2015年5月23日土曜日

複素数平面での正5角形の求め方




【問2】X=1の解を求めよ。
-1=0

この方程式の5つの解を複素数平面上で表示すると、以下の図のようになります。

上の図で、

が、X-1=0
の5つの解です。

は、複素数平面上で、0と1を結ぶ実軸上の線分から原点を中心にして単位円上を左回りに2π/5ラジアン回転した位置にあり、更に、順次に2π/5ラジアン回転した位置が、この方程式の解です。

それらの解は、の累乗であらわせます。
=X
=X
=X
です。


ここで、一旦、この問2から離れて、
5次方程式の根と係数の関係の1つの以下の関係について考察します。

この関係を整理すると、以下の式になります。
このように定理が得られたのですが、この定理を証明せよと求められたら、証明のし方が以下の2つあります。
【解1】
 式①から式②を導く。
(これは、既に示しました。)

【解2】
 以下のようにして、絶対値が1の複素数Xを基準にした式を使って証明できます。

この解き方をすることで以下の教訓が得られました。
「この問題は、絶対値が1の複素数Xを基準にして、全ての解をXの累乗に置き換えた式を使うときれいに解ける。」

更に、次の定理も証明しましょう。

【問3】 
【解】
先ず、以下の置き換えをします。
以下のように式を変形します。
この問題も、絶対値が1の複素数Xを基準にして、全ての解をXの累乗に置き換えた式を使うときれいに解けました。

次に、問2に戻って、5次方程式の解き方を考えます。
【問2】
このように因数分解できたので、以下の4次方程式③を求める問題に変わりました。
この4次方程式③を2つの2次方程式に因数分解して問題を解く方法があります。
それは力仕事の計算になると思います。

【4次方程式③の解(その1)】
一方、今までに得た知識を使って、以下のように解くと、

2次方程式を解く計算になるので、
少し楽のように思います。
定理1(式②)を使うと、以下のように問題が解ける利点があります。

この式②を、cos(2π/5)=tであらわした式④に書き換えます。
(注意)
 ここで、式②を、cos(4π/5)=tであらわした式に書き換えた場合も、
その場合に(2t-1)のあらわすcos(8π/5)がcos(2π/5)に等しいので、
式②から作るその式も式④と同じ式になります。

 それを理解しているならば、
すなわち、
「この式④は、tの解が
cos(2π/5)とcos(4π/5)とを解に持つ式である」
ことを理解しているならば、
この式④から、cos(2π/5)とcos(4π/5)との2つの解を得ることができます。

 以下では、それを理解していない場合の、
(それでも正しい解答ですが) 解答を書きます。
この式のtを与える2つの解のうちからcos(2π/5)をあらわす適切な解を選びます。
--(注意)-----------
ここで、二重根号が出て来たので、この二重根号は外すことができるか以下のチェックをします。
√(10-4×5)=√80=4√5⇒平方根記号が外せないので、元の式の二重根号は外せません。
-------------------

これで1つの解が得られました。
この解に式②を使うと、
もう1つの解の実数成分cos(4π/5)が得られ、
その虚数成分も計算することでもう1つの解も得られます。

この2つの解の共役複素数が残りの2つの解になります。
こうして、全ての解が求められます。

この解き方の方が、4次方程式③を因数分解して解くより少し楽なのではないかと思います。
(人により、どれが楽な解き方か個人差があるかもしれませんが)

【4次方程式③の解(その2)】
以下の解き方もあります。



(場合1)

の場合:



以上の計算で現れた二重根号が外せるか否かは、以下の計算で判定します。

以上の式変換によって二重根号が外れないので、この二重根号は外すことができませんでした。

(場合2)

の場合:




以上の場合1と場合2の解をまとめると:

(4次方程式③の解(その2)おわり)

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2015年5月19日火曜日

複素数平面のベクトル方程式




複素数の方程式は複素数平面のベクトル方程式になります。

【問】複素数αとβに関して以下の式が成り立つとき、複素数αとβそれぞれが複素数平面上で描く図形を求めよ。

この問題も、できるだけ解答を見ずに自力で解くよう努めて下さい。

複素数平面の問題の式を見るとき、
「先ずは、実数になる形の式のかたまりを他の複素数の変数と区別して考える」
習慣をつけてください。

この問題の解答はここをクリックした先にあります。


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2015年5月17日日曜日

理系難関大学受験用の数学参考書

良い参考書を使って数学を勉強しましょう。

大学受験数学・フォーカスゴールドなどの網羅系参考書

(引用開始)
 大学受験に向けて数学の勉強をするとき、網羅系参考書は何を使えばいいのでしょうか。
私としては、フォーカスゴールドがお勧めです。


(中略)
万人に支持される参考書はなかなかありません。ある人にとってとても良いものは、別の人にとってあまり役に立たなかったりします。
 そうしたことも踏まえつつ、私がお勧めする網羅系参考書はフォーカスゴールドです。


