、ε-δ論法が出て来ましたが、ε-δ論法というものは、εとδを使った極限の表現の手段であって、そのε-δ論法を使った「連続」の定義は、上の形の第1の連続の定義に限られません。
以下で説明する片側連続についても、第1の連続の定義とは形を変えた別のε-δ論法によって片側連続が定義されます。
【第2の定義の連続】
【関数が閉区間(a≦x≦b)で連続という定義】
閉区間(a≦x≦b)で定義された、第2の定義の連続関数f(x)は、多くの場面で使われます。
閉区間(a≦x≦b)で連続な連続関数f(x)と呼ばれますが、
その定義域の端点では、片側連続であり、両側からは連続していなくても閉区間で連続と定義しますので要注意です。
(この第2の定義の連続(片側連続)を、「第1の定義の連続を判定する区間が、関数の定義域によって制限されることで連続性が判定される」、という考えは誤りです。連続性を判定する区間は、関数の定義域によっては狭められないからです。もし、関数f(x)の連続性を判定する変数xの区間内に関数f(x)が定義されない点があれば関数f(x)は連続では無い。)
上図の関数f(x)は、X=0とX=2で不連続ですが、
その0≦x≦2の区間内の部分は、
「区間0≦x≦2で定義された関数f(x)が区間0≦x≦2で連続な連続関数である」
と言います(第2の定義の連続関数)。
(第2の定義の連続関数の端点での連続の定義)
変数xの数直線上の点 c を含む区間を、閉区間a≦x≦bで定義する。
その区間内の全ての x=cの点で、
その点c毎に、区間内の任意の実数 x と,任意の正の実数 ϵ に対して,ある δ が存在して
「 ∣x−c∣<δ なら ∣f(x)−f(c)∣<ϵ 」
が成り立つならば、
その連結区間を定義域にした関数f(x)は連続関数である。
そして、
閉区間の端点x=bの点で、
x → b− 0 またはx → b− と表わす左側極限値f(b-)がf(b)である左連続によって連続です。
すなわち、端点bでのグラフの点(b,f(b))が左側極限の点(b-,f(b-))と連続している(片側連続性)。
また、
閉区間の端点x=aの点で、
x → a+ 0 またはx → a+と表わす右側極限値f(a+)がf(a)である右連続によって連続です。
すなわち、端点aでのグラフの点(a,f(a))が右側極限の点(a+,f(a+))と連続している(片側連続性)。
そういうふうに、閉区間(a≦x≦b)で定義された関数f(x)は、その閉区間の端点a,b間で連続な関数f(x)であると定義されています。
関数f(x)が右側極限や左側極限で区間の端点に片側連続性で連続につながっているので、そういう表現をする理由になっています。
-----第2の定義の連続関数の説明おわり-----------
以下では、第1の定義の連続の説明に戻ります。
《連続の事例と、連続で無い事例》
(不連続の事例1)
下図の関数は、x=0で関数f(x)が定義されてないので、x=0は連続で無い点です。
このように、連続関数から、1つの変数xの関数値f(x)を取り除くと、その除去された点で関数が連続とは言えなくなります。
(事例2)
下図の関数は、定義域が
0<x<1
なので、x=0は連続で無い点です。
(事例3)
下図の関数は、x=0でf(x)が存在するので、
x=0で不連続です。
この不連続な関数から、x<0の点を全て除去した下図の関数は、
閉区間での関数に係る(第2の定義の連続関数)の定義に従い:
連結区間0≦x≦1の端点のx=0で連続です。
(関数f(x)が連続な連結区間で連続関数を定義する)
例えば、下図の関数f(x)は、x=0は連続で無い点ですが、その点以外の図の、関数が連続な連結区間a≦x≦bで関数f(x)を切り出して、
その部分を、第2の定義の連続関数であると定義できます。
すなわち、上図の、0<aである閉区間(a≦x≦b)で連続な第2の定義の連続関数であると定義できます。
(事例4)
(事例4その1)
上図のような関数f(x)の変数xの定義域内に、xの無理数の値に対する関数値f(x)が無い(定義されていない)部分がある場合は、その部分では、変数xの有理数のどの値でも関数f(x)が不連続である。
すなわち、関数f(x)が変数xが0≦x≦2において、変数xが有理数の場合だけで関数値が定義され、変数xの無理数の値に対する関数値f(x)が存在しない関数f(x)の場合は:
(注意:0≦x≦2という範囲は、そのxが全ての実数をあらわしてはいないので「区間」と呼ぶことはできません)
定義されている有理数の点x=aで関数f(x)が連続であるためには、少なくとも、
a-δ<x<a+δ (式2-1)
の区間内の全ての実数で、
|f(x)-f(a)|<ε (式2-2)
となる条件を満足しなければならないのにもかかわらず、
この式2-1の区間内に、必ず無理数xがあり、
その無理数では関数f(x)が定義されていないので、式2-2を満足しない。
そのため、変数xの定義されている有理数のどの値でも関数f(x)が不連続である。
(事例4その2)
その1の場合の逆に:
上図で、関数f(x)が変数xが0≦x≦2において、変数xが無理数の場合だけで関数値が定義され、変数xの有理数の値に対する関数値f(x)が存在しない関数f(x)の場合は:
(注意:0≦x≦2という範囲は、そのxが全ての実数をあらわしてはいないので「区間」と呼ぶことはできません)
定義されている無理数の点x=aで関数f(x)が連続であるためには、少なくとも、
a-δ<x<a+δ (式2-1)
の区間内の全ての実数で、
|f(x)-f(a)|<ε (式2-2)
となる条件を満足しなければならないのにもかかわらず、
この式2-1の区間内に、必ず有理数xがあり、
その有理数では関数f(x)が定義されていないので、式2-2を満足しない。
そのため、変数xの定義されている無理数のどの値でも関数f(x)が不連続である。
(備考1)
この例の様に、連続性を判定する点x=aで関数の連続性(および極限)を考える場合に、定義域の変数として無理数だけ、あるいは有理数だけに限定された定義された数だけでは無く、
a-δ<x<a+δ (式2-1)
の区間内の全ての実数について確かめて関数f(x)の連続性を判定します。関数f(x)の定義域でf(x)が定義されていない数であっても、区間内では全ての実数を考えて連続性を判定します。
(備考2)
上の(事例4)の関数の姉妹の関数として、
変数xが有理数の場合に、
f(x)=x
となり、変数xが無理数の場合に、
f(x)=100
となる関数は、
明らかに、x=0で不連続です。
(連続性を考える場合の根本的な注意点)
有理数全体は、x座標を表す直線上に密集している。しかし、有理数全体だけでは、直線上にすきま無く並べることができない。
無理数全体も、x座標を表す直線上に密集している。しかし、無理数全体だけでは、直線上にすきま無く並べることができない。
実数全体が、直線上にすきま無く並べることができるのである。
(備考)
連続性は実数まで考えることで正しく定義できるので、関数を連続関数であると定義すると、その関数は、変数xの実数の連結区間で定義される必要があります。
その変数xの値として有理数の値のみしか扱わず無理数の値を全く意識しない場合でも、微分される関数が実数でも定義されているというバックグラウンドをその関数に持たせる必要があると考えます。
関数がある点x0で連続であるという関数の連続性の定義は、上記の様に定義できます。
この連続性の定義に関連して、その姉妹にあたる「極限の定義」においても、変数xを実数まで考えて、変数xがある点x0の近傍の全ての実数で所定の値 lim に収束する場合にのみ、関数に極限が存在するものと定義しています。
(第2の定義の連続関数の連続な区間と定義域)
変数xが、
連結区間a≦x≦b
で関数f(x)が(第2の定義の連続関数として)連続であると定義された関数f(x)は、
関数f(x)の定義域は、
連結区間a≦x≦b
であり、
関数f(x)が完全に連続な連結区間は、
a<x<b
です。
そしてf(x)の右側極限f(b-)=f(b)であり、
f(x)の左側極限f(a+)=f(a)です。
(事例5:微妙に不連続な関数の例)
x≠0の場合:
f(x)≡ sin(1/x)
x=0の場合:
f(0)≡0
上図の関数 f(x) は
x→0で
Yの極限値が存在しません。
そのため、関数f(x)はx=x0 ≡0で不連続です。
関数f(x)は、xが0に近づくとー1と1の間を振動します。
この関数f(x)は、xがx0 ≡ 0の値に無限に近い点で、f(x)の値が0になるかもしれないし、-1から1の間のどの値になるかもしれないので、
x→0+
における極限値が何になるかがわかりません。
そのため、
x→0+における関数値f(x)と、
x=0における関数値f(0)=0
が同じであるか異なるかどうかも分かりません。
それでも、関数の連続性の定義の【定義1.4 (連続関数) 】に従って、この関数f(x)がx=0で不連続であると言えます。
①先ず、関数f(x)は区間(x0 − δ, x0 + δ) で定義されています。
②x=0での関数の連続を定義する極限の式:
が成り立つかどうかを調べてみます。
x→0+におけるf(x)の値が振動して、極限値が存在しないので、
この式は成り立ちません。
そのため、この関数f(x)は、x=0で不連続です。
