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2024年11月18日月曜日

増減表の極意

〔増減表の初歩のページ〕
 増減表における、f’(x)=0になる点であって、その点のxの値の前後のy’’=f’’(x) がともに正である場合か、又は、ともに負である場合は、f’(x)=0の前後のf’(x) の正と負が交互に変わる
 他方、f’(x)=0になる点であって、その点のxの値の前後のy’’=f’’(x) の値が正から負に移る場合や、負から正に移る場合には、f’(x) の正と負が交互に変わらない

別の観点から言えば:
 f’(x)=0になるxの解が 重解でない場合は、f’(x)=0の前後のf’(x) の正と負が交互に変わる
 f’(x)=0になるxの解が2重解の場合は、f’(x) の正と負が交互に変わらない
 f’(x)=0になるxの解が3重解の場合は、f’(x) の正と負が交互に変わる
 f’(x)=0になるxの解が4重解の場合は、f’(x) の正と負が交互に変わらない

上記の増減表は、4回微分した導関数のグラフから1回微分した導関数のグラフと関数f(x) のグラフを重ねて表示したようなものです。

《s(a)=0の単調増加関数を外していく増減表》
 関数f(x) を微分していく増減表に類似した増減表として、以下の図の増減表を考えることもできる。すなわち、f(x) から、s(a)=0であってx=aの前後で単調増加する関数s(x) を外していく増減表も、関数f(x) の形を微分して変える増減表と同様な効果がある。関数s(x) を外していく増減表を使っても、関数を微分していく増減表と同様に、x=aの前後の関数の概形を求めることができる。


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2024年11月15日金曜日

関数のグラフの形をあらわす増減表

やさしい微分積分
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《関数のグラフの形と微分係数》
 区間で連続な関数f(x) のグラフy=f(x) の形を考える。
関数の微分係数によりグラフの傾きが求められる。グラフの各箇所の傾きが分かれば、各箇所の傾きからグラフの形が分かる。
 例えば、y=f(x) =xという放物線のグラフでは:

このグラフは、
x=0の右側のxではグラフが右上がりで、
x=0の左側のxでは右下がりのグラフであることは良く知っている。
 このことは、微分を利用すれば簡単にわかる。
微分を利用すれば、x=0の右側のxの導関数f’(x) =2xが正なので、グラフが右上がりであることがわかる。
また、x=0の左側のxの導関数f’(x) =2xが負なので、グラフが右下がりであることがわかる。
更に、x=0の位置でのxの導関数f’(0) =0であるので、x=0の点ではグラフが水平方向に進むことがわかる。
 そのように、微分を利用してグラフの傾きy’=f’(x) を求めることでグラフの概形を知ることができる。
 微分を利用してグラフの導関数y’=f’(x) からグラフの概形を求める方法として、以下の図に示す増減表でグラフをあらわす。

《増減表を書く手順》
 先ず、関数y=f(x) を微分した導関数f’(x) を求める。
そして、y’=f’(x)=0となるxの値を求める。
 f’(x) =0となるxの値を増減表の列にする。その列のy’=f’(x) の欄に0を書き、y=f(x) の欄に、f(x) の値を書く。
 そのxの値の前後の値のxのf’(x) の値が正(+)か負(-)かを調べて、そのxの値の列のy’=f’(x) の欄に書き込む。
すなわち、f’(x) の値が+ならば、y=f(x) の欄に右上がりの矢印を書き込み、f’(x) の値が-ならば、y=f(x) の欄に右下がりの矢印を書き込む。

増減表は、上図の表のように、関数y=f(x) の独立変数xの値と、従属変数yの値と、関数の微分y’=f’(x) の値とを表にしてグラフの概形をあらわす。
 所定区間でf’(x) >0ならば、その区間でf(x) は単調に増加。
 所定区間でf’(x) <0ならば、その区間でf(x) は単調に減少。

【問1】
 関数f(x)=x2-6xの増減表をつくりなさい。

【解1】
 先ず、関数f(x) の導関数f’(x)=2xー6を求める。
f’(x)=0となるxの値は3である。
そのxの値=3を増減表の列にする。
x=3の列のy’=f’(x) の欄に0を書き、y=f(x) の欄に、f(3) の値の-9を書く。