 これは教科書を出版している啓林館が作っている参考書です。
 フォーカスシリーズには、フォーカスゴールドとフォーカスアップがあります。
 フォーカスゴールドは中堅私大理系対策や国立大学理系の二次試験対策から使えます。上はどこまで使えるかというと、東大理系まで使えます。
 有名進学校である灘高もフォーカスゴールドを使っていると聞きましたし、最難関の大学理系学部をめざすならフォーカスゴールドです。
 地方の国立大理系学部をめざすならば、フォーカスゴールドの例題と類題のみを解けばいいです。最難関大の理系学部や文系学部なら発展問題に挑戦していくのがよいです。
(中略)
 フォーカスゴールドは本屋さんでは販売していませんが、どの本屋さんからも、注文して取り寄せて購入することができます。分厚い別冊解答もついてきます。
私はネット通販のアマゾンに注文して購入しましたが、数学1A新課程、数学2B新課程、数3新課程ともに別冊解答と小冊子の公式集がついていました。

(引用おわり) 

「フォーカスゴールド」は、水野の数学参考書レビューの評価も高い。
(良い点)

 「基本事項のまとめにも副文が入るといった丁寧さがまず目を引く。」
(問題点)

 「巻末は(本シリーズのウリでもあるだろうから)我が道を行く内容でも構わないのかも知れないが、一般の受験生にはまったく歯が立たない内容がこれだけあると精神衛生上良くないし、
学校採用だから「持たせる」以上質問を受ける場面も多々あるわけで、全指導者が質問に対応できるかということ自体がプレッシャーになって採択できない学校も出てくるのではないかと少々思いやられてしまう。」

(当ブログのコメント)
 フォーカスゴールドの良さは、その説明のていねいさ、易しく噛み砕いて説明してくれている点にあると思います。難しい問題は入試問題を紹介する中で避けては通れない事ですし、、、
 フォーカスゴールドは、その説明の丁寧さゆえに、「難しい問題も存在することを隠さない」親切な参考書であると、好意的に解釈したいと思います。

ここをクリックして、出版社による「フォーカスゴールド」の位置付けの説明を見てください

 ただし、高校生が微分積分を学ぶのに適切な本は、高校生用の参考書では無く、大学1年生向けの参考書:例えば:「やさしく学べる微分積分」(石村園子) ¥2000円 などだと思います。その本は、微分積分を初めて学ぶ高校生にとっても、内容がわかり易くて、しかも正確であって良いと思います。その本の36ページから45ページまで勉強するだけで、微分の必須知識が学べます。

 また、高校の教科書から教わる連続関数の定義が間違っているので高校生の微分積分の知識が混乱しています。連続関数の概念は微分積分の命綱になっている重要な知識ですので、理系難関大学をめざすには、混乱した知識のままでは受験に不利と思います。連続関数について、しっかりした知識を得るために、参考書として、大学1年生が微分積分を無駄なく学べるよう工夫がこらされている参考書:小平邦彦「[軽装版]解析入門Ⅰ」をお勧めします。その本の80ページから88ページまで親切丁寧に連続関数を説明していますので、是非、そのページだけでも一読する事をお勧めします。

 高校生は、成人に成長する最終段階にいます。自ら研究して数学の独自分野を開拓する高校生もいると思います。高校生は数学の参考書を高校生向けの本に限定するこだわりは捨て、大学生向けの参考書も、自分に合っていると思えばどんどん吸収していく事が望ましいと考えます。

(参考)
数学オリンピックについて思うこと・その2
 数学オリンピックに関しては、まだまだ、数学者についての楽しい思い出がある。
 その人も、後に著名な数学者となった人だったが、当時は大学生だった。彼は、中学生のときから数学で名をとどろかせており、噂では、まだ日本が参加していなかった頃に、秋山仁さんに「君が出てくれるなら、数学オリンピック選手団を組織するよ」といわしめたそうだ。しかし、「興味がありません」と断ったそうで、それだけですでにカッコイイ。
 ある日、ぼくを含む数人が、塾で待機して、リアルタイムでファックスで送られてくる数学オリンピックの問題を解き合っていた。その中にその数学者卵くんもいたのだ。彼には当然、最難問をまかせた。それは今手元に資料がないので、ちゃんと書けないが、ものすごい数の整数の等差数列を辺の長さにする多角形が存在するかどうかを問う問題であった。さすがの彼も、小一時間考えてとっかかりが掴めず、空腹だったこともあって、諦めたのだ。そして、みんなに挨拶をして、教室を出ていった。それを見送ったぼくらは、「さすがの彼でも簡単には解けないだね」と、ちょっとほっとした気分に浸ろうとした。その矢先、突如、彼が部屋に戻ってきたのだ。「部屋を出た瞬間にわかりましたよ」と彼はのたまった。つまり、紙も鉛筆もなしで、頭の中で閃きがきた、ということなのだ。そして、「複素平面を使えばいいんですよ」といって、ちゃちゃっと簡単な計算をしてみせてくれた。ぼくらはただただ、あんぐりと口を開けて、彼の解法を眺めた。それはとても奇抜な解法だったが、まさにそれが正解だった。