(事例6:極限が存在しない点が無限にあり不連続な関数)
上図のノコギリ関数g(x)を使って以下の関数を作ります。
この関数f(x)は、以下のx座標で極限が存在しない。
その他、
x=奇数/(整数×2)
の点では極限値が存在しない。
極限値が存在しないのであるから、その点では関数は連続ではありません。
このf(x)のグラフは、関数f(x)の極限が存在しない有理数のxの値では、このグラフf(x)が不連続です。
おもしろいことに、この関数f(x)のグラフは、
x=無理数の位置で「連続」です。
そのxの無理数の値から無限に近い距離にも、有理数の値のxでf(x)が連続で無い点があるにもかかわらずです。
(一様連続性:関数の値のバラツキが一斉に小さくなる事)
f(x)が連結な閉区間a≦x≦bで1つながりに連続な関数であれば、閉区間で連続な関数の最大値・最小値の定理によって、f(x)の値はある最大値と最小値の間の値に限られている。
そのように、ある最大値と最小値の間の値に限られている、閉区間で連続な関数f(x)の領域を以下の図の様に2等分する。
(ただし、二等分とは言っても、分割された領域の境界点は、それぞれの領域が共有するように分割する。)
そして、分割された領域毎に、関数の最大値と最小値の差Δを考え、全分割領域での、差Δの最大値Δ2を抽出する。
関数f(x)が連続関数の場合は、その差の最大値Δ2は、分割前の領域での関数の最大値と最小値の差Δ1よりも小さくなる。
更に、各領域を2等分する。
(ただし、二等分とは言っても、分割された領域の境界点は、それぞれの領域が共有するように分割する。)
そして、分割された領域毎に、関数の最大値と最小値の差Δを考え、全分割領域での、差Δの最大値Δ3を抽出する。
関数f(x)が連続関数の場合は、その差の最大値Δ3は、分割前の領域での差の最大値Δ2よりも小さくなる。
更に、各領域を2等分する操作を繰り返し、
差の最大値Δ4、Δ5、Δ6・・・
を求めて行く。
すると、関数f(x)が連続関数の場合は、領域を分割する毎に、全分割領域での差の最大値Δnは無限に小さくなって行く。(これは、以下のようにして証明できる)
(仮説)
もし関数の最大値と最小値の差Δnが無限に小さくならないで、ある値β>0に留まるとする。
(仮説の検証)
その場合は、どんなに区間を分割しても、関数値のばらつきがβである微小区間が残り続ける。
ばらつきがβ未満の微小区間を分割してもばらつきがβである微小区間が生まれる事はないので、関数値のばらつきがβである微小区間は、関数値のばらつきがβである微小区間の分割によって生まれる。
すなわち、関数値のばらつきがβである微小区間が、それを無限に分割しても、関数値のばらつきがβであり続ける。その微小区間は点に収束し、その点の近くで関数値のばらつきが0に収束する事はない。
その場合は、その点で関数f(x)の連続の条件を満足しない。
これは、f(x)が連続である条件に反する。
ゆえに、この仮説が成り立たず、
関数の最大値と最小値の差Δnは無限に小さくなっていく。
(一様連続性)
以上の様に、ある関数f(x)の各分割領域を更に2分の1に分割する操作をn回繰り返していき、各分割領域の関数f(x)の最大値と最小値の差(関数の値のばらつき)Δを求める。
(1)そのとき、全ての分割領域での関数の値のばらつきΔの最大値Δnが有限の値で存在すること。
(2)この操作を繰り返して分割領域を無限に小さくすると、
全ての分割領域での関数の値のばらつきの最大値Δnが、無限に小さくなって行く。
(すなわち、全ての分割領域での関数の値のばらつきがΔnより小さく、そのΔnが無限に小さくなっていく)
これが成り立つ関数f(x)の性質を「一様連続」であると言います。
この説明は、以下の様に定義されている一様連続の言い換えです。
「変数xの数直線上の区間[a,b]において、どんなに小さな正の値εについても、全ての分割領域での関数f(x)の値のばらつきがε以下にできる、分割領域の小さな幅δ=(b-a)/(2^n)が存在するとき、その関数f(x)は一様連続である。」
(一様連続の説明おわり)
《関数の合成関数の例》
以下の関数f(x)とg(x)の合成関数f(g(x))を考える
すなわち、以下の式で表される合成関数になります。
大学数学で定義した正しい連続関数同士の合成関数f(g(x))であっても、関数g(x)の値域が関数f(x)の定義域からはみ出す場合には、上記の例のように、切れ切れの合成関数が得られます。関数を合成する場合には、関数g(x)の値域をf(x)の定義域の範囲内におさめる節度が必要です。
リンク:
関数の極限の定義
高校数学の目次
▽はじめに
▽連続関数
▽1817年に歴史上初めて連続関数が正しく定義された
▽微分積分を使いものにする言葉
▽開区間での連続と閉区間での連続
▽区間の定義
▽連続関数の誤った定義
▽連続関数の正しい定義
▽連続関数の定義域
▽第1の定義の連続
▽(高校数学の迷信に注意)
▽第2の定義の連続
▽連続の事例と、連続で無い事例
▽一様連続性
▽関数の合成関数の例
(はじめに)
「微分・積分」の勉強
高校2年生から、極限・微分・積分の「意味がわからない」「つまらない」「教わる計算方法が正しいと言える理由(証明)がわからない」で数学の学習から脱落する高校2年生が多いらしい。
その脱落の原因を考えます。
脱落する原因は、微分積分には歴史的に説明のあいまいさがある事、そして、日本の高校の微分積分の教育では、そのあいまいさを更にあいまいにして、異なる事を同じことだと言って説明を単純化したり、証明が難しい事は証明しないで、それが証明されたと感覚的に感じるようごまかして教え、その説明のおかしさに生徒が気付かないよう生徒の数学感覚を麻痺させるよう誘導している事が、脱落の原因だと思います。また、そのように数学感覚が麻痺したまま大学に入ると、大学で学ぶ正しい微分積分が全く理解できなくなります。
公式を生徒に覚えさせるときに、間違ってはいるが覚えやすい事を生徒に覚えさせる事が、微分積分を生徒にやさしく覚えられるようにした親切な教育である、といった誤解があるから、教わる高校生が混乱することが原因で生徒が脱落するのではないかと考えます。
ごまかしがある説明は、どう説明しても、論理的には筋が通りません。論理的には理解され得ない事ですので、数学センスのある学生には受け入れられず、それ以上一歩も前に進めなくなると思われます。
数学の公式を覚える数学センスから考えると、嘘とごまかしは、数学を覚えにくくするので禁物なのです。なぜかと言うと、数学の公式を覚えるというのは公式を導き出す小さなヒントだけ覚えて、そのヒントから公式全体を導き出せるようにすることだからです。
小さなヒントだけ覚えれば良いので多くの公式を覚える量が本当に少なくて済み、覚えるのが楽になります。
しかし、嘘とごまかしによっては、そこから正しい公式全体を導き出せ無くなります。そのような不純物(嘘、ごまかし)が心に入ると、もう数学の力は失われてしまい、何もわからなくなります。そのため、数学センスのある学生には、嘘とごまかしは受け入れられないのです。
数学センスのある学生が学習を一歩も前に進めることができなくなることが無い、安心して微分積分の勉強を進めることができる、ごまかしの無い本は、高校生用の教科書や参考書なのでは無く、大学1年生向けの参考書です。
「やさしく学べる微分積分」
https://bookmeter.com/books/270259
「素晴らしいほどわかりやすい。 高校2年の知識があれば、すらすら読める。 数学苦手な人でも、やさしくシリーズは、微積とベクトルはとっつきやすいと思うので、おすすめです。 」
高校数学の参考書では、ごまかしたところで学習につまづくのですが、、、
この本は、大学1年生(文系)向けの本ですので、ごまかしや嘘がないので、そういうことがなく、一気に(高校数学の範囲を)読めます。
【被積分関数の単位】
微分積分で扱う被積分関数は、均質な基本的な要素の単位で考える。
具体的には、被積分関数を、全て、1つながりに連続する関数を単位にして考える。1つながりに連続する関数を扱うのであれば、積分の計算で誤りに陥る事を防ぐことができます。
その1つながりに連続する関数が、正しく定義された連続関数です。
《連続関数》
微分積分の命綱を握っているのが
連続関数の概念です。
その連続関数の高校数学での定義が間違っている事が、微分積分がわからなくなる原因ではないかと考えます。
連続関数の定義が間違っているので、連続関数という言葉を使ったあらゆる定理が無意味になります。また、その無意味になった定理を少しでも使ったあらゆる定理が無意味になります。
その連続関数の正確な定義を把握し、頭を整理しましょう。
「関数の連続性と一様連続性」のサイト(ここをクリックした先のサイト)が参考になります。
そのサイトでの定義は、
『「関数がつながっている,ちぎれていない」のが連続関数。
(xの数直線上の点aでの)連続性の定義:
xの数直線上の点aで関数f(x)が連続であるとは、その点aを含む区間 I とセットで定義する。
その区間 I 内の任意の実数xと,任意の正の実数 ϵ に対して,ある δ が存在して
「 ∣x−a∣<δ なら ∣f(x)−f(a)∣<ϵ 」
が成り立つことが、点aでの関数f(x)の連続性の定義である。』