【解2】
 f(x)=0になるx=0とx=6の点の列を加えて以下の増減表を書いても良い。


【問2】
 関数f(x)=-2x3+6xの増減表をつくりなさい。

【解1】


【解2】
 f(x)=0になるx=0の点の列を加えて以下の増減表を書いても良い。


《有限の区間で定義された関数f(x) の増減表》
 関数y=f(x) が有限の区間で定義されている場合の関数の増減表は、関数yが区間の端では微分できないことに注意して以下の図のように書く。以下の図は、関数y=f(x) の定義域が閉区間 [-2,2] の場合の増減表をあらわす。

上図の増減表で、区間の端の関数の微分y’=f’(x) の欄は、上図のように区間の端の近傍でのy’の値をカッコ()付きで書くか、その欄を空欄にするか、あるいはその欄に斜線を引いてあらわす。

《関数の極大・極小》
 上図の関数f(x) のグラフの点(-1,2)では、関数の値が増加から減少に移る。そのように関数f(x) がx=aを堺目として増加から減少に移るとき、
 f(x) はx=aで極大である、
と言い、f(a) を極大値と呼ぶ。
上図のグラフの点(1,-2)では、関数の値が減少から増加に移る。そのように関数f(x) がx=bを堺目として減少から増加に移るとき、
 f(x) はx=bで極小である、
と言い、f(b) を極小値と呼ぶ。
極大値と極小値をまとめて極値と呼ぶ。

 上図の関数のグラフでは、y’=f’(x)=0となるxの点で関数が極値を持った。しかし、以下の関数f(x) の例に示すように、f’(a)=0となるx=aなるxの点で関数が極値を持つとは限らない。

関数f(x) に関して次のことが言える。
関数f(x) がx=aで極値を取るならばf’(a)=0である。
f’(a) =0であっても、x=aで極値を取るとは限らない。
 f’(a) =0であっても:
  x=a の前後でf’(x) >0ならば、x=a の前後でf(x) は単調に増加。
  x=a の前後でf’(x) <0ならば、x=a の前後でf(x) は単調に減少。

確実に極値を取ると言えるのは、以下の場合である。

 すなわち、f’(x)=0になる点であって、その点のxの値の前後で、y’’=f’’(x) がともに正である場合に必ず極小値を取る。また、ともに負である場合に必ず極大値を取る。
 他方、f’(x)=0になる点であって、その点のxの値の前後で、y’’=f’’(x) の値が正から負に移る場合か、又は、負から正に移る場合には、決して極値を取らない。

【関数f(x) の極値の例】

また、y'' とy’との増減表からy’=f’(x) のグラフの概形がわかる。y’のグラフの概形は以下の図のようになる。


《f’(x) =0になる前後のxのy’=f’(x) の正負の判定》
 下図の関数f(x) の増減表のように、y’’を求めて、y’のグラフの概形を求めることでy’の正負を判定する。

 f’(x)=0になる点であって、その点のxの値の前後のy’’=f’’(x) がともに正である場合か、又は、ともに負である場合は、f’(x)=0の前後のf’(x) の正と負が交互に変わる
 他方、f’(x)=0になる点であって、その点のxの値の前後のy’’=f’’(x) の値が正から負に移る場合や、負から正に移る場合には、f’(x) の正と負が交互に変わらない

別の観点から言えば:
 f’(x)=0になるxの解が 重解でない場合は、f’(x)=0の前後のf’(x) の正と負が交互に変わる
 f’(x)=0になるxの解が2重解の場合は、f’(x) の正と負が交互に変わらない
 f’(x)=0になるxの解が3重解の場合は、f’(x) の正と負が交互に変わる
 f’(x)=0になるxの解が4重解の場合は、f’(x) の正と負が交互に変わらない

《補足》
 3次関数のグラフで、極大値と極小値とを持つグラフには、以下の寸法の関係があることを覚えておくと便利です。(これが成り立つことの証明は各自で行っておくこと)