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2015年5月15日金曜日

点Pから直線に下した垂線の足Hまでの複素数

http://schoolhmath.blogspot.jp/2015/04/blog-post_2.html
http://schoolhmath.blogspot.jp/2015/04/blog-post_3.html

自分だけの公式を発見しましょう。

(第1優先事項)
 複素数平面のグラフをあらわす方程式を変換する問題は、複素数の計算をせずに、図形の考察で答えを求めるようにしましょう。すなわち、複素数平面のグラフを表わす複素数の方程式同士を計算でつながないで図形の考察でつなげば何とか問題が解けますのでそれを第1優先にしましょう。

(優先順位の2位以下のこと)
 それよりは優先順位が低いことですが、以下のような、複素数平面の計算の公式の導き出し方を身に付けると、少し計算が推進されますので、以下の公式も、簡単に導き出せるようになればとても良いと思います。 

 複素数平面で直線の外の点Pから直線に下ろした垂線の足HまでのベクトルPHをあらわす問題を解いて、その答えを自分だけの公式にして覚えてしまいましょう。

 これは、自分だけの公式ですので、それぞれの計算問題の式の展開を解答用紙に記載する際に、その公式を知らない人に計算過程の正当性が理解されるために、その公式が導き出される式の展開過程を記載して見せるようにしてください。

 数学の勉強において、この自分だけの公式を覚える事は、計算ミスを避けるための計算のショートカットです。数学の勉強における重要性は少ないのですが、センター試験対策として計算ミスを減らす役には立ちます。

なお、複素数平面であらわした複素数はベクトルです。(実際、ベクトルPを複素数x+iyと等号で結ぶ表現をすることもあります。)


【自分だけの公式(3)】
傾きkの直線に、点Pから下した垂線の足HまでのベクトルPH=ベクトルhを複素数であらわす公式。         
この公式を導き出すと、計算が速くなり計算ミスが少なくなります。

 この公式は、点Pから直線までの距離(ベクトルhの絶対値)を与える公式を、ベクトルhを求める公式に変換したものです。

 すなわち、この公式は、点PのY座標の値と、直線の式であらわしたYの値の差bを用いて、ベクトルhを表す公式です。 
 
(補足1)
 数学の計算力をつけるには、この公式を覚えるよりは、この公式を導くための
「最初に式を書き始めるところの、式の形」
を覚える方が良いと思う。
 どのような形に式をまとめて、式を書き始めるか、そこが、数学的には意味が深いと思う。
 正しく数学を学ぶために、この、
「式の書き始め」
こそを心に留めてほしいと思う。

(補足2)
この公式は、以下の汎用的な公式から導き出すように覚えた方が良いかもしれない。


(重要なアドバイス)
 数学の公式は、すぐには覚えられないことが多いです。
この改善策は、以下のようにすることで、ただちに公式を覚えたのと同じ状況に入れます。
(1)その公式が存在する事を心に留めること。
(2)公式を導くための出だしの式を心に留めること。
--これは、やり易いですよね--
(3)公式が必要になった時に、計算用紙を使って、公式を導く出だしの式から始めて、ただちに計算して公式を導き出すこと。

 おぼえようとする公式は、みな、このパターンを使えば、ただちに公式を覚えたのと同じ状況に入るのではないかと思います。

リンク:
複素数計算の公式を導き出す
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2015年5月10日日曜日

放物線の極と極線の問題

微分積分の勉強ページ
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他の勉強ページ



放物線の極点と極線の関係を求める問題では、複素数平面は使わないこと。

【問1】
 放物線y=xの外側の点W(極)から放物線に引いた接線の接点をAとBとする。接点AとBを結ぶ直線(極線)の方程式を求めよ。

【解】
 この解は、以下のようにして解けます。
 この解き方を複素数平面を使って行うと計算が複雑になってしまいますので、複素数平面は使わないようにしましょう。
(注意)上で得られた式が点Aでの接線の公式であると教えられていますが、この結果を公式として覚えるよりは、上の赤枠で囲った、「接線の公式」を導出する過程の方をしっかり覚えて下さい。

 計算を続けます。
 これで、接点A,Bを結ぶ直線の方程式が得られました。

 こうして、極点Wに対する放物線の極線の方程式がスムーズに求められました。

 しかし、この計算を複素数平面で行なおうとすると、この計算の単純さが失われてしまいます。
 この問題を解くためには、複素数平面は適さないので複素数平面は使わないようにしましょう。

【問2】
 直線y=sx+tと放物線y=xの交点A,Bから放物線の接線を引いたとき、その2つの接線の交点W(極点)を求めよ。

【解】
 この問題は、以下のように解くと楽だと思います。
(複素数平面は使わないこと)
以上のようにして、スムーズに、
極点Wの座標が極線の式のパラメータであらわせました。

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