2021年4月17日土曜日

部分集合の概念の問題点

【部分集合の定義】
「集合 A の要素が全て集合 B の要素になっている」とき、つまり A⊂B のとき、集合 A は集合 B の部分集合(subset) といいます。

 少し変な書き方ですが A⊂A が成り立ちます。 A の要素は、すべて A に属しているからです。
(部分集合の定義おわり)

【部分集合の定義(集合の包含関係による)】
定義 1.5 (集合の包含関係)
元を1つも含まない集合を空集合(empty set)といい, X=Φと表記する.
集合 XとYに含まれる元が全て等しいとき X=Yと表記する.X=Yではないとき X≠Yと書く.
Xに含まれる全ての元(Xが1つ以上の元を持つ場合)がYに含まれるとき(あるいは、Xが元を持たない場合も), Yは Xを含む(contain), または,XはYの部分集合(subset)といい,X⊂Yと表記する.X ⊂Y ではないとき X ⊄ Yと書く.

注意 1.6 (真部分集合) X⊂Yは定義より X=Yの意味も含む.X⊂Y でありかつ X≠Yのときは, XはYの真部分集合(proper subset)という. 書物によっては部分集合に を用い, 真部分集合に ⊂を用いる場合もあるので注意が必要である.

(補足)
ある集合Bとある集合Cが共通の元を持たない場合、
B∩C=Φ,
という集合Φ(空集合)を定義する.

いかなる集合BとCに対しても、
(B∩C)⊂B,
が成り立つものとして、集合の包含関係を定義する.

空集合ではないどの集合Bに対しても、共通の元を持たない集合Cが存在する。(少なくとも集合Φは集合Bと共通の元を持たない)
その場合に、
B∩C=Φ,

B∩C=Φ,
の場合も、
(B∩C)⊂B,
∴ Φ⊂B,

 先の、2つの、部分集合の定義がおかしいと思う。以下のように定義しないといけないと思う。
【部分集合の正しい定義】
全ての集合の元xに対して、
「その元xが集合Aに含まれる場合に、元xが集合Bに含まれる」
が成り立っているならば、
集合Bは 集合Aを含む(contain), または,集合Aは集合Bの部分集合(subset)といい,A⊂Bと表記する.
(部分集合の定義おわり)

《補足》
 命題の前提条件を何にするかによって、命題の対偶の表現も変わってくる。そのため、命題の前提条件を何にするかが大事である。

部分集合の関係「 A⊂B」とは:
「 全ての集合の元xに対して: x∈Aが成り立つならば ⟹ x∈B 」
それを言い換えると:
「全ての集合の元xに対して: (x∉A)または (x∈B)である」
これがどのような元xを持つ集合Bに対しても成り立つ集合Aとは、
「全ての集合の元xに対して: (x∉A)」
となる集合であり、
集合A=Φ(空集合)
がそれに該当する。
よって、
Φ(空集合)は、どのような集合Bに対しても
Φ⊂B
が成り立つ。

集合{1,2}
の部分集合を全て挙げると、
{1}
{2}
{1,2}
{}=Φ 空集合
という、
4つの部分集合があります。

《部分集合の集合》
部分集合の集合は、
上記の全ての集合を要素にした、集合の集合です。

【空集合の部分集合と、部分集合の集合】
例えば1個のリンゴ(リンゴa)の集合は、
{リンゴa}
ですが、
0個のリンゴの集合は、
{}=Φ 空集合です。
{}=Φ 空集合
の部分集合は
{}=Φだけです。
それ自身と同じです。

その(1つの)部分集合の集合(A集合と名付ける)は:
{{}}={Φ}
です。

A集合の部分集合は、
{{}}={Φ}と、
{}=Φ
との2つです。
ここで、
集合{Φ}は、Φという集合を1つの要素として持ちますが、
集合{}=Φは要素を1つも持ちません。
A集合の部分集合の集合(B集合と名付ける)は:
{{Φ},Φ}
です。

B集合の部分集合は、
{}=Φ,
{Φ}
{{Φ}}
{Φ,{Φ}}
との4つです。
B集合の部分集合の集合(C集合と名付ける)は:
{ Φ,{Φ},{{Φ}},{Φ,{Φ}} }
です。

この様に、「部分集合」を作ると、要素が何も無いところから、
空集合=Φという1つの集合という1つの要素を生みだします。
その空集合=Φは、しっかりと1つと数えられる要素になります。

この様に、「部分集合」を作る操作は、要素が何も無いところから、空集合=Φという1つの要素を生み出して、それを1つの要素とする(要素が1つは有る)集合を生み出すという循環を生じるので要注意です。

「偶数でもあり、奇数でもある数の集合」=空集合Φ,
です。
こう言ってしまうと、偶数でもあり、奇数でもある数が存在するかの印象を受けますが、そうでは無く、「空集合」と言った時点で、「あり得ない事」と判断すべきなのです。
あらゆる「あり得ない事象」を、空集合Φという表現手段を用いて表す事ができます。

例えば、
集合{1,2}
の部分集合には、 {}=Φ 空集合
がありましたが、
空集合は、「あり得ない事の集合」です。
「部分集合」の集合は、
「あり得ない事の集合」
を部分に含むという意味で、
「あり得ない事」を排除していないので、
問題の解をもつれさせて、単純な解を求めるのとは逆の方向に論理を進める事もできる手段と言えます。

集合{ {1},{2},{1,2},Φ }
の部分集合を全て挙げると、
{}=Φ
{{1}}
{{2}}
{{1,2}}
{Φ}
{{1},{2}}
{{1},{1,2}}
{{1},Φ}
{{2},{1,2}}
{{2},Φ}
{{1,2},Φ}
{ {2},{1,2},Φ }
{ {1},{1,2},Φ }
{ {1},{2},Φ }
{ {1},{2},{1,2}}
{ {1},{2},{1,2},Φ }
との16個の部分集合があります。

空集合Φに係る集合を全部排除して問題を記述すると、以下の様に、問題の解がスッキリします。
集合{ {1},{2},{1,2} }
の、空集合Φ以外の部分集合を全て挙げると、
{{1}}
{{2}}
{{1,2}}
{{1},{2}}
{{1},{1,2}}
{{2},{1,2}}
{ {1},{2},{1,2}}
との7つの集合のみになって、解がスッキリします。
「部分集合」の集合を使って問題を解く場合は、「部分集合」から空集合を除外した集合を考えると、それは、問題を解くために使いものになる手段になると思います。

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