2022年5月27日金曜日

2022年5月16日月曜日

確率の積の法則と並列に取り扱う法則

【確率の基本について】
 先ず最初に、、、
「確率の問題を間違えてしまう5つの原因と求め方とは?」のサイト
に記載されている、確率についての基本的考え方が身についていますか?
「確率が苦手な人には、共通する5つの原因があります。

今回の記事では、その5つと正しい求め方を数学が苦手な人にも易しく解説します。この記事を読むと自分がどうして確率の問題を間違ってしまっているかの答えが出ると思います。

Q1. リンゴ2つとバナナ4つの入ったかごから3つの果物を同時に取り出すとき、リンゴ1つとバナナ2つを取り出す確率を求めてください。

《よくある間違い》
果物を取り出した時に考えられる組み合わせは・・
{リンゴ、リンゴ、バナナ}、{リンゴ、バナナ、バナナ}、{バナナ、バナナ、バナナ}の3通り。
だから、
{リンゴ、バナナ、バナナ}になる確率は1/3になります・・・
 これは大きな間違えです。
もしこれが正解だとすると、バナナが100個の時も200個の時も答えは1/3になってしまいます。」


【積の法則】

 事象Aと事象Bが、互いに相手の事象がどうであるかに影響されずに、全く独立して起きる事象である場合は:
Aかつ Bの確率=A× B,

【積の法則と並列に取り扱う法則】
 事象Aと事象Bが、互いに相手の事象がどうであるかに影響されずに、全く独立して起きる事象である場合は:
Aまたは Bの確率=A+B-(A× B),

《証明》
Aまたは Bの確率=
={(Aで無い)かつ(Bで無い)}では無い確率
=1-(1-A)(1-B)
=1-{1-A-B+AB}
=1-1+A+B-AB
=A+B-AB
=A+B-(A× B),
(証明おわり)

 次には、それらの法則と前提条件が全く異なるので、並列には取り扱えない別物の法則:
【和の法則】

 事象 Aと事象 B が、決して両立しない事象の場合、すなわち:
確率Aで事象Aが起きているときは、
確率Bの値が(事象Aに影響されて)0に変化して、
(A× B)=0 になってしまう。そして、
Aかつ Bの確率=0,になる。
その場合は:
Aまたは Bの確率=A+B,

(決して両立しない事象の例)
Aが、雨が降る確率=1/3,
Bが、雨が降らない確率=2/3,
の場合、
AかつBの確率は、
A×B=(1/3)×0,
(Bは、Aに影響されて0になってしまうため)

(補足1)
なお、積の法則や和の法則は当たりまえのことなので、問題を解くときに、「積の法則により~」や「和の法則により~」などと書く必要は無い。


(補足2)
和の法則の説明が:
「事象Aの起こる確率が pA 、事象Bの起こる確率が pB であり、
AとBが同時には起こらないとき、
事象Aまたは事象Bが起こる確率はpA+pB である。」

と教えられていますが、その説明で使われている「同時に起こらない」という言葉は、「同時刻に起こらない」という意味では無く、「(1回の試行で)同時に起こらない」という意味です。(1回の試行で)という前提条件が無い事象の場合では「両立しない」と言う意味の言葉であることに注意すること。

【問題1】
 袋に、番号1,2,3,4,8,9,という番号が付いた6枚のカートが入っている。
(1)この袋から1枚のカードを取り出したとき、その番号が偶数である確率はいくらか。
(2)この袋から1枚のカードを取り出したとき、その番号が3の倍数である確率はいくらか。
(3)この袋から1枚のカードを取り出したとき、その番号が偶数であり、かつ、3の倍数である確率はいくらか。

【解答】
(1)カードの番号が偶数である確率は3/6=1/2
(2)カードの番号が3の倍数である確率は2/6=1/3
(3)カードの番号が偶数であり、かつ、3の倍数である確率は0
(解答おわり)

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2022年5月8日日曜日

極限の概念を使って問題を解き易くする

【問1】
関数f(x)が整式なら
f(f(x)) - x はf(x) - xでいつも割り切れることを証明せよ。

【証明の発案】
f(f(x)) - x = A(x-x1)(x-x2)・・・(x-xn),   (1)
と因数分解できます。
x1,x2,・・・xn,は、
f(f(x)) - x = 0,
の複素数の解も含む全ての解です。

