(2つの多項式の最大公約多項式を求める問題)
次数の大きい方の多項式 f を、次数の小さい方の多項式 g で割り算して余りの多項式を求め、その余りの多項式で次数の小さい方の多項式 g を割り算する。
こうして、少しづつ式の次数を小さくしていき、最後に式が割り切れた場合に、その最小の次数の式が、最大公約多項式です。
この手順で最大公約多項式を求める方法を、ユークリッドの互除法と呼びます。
【例題1】
有理数係数では因数分解できない、有理数係数の(既約)多項式 f と、それより次数の低い他の有理数係数の多項式 g との、複素数係数の最大公約多項式を求めよ。
【解説】
このfの式1は係数が有理数の式です。この式1は無理数を使わないと因数分解できません。
f の式は、有理数係数の式には因数分解できない多項式=(有理数係数における)既約多項式です。
f の式は無理数を使えば、以下の式に因数分解できます。
更に複素数も使えば、4つの1次式の積に因数分解できます。
g の式2も係数が有理数の多項式です。
ここで、gの式の係数が有理数で、かつ、fの式1より次数が低い式であるならば、
そのgの式は、無理数の因数についても、決してfの式の因数を持ちません。
その理由は、(有理数係数の)既約多項式fと、それより次数の低い(有理数係数の)任意の多項式gとの間には以下の関係があるからです。
(関係3)
有理数係数のある多項式hと、ある多項式kを使って、
f・h+g・k=1 (3)
という恒等式を作ることができるからです。
(この式3が成り立つ事については、この例題の解答の後に説明します)
この場合に、以下の仮定1をしてみます。
(仮定1)多項式fと式gは、複素数のαであらわした共通する因数m=(x-α)を持つと仮定する。
すると、式3は、以下の式に変形される。
m・f2・h+m・g2・k=1,
ここでf2とg2は、それぞれ、複素数係数の多項式。
m(f2・h+g2・k)=1,
(x-α)(f2・h+g2・k)=1, (4)
上の式4のxにαを代入すると左辺は0になり、右辺は1のままであるので矛盾する。
よって、この式3の形をした恒等式は有り得ない。
このように、仮定1が矛盾を生むので、仮定1は成り立たちません。
よって、恒等式3が成り立つならば、
多項式fと式gは、複素数の範囲で因数分解して比較しても、共通する因数m=(x-α)を持つことができない。
このように、(有理数の係数だけの式には因数分解できない)既約多項式fと、他の有理数係数の多項式gとの間には、複素数の因数も共有しないという不思議な関係があります。
【例題1の解答】
式3を証明するのは、計算量が多すぎますので、
例題1の解答の最大公約多項式を計算します。
そして、その解答の計算を利用して、例題1の場合に式3が成り立つことを示します。
(解答開始)
ユークリッドの互除法で多項式fとgの次数をどんどん下げていきます。
こうして、最大公約多項式は、-11/8=定数であることが分かりました。
最大公約多項式=定数。
(解答おわり)
例題1の解答はこれでおわりですが、
次に、以上の計算を利用して、例題1の場合に式3が成り立つことを示します。
先ず、式7による、ユークリッド互除法による余りの式(定数)を左辺に出した式から始める。
この式9が、例題1の場合における式3です。
例題1の場合には、式3の恒等式(式9)が成り立つことがわかりました。
この恒等式9(式3)は、(有理数の範囲での)既約多項式 f (式1)と多項式 f より次数の低い(有理数の範囲での)任意の多項式 g (式2)の間に、いつも成り立ちます。
その理由は、(係数が有理数の)既約多項式 f というものは、 f より次数が低い(係数が有理数の)公約多項式が定数、すなわち0次の式になる多項式のことだからです。
(式3の簡易な証明の開始)
以下の様に有理数係数の既約多項式f(x)と、それより次数の低い有理数係数の多項式g(x)を、以下の様に交互に引き算していって、f(x)よりもg(x)よりも次数の低い多項式f1(x)とg2(x)を作るとします。
f1(x)=f(x)-h1(x)g(x)
g2(x)=g(x)-h2(x)f1(x)
f3(x)=f1(x)-h3(x)g2(x)
g4(x)=g2(x)-h4(x)f3(x)
f5(x)=f3(x)-h5(x)g4(x)
・・・
最後に、定数の最大公約多項式を得る;
定数=gn-2(x)-hn(x)fn-1(x)
または、
定数=fn-2(x)-hn(x)gn-1(x)
が得られます。
その最後の式の右辺の項にある多項式fn-2(x)や、gn-1(x)は、
上の方の行の式に、等式で書かれていますので、その等式の右辺を、多項式fn-2(x)や、gn-1(x)に代入すれば、
定数=(fn-4(x))*(ある多項式)+(gn-3(x))*(ある多項式)
という式が得られます。
その右辺の項にある多項式fn-4(x)や、gn-3(x)も、
上の方の行の式に、等式で書かれていますので、その等式の右辺を、それらの多項式に代入すれば良いです。
これを繰り返せば、最終的に、
定数=(f(x))*(ある多項式)+(g(x))*(ある多項式)
という式が得られます。
その式から、
1=(f(x))*(ある多項式)+(g(x))*(ある多項式) (式3)