《極値の定義》
(1) 関数f(x) において、x=cの前後の近くで、
x≠c なら f(x)<f(c)
が成立するとき、
f(c) を極大値と言う。

(2) 関数f(x) において、x=cの前後の近くで、
x≠c なら f(x)>f(c)
が成立するとき、
f(c) を極小値と言う。

 すなわち、f(x)がx=cで微分係数f’(x)を持たない場合でも、更には、x=cで連続でなくても、以上の定義に当てはまれば、f(c) が極値になり得る。

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2024年11月9日土曜日

円と放物線の接点を求める問題(2)

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【チャレンジ問題2】難問です。時間をかけて解きましょう。
 以下の2つの式であらわされる円のグラフと放物線のグラフが接するkの条件を求めよ。

この問題の解答はここをクリックした先にあります。

2024年11月8日金曜日

点Pから引いた放物線への接線の接点AとBの中点のx座標は点Pと同じ

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 なめらかな曲線の接線は、微分によって初めて正しく定義できる。

【チャレンジ問題1】難問です。時間をかけて解きましょう。
 以下の図のように、放物線の外側にある点Pから放物線に引いた2つの接線の放物線との接点を点Aと点Bとする。
(1)点Aと点Bの中点のx座標が点Pのx座標と一致することを示せ。
(2)式(1)の関係が成り立つことを示せ。



この問題の解答はここをクリックした先にあります。

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2024年11月7日木曜日

円と放物線の接点

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 なめらかな曲線の接線は、微分によって初めて正しく定義できる。

【問1】hの値を変えたとき、
放物線 y=x/4+h (式1)
と、円 x+(y-1)=1 (式2)
とが接する場合に、その接点(x,y)の値を求めよ。


(解答の方針)
 なめらかな曲線の接線は、微分によって初めて正しく定義できるので、微分により接線の式を計算する方程式を書く。

(解答)
(1)
接点(x,y)において、 
式1から、
放物線 y=(x/4)+h  (式1’)
式2から、
円 x+(y-1)=1 (式2’) 


(2)
式1の放物線の接点(x,y)における接線の傾きy’は、式1の関数をxで微分して計算し、
y’=2x/4=x/2 (式3)
(3)
式2の円の接点(x,y)における接線の傾きは、
円のグラフの法線の傾き(y-1)/xの逆数に(-1)を掛け算したものであって、
y’=-x/(y-1) (式4)
ただし、法線の傾きが無限大の場合には接線の傾きは0であり、その場合でも、式(4)によって接線の傾きが計算できる。


(4)
式3と式4の接線の傾きy’の値が等しいので、
この式5を解くと、
x=0 (式6)
or
y-1=-2 (式7)
 

式2から -1≦y-1≦1
であるので、式7は不適。
よって、式6のみが解である。
 

(5)
式6を式2に代入する。
(y-1)=1
(y-1)=±1
y=2
or
y=0
 

接点は、
(x,y)=(0,0) (式8)
or
(x,y)=(0,2) (式9)
 

式8の場合に、式8を式1に代入する。
h=0
式9の場合に、式9を式1に代入する。
h=2
よって
接点=(0,0)でh=0
or
接点=(0,2)でh=2
(解答おわり)


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曲線の接線を微分で求める基本公式

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《曲線の接線》
 区間で連続な関数f(x) のグラフy=f(x) を考え、その関数f(x) が所定の区間で微分可能な場合を考える。
 微分可能な区間の変数xの点 x=a におけるy=f(x) のグラフの曲線の接線の方程式を導出する。
 グラフy=f(x) 上の点(a, f(a)) における接線の傾きは、関数f(x) を微分した結果の導関数f’(x) の変数xの点x=aにおける微分係数f’(a) に等しい。そのため、グラフ上の点における接線の方程式に関して以下のことが言える。
 グラフy=f(x) 上の点(a,f(a)) における接線の方程式は、

y=(f’(a))(x-a)+f(a) , (1)
とあらわされる。

【問1】y=xの曲線の変数xの点x=1でのグラフの接線を求めよ。

【解答】
f(x) =x
微分の公式により
f’(x) =2・x

f(1) =1=1
f’(1) =2・1=2

接線の方程式は、
y=2(x-1)+1
 =2xー1,

(解答おわり)

