2022年3月26日土曜日

3点が1直線上にある証明

【問1】
 平行四辺形ABCD内の1点Pを通り,各辺に平行線を引き辺AB,CD,BC,DAとの交点を,順にQ,R,S,Tとする。2直線QS,RTが点Oで交わる時,3点O,A,Cは1つの直線上にあることを示せ。


この問題の解答はここをクリックした先にあります。問題の本質を的確に把握して証明する、ベクトルの概念を用いた証明方法を示しました。

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メネラウスの定理の証明:線の垂直線への射影の利用
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2022年3月22日火曜日

確率の問題を空試行を考えて解く

【問1】
 下の図のような格子状の道がある。スタートの場所Aから出発し,コインを 投げて,表が出たら右へ 1 区画進み,裏が出たら上へ 1 区画進むとする。
ただし,右の端で表が出たときと,上の端で裏が出たときは動かないものとす る。
 この試行を行なうとき、以下の問いに答えよ。
(1) 8 回コインを投げ てもゴールBに到達できない確率を求めよ。


 
この問題を自力で解いてください。その後で、ここをクリックした先に、この問題を「空試行を考えて解く解答」を書きましたので、参考のために、その解答も見てください。

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2022年3月8日火曜日

三角形の2辺と1つの角から残りの辺を求める

【問1】

上図の三角形ABCの長さbを求めよ。

この問題の解答はここをクリックした先にあります。

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変な積分

(どの有理数のxの位置でも微分不可能な連続関数)
 下図のグラフの関数は連続関数で、関数の極限が存在するが、でこぼこしていて、でこぼこがxのあらゆる有理数にまで在り、どの有理数のxの位置においても微分不可能な関数です。

 上図のグラフのよう微分不可能な位置(x=有理数の点)が無限にある関数であっても、その積分範囲で1つながりに連続な関数は、積分はできます。
元の関数が連続関数等の、関数の極限が存在する関数の場合は、その関数を積分した関数は微分可能な関数になります。
こうして、極限が存在して1つながりに連続な関数を積分して関数群を作れば、その関数群は皆、微分可能な関数であることが保証されます。

(どの様な関数f(x)を積分しても得られない連続関数F(x))
 連続関数であり、かつ、あらゆるところで微分不可能な関数であるワイエルシュトラス関数等は、どのような関数f(x)を積分しても得ることができません。

(極限が存在しない点が無限にあり、積分不可能な関数)
 しかし、下のグラフの関数f(x)のように、どの位置においても関数の極限が存在しない関数もあり得ます。
 例えば、 
xが有理数の場合にf(x)=0であって、
xが無理数の場合のf(x)=1
という、極限が存在しない関数f(x)などです。
(f(x) ≡ 1-ディリクレ関数)

 そういう、極限が存在しない関数f(x)を積分して関数F(x)を得た場合(もし積分できた場合)、その積分により得られた関数F(x)は微分可能だろうか。
 そもそも、微分の計算は極限を求める計算なので、その関数f(x)が積分できても、その積分した関数F(x)を微分した場合に、元の関数f(x)は(極限値が存在しないので)、微分によっては得られないと考えます。

 この関数f(x)の変数x=x1からx=x2までの変数xの閉区間をn等分した小区間を作り、その小区間毎にf(x)の値f(ξ)を求めて、その値の和で積分します。
(1)その際に、 変数x=ξが全て有理数なら、f(ξ)=0になり、積分結果は0になります。
(2)一方、変数x=ξが全て無理数√2の有理数倍なら、f(ξ)=1になり、積分結果は(x2-x1)になります。
(3)小区間内の点ξの取り方によってf(ξ)の和による積分結果が変わるような計算の値は定かでは無いので、その様な関数f(x)は積分することができません。
(但し、無理数は有理数の可付番無限大倍よりも多く圧倒的に多い無理数を優先して計算するルベーグ積分という定義もあります。)

(極限が存在しない点が無限にあり、積分可能な関数)