(点xや点aで関数f(x)が定義されていない場合はこの式が成り立たないものとする。その点でこの式が成り立たない場合はその点で関数f(x)が連続ではない。)
また、所定の大きさの連結区間で、その区間内の全ての点aで、以上の式が成り立っていれば、その連結区間を定義域にした関数f(x)は連続関数である。
そのサイトを見た後で、このサイトも読んでもらえると嬉しいです。
《原始関数》先ず、連続関数のうちの1つである「原始関数」(ここをクリックした先のページ)を学ぶと、連続関数の正しい定義を理解する助けになると思う。
大学数学における、xの数直線上の点xでの連続性の定義、及び、区間での連続関数の定義では、区間の設定がキーポイントになっている。高木貞治の「解析概論」では、区間を「区域」と呼んでいる。区間は実数がすき間なくつまった1つの連結領域である。関数がちぎれる場合は、関数のグラフの上方向にすき間を空けてちぎれる場合と、変数xの数直線の方向にすき間を空けてちぎれる場合との2通りのちぎれ方がある。その2通りをともに判定できるようにするには、変数xの数直線上の実数がすき間なくつまった区間内の点毎に、ちぎれているか、連続であるかを把握することが好ましい。
連続関数の定義は、1817年にBolzanoが中間値の定理を証明する前提条件に定義した連続関数の定義により、歴史上初めて連続関数が正しく定義された(その定義は関数の連続性を区間で定義するものである)。その歴史的経緯から、中間値の定理を成り立たせない関数を連続関数と呼ぶ日本の高校数学の連続関数の定義(世界の高校数学の連続関数の定義とは異なると思う)は偽物である。
なお、日本の高校数学で定義された連続関数という言葉が使い物にならないので、日本の大学数学では、連続関数という言葉を使わずに「区間で連続な関数」という言葉で本来の意味の連続関数をあらわすことにしています。
日本では、連続性に関係する定理には、前提条件に「連続関数」という言葉は使わず、「区間で連続な関数」という言葉が使われている。日本では、定理を扱うときに「連続関数」という言葉を使わないように注意すること。
(質問)『分数関数は連続関数ですが、中間値の定理は成り立つのですか?x=0のときのグラフがないので成り立たない気がするのですが……。また、例えばf(x)=1/xにおいて、区間[-1,1]は連続なのでしょうか?』
という質問があります。その回答は:
(回答)『変数xの数直線上の点x=0において、f(x)=1/xの値が定義されていないので、その数直線上の点x=0で関数f(x)は連続ではありません。極限の点x=0で関数f(x)が定義されていなくても関数f(x)の極限値が定義されていることに注意。関数f(x)がx=0で連続である大前提は、そのxの点において関数f(x)が極限値を持つことです。点x=0で関数f(x)は極限値を持たない。そのため、その点で関数f(x)は連続ではありません。
区間[-1,1]におけるf(x)=1/xについては、中間値の定理は成り立ちません。その、区間[-1,1]における関数f(x)=1/xは連続関数ではありません。その関数は、その区間で「区間連続」ではありません。』
です。
なお、関数は定義域と組み合わされて定義されています。
f(x)=1/x, (x>0)という連続関数があり、
それとは異なる関数である、f(x)=1/x, (x<0)という連続関数があり、
f(x)=1/x, (10<x<100)という連続関数もあります。
それぞれの関数は(定義域が異なるので)異なる関数です。
xの数直線上のxの点の近傍の微小区間を定めてその区間で関数f(x)を解析することで、xの点での関数f(x)の連続性を判定する。
関数には、関数f(x)のグラフの形が設定され、関数値が定義される変数xの範囲(定義域)がある。
あるxの値の点での関数f(x)の連続性を判定する場合に、そのxの値の近くの微小な区間を使う。関数の定義域が、その微小区間を完全に包含していない場合は、その点で関数f(x)は連続では無い。
更に、xの数直線上でのある程度の大きさの広がりを持つ区間を定めて、その所定の区間内の全ての実数のxの点で関数f(x)が連続である場合に、その区間の関数f(x)が連続関数であると定義する
(高木貞治「解析概論」では、「関数が区域において連続」と表現している)。
そのxの所定の区間の領域と関数f(x)の定義域は一部が重なるだけかもしれない。f(x)が連続関数であるためには、その所定の区間の領域の全ての実数がf(x)の定義域に重ならなければならない。所定の区間内の一部にでもf(x)の定義域の外のxの点が入ってその点でx座標方向で関数がちぎれる場合は、その区間のf(x)の関数は連続関数では無いと判定される。
下図の3つの原始関数F(x)が3つの連続関数です。
1つながりのグラフが1つの連続関数です。
上図のグラフでは3つの別々の連続関数があります。
連続関数について、しっかりした説明が欲しいと思っている人には、参考書として、学生が微分積分を無駄なく学べるよう工夫がこらされている大学生向けの参考書:小平邦彦「[軽装版]解析入門Ⅰ」をお勧めします。その本の80ページから88ページまで親切丁寧に連続関数を説明していますので、是非、そのページだけでも一読する事をお勧めします。
(微分積分を使いものにする言葉について)
数学者の小平邦彦「[軽装版]解析入門Ⅰ」では、連続関数を、連結区間で1つながりに連続する関数と定義しています。
また、使いものにならなくなっている「不連続点」と言われている言葉を使わず、微分積分の概念の理解のために役立つ言葉で、連続点以外の点をあらわす「連続で無い点」という言葉を使っています。そのため、当ブログでも、小平邦彦「[軽装版]解析入門Ⅰ」に従って、「不連続点」という言葉は使わず、「連続で無い点」という言葉を使います。
(高木貞治「解析概論」を読むと「連続点」や「連続では無い点」とは、変数xの数直線上の点(変数xが複素数の場合は、変数xを表す複素数平面上の点)を点と呼んでいる。点とは、関数をあらわすグラフ上の点ではなく、変数xの数直線上の点であることに注意すること。)
(不連続点の当初の定義も、連続で無い点の定義と同じでした。藤原松三郎の「微分積分学 第1巻」によると、「f(x)がx=ξで連続でない場合に、x=ξ(という変数xの数直線上の点)をf(x)の不連続点という。」と定義されていました。)
(蛇足かもしれませんが、、、)高校生に正しい微分積分を教えようとする心ある先生が書いている参考書には、高校数学の誤った定義の「連続関数」という言葉が使いものにならなくなったとみなした対応をしている参考書もあるように思います。すなわち、その参考書では高校数学の「連続関数」という言葉は使わずに、大学数学での正しい定義の連続関数をあらわす言葉として「連続な関数」という言葉を使って微分積分を教えている参考書もあります。
《開区間での連続と、閉区間での連続》
(1)第1の定義の連続関数:
(連結した)開放された区間(a<x<b)で連続な関数f(x)。その開放区間内の(xの数直線上の)どの点でも完全に連続な関数。
すなわち、両端が開放された連結区間で1つながりに連続する関数。
(2)第2の定義の連続関数:
(連結した)閉区間( a≦x≦b)で連続な関数。a<x<bとなる(xの数直線上の)どの点でもf(x)が完全に連続。x=aとx=bとの(xの数直線上の)端点では、片側連続である関数f(x)。
すなわち、端点を持つ連結区間で1つながりに連続する関数。
(1)と(2)との2通りの定義があるので要注意です。
《実数の連続性》
実数には連続性がある。有理数には連続性が無い。
実数の連続性とは、連続性の公理を満足することである。連続性の公理とは、
「実数の部分集合のうち、上に有界かつ空でないものは、必ず最小上界を持つ(連続性の公理)」
というものである。
実数が連続性の公理を満足するという意味は、「独立変数xの実数値の数列が収束するときに、その収束先の極限が存在する」という意味である。独立変数xが実数で定義されていなければそうならない。
例えば、以下の図の規則によってx=1から、x=2、次にx=3/2 というように有理数の値を変えてくと、限りなく近づく先の数が実数の中にあるが、有理数の中には無い。
このように、連続性の公理を満足しない数の集合(有理数)の場合では、限りなく近づける先の数がその数の集合(有理数)の中に無い。その場合には、「限りなく近づける」先が定義できず、「限りなく近づける」=「極限」の概念の根底が崩れてしまう。
関数の連続性を極限で定義する前提条件として、先ずは、独立変数x自体において、収束する数列には収束先の極限が存在する必要がある。関数の極限を考えるためには、独立変数xは実数の区間で定義されていなければならない。
ーー【区間の定義】ーー
「区間」という数学用語は、変数xの数直線上の1つの範囲内の、実数のすき間がない1かたまりの数の集合をあらわす数学用語である。「数のすき間が無い」大前提のために、連続性の公理を満足する数(実数)の集合でなければならない。
《神奈川大学》【定義 14.2.4.】
a, b を実数とする. a 以上かつ b 以下の実数をすべて集めた集合を [a, b] と書き, これを閉区 間と呼ぶ.
a より大きくかつ b 未満の実数をすべて集めた集合を (a, b) と書き, これを開区間と呼ぶ.
