佐藤の数学教科書「三角関数」編の勉強
【難問】以下の式を簡単な式に変換せよ。
cosθ・cos(2θ)・cos(4θ)・cos(8θ)
【解答の心構え】この問題は、いきなり出されても解答を思いつく人はまれだと思う。
(そもそも、以下の答えが「単純」であるかどうかについての異論もあると思う。)
以下の解答を見て、解き方を覚えておくこと。
(解答のコツ)
三角関数を分数に変換する公式を使うことが解答のポイントです。
(解答おわり)
なお、sin(16θ)=sinθとなるような特別な角度の場合には、この答え=(1/16)になる。
例えば、θ=π/17の場合などに、そうなる。
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佐藤の数学教科書「三角関数」編の勉強
【問1】頂角に以下の関係がある△ABCはどのような三角形か。
sinA=2cosBsinC
【解答の心構え】先ず考えるべきことは、問題をもっとやさしい問題に変換できないかを考えること。
図形の問題は図を書いて考えること。
この問題は、上図のように問題を変換すると問題がやさしくなる。
変数Aを消去することで問題をやさしくする。
sin(C+B)=2sinCcosB (式1)
三角関数の式を、式の2項を積の式同士に整合する(項の式の形を合わせる)。
そのために、式1の左辺を積の式に変換して右辺の式の形に合わせる。
sinCcosB+sinBcosC=2sinCcosB
sinBcosC=sinCcosB
tanB=tanC
よって、△ABCは、∠B=∠Cの二等辺三角形である。
佐藤の数学教科書「三角関数」編の勉強
【問1】頂角に以下の関係がある△ABCはどのような三角形か。
cosA-cosB=sinC
【解答の心構え】先ず考えるべきことは、問題をもっとやさしい問題に変換できないかを考えること。
図形の問題は図を書いて考えること。
この問題は、以下の図のように問題を変換すると問題がやさしくなる。
よって、△ABCは∠B=90度の直角三角形である。
この問題は、三角関数の和と積の公式の問題として出題されていました。その解き方の方は、遠回りになります。
しかし、どうしても解答方法を知りたい人のために、その遠回りな解き方を以下で説明します。
(解答)
よって、△ABCは∠B=90度の直角三角形である。
遠回りでしたが、かろうじて解答にたどりつけました。
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佐藤の数学教科書「三角関数」編の勉強
三角関数の和と積の公式は、加法定理の一種です。
先ず、積を和に変える公式は以下の公式です。
これらの公式のうち1番目の公式は、以下の様にベクトルの内積の計算を利用して証明できます。
次の2番目の公式は、以下の様にベクトルの内積の計算を利用して証明できます。
3番目の公式は、以下の様にベクトルの内積の計算を利用して証明できます。
次は、和を積に変える公式です。
cosの和を積に変える公式は以下の公式です。
この公式を使う際には、この証明の最初の1行目の式を書いてから、加法定理を暗算して積の式を導くと、簡単に使えるようになります。
sinの和を積に変える公式は以下の公式です。
この公式を使う際にも、この証明の最初の1行目の式を書いてから、加法定理を暗算して積の式を導くと、簡単に使えるようになります。
教科書で教えている公式は以上ですが、
以下の公式も覚えておいた方が良いです。
三角関数を分数の和に変換する公式(積を和に変える公式の変形)です。
この公式は、角度B=Aの場合には、以下の式になる。
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【三角関数の合成の公式】
すなわち、以下の式:
の変形の公式は、加法定理の一種です。
この式の係数:
とあらわせます。
そして、式1は以下の式に変形できます。
この式はsinの加法定理であるので、以下の式になります。
このように、a・sinθ+b・cosθは、1つのsinにまとめることができます。
《(a・sinθ+b・cosθ)はベクトルの回転をあらわす式》
ベクトル(X,Y)が既にX座標軸から角度アルファで回転していた場合に、それよりも更にθ回転したベクトル(X’,Y’)を考える。そのベクトルの成分X’とY’は以下の式6と7であらわせます。
式7は、もともと角度α回転していたベクトル(X,Y)が更に角度θ回転したベクトル(X’,Y’)と単位ベクトル(0,1)との内積です。
そのため、式1は式7と(全体にかかる係数だけ違う)同じ式であり、式7のsin(α+θ)と(全体にかかる係数だけ違う)同じ式です。
式1の各係数aとbは、
式7のcos(α)とsin(α)と式2と式3で対応させることができます。
式1は、式7のsin(α+θ)に係数を掛け算した以下の式であらわせます。
【問1】
xの関数f(x)の0≦x≦(2π)における最大値,最小値を求めよ。
【解答】
倍角の公式より
なお、
-π/4≦2x-(π/4)≦8π-(π/4)
-π/4≦2x-(π/4)≦7π+(3π/4)