上図のノコギリ関数g(x)を使って以下の関数を作ります。

この関数f(x)は、以下のx座標で極限が存在しない。

その他、
x=奇数/(整数×2)
の点では極限値が存在しない。

しかし、この関数f(x)は積分できて、連続関数G(x)が得られる。

積分結果の連続関数G(x)は微分できるxの値がある。
(関数G(x)は、元の関数f(x)の極限が存在しない有理数のxの値では、微分不可能です)
関数G(x)の微分結果は、以下の関数g2(x)を使ってあらわすことができる。

微分結果のグラフは、以下のf(x)のグラフになります。

ただし、このf(x)のグラフは、関数f(x)の極限が存在しない有理数のxの値では、このグラフf(x)が不連続であり、かつ、グラフf(x)の関数値が存在しない。
この関数f(x)は、連続で無い点では関数値が存在しないが、関数f(x)は、連続で無い点でも関数値が存在します。
その点で、関数f(x)が、積分以前の関数f(x)と異なっています。
しかしながら、「微分可能」な変数xの値での関数f(x)の値は積分以前の関数f(x)の値と同じになります。
おもしろいことに、この関数f(x)のグラフは、
x=無理数の位置で「連続」です。
そのxの無理数の値から無限に小さい距離の近くにも有理数の値のxの連続で無い点があるにもかかわらずです。

 このように、微分積分学では、あらゆる関数に微分積分を行う理論を作ろうとすると、いろいろな難しい問題があることがわかりました。
 積分前の関数f(x)と、微分前の関数F(x)との、変数xの一部の定義域での微分積分のあり得る関係が以下の図であらわせます。

(上図で、関数f(x)は、除去可能な連続で無い点を除去した関数です。関数F(x)は、関数F(x)の連続で無い点を除いた変数xの範囲でf(x)の不定積分であるとともに、f(x)の不定積分でもあります)
 このように、関数の連続で無い点がらみで、関数f(x)とF(x)の間に難しい関係があることが分かりました。

 微分積分学で、難しい問題が生じない関数の範囲を把握して、その範囲内で微分積分の計算をすることで、応用上で微分積分を使い易くできます。
 そのため、使い易い関数として、極限が存在し、かつ、1つながりに連続な「連続関数」 を主に扱う対象にし、また、「微分可能性」で関数の変数の定義域を制限して、微分積分を行う範囲を制限します。
(ただし、連続関数というxの演算式が存在するわけでは無く、関数のグラフに連続で無い点が無い変数xの範囲を定義した定義域に制限して考える関数が連続関数と定義されます)
その範囲内で成り立つ法則を把握して、種々の公式を導き出して使うことで微分積分学を最大限に応用できるようになります。

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2022年3月6日日曜日

樹形図の基本ルール(その2)

樹形図の基本ルール:
《基本ルール》
(1)樹形図を横断する枝の総和(太さ)は常に一定。
(2)発生確率が同じ事象の樹形図の枝の太さは同じ。
(3)樹形図は、根元から枝先まで一定の太さの糸を根元側で束ねた、糸の集合でもある。1本の「糸」は、事象の連鎖の1つの場合を表す。
(4)樹形図の根から展開した複数の枝を書き、その先で、複数の枝をいったん節に束ねて糸の束を再編成して再度複数の枝(個々の枝は複数の糸の束で作る)に展開することもできる。
 樹形図の糸の束を、以下の例題のように解釈して問題を解くことができます。

【例題1】
 白球3個と赤球2個の入っている袋から、 1個ずつ順に、取り出 した球はもとに戻さずに、3個の球を取り出した。3番目の球が赤球である確率を求めよ。

【解答】
 3個の白球と2個の赤球を合わせた5個の球1つ1つを対等な球であると区別して考える。球の色分けはその対等な球に追加した付加的な区別であると考える。
 そう考えると、その5個の球の各球を取り出す確からしさは、5つの球の番号に影響されずに同様に確からしい性質を持つ。そして、下図の樹形図(樹形図の一部のみを表す)が書ける。