----定義おわり----
a≦x≦bを満足するxの区間という表現は、a≦x≦bの範囲内の全ての実数xという意味です。
-∞<x<∞という区間もあります。
区間はxの値の範囲を限定するためのa≦x≦bという式とは意味が異なることに注意する必要があります。
「区間」という用語は、特に重要な関数である連続関数の連続性を定義するために必要な、連続関数f(x)の変数xの集合体がいつも持っていなければならない連続性という重要な性質が「区間」という概念を用いてあらわされていると思います。
すなわち、変数xの「区間」の性質で大切なのは、
「区間」のなかに変数xの値が隙間なく存在すること。
つまり所定範囲内での隙間が無い全ての実数の集合という概念が「区間」という用語で定義されています。
(A)「0≦x≦2の区間の変数xで定義された関数f(x)がその区間の(xの数直線上の)各点で連続であるとき,f(x)は連続関数である」という文では、
f(x)は、0≦x≦2の区間で1つながりに連続した関数f(x)として定義されます。
一方で、区間の概念を用いない定義:
(B)高校数学での、誤った連続関数の定義
「変数xの0≦x≦2の範囲内の値で関数f(x)が定義されていて、その関数f(x)が定義域の各点で連続であるとき,f(x)は連続関数である」という高校数学の連続関数の定義では、f(x)は、例えば、
0<x<1で f(x)=0, この定義域内の各点で連続。
1<x<2で f(x)=1, この定義域内の各点で連続。
結局、0≦x≦2の範囲内の全ての定義域の各点で連続という関数も連続関数f(x)にされます。しかし、そのように、すき間をはさんだ2つの区間を合わせた複合区間を定義域とする関数は平均値の定理を満足しない。それは連続関数ではなく、その定義は正しい連続関数の定義ではない。
この例の様に、「区間」という用語は変数xの数直線上の、すき間がない1かたまりの実数の集合をあらわす。変数xの数直線上の「区間」では、その変数xの範囲内に実数のすき間があってはいけない。
区間a≦x≦bが命題の中に記載されている場合は、その範囲内の全ての実数xについて命題を検討する必要があります。被積分関数f(x)が定義されていない変数xの(数直線上の)点があっても、その(xの数直線上の)点も、その命題が検討されるべき(xの数直線上の)点の1つです。
【連続関数の誤った定義が問題を起こしている】
高校の教科書では「定義域」という言葉を使って、
「関数 f(x) が、定義域のすべての x の値で連続であるとき、 f(x) は連続関数である、という。」
と書かれていると思います。
(注)上の教科書の定義は誤っています。正しくは、「区間で定義された関数f(x)が区間のすべてのxの値で連続であるとき、f(x)は連続関数である、という。」と書くべきです。
中学生のときから教わって来た「定義域」という言葉の定義が、高校以上の数学では、所定の区間を指すだけではない、区間内の数の集合の様々な部分集合を定義域にできるように変わりました。
変数xの数直線の中の自然数だけの集合の定義域もあります。
一方で、関数の連続性は、変数xの区間の実数の連続性と、その変数xに対応する変数yの値域における連続性をあらわす概念です。
その概念は、xの定義域が変わってしまっても定義域の変更にともなって変わる概念ではありません。関数の連続性の判定は、関数の変数xの数直線上の点の部分集合である定義域のxの点だけ見て判定するのではない。関数の連続性は、xの数直線上の、x=2の近傍の実数にすき間がない区間内の全ての点を見て判定します。
なお、y=f(x) ≡ 1/xは、x=0で不連続でグラフが途切れた関数ですが、
x=0での関数値が無い、すなわち、x=0は定義域に含まれない。
そして、x=0以外の、全ての定義域の点で連続なので「連続関数」と呼ばれています。
しかし、定義域という言葉は、関数f(x)の値が存在する変数xの値の集合の事であって、その集合に含まれないxの値であっても、変数xの数直線上の値は存在します。
連続は、変数xの数直線上の点毎に判定します。変数xの数直線上のx=0という点が存在します。その点のxの値0に対してf(x)の値が無いので、数直線上のx=0の点においては、関数f(x)の連続の条件が満足されない。そのため、x=0の点では関数f(x)は連続ではない。このように、xの数直線上のx=0の点で連続でない関数f(x)を「連続関数」と呼ぶのは間違っています。
【閉区間で連続な関数の最大値・最小値の定理】
閉区間( a≦x≦b)で連続な関数f(x)は、
その区間内で有限の値の最大値と最小値を持つ。
(ここまでが定理)
この定理は、誤った連続関数の定義と異なる、正しい連続関数の定義を前提にした定理です。そのため、この定理は、高校数学では無視することが強いられています。
高校数学では、
y=1/xは、x=0以外の、全ての定義域の点で連続なので「連続関数」と呼ばれています。
また、高校数学では、閉区間( a≦x≦b)とは、変数xの値の範囲を限定する式のことであるという間違いが教えられています。
その誤った知識に基づくと、
【閉区間で連続な関数の最大値・最小値の定理】とは、
変数xの範囲(a≦x≦b)内に関数が連続である定義域を持つ連続関数f(x)は、
その範囲(a≦x≦b)内で有限の値の最大値と最小値を持つ。
(ここまでが定理)
という定理と解釈されます。
この「定理」には以下の反例があります。
関数f(x)=1/xは、
変数xの範囲
-1≦x≦1
内に定義域(ただしx≠0という定義域)が存在し、
-1≦x≦1
内で定義されているどの点でも連続なので、
連続関数です。しかし、この連続関数f(x)は、
x→0の近くで∞と-∞に発散するので、
有限の値の最大値と最小値を持たない。
(反例1おわり)
(反例2)
関数f(x)=1/x2は、
変数xの範囲
-1≦x≦1
内に定義域(ただしx≠0という定義域)が存在し、
-1≦x≦1
内で定義されているどの点でも連続なので、
連続関数です。 しかし、この連続関数f(x)は、
x→0の近くで∞に発散するので、
有限の値の最大値と最小値を持たない。
(反例2おわり)
しかし、この定理の基礎となっている正しい連続関数の定義が高校数学での連続関数の定義とは違うので、これは定理の反例にはなっていません。
(注意)
「不連続点」の定義は、その不連続な値で関数値f(x)がある事と決められているため、上の例のx=0のように関数値f(0)が存在しない点は不連続点とは呼ばれません。
連続点という概念は数学の重要な概念であって、数学的に厳密に定義されています。不連続点という言葉は、その重要な概念である連続点の定義に従属して、その反対の性質を持つ点として定義する必要があります。
しかし、「不連続点」の定義では、そうせず、たいした根拠も無く、上の例のように関数値が存在しない点は「不連続点」とは呼ばず、連続点の概念とは無関係な言葉として定義されています。
そのように定義した「不連続点」という概念によっては、上のf(x)≡1/xという関数の例のように、xの数直線上のある値x0の点では、f(x0)が存在しないので連続では無いということが把握できなくなっています。
しかし、関数の変数xの数直線上の点で判定する連続性は、関数の極限によって関数のグラフの点の値の候補が定められる。そして、変数xの数直線上の点で、そのxの関数の値の極限値とそのxの関数値が一致しないxの点は連続で無い点であると把握されます。それは、その点の関数値が存在しない場合にも当てはまり、関数値が存在しないxの数直線上の点は、連続の条件が満足されないので連続で無い点と把握できます。
数学センスがある学生は、関数の連続点の否定を表すのではない「不連続点」という言葉は数学的に無意味で数学研究に役立たないと見抜き、「不連続点」という言葉は使わず別の言葉「連続で無い点」を自分で独自に定義して自分の研究に役立てると思います。
そのため、当ブログでは、上の例のx=0の点は、連続で無い点と呼び、「不連続点」という不完全な言葉は使わない事にします。(不連続点の当初の定義も、連続で無い点の定義と同じでした。藤原松三郎の「微分積分学 第1巻」によると、「f(x)がx=ξで連続でない場合に、x=ξをf(x)の不連続点という。」と定義されていました。)
ここで、関数から所定の点を除去することで連続で無い点を作った場合を考える。
その場合に、その点は定義域から除外されるので、定義域の全てのxで連続であるから、依然として連続関数であるとするならば、下図のように:
xが整数の点が除外され、
整数で無いxについては、
y=1
という、
xが整数の点が定義されていない、長さ1のグラフの集合の切れ切れのグラフの関数が考えられます。
(中学生のときには、その様な関数は教えられていませんでした。)
この切れ切れのグラフの関数も、定義域内のxで連続なので、連続関数という事になってしまい、不自然です。
これを連続関数とみとめてしまうと、
分母が10000の有理数n/10000の点を全て除去した関数も、定義域内のxで連続なので、連続関数であるとする事になってしまいます。
また、下図の関数も、定義域内のxで連続なので、
-∞<x<∞
の範囲内で連続関数であるとする事になってしまいます。
また、下図のノコギリ状の関数は不連続関数ですが:
上図の関数g(x)の不連続点のx=0.5, 1.5, 2.5等を全て除去した関数f(x)を作れば、
その関数f(x)も、途切れた関数ではありますが、
定義域内のxで連続なので連続関数という事になってしまい、不自然です。
しかも、事態が深刻なのは、
「連続関数の積分は微分可能であり、微分積分学の基本定理が成り立つ」と教わった場合に、
その定理にこの切れ切れのノコギリ状の連続関数f(x)を適用した場合です。
f(x)を積分した関数F(x)を求めてみます。
ここで、f(x)を、定義積分されていないxの点を含めて積分することは、広義積分と呼ばれています。
「[軽装版]解析入門Ⅰ」の177ページの広義積分の説明において、
