2024年11月15日金曜日

関数のグラフの形をあらわす増減表

やさしい微分積分
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《関数のグラフの形と微分係数》
 区間で連続な関数f(x) のグラフy=f(x) の形を考える。
関数の微分係数によりグラフの傾きが求められる。グラフの各箇所の傾きが分かれば、各箇所の傾きからグラフの形が分かる。
 例えば、y=f(x) =xという放物線のグラフでは:

このグラフは、
x=0の右側のxではグラフが右上がりで、
x=0の左側のxでは右下がりのグラフであることは良く知っている。
 このことは、微分を利用すれば簡単にわかる。
微分を利用すれば、x=0の右側のxの導関数f’(x) =2xが正なので、グラフが右上がりであることがわかる。
また、x=0の左側のxの導関数f’(x) =2xが負なので、グラフが右下がりであることがわかる。
更に、x=0の位置でのxの導関数f’(0) =0であるので、x=0の点ではグラフが水平方向に進むことがわかる。
 そのように、微分を利用してグラフの傾きy’=f’(x) を求めることでグラフの概形を知ることができる。
 微分を利用してグラフの導関数y’=f’(x) からグラフの概形を求める方法として、以下の図に示す増減表でグラフをあらわす。

《増減表を書く手順》
 先ず、関数y=f(x) を微分した導関数f’(x) を求める。
そして、y’=f’(x)=0となるxの値を求める。
 f’(x) =0となるxの値を増減表の列にする。その列のy’=f’(x) の欄に0を書き、y=f(x) の欄に、f(x) の値を書く。
 そのxの値の前後の値のxのf’(x) の値が正(+)か負(-)かを調べて、そのxの値の列のy’=f’(x) の欄に書き込む。
すなわち、f’(x) の値が+ならば、y=f(x) の欄に右上がりの矢印を書き込み、f’(x) の値が-ならば、y=f(x) の欄に右下がりの矢印を書き込む。

増減表は、上図の表のように、関数y=f(x) の独立変数xの値と、従属変数yの値と、関数の微分y’=f’(x) の値とを表にしてグラフの概形をあらわす。
 所定区間でf’(x) >0ならば、その区間でf(x) は単調に増加。
 所定区間でf’(x) <0ならば、その区間でf(x) は単調に減少。

【問1】
 関数f(x)=x2-6xの増減表をつくりなさい。

【解1】
 先ず、関数f(x) の導関数f’(x)=2xー6を求める。
f’(x)=0となるxの値は3である。
そのxの値=3を増減表の列にする。
x=3の列のy’=f’(x) の欄に0を書き、y=f(x) の欄に、f(3) の値の-9を書く。


【解2】
 f(x)=0になるx=0とx=6の点の列を加えて以下の増減表を書いても良い。


【問2】
 関数f(x)=-2x3+6xの増減表をつくりなさい。

【解1】


【解2】
 f(x)=0になるx=0の点の列を加えて以下の増減表を書いても良い。


《有限の区間で定義された関数f(x) の増減表》
 関数y=f(x) が有限の区間で定義されている場合の関数の増減表は、関数yが区間の端では微分できないことに注意して以下の図のように書く。以下の図は、関数y=f(x) の定義域が閉区間 [-2,2] の場合の増減表をあらわす。

上図の増減表で、区間の端の関数の微分y’=f’(x) の欄は、上図のように区間の端の近傍でのy’の値をカッコ()付きで書くか、その欄を空欄にするか、あるいはその欄に斜線を引いてあらわす。

《関数の極大・極小》
 上図の関数f(x) のグラフの点(-1,2)では、関数の値が増加から減少に移る。そのように関数f(x) がx=aを堺目として増加から減少に移るとき、
 f(x) はx=aで極大である、
と言い、f(a) を極大値と呼ぶ。
上図のグラフの点(1,-2)では、関数の値が減少から増加に移る。そのように関数f(x) がx=bを堺目として減少から増加に移るとき、
 f(x) はx=bで極小である、
と言い、f(b) を極小値と呼ぶ。
極大値と極小値をまとめて極値と呼ぶ。

 上図の関数のグラフでは、y’=f’(x)=0となるxの点で関数が極値を持った。しかし、以下の関数f(x) の例に示すように、f’(a)=0となるx=aなるxの点で関数が極値を持つとは限らない。

関数f(x) に関して次のことが言える。
関数f(x) がx=aで極値を取るならばf’(a)=0である。
f’(a) =0であっても、x=aで極値を取るとは限らない。
 f’(a) =0であっても:
  x=a の前後でf’(x) >0ならば、x=a の前後でf(x) は単調に増加。
  x=a の前後でf’(x) <0ならば、x=a の前後でf(x) は単調に減少。

確実に極値を取ると言えるのは、以下の場合である。

 すなわち、f’(x)=0になる点であって、その点のxの値の前後で、y’’=f’’(x) がともに正である場合に必ず極小値を取る。また、ともに負である場合に必ず極大値を取る。
 他方、f’(x)=0になる点であって、その点のxの値の前後で、y’’=f’’(x) の値が正から負に移る場合か、又は、負から正に移る場合には、決して極値を取らない。

【関数f(x) の極値の例】

また、y'' とy’との増減表からy’=f’(x) のグラフの概形がわかる。y’のグラフの概形は以下の図のようになる。


《f’(x) =0になる前後のxのy’=f’(x) の正負の判定》
 下図の関数f(x) の増減表のように、y’’を求めて、y’のグラフの概形を求めることでy’の正負を判定する。

 f’(x)=0になる点であって、その点のxの値の前後のy’’=f’’(x) がともに正である場合か、又は、ともに負である場合は、f’(x)=0の前後のf’(x) の正と負が交互に変わる
 他方、f’(x)=0になる点であって、その点のxの値の前後のy’’=f’’(x) の値が正から負に移る場合や、負から正に移る場合には、f’(x) の正と負が交互に変わらない

別の観点から言えば:
 f’(x)=0になるxの解が 重解でない場合は、f’(x)=0の前後のf’(x) の正と負が交互に変わる
 f’(x)=0になるxの解が2重解の場合は、f’(x) の正と負が交互に変わらない
 f’(x)=0になるxの解が3重解の場合は、f’(x) の正と負が交互に変わる
 f’(x)=0になるxの解が4重解の場合は、f’(x) の正と負が交互に変わらない

《補足》
 3次関数のグラフで、極大値と極小値とを持つグラフには、以下の寸法の関係があることを覚えておくと便利です。(これが成り立つことの証明は各自で行っておくこと)


《極値の定義》
(1) 関数f(x) において、x=cの前後の近くで、
x≠c なら f(x)<f(c)
が成立するとき、
f(c) を極大値と言う。

(2) 関数f(x) において、x=cの前後の近くで、
x≠c なら f(x)>f(c)
が成立するとき、
f(c) を極小値と言う。

 すなわち、f(x)がx=cで微分係数f’(x)を持たない場合でも、更には、x=cで連続でなくても、以上の定義に当てはまれば、f(c) が極値になり得る。

リンク: 

やさしい微分積分
増減表の極意
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