この角度の範囲で、この三角関数が単位円を1回転以上回転できる。
∴ -2√2-1≦f(x)≦2√2-1
(解答おわり)
【問2】(蛇足問題:大学レベルの問題)
複素数係数の三角関数の合成はどうしたら良いか。
以下の式:
は、どのように整理して表したら良いか。
【解答】
この問題は、大学レベルの問題であって、オイラーの定理を使って式を整理します。
オイラーの定理によって以下の関係が成り立ちます。
オイラーの定理を使うことで、問題の式が以下の式に変形・整理できます。
(解答おわり)
(補足)
以上の解答の様に、複素数係数の三角関数の和を整理した式は、上の解答のようなexp()関数による表現も必要です。この表現の式は、どのように変形しようとしてもsin又はcosの単独の関数では表す事ができません。
更に、以下の問題も解いてみます。
【問題3】(蛇足問題:大学レベルの問題)
以下の式:
は 、どの様に整理したら良いか。
【解答】
オイラーの定理を使うことで、問題の式が以下の式に変形・整理できます。
(解答おわり)
(補足)
以上の解答の様に、複素数係数の三角関数の和を整理した式は、上の解答のように、sin又はcosの関数と、exp()関数との和で表した式に整理できます。
そして、この式は、これ以上単純な形に整理することはできません。この式は、複素数係数の三角関数の和を整理するときの一般的な形の式です。
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ベクトルの回転変換と三角関数の加法定理
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【難問】三角形ABCにおいて、
cosAcosBcosC≦(1/8) (式1)
を証明せよ。そして、△ABCが正三角形のときのみに等号が成り立つことを示せ。
(予備知識)
加法定理(2倍角と半角の公式)を学んだ後の問題解答のポイントは、加法定理そのものではありません。加法定理は、いわば空気のような定理であって、無くてはならない当たり前の定理として使ってください。
そして、その当たり前の定理を使って、それ以外の発案が解答のポイントの問題を解きます。
この問題は、一部に半角の定理を使いますが、それ以外の発案がポイントです。
(この問題の解答は、ここをクリックした先のページにあります)
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佐藤の数学教科書「三角関数」編の勉強
【蛇足問題】∠Aと∠Bと∠Cの間に、
∠A+∠B+∠C=π (式1)
の関係があり、
ある長さa,b,c,dとの間に、
sinA/a=sinB/b=sinC/c=1/d (式2)
の関係が成り立つ時、
b2+c2-a2=2bc・cosA (式3)
が成り立つことを証明せよ。ただし、余弦定理は証明に利用しないこと。
(注意1)数学の証明に「ある定理を使うな」というように、自由に思考させずに、思考過程に制限を加えるというのは、数学する心(自由に解く)に反する思想であるので、
こういう限定をして出題するというのは、問題がある。
そのため、この問題は、蛇足の問題です。
こういう問題が出題されたら、思考制限規定を無視して、解いても良いと思います。
(証明開始)
この問題の式2は三角形の正弦定理にあてはまります。そのような辺a,b,cと頂点の∠A,∠B,∠Cを持ち、直径dの円に内接する三角形が存在し、その三角形に対して式2の正弦定理が成り立ちます。
そして、その三角形については、式3の余弦定理が成り立ちます。よって、式3は成り立つ。
(証明おわり)
と解答して良いと思います。
この問題は蛇足問題ではありますが、テストの出題というのでは無く、式の証明を研究するために、以下のように加法定理を利用して解いてみたいと思います。
(注意2)この問題は、たしかに解けますが、だからと言って、正弦定理と加法定理さえあれば余弦定理はいらないなどという誤解はしないで欲しい。
むしろ、その逆で、
加法定理を使って遠回りしてかろうじて問題を解く道があれば、必ず、「正弦定理と余弦定理を使って近道して問題を解く道がある」ということが示されていると解釈して欲しい。
それでは、遠回りした道を通る証明になりますが、
この問題を、出題の意図通りに、正弦定理と加法定理を使って、余弦定理を導く解答の道のりを以下で説明します。
(予備知識:問題をより易しい問題に変換してから解くこと)
証明すべき対象の
b2+c2-a2=2bc・cosA (式3)
を、式2を変換して式3を導出しようとはせずに、
先ずは、この式3を、わかる限り、問題をかみくだいてやさしい問題に変換します。
(解答開始)
式3の左辺を、式2を使って変換する。
式1を使って∠Aを消去する。
加法定理を使ってsin(B+C)を展開する。
(cosの加法定理を使って、sinBsinC-cosCcosB=-cos(B+C)にまとめる)
(式2を使って変換する)
=2bc{cos(A)}
∴ b2+c2-a2=2bc・cosA
(証明おわり)
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