「f(x)はx=c1,c2,・・・で定義されていなくても良い」
と述べた文脈の中で、
「f(x)が有限個の(xの数直線上の)点x=c1,c2,・・・を除いて連続であるとき」
と述べ(xの数直線上の点x=c1,c2,・・・については、関数の定義域外なので連続ではない)、
その数直線上の点x=c1を含めて積分することを広義積分と呼んでいる。
このように積分して求めた関数F(x)を微分すると、x=0.5, 1.5, 2.5等では、F(x)の微分係数が計算できません。
それは、「連続関数の積分は微分可能であり、微分積分学の基本定理が成り立つ」という教えと矛盾した結果になってしまいます。
すなわち、「微分積分学の基本定理:連続関数の積分は微分可能である」と言う教えが、この反例によって否定されてしまうという深刻な問題が起きます。
そういう問題に直面した高校生に心から同情します。
もう1つの反例を示します。
関数f(x)の連続で無い点を定積分の範囲内に入れてしまうと以下の間違いをおかします。
F(x)=1/xをxで微分したら
になるので、
関数
の、複合区間を定義域にする誤った原始関数がF(x)=1/xです。そして、変数xの積分区間に、f(x)が不連続になるx=0を含めた、xが-1から1までの区間で、
関数f(x)の定積分を、複合区間を定義域とする誤った原始関数F(x)を使って、 F(1)-F(-1)=1-(-1)=2
という 計算で求めると、明らかに間違えます。
上の図で明らかな様に、-1から1までの範囲でのf(x)の積分はf(x)のグラフの面積にならなければなりません。そのため、定積分の答えは、マイナス無限大にならなければなりません。
しかし、複合区間を定義域とする誤った原始関数F(x)を使った上の計算結果はそれと全く違い、面積が正の値の2になり、
全く間違った答えになりました。
高校で習う、
「原始関数F(x)を使って、以下の計算で定積分する。」
に従って、
(高校で教えられていない必須作業の、関数f(x)が定積分の区間で連続か否かのチェックをしないで)
複合区間を定義域にする誤った原始関数F(x)の差を計算すると、上の計算の例の様に、
元の関数のグラフの面積が計算できず、
間違った答えになります。
高校数学の誤った定義が固着した連続関数という言葉を使わずに、(大学数学が実行しているように)本来の連続関数をあらわす「区間で連続な関数」という言葉を使うと良い。
連続関数を定義域で連続な関数として定義する事の重要な第1の欠陥は、連続関数という言葉を使ってあらわされている全ての定理は、それとは異なって定義された連続関数に対して成り立つ定理であるから、それらの定理全体を無視することを強いる事だからです。
また、この、連続関数の誤った定義が排除されるべき理由は、この定義は、1つながりの連続関数を組み合わせた関数群まで指定してしまう事にあります。
それは、常に、互いに無関係な関数群の全てを考慮する事を強いる、数学的考察をする際の負担を重くする。数学の問題を、解きやすい単純な要素に分解して解きやすくする考察をじゃまする(場合分けして問題を解くことを不可能にする)複雑さを持ち込むからです。
数学は、なるべく考察対象を単純化して表現することで、問題を解く助け手になるべきです。しかし、この定義はそれに反しているからです。
「関数の点での連続性」の定義では、変数xの数直線上の、関数の定義域ではなく、区間が主役です。xの数直線上のxの点の左右の部分を含む微小区間によって関数の連続性を判定する場合を考える。その場合は、その微小区間内では、たとえ関数が定義されていなくても、強制的に、その微小区間のxの数直線上の点を見て点xでの連続性を判定する。
xの点の左右の部分を含む微小区間によって関数の連続性を判定する場合は、関数の点の右側極限と左側極限とその点での関数値が一致する事がその点での関数の連続性の条件です。
xの数直線上の点xでの関数値が存在しても、右側極限か左側極限の一方が存在しなければ、そのxの点で関数は連続ではありません。
一方、右側極限と左側極限が存在しても、その点での関数値が定義されずに存在しなければ、その点で関数は連続ではありません。定義されていないことが点の連続性の判定に影響します。関数の極限によって見出されたその点は連続で無い点と判定されます。
連続関数は変数xの連結区間内でグラフの点が連続している関数と考えるのが自然な数学的発想です。変数xの数直線上の連結区間内のすべての点で、たとえそのxの点では関数の値が定義されず存在しなくても、xの点における連続性の条件を検査します。
xの数直線上の所定の連結区間内の全てのxの点で連続な関数を連続関数と定義する(大学での)定義が、自然な数学的発想から導かれる正しい連続関数の定義であると考えます。
高校数学の連続関数の定義は、この正しい定義に反しているから誤りであると考えます。
このような誤った連続関数の定義が高校数学の教科書に書かれていたのは以下の原因によると考えられます。
[室蘭工業大学 山口 格] 数学者の吉田洋一が以下のようになげいています。「“論証"・論証"とやかましくいっておきながら,微積のところへ来ると,とたんにいいかげんな議論でごまかしている。一ーまた高校ではごまかさざるを得ないだろう。高校数学の目的は生徒のあたまを混乱させることにあるのだろうか。」
現在の高等学校の教科書は,積分の概念の説明を回避している。
1997年からは、日本の高校の数学IIで面積が無定義に用いられという、数学センスを否定する蛮行が行なわれた。そして、関数f(x)のグラフとx軸で囲まれる領域の面積を,x方向で微分するともとの関数f(x)になり、面積の微分がf(x)となるという本末転倒なことを教えるようになった。
また、大学で学ぶ、正しい連続関数の定義の知識は、高校の微分積分の教義から見れば異端の知識です。そのため、それを知っていることを隠してください。
ガリレオ・ガリレイが「太陽が地球の周りを回っているのでは無く、地球の方が動いている」と言ったときにどのような目にあったかの歴史を学んでください。
くれぐれも、授業中に、先生や生徒が間違った連続関数の定義を使っているときに、その誤りを指摘したりしないように、慎重に、周りの空気を読んで行動してください。自分の身が高校数学から異端審問され無いように大人の対応をしてください。ただし、この誤りは、連続関数に係る定理に通用しませんが、、、
この助言に従い「空気を読む」先輩や「空気を読む」数学の先生が、このように誤った情報が教え続けられるように守り、維持して来たとは思いますが、仕方がありません。
このような、数学センスに反する無価値な情報をおぼえることを強制された場合、それを覚えることを拒否して良いと考えます。
一つの選択としては、理系に進むのを止めて文系に進むことがあります。
しかし、数学が好きな学生には、それはできない、と考えます。
その学生のために、以下の様に連続関数を学ぶことを推薦します。
《連続関数の正しい定義》
小平邦彦「[軽装版]解析入門Ⅰ」で定義されている連続関数の定義のように、大学では、定義域として、xの数直線上の実数を完全に含んで連結している1つながりの「区間」の全てのxの点で関数値が定義されている関数f(x)に限って連続関数を定義しています。
小平邦彦「[軽装版]解析入門Ⅰ」80ページ:
定義2.2
f(x)をある区間I(xの数直線上のある連結する範囲内の全ての実数xの集合)で定義された関数とする。
このとき、区間Iという集合の要素(実数x)の中の1つの実数 a において、
ならば、
f(x)は 数直線上の点a で連続である。あるいは 、xの数直線上の点x=a で連続であるという。関数f(x)がそのxの区間Iに属する全ての(実数の)xの点で連続であるとき、f(x)を連続関数、または x の連続関数とよぶ。
(定義おわり)
「区間 I で定義された関数f(x)がそのxの定義域I(すなわちxの区間 I)に属するxの数直線上のすべての実数の点で連続であるとき,f(x)を連続関数とよぶ」
という表現が正しい連続関数の定義です。
ここで、「区間」という言葉が使われた時点で、それは1つにまとまった連結区間であって、それは、ある点で切れてバラバラになった複数の領域のことでは無い事に十分に注意する必要があります。
複数の(連結されない)区間で定義された関数という意味では無く、1つの連結区間で定義された関数に限る、という意味です。
「xの数直線上の連結区間Iの点xで定義された関数f(x)が、そのxの区間Iのxの数直線上のすべての実数の点で連続であるとき,f(x)を連続関数とよぶ」
という文で覚えた方が定義の勘違いを防げるのではないかと思います。
連続関数のグラフは1つながりの曲線であらわされるのです。
また、「区間」の定義は、その区間の範囲内に実数が隙間無く完全に密集して入っている変数xの範囲であると定義されています。そのため、「区間で定義された関数f(x)」と言う文の意味は、「区間の範囲内の全ての実数xに対してf(x)の値が有限の値で存在している」という意味を持っています。
更に、「区間」の定義は、ある数aからbまでの連結した1つながりの連結領域が区間と定義されている事に注意して欲しいと思います。 閉区間[a,b]や、a,bを含めない開区間(a,b)等がありますが。
東海大学(貴田 研司)~連続関数の厳密な定義~
「関数f(x) がある区間 I に属するすべての値 x で連続であるとき 、f(x) は区間 I で連続である,または区間 I で連続関数であるという.」
高木貞治「解析概論」の10.連続関数、
の24ページで、
「或る区域内において、変数xが連続的に変動するに伴って連続的に変動する関数f(x),すなわち、いわゆる連続関数」
と言って連続関数を定義している。
26ページでは、
f(x)=(x^2-1)/(x-1)において、
x=1において、
f(x)は意味を有しないが、
x=1において、
「式の欠点から生ずる不連続」である
と述べている。
f(x)=(x^2-1)/(x-1)は、x=1において連続ではない。
x=1で関数f(x)が定義されていないということは、