が得られます。
(証明おわり)
(係数が有理数の)既約多項式 f と、それより次数が低く(係数が有理数の)多項式gとの最大公約多項式は定数になる。
それゆえ、(係数が有理数の範囲の)既約多項式 f と、多項式 f より次数が低い(係数が有理数の範囲の)任意の多項式 g の間で、いつも恒等式3が成り立ちます。
恒等式3が成り立つ結果、先に示したように、
(有理数の係数だけの式には因数分解できない)既約多項式 f は、他の f より次数の低い任意の有理数係数の多項式gとは、複素数の因数も共有しない。
また、別の視点から考えると、
既約多項式 f の複素数の範囲の因数の少なくとも1つを含む多項式であって、有理数係数の多項式 p がある場合、
その多項式 p は、 f によって割り切られる。
それゆえ p は f の全ての因数を含む。
(この証明)
(仮定)その有理数係数の多項式pが f の全ての因数を含まなかったと仮定すると、その多項式pと既約多項式fとにユークリッド互助法を適用すると、多項式pと既約多項式fの共通因数のみを含む式が有理数係数の多項式で抽出されることになる。
そのようなことになると、その抽出された多項式で多項式fを割り切れることになり、多項式fが既約多項式であることに反する。そのため、仮定が成り立たない。
よって、その多項式 p は f の全ての因数を含む。
リンク:
高校数学の目次
次数の大きい方の多項式 f を、次数の小さい方の多項式 g で割り算して余りの多項式を求め、その余りの多項式で次数の小さい方の多項式 g を割り算する。
こうして、少しづつ式の次数を小さくしていき、最後に式が割り切れた場合に、その最小の次数の式が、最大公約多項式です。
この手順で最大公約多項式を求める方法を、ユークリッドの互除法と呼びます。
【例題1】
有理数係数では因数分解できない、有理数係数の(既約)多項式 f と、それより次数の低い他の有理数係数の多項式 g との、複素数係数の最大公約多項式を求めよ。
【解説】
このfの式1は係数が有理数の式です。この式1は無理数を使わないと因数分解できません。
f の式は、有理数係数の式には因数分解できない多項式=(有理数係数における)既約多項式です。
f の式は無理数を使えば、以下の式に因数分解できます。
更に複素数も使えば、4つの1次式の積に因数分解できます。
g の式2も係数が有理数の多項式です。
ここで、gの式の係数が有理数で、かつ、fの式1より次数が低い式であるならば、
そのgの式は、無理数の因数についても、決してfの式の因数を持ちません。
その理由は、(有理数係数の)既約多項式fと、それより次数の低い(有理数係数の)任意の多項式gとの間には以下の関係があるからです。
(関係3)
有理数係数のある多項式hと、ある多項式kを使って、
f・h+g・k=1 (3)
という恒等式を作ることができるからです。
(この式3が成り立つ事については、この例題の解答の後に説明します)
この場合に、以下の仮定1をしてみます。
(仮定1)多項式fと式gは、複素数のαであらわした共通する因数m=(x-α)を持つと仮定する。
すると、式3は、以下の式に変形される。
m・f2・h+m・g2・k=1,
ここでf2とg2は、それぞれ、複素数係数の多項式。
m(f2・h+g2・k)=1,
(x-α)(f2・h+g2・k)=1, (4)
上の式4のxにαを代入すると左辺は0になり、右辺は1のままであるので矛盾する。
よって、この式3の形をした恒等式は有り得ない。
このように、仮定1が矛盾を生むので、仮定1は成り立たちません。
よって、恒等式3が成り立つならば、
多項式fと式gは、複素数の範囲で因数分解して比較しても、共通する因数m=(x-α)を持つことができない。
このように、(有理数の係数だけの式には因数分解できない)既約多項式fと、他の有理数係数の多項式gとの間には、複素数の因数も共有しないという不思議な関係があります。
【例題1の解答】
式3を証明するのは、計算量が多すぎますので、
例題1の解答の最大公約多項式を計算します。
そして、その解答の計算を利用して、例題1の場合に式3が成り立つことを示します。
(解答開始)
ユークリッドの互除法で多項式fとgの次数をどんどん下げていきます。
こうして、最大公約多項式は、-11/8=定数であることが分かりました。
最大公約多項式=定数。
(解答おわり)
例題1の解答はこれでおわりですが、
次に、以上の計算を利用して、例題1の場合に式3が成り立つことを示します。
先ず、式7による、ユークリッド互除法による余りの式(定数)を左辺に出した式から始める。
この式9が、例題1の場合における式3です。
例題1の場合には、式3の恒等式(式9)が成り立つことがわかりました。
この恒等式9(式3)は、(有理数の範囲での)既約多項式 f (式1)と多項式 f より次数の低い(有理数の範囲での)任意の多項式 g (式2)の間に、いつも成り立ちます。
その理由は、(係数が有理数の)既約多項式 f というものは、 f より次数が低い(係数が有理数の)公約多項式が定数、すなわち0次の式になる多項式のことだからです。
(式3の簡易な証明の開始)