上図の樹形図は、取り出 した球はもとに戻さずに3個の球を順に取り出す場合を表す樹形図の糸の束の一部(1番目の球が赤球1の場合のみ)を表している。この樹形図の糸(事象の連鎖)の1本1本が同じ確からしさを持ち、どの糸の太さも同じになります。各糸(事象の連鎖)は、取り出す球の番号で示した数字の連鎖(例えば1, 2, 3)と等価である。それは、最小単位の「場合」を表し、その糸の総数が全ての「場合の数」を表す。
 上図の事象の連鎖の糸を12本書くよりは、
この事象の連鎖12個を、
(1,2,3)
(1,2,4)
(1,2,5)

(1,3,2)
(1,3,4)
(1,3,5)

(1,4,2)
(1,4,3)
(1,4,5)

(1,5,2)
(1,5,3)
(1,5,4)
とあらわす方が単純になる。
これは、以下のように単純化した樹形図であらわせる。

このように、事象の連鎖を併記すると、樹形図が単純な形であらわせる。

 この事象の連鎖の糸の1本の太さを1とすると、1番目に取り出す球が赤球1(球1)である糸の束の太さが、
4×3=12
になります。それは、1番目に取り出す球が赤球1(すなわち球1)である場合の数が12であることを意味する。

次に下図を考える。


上図の、樹形図の一部の表示では、3番目の球が赤球1(球1)の場合の糸(事象の連鎖)の束を表している。
事象の連鎖を併記した形の樹形図は下図になる。

このように単純な形で樹形図をあらわせる。

 3番目に取り出す球が赤球1(球1)である場合の樹形図の糸の束の太さは、4×3=12になります。それは3番目に取り出す球が赤球1(球1)である(事象の連鎖の)場合の数が12であることを意味する。
 3番目に取り出す球が赤球2(球2)の場合の樹形図も加えて、更に、3番目が白球である場合も加えて、樹形図を完成させると、完成した樹形図では、
3番目の束が赤球で束ねられる束の太さと、
白球で束ねられる束の太さと、
の比(場合の数の比)が
(4×3×2):(4×3×3)
=(12×2):(12×3)
=2:3
になります。
よって、 3番目の球が赤球である確率=
=2/(2+3)
=2/5
になります。
(解答おわり)


 樹形図は、最細の糸という基本単位の糸を束ねて構成されます。
 「糸」の1つは、事象の連鎖であり、樹形図の根元から枝までひとつながりである糸です。その糸を具体的に表現する方法は、各試行毎の事象の番号の連鎖:各試行毎に取り出す球の番号の連鎖(1 2 3)であらわすことができます。
 3番目に球を取り出す事象を最初に考えて樹形図を解釈することは、3番目に球を取り出した球が何になるかの場合の数を求めて確率を計算することと等価です。
場合の数を使って確率を計算するならば、球を取り出す試行の順番に依存せずに確率を計算できます。
樹形図の糸を網羅して把握できる場合は、場合の数を使った計算と等価な計算ができるため、3番目に球を取り出す試行を最初の試行として計算しても正しい確率の値を計算することができます。

 この様に、樹形図の「糸」が貫く、1番目と2番目と3番目の各試行の結果の各事象のセットを、その各試行を順番通りに考えないでも、正しい確率の値を計算することができます。

【例題2】
 1枚の硬貨をくりかえし投げ、表が2回出たら賞品がもらえるゲームをする。ただし、投げられる回数は6回までとし、2回目の表が出たらそれ以上は投げない。1回目には裏がでるが結局は商品がもらえることになる場合の確率を求めよ。

【解1】
 下図のような、事象の連鎖を併記した樹形図を書いて問題を整理する。

この樹形図での事象の連鎖の記号の意味は、硬貨の表が出る事象を1とし、裏が出る事象を0とした。

この樹形図は、
3回で商品を獲得する事象、
4回で商品を獲得する事象、
5回で商品を獲得する事象、
6回で商品を獲得する事象、
の順に、事象の連鎖のバラエティを並べた樹形図である。

このような樹形図を書けば、以上の計算式によって、確率が計算できる。
(解1おわり)

【解2】
 下図のような、事象の連鎖を併記した樹形図を書いて問題を整理する。

(解2おわり)

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