x=1でf(x)が不連続であることを判定する妨げにはならない。
「解析概論」をもっと読んでいくと、
30ページで、
「12.区域・境界
区域、境界~、ここで少しくその意味を明確にしておこう」
32ページで、
「領域・閉域
区域というのは、一つの点集合である。・・・また区域が連結されていることを要求する」
と言っている。
ここまで読めば、
連続関数f(x)が
「或る区域内において、変数xが連続的に変動するに伴って連続的に変動する関数f(x)」
と言う定義の意味が、
連結した区域(区間)で連続関数f(x)が定義されている、
ことがはっきり分かる。
大学数学では、連続関数を、例えば関数f(x)=1/x, (x≠0)のようなx=0を除いた定義域を持つ関数f(x)のような、分断された定義域では連続関数を定義していない。
大学数学における、xの数直線上の点x=aでの連続の定義、及び、区間での連続関数の定義では、区間の設定がキーポイントになっている。
関数f(x)のグラフの形が設定され、また、関数値が定義されているxの値の範囲(定義域)がある。ここで、xの数直線上のx=aの点の近傍の微小区間を定めてその区間で関数f(x)を解析することで、x=aの点での関数f(x)の連続性を判定する。
また、xの数直線上でのある程度の大きさの広がりを持つxの点の所定の区間を定めて、その所定の区間内の全ての実数のxの点で関数f(x)が連続である場合に、その区間の関数f(x)が連続関数であると判定している。
そのxの所定の区間の領域と関数f(x)の定義域は一部が重なるだけかもしれない。f(x)が連続関数であるためには、その所定の区間の領域の全ての実数がf(x)の定義域に重ならなければならない。所定の区間内の一部でもf(x)の定義域の外のxの点が入ると、その区間のf(x)の関数は連続関数では無いと判定される。
このことは、x=aの点の近傍の微小区間で関数f(x)のx=aの点の連続性を判定する場合も同様である。xの微小区間内の全ての実数の一部にでもf(x)の定義域の外のxの点が入ると、x=aの点において関数f(x)は連続ではないと判定される。
(1つ目の連続関数)
上図の関数で、連結区間x>0で定義されるy=1/xは(第1の定義の)1つながりの連続関数と定義されます。
(2つ目の連続関数)
上図で、連結区間x<0で定義されるy=1/xも(第1の定義の)1つながりの連続関数と定義されます。
これらの2つの連続関数は、それぞれ、連結区間で連続な1つながりのグラフの関数です。
それらの2つが連続関数という定義で充分と考えます。
この2つの区間を合わせて1つの定義域にした関数は、もはや、連続関数では無いことに注意してください。
-∞<x<∞で(x≠0)とする定義域は、x=0で切れているので1つながりの連結領域では無い。この定義域を持つ関数を、x=0の点を含む連結区間と重ねて解析すると、その関数は、x=0では連続では無いので、連続関数では無いと判定される。
以下の関数の例を考えると、2つの区間を合わせて1つの定義域にした関数が連続関数にならない例として分かり易いと思います。
(1つ目の連続関数)
連結区間x>0で定義されるy=(1/x)は(第1の定義の)1つながりの連続関数と定義されます。
(2つ目の連続関数)
連結区間x<0で定義されるy=-100も(第1の定義の)1つながりの連続関数と定義されます。
これらの2つの連続関数は、それぞれ、各関数が定義されている連結区間で連続な1つながりのグラフの関数です。
(定義域を合成すると)
この2つの連続関数の定義域を合わせて1つの定義域(x≠0)にして定義した関数は、定義域内のどの点でも連続ではありますが、x=0を含む区間を設定して解析すると、連続関数では無いと判定される。
1つにつながらない関数の定義域の全て包む区間を設定すると、その関数は連続関数とは判定されない。その関数を、高校数学で連続関数と定義することは誤っています。
また、関数の定義域は、関数を定めるために自由に定めるものであって、関数を定義する数式は、その関数値を定めるために補助的に使われる手段であって、定義域を定める元というものでは無い。関数の定義域というものは、もっと自由に定められるものです。
高校生も、大学での正確な定義に合わせて、連続関数とは、
連結区間で1つながりに連続している関数の事と覚えると良いと考えます。
高校の先生の問題への解答には、自分が考える「区間」を、不正確ではありますが、「定義域」という言葉に置き換えて書けば良いと考えます。
定義域という言葉を、実数を完全に含む区間という言葉に置き換えて使うので、大分不正確なあいまいな言葉になりますが、仕方がありません。
定義域が、a≦x≦bである、、、
等と解答に書いて、区間という概念が損なわれないように工夫して解答を書いて欲しいと思います。
(大学の入試問題の解答に「区間」という言葉を使って解答するのは問題ありません。)
(数学者の本に聞いてみた)
小平邦彦「[軽装版]解析入門Ⅰ」の80ページに連続関数の定義が書いてあり、連続関数の定義を明確に
(1)第1の定義の連続関数
「連結な開区間で1つながりに連続している関数」
(2)第2の定義の連続関数
「連結な閉区間で1つながりに連続している関数」
に限っています。
すなわち、連結区間で連続な1つながりの関数のみを連続関数と定義し、それ以外の連続関数の定義を排除しています。これは、微分積分の定理が連続関数を使うときに必ず使う形に整合させた連続関数の定義です。
また、小平邦彦は「不連続点」という言葉は使わず、「連続で無い点」という言葉を使って、不連続点の替りにしています。有理式:f(x)/g(x)のg(x)=0なる点は、連続では無いのであるから、「連続では無い点」です。
関数y=1/xのx=0となる点は連続では無い点です。
【高校数学の連続関数の定義と不連続点の定義のあいまいさ】
積分で利用する原始関数は1つながりに連続な連続関数です。連続関数を連結区間で連続な関数であると定義するなら、連続関数は1つながりに連続している関数であると明確に定義できます。しかし、高校の教科書の定義である、
「関数 f(x) が、定義域のすべての x の値で連続であるとき、 f(x) は連続関数である、という。」
と定義するならば、1 つながりに連続している関数を複数合わせた途切れた関数も連続関数であると定義することになります。
そうすると、1つながりに連続している関数である原始関数を連続関数という言葉を使っては正しくあらわせなくなります。
そういう連続関数の定義のあいまいさは、微分積分をわからなくしている原因の1つと考えます。
また、上図の関数を2つに分ける分け目の点では、関数値が無限大に発散して関数値が定義されません。そういう、関数値が定義されていない点は定義されていないからという理由でその点が連続とも不連続とも言えないと定義しているようです。
しかし、その分け目の連続で無い点では、関数値f(x0)が定義されていないので、以下の、点が連続する条件を満足していません。
関数の極限の
がf(x0)に等しい場合に、
x0 で関数f(x)が連続であると定義する。(定義おわり)
分け目の連続で無い点は、f(x0)が定義されていないので、この条件を満足していません。そのため、その点で連続で無い点です。
しかし、その連続で無い点を、関数値が定義されていないから関数にかかわる定義ができず、不連続点であると言えないようです。連続で無い点は不連続点と定義すべきと思います。
(不連続点の当初の定義も、連続で無い点の定義と同じでした。藤原松三郎の「微分積分学 第1巻」によると、「f(x)がx=ξで連続でない場合に、(xの数直線上の点)x=ξをf(x)の不連続点という。」と定義されていました。)
この理不尽さも、微分積分をわからなくしている原因の1つと考えます。
当ブログでは、微分積分を分かり易くするため、数学者の小平邦彦「[軽装版]解析入門Ⅰ」に従って、使い物にならなくなった「不連続点」という言葉を使わず、「連続で無い点」という言葉を使うようにします。
《連続関数の定義域の指定》
また、連続関数は、所定区間とセットにして「連続関数」が定義され、その所定区間外で関数が連続で無い点を持つても良いことにも注意する必要があります。常に所定区間とセットで連続関数を考えます。その所定区間を連続関数の定義域とするのです。
上図の関数f(x)は、X=0とX=2で不連続ですが、
その0≦x≦2の区間内の部分の関数f(x)は、
閉区間0≦x≦2で定義された連続関数です(第2の定義の連続関数)。
定義域に関する、このことも、小平邦彦「[軽装版]解析入門Ⅰ」の82ページに書いてありました。
不連続関数という表現は誤解を招く表現です。関数を扱う区間内に連続で無い点があれば「不連続関数」と表現できると思いますが、その連続で無い点を避けた区間では、その関数は連続であって「連続関数」になりますので、「不連続関数」という表現は不適切な表現であり、そういう表現は使わない方が良いと考えます。
【第1の定義の連続】
「微分積分学入門」(横田 壽)の39ページ近くに、連続の第1の定義が書いてあります。
極限を求める点が連続で無い点であっても定義される関数の極限、
を考えるときには、
x0 での関数f(x)の値f(x0)が定義されている必要はありませんでした。
また,x0 での関数f(x)の値 f(x0) が定義されていても、その値 f(x0) がx0 での極限値
と一致する必要もありませんでした。
そのように無制限な関数の条件に、新たに、
極限値とそこでの関数の値が等しいという条件を加えてみます。
そうすることは,以下で説明するように、
関数がある点で連続である
という条件を加えるという意味を持ちます.
【定義1.4 (連続) 】《イプシロンデルタ論法を使う》
関数f(x) は少なくとも、微小な連結区間
x0 − δ<x<x0 + δ
の全ての実数の点で定義されている.
(ここで、δは小さな正の実数)
が成り立つとき, f(x) はx = x0 で連続(continuous) であるという.