以下の様に有理数係数の既約多項式f(x)と、それより次数の低い有理数係数の多項式g(x)を、以下の様に交互に引き算していって、f(x)よりもg(x)よりも次数の低い多項式f1(x)とg2(x)を作るとします。
f1(x)=f(x)-h1(x)g(x)
g2(x)=g(x)-h2(x)f1(x)
f3(x)=f1(x)-h3(x)g2(x)
g4(x)=g2(x)-h4(x)f3(x)
f5(x)=f3(x)-h5(x)g4(x)
・・・
最後に、定数の最大公約多項式を得る;
定数=gn-2(x)-hn(x)fn-1(x)
または、
定数=fn-2(x)-hn(x)gn-1(x)
が得られます。
その最後の式の右辺の項にある多項式fn-2(x)や、gn-1(x)は、
上の方の行の式に、等式で書かれていますので、その等式の右辺を、多項式fn-2(x)や、gn-1(x)に代入すれば、
定数=(fn-4(x))*(ある多項式)+(gn-3(x))*(ある多項式)
という式が得られます。
その右辺の項にある多項式fn-4(x)や、gn-3(x)も、
上の方の行の式に、等式で書かれていますので、その等式の右辺を、それらの多項式に代入すれば良いです。
これを繰り返せば、最終的に、
定数=(f(x))*(ある多項式)+(g(x))*(ある多項式)
という式が得られます。
その式から、
1=(f(x))*(ある多項式)+(g(x))*(ある多項式) (式3)
が得られます。
(証明おわり)
(係数が有理数の)既約多項式 f と、それより次数が低く(係数が有理数の)多項式gとの最大公約多項式は定数になる。
それゆえ、(係数が有理数の範囲の)既約多項式 f と、多項式 f より次数が低い(係数が有理数の範囲の)任意の多項式 g の間で、いつも恒等式3が成り立ちます。
恒等式3が成り立つ結果、先に示したように、
(有理数の係数だけの式には因数分解できない)既約多項式 f は、他の f より次数の低い任意の有理数係数の多項式gとは、複素数の因数も共有しない。
また、別の視点から考えると、
既約多項式 f の複素数の範囲の因数の少なくとも1つを含む多項式であって、有理数係数の多項式 p がある場合、
その多項式 p は、 f によって割り切られる。
それゆえ p は f の全ての因数を含む。
(この証明)
(仮定)その有理数係数の多項式pが f の全ての因数を含まなかったと仮定すると、その多項式pと既約多項式fとにユークリッド互助法を適用すると、多項式pと既約多項式fの共通因数のみを含む式が有理数係数の多項式で抽出されることになる。
そのようなことになると、その抽出された多項式で多項式fを割り切れることになり、多項式fが既約多項式であることに反する。そのため、仮定が成り立たない。
よって、その多項式 p は f の全ての因数を含む。
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高校数学の目次
Q係数既約3次方程式 f(x)=0 の解をαとする.σ[α]=4*α^2-5*α+7/4 とする。
返信削除f(x) の ガロア群 が 易しい {σ,σ^2, e }(盥回し) のとき,
〇 f(x) を 求めて下さい;
↓の 早稲田に 倣い 【獲た f(x)=0 の解達を 亘り 尽す】
■ g[α]=(a*α+b)/(c*α+d) ■ を 求めて下さい;
^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^
早稲田の http://nyushi.nikkei.co.jp/honshi/17/w09-21p.pdf#page=3
を 解くと 【解達を 亘り 尽す】■ g[α]=(-1)/(α+1) ■ が
なんと 与えられている! こと が 判明す。 ^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^
Q係数既約 3+1 次方程式 f(x)=0 の解をαとする.σ[α]=3*α-4*α^3 とする。
返信削除f(x) の ガロア群 が 易しい {σ,σ^2,σ^3, e }(盥回し) のとき,
● f(x) を 求めて下さい;
^^^^^^^^^^^^^^^^ ● ありがちな【陳腐な】問題 で せうか ^^^^^^^^^^^^^^^^^^^
早稲田の http://nyushi.nikkei.co.jp/honshi/17/w09-21p.pdf#page=3
を 解くと 【解達を 亘り 尽す】■ g[α]=(-1)/(α+1) ■ が
なんと 与えられている! こと が 判明す。 ^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^
https://www.google.co.jp/search?q=%E3%81%82%E3%82%8A%E3%81%8C%E3%81%A1%E3%81%AA%E5%A5%B3%E3%81%98%E3%82%83%E3%81%AA%E3%81%84&hl=ja&rlz=1T4GGNI_ja___JP534&source=lnms&tbm=isch&sa=X&ved=0ahUKEwi74q6UtdzTAhVLn5QKHb86BR4Q_AUICygC&biw=1097&bih=439#spf=1