(接線の定義)
 連続なグラフ上に2点A,Bを取って、その2点をその間のグラフの点Cに無限に近づけた時に、その2点A,Bを通る直線が1つの直線に収束する場合に、その直線を、そのグラフの、点Cにおける接線と呼び、点Cを接点と呼びます。



(注意)
 グラフの不連続点や、グラフが滑らかでは無く折れ曲がっている点においては、その点における接線は考え無いことにする。その不連続点や折れ曲がり点で接する直線があるかもしれないが、その点Cの両側の点AとBの一方の点が無かったり、直線の傾きが1つに収束し無かったりするので、その点における「接線」については考え無いことにする。

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接線と接点の定義
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2024年11月6日水曜日

合成関数の微分の公式を証明する

やさしい微分積分
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【問1】

 区間で連続な関数g(x) が変数の点xで微分可能であり、区間で連続な関数f(g) が変数の点g=g(x)で微分可能であるとき、独立変数の点xと従属変数の点g=g(x) で、以下の式であらわす合成関数の微分の公式が成り立つことを証明せよ。


【解答】
(証明開始)

 合成関数f(g(x))をh(x)とあらわす。
独立変数の点xで、区間で連続な関数g(x) のxによる微分が存在する(確定した有限値になる)ものとする。
また、従属変数の点g=g(x) で、区間で連続な関数f(g) のgによる微分が存在する(確定した有限値になる)ものとする。
その場合に、以下の式が成り立つ。

(証明おわり)

【問2】
以下の関数を微分せよ。


【解答】

(解答おわり)

【問3】
 以下の関数を微分せよ。


【解1】

(解1おわり)

【解2】
 関数の商の微分の公式を使う。

(解2おわり)

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合成関数の微分の公式の分かり易い証明
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微分の基本公式を導き出す

やさしい微分積分
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【問1】区間で微分可能な関数f(x) とg(x) に関する
以下の公式を導け。
《関数の積の微分の公式》
(f・g)’=f’・g+f・g’

【解答】
(証明開始)

(証明おわり)

《関数の積の微分の公式の適用例》
(f・g)’=f’・g+f・g’
この関数の積の微分の公式を使って、以下の公式を導き出す

x’=dx/dx=1となることを利用して以下の計算をする。

同様にして

以上で、微分の公式がいくつか求まった。
(解答おわり)

【問2】
 以下の式p(x) を微分せよ。


【解1】

(解1おわり)

【解2】
 この問題は、単に微分する問題と考えると、以下のように解く方が楽です。
 先ず、p(x) を変形する。

そして、微分する。

(解2おわり)

《補足》
 問2の解き方では、微分の基本公式(関数の積の微分)を使う解1よりも解2の解き方の方が楽に解けた。解1の解き方が有効に生きる関数の商の微分の問題は、問3の、分数式の分母がもっと複雑な関数の商の場合である。

《関数の商の微分の公式》
 関数の積の微分の公式の同類の、関数の商の微分の公式を導出する。


(関数の商の微分の公式)

 以上の計算で得られた関数の商の微分の公式を使って、以下の問3の、分数式の分母が問2よりも複雑な関数の商の微分を求める。
【問3】
 以下の式p(x) を微分せよ。


【解答】

(解答おわり)

【問4】
以下の関数を微分せよ。


【解答】

(解答おわり)

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やさしい微分積分
微分の基本公式
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微分の公式を求める

やさしい微分積分
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【問1】
 xの実数全体の区間で連続な以下の関数f(x) の導関数を求めよ。


【解答】

以上の式で、微分の公式が1つ求まった。
(解答おわり)

【問2】
 xの実数全体の区間で連続な以下の関数f(x) の導関数を求めよ。


【解答】

以上の式で、微分の公式がもう1つ求まった。
(解答おわり)

《微分を研究しよう》
以下の微分を計算する。

この結果、以下の公式が成り立つことが分かった。


以下の微分を計算する。

この結果、以下の公式が成り立つことが分かった。


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やさしい微分積分
xの有理数乗の関数の微分の公式
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