(定義のおわり)
(定義の意味)この連続の定義の意味は、関数の極限のときより条件が厳しくなり,今度は、更に、
「f (x) は x =x0= c で定義されている必要がある.」
という条件が、極限の条件に追加して加えられた。すなわち、連続性の判定条件は極限の判定条件よりも厳しくなった。
関数の極限の定義では、x=c において、f(x)が定義されていなくても、f(x)のx=c における極限があるかないかを判定した。
連続性の定義においても、x=c において、f(x)の極限が存在することが必要である上にさらに条件がきびしくなったのである。もちろん、極限が存在しなければ、当然ながら、x=c で f(x) が定義されていてもいなくても、その点x=c で関数 f(x) が連続とは言えないのである。
(定義されていない点で関数が不連続)
また、関数 f(x) が定義されていない(変数xの数直線上の)点 x=c では、「定義されていない」ということがあるだけで、その点で関数 f(x) が不連続である。例えば、「関数 f(x) が a≦x≦b で連続」ということが意味することは、a≦x≦b の範囲内に f(x) が定義されていない(数直線上の)点 x=c は存在しないということを意味する。
(高校数学の迷信に注意)
高校数学では、
関数f(x)=1/xについては、
x=0では、
f(x)の連続性を判定しない、
と解釈しているようです。
それは間違いで、
x=0の点では、f(x)は、
連続の定義が満足されないので、
連続ではない。
-----(定義の言い換え)----
この定義をハッキリ把握するために、想像力を膨らませて、この定義を、以下の様に噛み砕いて自分の言葉で言い換えて定義を覚えてください。
(なお、この定義をかみ砕いて考える考え方が、小平邦彦「[軽装版]解析入門Ⅰ」の80ページから81ページに詳しく書いてあります。)
(0)
この、関数の1点での連続の定義は、関数の1点の近傍の幅を持った区間で連続を判定しています。
すなわち、関数の連続を確認する点x=x0 については、その点の座標の周りに広がりを持つ区間の、少なくとも、x0 − δ<x<x0 +δ
(ここで、δは小さな正の実数)
という連結区間の全ての実数値xで関数f(x)が定義されていることが大前提です。
「区間」と言う場合は、それは1つの連結区間であって、その区間内の全ての実数が関数の定義域である事を意味します。
(1)
次に、
x0に近い(値x0も含む実数)xを考える。
(2)
x0から、正の値δの範囲内でずれる、x0も含む全ての実数xについてf(x)を考える。
この定義における「全ての実数x」の意味は、例えば関数の変数xの定義域による変数xの値の制限も無視して、その制限に制約されずにx0から、正の値δの範囲内でずれる値の実数変数xは全て考慮することを意味します。
(3)
その全てのf(x)の値のバラツキの誤差を求める。
その誤差<εとする小さな正の値εでバラツキの範囲を定める。
すなわち、どの実数x(ただし、x=x0の場合も含む)の値の関数値f(x)についても、
-ε< (f(x)-f(x0))<ε
となる正の値εを定める。
(4)
xの値のx0からずれる範囲を定める正の値δを十分小さくすれば、
その範囲内の全ての実数値のx(値x0も含む)によるf(x)の値のバラツキが小さくなり、バラツキの範囲の値 ε がいくらでも小さくできるならば;
f(x)はx=x0 で極限値を持ち、かつ、その極限値がf(x0)に等しい。
その場合に、
関数f(x)は、
x=x0 で連続である。
すなわち、
が成り立つ場合に、関数f(x)はx=x0 で連続になります(第1の定義の連続)。
言い換えると、
「点x0でf(x)が連続である定義は、
どんなに小さい正の値εに対しても、
十分小さい正の値δを使ってxの区間を、
x0 − δ<x<x0 +δ (x=x0となる場合も含む)
に限定すれば、どのxの値でも、
-ε< (f(x)-f(x0))<ε
が成り立つようにできる事である。」
----(定義の言い換えおわり)-----------
(注意1)このε-δ論法による連続の第1の定義は、
xの区間の x0 − δ<x<x0 +δ を使っていますので、その区間の全ての実数についてf(x)の値が存在する(定義されている)事を条件にしています。そのため、以下の例の様に関数値f(x)が区間で定義されていない場合は、連続であるとは定義しません。
x=0,1,2だけで定義された関数f(x)の例:
f(0)=10,
f(1)=11,
f(2)=12,
この関数f(x)は、
どんなに小さい正の値εに対しても、
正の値δ=0.5を使ってxの範囲(区間では無い)を、
1− δ<x<1 +δ
に限定すれば、
その範囲内のf(x)の定義域のxの値は、x=1のみになる。
その全てのxの値(x=1だけですが)に対して、
-ε< (f(x)-11)<ε
が成り立つようにできます。
ε=1/10000という小さなεの場合でも上の式が成り立ちます。対象となるxはx=1しか無いからです。
しかし、そうであっても、f(x)はx=1で連続ではありません。
連続の定義では、区間
1− δ<x<1 +δ
内の全て実数に対して、f(x)の値が存在する事を要請しているが、関数f(x)はその条件を満足しないからです。
(注意2)ここで、ε-δ論法が出て来ましたが、ε-δ論法というものは、εとδを使った極限の表現の手段であって、そのε-δ論法を使った「連続」の定義は、上の形の第1の連続の定義に限られません。
以下で説明する片側連続についても、第1の連続の定義とは形を変えた別のε-δ論法によって片側連続が定義されます。
【第2の定義の連続】
【関数が閉区間(a≦x≦b)で連続という定義】
閉区間(a≦x≦b)で定義された、第2の定義の連続関数f(x)は、多くの場面で使われます。
閉区間(a≦x≦b)で連続な連続関数f(x)と呼ばれますが、
その定義域の端点では、片側連続であり、両側からは連続していなくても閉区間で連続と定義しますので要注意です。
(この第2の定義の連続(片側連続)を、「第1の定義の連続を判定する区間が、関数の定義域によって制限されることで連続性が判定される」、という考えは誤りです。連続性を判定する区間は、関数の定義域によっては狭められないからです。もし、関数f(x)の連続性を判定する変数xの区間内に関数f(x)が定義されない点があれば関数f(x)は連続では無い。)
上図の関数f(x)は、X=0とX=2で不連続ですが、
その0≦x≦2の区間内の部分は、
「区間0≦x≦2で定義された関数f(x)が区間0≦x≦2で連続な連続関数である」
と言います(第2の定義の連続関数)。
(第2の定義の連続関数の端点での連続の定義)
変数xの数直線上の点 c を含む区間を、閉区間a≦x≦bで定義する。
その区間内の全ての x=cの点で、
その点c毎に、区間内の任意の実数 x と,任意の正の実数 ϵ に対して,ある δ が存在して
「 ∣x−c∣<δ なら ∣f(x)−f(c)∣<ϵ 」
が成り立つならば、
その連結区間を定義域にした関数f(x)は連続関数である。
そして、
閉区間の端点x=bの点で、
x → b− 0 またはx → b− と表わす左側極限値f(b-)がf(b)である左連続によって連続です。
すなわち、端点bでのグラフの点(b,f(b))が左側極限の点(b-,f(b-))と連続している(片側連続性)。
また、
閉区間の端点x=aの点で、
x → a+ 0 またはx → a+と表わす右側極限値f(a+)がf(a)である右連続によって連続です。
すなわち、端点aでのグラフの点(a,f(a))が右側極限の点(a+,f(a+))と連続している(片側連続性)。
そういうふうに、閉区間(a≦x≦b)で定義された関数f(x)は、その閉区間の端点a,b間で連続な関数f(x)であると定義されています。
関数f(x)が右側極限や左側極限で区間の端点に片側連続性で連続につながっているので、そういう表現をする理由になっています。
-----第2の定義の連続関数の説明おわり-----------
以下では、第1の定義の連続の説明に戻ります。
《連続の事例と、連続で無い事例》
(不連続の事例1)
下図の関数は、x=0で関数f(x)が定義されてないので、x=0は連続で無い点です。
このように、連続関数から、1つの変数xの関数値f(x)を取り除くと、その除去された点で関数が連続とは言えなくなります。
(事例2)
下図の関数は、定義域が
0<x<1
なので、x=0は連続で無い点です。
(事例3)
下図の関数は、x=0でf(x)が存在するので、
x=0で不連続です。
この不連続な関数から、x<0の点を全て除去した下図の関数は、
閉区間での関数に係る(第2の定義の連続関数)の定義に従い:
連結区間0≦x≦1の端点のx=0で連続です。
(関数f(x)が連続な連結区間で連続関数を定義する)
例えば、下図の関数f(x)は、x=0は連続で無い点ですが、その点以外の図の、関数が連続な連結区間a≦x≦bで関数f(x)を切り出して、
その部分を、第2の定義の連続関数であると定義できます。
すなわち、上図の、0<aである閉区間(a≦x≦b)で連続な第2の定義の連続関数であると定義できます。
(事例4)
(事例4その1)
上図のような関数f(x)の変数xの定義域内に、xの無理数の値に対する関数値f(x)が無い(定義されていない)部分がある場合は、その部分では、変数xの有理数のどの値でも関数f(x)が不連続である。
すなわち、関数f(x)が変数xが0≦x≦2において、変数xが有理数の場合だけで関数値が定義され、変数xの無理数の値に対する関数値f(x)が存在しない関数f(x)の場合は:
