2022年5月16日月曜日

確率の積の法則と並列に取り扱う法則

【確率の基本について】
 先ず最初に、、、
「確率の問題を間違えてしまう5つの原因と求め方とは?」のサイト
に記載されている、確率についての基本的考え方が身についていますか?
「確率が苦手な人には、共通する5つの原因があります。

今回の記事では、その5つと正しい求め方を数学が苦手な人にも易しく解説します。この記事を読むと自分がどうして確率の問題を間違ってしまっているかの答えが出ると思います。

Q1. リンゴ2つとバナナ4つの入ったかごから3つの果物を同時に取り出すとき、リンゴ1つとバナナ2つを取り出す確率を求めてください。

《よくある間違い》
果物を取り出した時に考えられる組み合わせは・・
{リンゴ、リンゴ、バナナ}、{リンゴ、バナナ、バナナ}、{バナナ、バナナ、バナナ}の3通り。
だから、
{リンゴ、バナナ、バナナ}になる確率は1/3になります・・・
 これは大きな間違えです。
もしこれが正解だとすると、バナナが100個の時も200個の時も答えは1/3になってしまいます。」


【積の法則】

 事象Aと事象Bが、互いに相手の事象がどうであるかに影響されずに、全く独立して起きる事象である場合は:
Aかつ Bの確率=A× B,

【積の法則と並列に取り扱う法則】
 事象Aと事象Bが、互いに相手の事象がどうであるかに影響されずに、全く独立して起きる事象である場合は:
Aまたは Bの確率=A+B-(A× B),

《証明》
Aまたは Bの確率=
={(Aで無い)かつ(Bで無い)}では無い確率
=1-(1-A)(1-B)
=1-{1-A-B+AB}
=1-1+A+B-AB
=A+B-AB
=A+B-(A× B),
(証明おわり)

 次には、それらの法則と前提条件が全く異なるので、並列には取り扱えない別物の法則:
【和の法則】

 事象 Aと事象 B が、決して両立しない事象の場合、すなわち:
確率Aで事象Aが起きているときは、
確率Bの値が(事象Aに影響されて)0に変化して、
(A× B)=0 になってしまう。そして、
Aかつ Bの確率=0,になる。
その場合は:
Aまたは Bの確率=A+B,

(決して両立しない事象の例)
Aが、雨が降る確率=1/3,
Bが、雨が降らない確率=2/3,
の場合、
AかつBの確率は、
A×B=(1/3)×0,
(Bは、Aに影響されて0になってしまうため)

(補足1)
なお、積の法則や和の法則は当たりまえのことなので、問題を解くときに、「積の法則により~」や「和の法則により~」などと書く必要は無い。


(補足2)
和の法則の説明が:
「事象Aの起こる確率が pA 、事象Bの起こる確率が pB であり、
AとBが同時には起こらないとき、
事象Aまたは事象Bが起こる確率はpA+pB である。」

と教えられていますが、その説明で使われている「同時に起こらない」という言葉は、「同時刻に起こらない」という意味では無く、「(1回の試行で)同時に起こらない」という意味です。(1回の試行で)という前提条件が無い事象の場合では「両立しない」と言う意味の言葉であることに注意すること。

【問題1】
 袋に、番号1,2,3,4,8,9,という番号が付いた6枚のカートが入っている。
(1)この袋から1枚のカードを取り出したとき、その番号が偶数である確率はいくらか。
(2)この袋から1枚のカードを取り出したとき、その番号が3の倍数である確率はいくらか。
(3)この袋から1枚のカードを取り出したとき、その番号が偶数であり、かつ、3の倍数である確率はいくらか。

【解答】
(1)カードの番号が偶数である確率は3/6=1/2
(2)カードの番号が3の倍数である確率は2/6=1/3
(3)カードの番号が偶数であり、かつ、3の倍数である確率は0
(解答おわり)

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