佐藤の数学教科書「図形と方程式」編の勉強
【問1】実数のkの値が変化するとき、2直線
kx+3y-2k=0 (直線1)
-3x+ky+2k+3=0 (直線2)
の交点P(X,Y)の軌跡を求めよ。
この問題を解く方針としては、Xのみをパラメータkであらわす式と、Yのみをパラメータkであらわす式を求めて、それからXとYの関係式を考える方が確実な解き方と考える。
大学の入学試験でも、そのようなやり方で問題を解く学生を合格させたいと考えるのではないかと思います。
そのため、以下では、その方針で問題を解く。
(式の形を単純にする)
この直線の式では、kがあちこちにあって複雑な式になっている。
先ずは、その複雑な式を、kに関するもっと単純な形の式に書き変える。
そのために、先ず、直線の式をkに関して整理する。
k(x-2)+3y=0 (式1)
k(y+2)-3x+3=0 (式2)
ここで、kのかかる式(x-2)および(y+2)をzとvに置き換える。
x-2=z (式3)
y+2=v (式4)
この置き換えは、zはx座標を定数の値で平行移動した値であり、vはy座標を定数の値で平行移動した値である。zとvをxとyに置き換えて考えると計算が楽になる。そのため、式1と式2を、zとvだけであらわす。
k(x-2)+3(y+2)-6=0 (式1)’
kz+3v-6=0 (式5)
k(y+2)-3(x-2)-6+3=0 (式2)’
kv-3z-3=0 (式6)
次に、式5と式6から、zのみをパラメータkであらわす式と、vのみをパラメータkであらわす式を求める。
vを消去して、zのみをパラメータkであらわす式を求めるために、k(式5)-3(式6)を計算する。
(k2+9)z-6k+9=0
zを消去して、vのみをパラメータkであらわす式を求めるために、3(式5)+k(式6)を計算する。
(k2+9)v-18-3k=0
式7と式8でzとvがkであらわせた。
このような式のグループからkを消去する場合の計算技術としては、
(S1)先ず、式7と式8が同じ形の分母Bを持っていることに注目する。
(S2:重要な方針)分母がkの二乗と定数から成る。この分母Bを持つ式で、(分子がKである式)の2乗と、(分子が定数3である式)の2乗を足し合わせる(方針S3)と分子が最初の分母Bと同じになる。その式は、B/B2=1/Bになる。その式を、別に計算して得た、分子が定数の式と加え合わせる(方針S4)ことで、kの分数式を分母と分子ともども一気に消去する。
(計算の準備)
その計算をできるようにする準備として、kを分子にする式と、定数を分子にする式とを求める。
(S2-1)
定数を分子にする式を求めるために、(式7)-2(式8)を計算する。
(S2-2)
k(の定数倍)を分子にする式を求めるために、2(式7)+(式8)を計算する。
以上で、準備ができたので、
(S2:重要な方針)で目標にした(方針S3)と(方針S4)を以下のように実行する。
(方針S3)
式9の分子の二乗と式10の分子の二乗を加え合わせて、その分子を元の式の分母の定数倍にした式を作る。
すなわち、(式9)2+(式10)2を計算する。
(方針S4)
次に、式11の右辺の分数式を一気に消去するために、(式11)+5(式9)を計算する。
{(z-2v)2+(2z+v)2}+5(z-2v)=0
{z2+4v2+4z2+v2}+5(z-2v)=0
5{z2+v2}+5(z-2v)=0
{z2+v2}+(z-2v)=0
(z+(1/2))2+(v-1)2=(5/4) (式12)
これで計算の目標が達成できた。
(残りの計算)
次に、zとvをxとyに戻す残りの計算を行なう。
式12に式3と式4を代入する。
(x-2+(1/2))2+(y+2-1)2=(5/4)
(x-(3/2))2+(y+1)2=(5/4) (式13)
これは、P(x,y)の軌跡が円になることをあらわしている。
この円は、点(3/2,-1)を中心にした、半径(√5)/2の円である。