一方、
f(x) - x = B(x-a1)(x-a2)・・・(x-am),    (2)
と因数分解できます。
a1,a2,・・・am,は、
f(x) - x = 0,
の複素数の解も含む全ての解です。

f(f(x)) - x
のxに
a1を代入します。
g=f(f(a1)) - a1,

ここで、
0=f(a1) - a1,
f(a1)=a1,
を使います。

g=f(f(a1)) - a1
=f(a1)-a1
=a1-a1
=0,
このことから、
f(f(a1)) - a1=0,

f(x) - x = 0,
の複素数の解も含む全ての解の
x=a1,a2,・・・am,
のどれを代入しても、
f(f(x)) - x=0,

(場合1)もし、
a1,a2,・・・amの全てが異なれば、
f(f(x)) - xは、
f(f(x)) - x=A{(x-a1)(x-a2)・・・(x-am)}(x-x1)(x-x2)・・・(x-xp)
と表せる。
そのときは、
f(f(x)) - xは、
B{(x-a1)(x-a2)・・・(x-am)}={f(x) - x}
で割り切れる。

(場合2)次に、
f(x) - x = 0,
の解の a1,a2,・・・amのa1とa2が同じ値の場合は、
微小量Δを使って、
a1,a1+Δ,・・・
を解とする、方程式
f(x) - x = 0,
を考える。
そのときは、
f(f(x)) - xは、
B{(x-a1)(x-a1-Δ)・・・(x-am)}={f(x) - x}
で割り切れる。
微小量Δを0に近づける極限では、
f(x) - xは、
B(x-a1)(x-a1)・・・(x-am)}
に収束し、
f(f(x)) - xは、
f(f(x)) - x = A{(x-a1)(x-a1)・・・(x-am)}(x-x1)(x-x2)・・・(x-xp)
に収束する。
そのため、極限においても、
f(f(x)) - xは、
B{(x-a1)(x-a1)・・・(x-am)}={f(x) - x}
で割り切れる。
同様に、
f(x) - x = 0,
の解の a1,a2,・・・amのどれかが同じ値である場合も、
その関数に対して、その同じ値の解を微小量Δで変化させて、全ての解の値を異ならせた関数を考え、その関数の極限を考えることで、
f(f(x)) - xは、
{(x-a1)(x-a2)・・・(x-am)}=(1/B){f(x) - x}
で割り切れる。
(証明おわり)
 この問題のように、a1とa2が等しいという例外的な場合に、a1とa2が異なる場合での計算方法が活用できるようにするために、微小量Δを導入して極限の概念を使うのが良いです。

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2022年5月7日土曜日

3色の玉を持つ3つの箱から玉を1つずつ取り出す問題

 【課題1】
 赤玉1個、白玉1個、黒玉1個、計3個の玉が入った箱Aと箱Bと箱Cがある。この3つの箱から1つずつ、合わせて3個の玉を取り出す。取り出した3個の玉の色の組み合わせ毎に、その色の組み合わせの玉を各箱から取り出すバラエティの数を求める。

【解答】
(1)先ず、3個の玉が入った3つの箱から1つずつ玉を取り出す場合の数の総数は、

通りある。
すなわち、3つの箱から玉を1つずつ取り出す事象の連鎖の糸の総数が27本ある。

(2)次に、取り出した3個の玉の色分けのバラエティの27個の事象の連鎖の糸を、赤m個、白n個、黒t個という色分け事象の連鎖の種類で分類した枝に束ねる。すなわち、玉の色分け事象の連鎖の枝毎に、対応する事象の連鎖の糸を割り当てて編集した以下の樹形図を作成する。

この樹形図から、玉の色の組み合わせのバラエティの数(色分け事象の連鎖の数)は10通りあることがわかる。

 しかし、各々の玉の色分けの枝(色分け事象の連鎖)に対応する玉の組み合わせの数は、以下に示す通りに、異なっている。
(2-1)3つの玉の色が全て同じ色の場合は、その色を選ぶバラエティの数の3つの枝に分岐する。
 その色分布の枝毎の、各箱からその色の玉を取り出すバラエティの数は、1つだけである。
(2-2)3つの玉の色が2色の場合の枝は、同じ色の2つの玉の第1の色を選ぶバラエティの数の3と、その他の2つの色から、1つの玉の第2の色を選ぶバラエティの数の2との積の、6つの枝に分岐する。
 その色分布の枝毎の、その色の組み合わせの玉を3つの箱から取り出すバラエティの数は、第2の色の1つの玉をどの箱から取り出すかのバラエティの数であり、3である。
(2-3)3つの玉の色が3色の場合の枝は、色の偏りが無いので、その色のバラエティの数が1つだけなので、1つの枝に分岐する。
 その色分布の枝毎の、その色の組み合わせの玉を3つの箱から取り出すバラエティの数は、赤色玉をどの箱から取り出すかのバラエティの数3と、白色玉を残り2つのどの箱から取り出すかかのバラエティの数2との積であり、6である。
(3)なお、各枝毎の、各箱の玉の色の組み合わせの数は、上図に記載した式(x+y+z)^3を展開した各項の係数に対応する関係がある。
(解答おわり)

(補足)
 この問題は、3つの箱を3人の人に置き替えて、玉の3つの色を、人を組み分ける3つの組の名前、すなわち、赤組、白組、黒組に置き換えた問題と等価である。


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