高校2年の微分の授業で、指数関数の微分を教えていない。
指数関数の微分は、高校3年の理系学生に、数Ⅲの「微分法」でようやく教えているようです。
しかし、ある関数の微分を教えない微分の授業というのは、微分の本質を教えていない。数学教育の崩壊に近いのではないかと考えます。
以下で、指数関数の微分を簡単に説明します。
指数関数のうち一番重要なネイピア数 e の指数関数の微分の式1を説明します。
【式1の証明の試み1】
ネイピア数 e は以下の式2で定義されます。
この式2を使って、ネイピア数 e の指数関数が以下の式3で定義できます。
この式3を微分して以下の式が得られます。
(証明おわり?)
【上の証明の数学的批判】
上の証明では、ネイピア数 e のx乗を、大きな数mを使った極限であらわした式に対して微分の公式を適用して答えを計算しています。
しかし、そもそも「微分」とは、無限に小さい微小量に関して、関数の変化率を求める計算のことです。無限に小さい微小量を使う以前にネイピア数 e の値が確定している必要があります。そのため、微分で使う無限に小さい微小量よりも、ネイピア数 e の値を定義する微小量=(1/m)の方がもっと小さい微小量でなければなりません。
(1/m)にくらべれば、微分に使う微小量の方がきめが粗いのです。そのため、(1/m)における極限を求めるよりも先に微分の公式を使うのは、数学的におかしい計算です。
【式1の証明】
(1/m)にくらべれば、微分に使う微小量Δxの方がきめが粗いということが分かったので、その、きめが粗い微小量Δxを使った微分の定義の式を使って、m乗の式を展開した以下の式を計算する。
この式は、mが十分大きいと以下の式に変形できる。
このように、先にmの極限の計算をしてから、次にΔxの極限の計算をした。
すなわち、きめの細かい(1/m)の極限を先に計算して、次に、Δxの極限の計算をしたので、この計算ならば問題ない。
(証明おわり)
(補足1)
上の計算のように、 きめの細かい(1/m)と、きめの粗いΔxを混在させた式を書くと、Δxの値が十分小さければ、それが(1/m)よりも大きくても、Δxの二乗以上の項を省略することができることが顕わにわかる。
その計算は、結果的に、mの極限を計算する前に微分の公式を適用したのと同じになりますが、その計算をしても良いことを顕わにして計算するので、その順に計算しても正しく論理性が保たれた証明ができます。
(補足2)
この様に、ネイピア数 e の指数関数が、m乗の式3で定義されているので、そのm乗の式をΔxのk乗(k=0~m)の項の和から成る多項式に展開することができ、それにより、微分の値を計算することができた。
ネイピア数 e 以外の数を底にした指数関数も、式3と同様のm乗の式であらわすことで、その指数関数の微分を計算することができる。
全ての指数関数のうち、ネイピア数 e の指数関数が、最も単純な形の式3であらわすことができる。そのため、ネイピア数 e の指数関数が最も基本的な指数関数である。
(補足3)
ネイピア数eは、以下の様にして指数関数を微分する公式を求めようと努力する中で、以下の様に定義することができる。
この式4の指数関数を微分しようとしても、直ぐには微分の計算方法がわからない。
であることを考慮して、
この式4を以下の多項式5に展開する。そうすると微分の計算ができるようになる。
先ず、以下の式6で定義する簡単な形の指数関数を考える。
この式6を、以下の様に展開する。
こうして、式5の形に展開した式8が得られた。
この式を各項毎に微分して式9を得る。
この式9により、式6で定義したネイピア数の指数関数は、微分しても同じ指数関数に戻ることがわかった。
(補足4)
ネイピア数は、指数関数の微分よりも先に対数関数の微分を考えることで、以下のように無理無く導入できる。
こうして、対数関数の微分の公式が無理なく導き出せた。
リンク:
高校数学の目次
指数関数の微分は、高校3年の理系学生に、数Ⅲの「微分法」でようやく教えているようです。
しかし、ある関数の微分を教えない微分の授業というのは、微分の本質を教えていない。数学教育の崩壊に近いのではないかと考えます。
以下で、指数関数の微分を簡単に説明します。
指数関数のうち一番重要なネイピア数 e の指数関数の微分の式1を説明します。
【式1の証明の試み1】
ネイピア数 e は以下の式2で定義されます。
この式2を使って、ネイピア数 e の指数関数が以下の式3で定義できます。
この式3を微分して以下の式が得られます。
(証明おわり?)
【上の証明の数学的批判】
上の証明では、ネイピア数 e のx乗を、大きな数mを使った極限であらわした式に対して微分の公式を適用して答えを計算しています。
しかし、そもそも「微分」とは、無限に小さい微小量に関して、関数の変化率を求める計算のことです。無限に小さい微小量を使う以前にネイピア数 e の値が確定している必要があります。そのため、微分で使う無限に小さい微小量よりも、ネイピア数 e の値を定義する微小量=(1/m)の方がもっと小さい微小量でなければなりません。
(1/m)にくらべれば、微分に使う微小量の方がきめが粗いのです。そのため、(1/m)における極限を求めるよりも先に微分の公式を使うのは、数学的におかしい計算です。
【式1の証明】
(1/m)にくらべれば、微分に使う微小量Δxの方がきめが粗いということが分かったので、その、きめが粗い微小量Δxを使った微分の定義の式を使って、m乗の式を展開した以下の式を計算する。
この式は、mが十分大きいと以下の式に変形できる。
このように、先にmの極限の計算をしてから、次にΔxの極限の計算をした。
すなわち、きめの細かい(1/m)の極限を先に計算して、次に、Δxの極限の計算をしたので、この計算ならば問題ない。
(証明おわり)
(補足1)
上の計算のように、 きめの細かい(1/m)と、きめの粗いΔxを混在させた式を書くと、Δxの値が十分小さければ、それが(1/m)よりも大きくても、Δxの二乗以上の項を省略することができることが顕わにわかる。
その計算は、結果的に、mの極限を計算する前に微分の公式を適用したのと同じになりますが、その計算をしても良いことを顕わにして計算するので、その順に計算しても正しく論理性が保たれた証明ができます。
(補足2)
この様に、ネイピア数 e の指数関数が、m乗の式3で定義されているので、そのm乗の式をΔxのk乗(k=0~m)の項の和から成る多項式に展開することができ、それにより、微分の値を計算することができた。
ネイピア数 e 以外の数を底にした指数関数も、式3と同様のm乗の式であらわすことで、その指数関数の微分を計算することができる。
全ての指数関数のうち、ネイピア数 e の指数関数が、最も単純な形の式3であらわすことができる。そのため、ネイピア数 e の指数関数が最も基本的な指数関数である。
(補足3)
ネイピア数eは、以下の様にして指数関数を微分する公式を求めようと努力する中で、以下の様に定義することができる。
この式4の指数関数を微分しようとしても、直ぐには微分の計算方法がわからない。
であることを考慮して、
この式4を以下の多項式5に展開する。そうすると微分の計算ができるようになる。
先ず、以下の式6で定義する簡単な形の指数関数を考える。
この式6を、以下の様に展開する。
こうして、式5の形に展開した式8が得られた。
この式を各項毎に微分して式9を得る。
この式9により、式6で定義したネイピア数の指数関数は、微分しても同じ指数関数に戻ることがわかった。
(補足4)
ネイピア数は、指数関数の微分よりも先に対数関数の微分を考えることで、以下のように無理無く導入できる。
こうして、対数関数の微分の公式が無理なく導き出せた。
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