ここで、この円は、下の図のようになる。
zとvをあらわした式7と式8を見ると、
パラメータkの値が負の無限大、あるいは正の無限大に大きくなると、
点P(x,y)は、(z,v)=(0,0)となる点、すなわち、点(x,y)=(2,-2)に近づく。
しかし、点Pは、決して(2,-2)に達することは無い。
【一部の別解】
以上の解き方で、気の短い人は、式6以降の、式12を求めるまでの計算がわずらわしい、道草を食っている、と思った方もいるかもしれません。そのため、以下で、その部分の別解を書きます。
(式7と式8は計算しましょう)
式6の後、すぐ式12を計算できますが、それでは、zとvの値がkとともにどう変化するかの傾向を見ることができなくなります。そのため、式7と式8は計算しておきましょう。この計算は、上に書いた計算と同じですので、記載を省略します。
(式5と式6から式12を導く)
式5から、以下の式が得られます。
(1)z≠0のとき
k=(6-3v)/z
この式を式6に代入する。
((6-3v)/z)v-3z-3=0
(6-3v)v-3(z+1)z=0
(v-2)v+(z+1)z=0
v2-2v+z2+z=0
(v-1)2+(z+(1/2))2=1+(1/4)
(v-1)2+(z+(1/2))2=5/4 (式12)
(2)z=0の場合、
式5に、z=0を代入して、
6-3v=0
v=2 (式14)
式6に、z=0とv=2を代入して、
k・2-3=0
k=(3/2)
式12にz=0を代入して、
(v-1)2+(1/2)2=5/4
(v-1)2=1
この式の解でv=0、2がありますが、vは(式14)で得られた2のみが有効で、v=0という解はありません。
そのため、軌跡は、式12であらわされる円のうち、点(z,v)=(0,0)は通りません。
式12以降の計算は、上に書いた計算と同じですので、記載を省略します。
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【問1】実数のkの値が変化するとき、2直線
kx+3y-2k=0 (直線1)
-3x+ky+2k+3=0 (直線2)
の交点P(X,Y)の軌跡を求めよ。
この問題を解く方針としては、Xのみをパラメータkであらわす式と、Yのみをパラメータkであらわす式を求めて、それからXとYの関係式を考える方が確実な解き方と考える。
大学の入学試験でも、そのようなやり方で問題を解く学生を合格させたいと考えるのではないかと思います。
そのため、以下では、その方針で問題を解く。
(式の形を単純にする)
この直線の式では、kがあちこちにあって複雑な式になっている。
先ずは、その複雑な式を、kに関するもっと単純な形の式に書き変える。
そのために、先ず、直線の式をkに関して整理する。
k(x-2)+3y=0 (式1)
k(y+2)-3x+3=0 (式2)
ここで、kのかかる式(x-2)および(y+2)をzとvに置き換える。
x-2=z (式3)
y+2=v (式4)
この置き換えは、zはx座標を定数の値で平行移動した値であり、vはy座標を定数の値で平行移動した値である。zとvをxとyに置き換えて考えると計算が楽になる。そのため、式1と式2を、zとvだけであらわす。
k(x-2)+3(y+2)-6=0 (式1)’
kz+3v-6=0 (式5)
k(y+2)-3(x-2)-6+3=0 (式2)’
kv-3z-3=0 (式6)
次に、式5と式6から、zのみをパラメータkであらわす式と、vのみをパラメータkであらわす式を求める。
vを消去して、zのみをパラメータkであらわす式を求めるために、k(式5)-3(式6)を計算する。
(k2+9)z-6k+9=0
zを消去して、vのみをパラメータkであらわす式を求めるために、3(式5)+k(式6)を計算する。
(k2+9)v-18-3k=0
式7と式8でzとvがkであらわせた。
このような式のグループからkを消去する場合の計算技術としては、