(注意:0≦x≦2という範囲は、そのxが全ての実数をあらわしてはいないので「区間」と呼ぶことはできません)
定義されている有理数の点x=aで関数f(x)が連続であるためには、少なくとも、
a-δ<x<a+δ (式2-1)
の区間内の全ての実数で、
|f(x)-f(a)|<ε (式2-2)
となる条件を満足しなければならないのにもかかわらず、
この式2-1の区間内に、必ず無理数xがあり、
その無理数では関数f(x)が定義されていないので、式2-2を満足しない。
そのため、変数xの定義されている有理数のどの値でも関数f(x)が不連続である。
(事例4その2)
その1の場合の逆に:
上図で、関数f(x)が変数xが0≦x≦2において、変数xが無理数の場合だけで関数値が定義され、変数xの有理数の値に対する関数値f(x)が存在しない関数f(x)の場合は:
(注意:0≦x≦2という範囲は、そのxが全ての実数をあらわしてはいないので「区間」と呼ぶことはできません)
定義されている無理数の点x=aで関数f(x)が連続であるためには、少なくとも、
a-δ<x<a+δ (式2-1)
の区間内の全ての実数で、
|f(x)-f(a)|<ε (式2-2)
となる条件を満足しなければならないのにもかかわらず、
この式2-1の区間内に、必ず有理数xがあり、
その有理数では関数f(x)が定義されていないので、式2-2を満足しない。
そのため、変数xの定義されている無理数のどの値でも関数f(x)が不連続である。
(備考1)
この例の様に、連続性を判定する点x=aで関数の連続性(および極限)を考える場合に、定義域の変数として無理数だけ、あるいは有理数だけに限定された定義された数だけでは無く、
a-δ<x<a+δ (式2-1)
の区間内の全ての実数について確かめて関数f(x)の連続性を判定します。関数f(x)の定義域でf(x)が定義されていない数であっても、区間内では全ての実数を考えて連続性を判定します。
(備考2)
上の(事例4)の関数の姉妹の関数として、
変数xが有理数の場合に、
f(x)=x
となり、変数xが無理数の場合に、
f(x)=100
となる関数は、
明らかに、x=0で不連続です。
(連続性を考える場合の根本的な注意点)
有理数全体は、x座標を表す直線上に密集している。しかし、有理数全体だけでは、直線上にすきま無く並べることができない。
無理数全体も、x座標を表す直線上に密集している。しかし、無理数全体だけでは、直線上にすきま無く並べることができない。
実数全体が、直線上にすきま無く並べることができるのである。
(備考)
連続性は実数まで考えることで正しく定義できるので、関数を連続関数であると定義すると、その関数は、変数xの実数の連結区間で定義される必要があります。
その変数xの値として有理数の値のみしか扱わず無理数の値を全く意識しない場合でも、微分される関数が実数でも定義されているというバックグラウンドをその関数に持たせる必要があると考えます。
関数がある点x0で連続であるという関数の連続性の定義は、上記の様に定義できます。
この連続性の定義に関連して、その姉妹にあたる「極限の定義」においても、変数xを実数まで考えて、変数xがある点x0の近傍の全ての実数で所定の値 lim に収束する場合にのみ、関数に極限が存在するものと定義しています。
(第2の定義の連続関数の連続な区間と定義域)
変数xが、
連結区間a≦x≦b
で関数f(x)が(第2の定義の連続関数として)連続であると定義された関数f(x)は、
関数f(x)の定義域は、
連結区間a≦x≦b
であり、
関数f(x)が完全に連続な連結区間は、
a<x<b
です。
そしてf(x)の右側極限f(b-)=f(b)であり、
f(x)の左側極限f(a+)=f(a)です。
(事例5:微妙に不連続な関数の例)
x≠0の場合:
f(x)≡ sin(1/x)
x=0の場合:
f(0)≡0
上図の関数 f(x) は
x→0で
Yの極限値が存在しません。
そのため、関数f(x)はx=x0 ≡0で不連続です。
関数f(x)は、xが0に近づくとー1と1の間を振動します。
この関数f(x)は、xがx0 ≡ 0の値に無限に近い点で、f(x)の値が0になるかもしれないし、-1から1の間のどの値になるかもしれないので、
x→0+
における極限値が何になるかがわかりません。
そのため、
x→0+における関数値f(x)と、
x=0における関数値f(0)=0
が同じであるか異なるかどうかも分かりません。
それでも、関数の連続性の定義の【定義1.4 (連続関数) 】に従って、この関数f(x)がx=0で不連続であると言えます。
①先ず、関数f(x)は区間(x0 − δ, x0 + δ) で定義されています。
②x=0での関数の連続を定義する極限の式:
が成り立つかどうかを調べてみます。
x→0+におけるf(x)の値が振動して、極限値が存在しないので、
この式は成り立ちません。
そのため、この関数f(x)は、x=0で不連続です。
(事例6:極限が存在しない点が無限にあり不連続な関数)
上図のノコギリ関数g(x)を使って以下の関数を作ります。
この関数f(x)は、以下のx座標で極限が存在しない。
その他、
x=奇数/(整数×2)
の点では極限値が存在しない。
極限値が存在しないのであるから、その点では関数は連続ではありません。
このf(x)のグラフは、関数f(x)の極限が存在しない有理数のxの値では、このグラフf(x)が不連続です。
おもしろいことに、この関数f(x)のグラフは、
x=無理数の位置で「連続」です。
そのxの無理数の値から無限に近い距離にも、有理数の値のxでf(x)が連続で無い点があるにもかかわらずです。
(一様連続性:関数の値のバラツキが一斉に小さくなる事)
f(x)が連結な閉区間a≦x≦bで1つながりに連続な関数であれば、閉区間で連続な関数の最大値・最小値の定理によって、f(x)の値はある最大値と最小値の間の値に限られている。
そのように、ある最大値と最小値の間の値に限られている、閉区間で連続な関数f(x)の領域を以下の図の様に2等分する。
(ただし、二等分とは言っても、分割された領域の境界点は、それぞれの領域が共有するように分割する。)
そして、分割された領域毎に、関数の最大値と最小値の差Δを考え、全分割領域での、差Δの最大値Δ2を抽出する。
関数f(x)が連続関数の場合は、その差の最大値Δ2は、分割前の領域での関数の最大値と最小値の差Δ1よりも小さくなる。
更に、各領域を2等分する。
(ただし、二等分とは言っても、分割された領域の境界点は、それぞれの領域が共有するように分割する。)
そして、分割された領域毎に、関数の最大値と最小値の差Δを考え、全分割領域での、差Δの最大値Δ3を抽出する。
関数f(x)が連続関数の場合は、その差の最大値Δ3は、分割前の領域での差の最大値Δ2よりも小さくなる。
更に、各領域を2等分する操作を繰り返し、
差の最大値Δ4、Δ5、Δ6・・・
を求めて行く。
すると、関数f(x)が連続関数の場合は、領域を分割する毎に、全分割領域での差の最大値Δnは無限に小さくなって行く。(これは、以下のようにして証明できる)
(仮説)
もし関数の最大値と最小値の差Δnが無限に小さくならないで、ある値β>0に留まるとする。
(仮説の検証)
その場合は、どんなに区間を分割しても、関数値のばらつきがβである微小区間が残り続ける。
ばらつきがβ未満の微小区間を分割してもばらつきがβである微小区間が生まれる事はないので、関数値のばらつきがβである微小区間は、関数値のばらつきがβである微小区間の分割によって生まれる。
すなわち、関数値のばらつきがβである微小区間が、それを無限に分割しても、関数値のばらつきがβであり続ける。その微小区間は点に収束し、その点の近くで関数値のばらつきが0に収束する事はない。
その場合は、その点で関数f(x)の連続の条件を満足しない。
これは、f(x)が連続である条件に反する。
ゆえに、この仮説が成り立たず、
関数の最大値と最小値の差Δnは無限に小さくなっていく。
(一様連続性)
以上の様に、ある関数f(x)の各分割領域を更に2分の1に分割する操作をn回繰り返していき、各分割領域の関数f(x)の最大値と最小値の差(関数の値のばらつき)Δを求める。
(1)そのとき、全ての分割領域での関数の値のばらつきΔの最大値Δnが有限の値で存在すること。
(2)この操作を繰り返して分割領域を無限に小さくすると、
全ての分割領域での関数の値のばらつきの最大値Δnが、無限に小さくなって行く。
(すなわち、全ての分割領域での関数の値のばらつきがΔnより小さく、そのΔnが無限に小さくなっていく)
これが成り立つ関数f(x)の性質を「一様連続」であると言います。
この説明は、以下の様に定義されている一様連続の言い換えです。
「変数xの数直線上の区間[a,b]において、どんなに小さな正の値εについても、全ての分割領域での関数f(x)の値のばらつきがε以下にできる、分割領域の小さな幅δ=(b-a)/(2^n)が存在するとき、その関数f(x)は一様連続である。」
(一様連続の説明おわり)
《関数の合成関数の例》
以下の関数f(x)とg(x)の合成関数f(g(x))を考える
すなわち、以下の式で表される合成関数になります。
大学数学で定義した正しい連続関数同士の合成関数f(g(x))であっても、関数g(x)の値域が関数f(x)の定義域からはみ出す場合には、上記の例のように、切れ切れの合成関数が得られます。関数を合成する場合には、関数g(x)の値域をf(x)の定義域の範囲内におさめる節度が必要です。
リンク:
関数の極限の定義
高校数学の目次
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