2017年1月5日木曜日

条件付き確率の計算例題1

【条件付き確率とは何か】
 条件付き確率とは、発生し得る全事象のうち、一部の事象の集合に事象の範囲を制限した場合の、その事象の集合の範囲内での所定の事象の発生確率が「条件付き確率」です。
 その事象の集合の範囲を規定する条件が、条件付き確率における「条件」です。

 「サイコロの目が4以上であった場合において」~といった問題における「サイコロの目が4以上」が条件です。

 「サイコロの目が、4以上であると言える5の目が出た場合において」~といった問題においては、定まった条件「サイコロの目が5」こそが条件です。

(補足)
 事象の発生頻度を規定する条件(例えば正解を知っている司会者が好んで不正解を選択することで、不正解が選択される確率を上げるといった条件)は、事象の集合の範囲を制限する「条件」とは異なります。

【例題1】
 ある夫婦には子供が二人いる。二人のうち少なくとも一人は男の子であるということが分かった。このとき,二人とも男の子である確率を求めよ。ただし,男の子が生まれる確率,女の子が生まれる確率はともに1/2とする。

【解答】
「樹形図の基本ルール」のページのルールに従って、以下の樹形図を書く。

 この樹形図を使うことで、 
2人とも男である場合は、1人が男である場合の3つの内の1つであるので、その条件付き確率=1/3である。
(解答おわり)

【例題2】
 ある夫婦には子供が二人いる。二人のうち年上の方が男の子であるということが分かった。このとき,二人とも男の子である確率を求めよ。ただし,男の子が生まれる確率,女の子が生まれる確率はともに1/2とする。 

【解答】
 この樹形図を使うことで、
2人とも男である場合は、年上の方が男の子である場合の2つの内の1つであるので、その条件付き確率=1/2である。

(解答おわり)

 例題2の問題の場合は、
条件付き確率の問題の「条件」を考える複雑さが何も無く、ある状況(年上の方が男の子である)になっている問題を解くだけの問題になっています。

 そのため、以下の例題3で、後の状況が判明した場合(条件)に対し、最初の状況の確率を求めるという、複雑な条件付き確率の問題を考えます。
【例題3】
 赤玉5個、白玉3個ある袋から一つの玉を取り出し、その玉を戻さずに2回目に他の玉を引くとします。
2回目が赤玉であったとき1回目も赤玉となる条件付き確率を求めよ。

【解答1】

 この樹形図を使うことで、
2回目が赤玉であったとき1回目も赤玉となる条件付き確率は、樹形図の枝の太さの比を以下の式で計算して求められます。

すなわち、その条件付き確率=4/7である。
(解答1おわり)

【(例題3の)解答2】
 樹形図は、事象の連鎖の糸を自由に枝に束ねて、しかも事象の発生順に従う必要も無く、再編成して樹形図を書くことができます。そのため、以下の樹形図を書いてこの問題を解くこともできます。

(この樹形図では、事象の連鎖の糸は、8×7=56本あり、1本の糸の太さは、s/7です)

 この樹形図を使うことで、
2回目が赤玉であったとき1回目も赤玉となる条件付き確率は、樹形図の枝の太さの比を以下の式で計算して求められます。

すなわち、その条件付き確率=4/7である。
(解答2おわり)


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