(S1)先ず、式7と式8が同じ形の分母Bを持っていることに注目する。
(S2:重要な方針)分母がkの二乗と定数から成る。この分母Bを持つ式で、(分子がKである式)の2乗と、(分子が定数3である式)の2乗を足し合わせる(方針S3)と分子が最初の分母Bと同じになる。その式は、B/B2=1/Bになる。その式を、別に計算して得た、分子が定数の式と加え合わせる(方針S4)ことで、kの分数式を分母と分子ともども一気に消去する。
(計算の準備)
その計算をできるようにする準備として、kを分子にする式と、定数を分子にする式とを求める。
(S2-1)
定数を分子にする式を求めるために、(式7)-2(式8)を計算する。
(S2-2)
k(の定数倍)を分子にする式を求めるために、2(式7)+(式8)を計算する。
以上で、準備ができたので、
(S2:重要な方針)で目標にした(方針S3)と(方針S4)を以下のように実行する。
(方針S3)
式9の分子の二乗と式10の分子の二乗を加え合わせて、その分子を元の式の分母の定数倍にした式を作る。
すなわち、(式9)2+(式10)2を計算する。
(方針S4)
次に、式11の右辺の分数式を一気に消去するために、(式11)+5(式9)を計算する。
{(z-2v)2+(2z+v)2}+5(z-2v)=0
{z2+4v2+4z2+v2}+5(z-2v)=0
5{z2+v2}+5(z-2v)=0
{z2+v2}+(z-2v)=0
(z+(1/2))2+(v-1)2=(5/4) (式12)
これで計算の目標が達成できた。
(残りの計算)
次に、zとvをxとyに戻す残りの計算を行なう。
式12に式3と式4を代入する。
(x-2+(1/2))2+(y+2-1)2=(5/4)
(x-(3/2))2+(y+1)2=(5/4) (式13)
これは、P(x,y)の軌跡が円になることをあらわしている。
この円は、点(3/2,-1)を中心にした、半径(√5)/2の円である。
ここで、この円は、下の図のようになる。
zとvをあらわした式7と式8を見ると、
パラメータkの値が負の無限大、あるいは正の無限大に大きくなると、
点P(x,y)は、(z,v)=(0,0)となる点、すなわち、点(x,y)=(2,-2)に近づく。
しかし、点Pは、決して(2,-2)に達することは無い。
【一部の別解】
以上の解き方で、気の短い人は、式6以降の、式12を求めるまでの計算がわずらわしい、道草を食っている、と思った方もいるかもしれません。そのため、以下で、その部分の別解を書きます。
(式7と式8は計算しましょう)
式6の後、すぐ式12を計算できますが、それでは、zとvの値がkとともにどう変化するかの傾向を見ることができなくなります。そのため、式7と式8は計算しておきましょう。この計算は、上に書いた計算と同じですので、記載を省略します。
(式5と式6から式12を導く)
式5から、以下の式が得られます。
(1)z≠0のとき
k=(6-3v)/z
この式を式6に代入する。
((6-3v)/z)v-3z-3=0
(6-3v)v-3(z+1)z=0
(v-2)v+(z+1)z=0
v2-2v+z2+z=0
(v-1)2+(z+(1/2))2=1+(1/4)
(v-1)2+(z+(1/2))2=5/4 (式12)
(2)z=0の場合、
式5に、z=0を代入して、
6-3v=0
v=2 (式14)
式6に、z=0とv=2を代入して、
k・2-3=0
k=(3/2)
式12にz=0を代入して、
(v-1)2+(1/2)2=5/4
(v-1)2=1
この式の解でv=0、2がありますが、vは(式14)で得られた2のみが有効で、v=0という解はありません。
そのため、軌跡は、式12であらわされる円のうち、点(z,v)=(0,0)は通りません。
式12以降の計算は、上に書いた計算と同じですので、記載を省略します。
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