2011年11月20日日曜日

(2)複素数を掛け算すると偏角が足し算される

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佐藤の数学教科書「式と証明・複素数」編の勉強

 以下の内容は、むかしは、高校の検定教科書では教えないことになっていました。多分、これを教えると、その説明が分からない人が続出して、先生までも分からなくなる恐れもあり、学校にとってとても危険な教えだから、教える事が禁じられていたのかもしれません。
そのため、むかしは、以下の内容は、禁止された教えであるので、この教えを知っている事を隠して生活するのが望ましかったと考えます。

 また、以下の内容が理解できなくても、それは、”正常”な人のあかしですので、理解できなかったからといって、決して、理解できなかった事を恥じたりしないで欲しい。また、理解できないからと言って、決して、理解できた人を迫害したりしないで欲しいと思います。

s=w・z
というように、複素数wに複素数zを掛け算して複素数sを計算する場合、
複素数平面で複素数zが、0と1を結ぶ線分(実軸)から、0を中心に角度θ回転した位置にあるとき、
その角度θを偏角と呼び、θ=arg(z)とあらわします(左回りを正の角度にします)。
また、複素数zの絶対値を|z|とあらわします。

その複素数の掛け算については、以下の公式が成り立ちます。
arg(s)=arg(w)+arg(z)
|s|=|w|・|z|
以下で、これが、どうして成り立つかを説明します。

《例1》

上図のように、
複素数 w=1+i
に、実数3/2を掛け算すると、
複素数wは、実軸と成す角度が同じまま、長さ(絶対値)が3/2倍になります。

《例2》

上図のように、w=1に虚数z=iを掛け算すると、
掛け算の結果s=iになり、
数W=1と原点0を結ぶ線が左回りに90度回転します。
上図のように、w=iに虚数z=iを掛け算すると、
掛け算の結果s=-1になり、
数W=iと原点を結ぶ線が左回りに90度回転します。

《例3 w=1+iの場合》 wを更に変えて考える。

上図のように、w=1+iに虚数z=iを掛け算すると、
掛け算の結果s=-1+iになり、
数W=1+iと原点を結ぶ線が左回りに90度回転します。

《例4 w=(1+3i)/2の場合》

上図のように、w=(1+3i)/2に虚数z=iを掛け算すると、
掛け算の結果Wi=S=-(3/2)+(1/2)iになり、
複素数W=(1/2)+(3/2)iと原点を結ぶ線が左回りに90度回転します。

【重要なポイント】
 複素数Wが何であっても、それにiを掛け算した複素数は、複素数Wよりも偏角が90°回転する。その理由は、複素数Wのベクトルの実数成分も、虚数成分も、同じく90°回転した成分に変換されるからである。

 また、複素数Wに掛け算する複素数Zがその純虚数から正の実数まで変われば、複素数Wに複素数Zを掛け算した値WZは、複素数Wの偏角から90°回転するものから0°の回転まで変化する。そのことから、複素数Wが回転する角度は、それに掛け算する複素数Zの偏角と等しいだろうと容易に想像できる。

【視点を変えて考える】
 虚数iに複素数Wを掛け算した複素数は、虚数iの偏角の90°よりも複素数Wの偏角だけ回転した複素数に変換されると言える。そして、実数1に複素数Wを掛け算した複素数は、実数1の偏角の0°よりも複素数Wの偏角だけ回転した複素数に変換されると言える。そのため、ある複素数Zの実数成分も虚数成分も、同じく複素数Wの偏角だけ回転した複素数に変換される。
 このことから、複素数Zに複素数Wを掛け算すると、複素数Zが複素数Wの偏角だけ回転すると言える。ゆえに、複素数Zに複素数Wを掛け算した複素数は、複素数Zの偏角と複素数Wの偏角の和の偏角を持つと言える。

《例5 wの値もZの値も任意の場合》

上図を用いて、どのような複素数WとZについても、
複素数WZは複素数Wよりも、偏角が複素数Zの偏角θだけ大きくなり、また、その絶対値は |Z| 倍になることが証明できます。

(証明開始)
上図で、線分OAの長さの実数に複素数zを掛け算して得た複素数の点をCとする。

線分OBの長さの虚数に複素数zを掛け算して得た複素数の点をDとする。

複素数wは線分OAの長さの実数+線分OBの長さの虚数倍を足した値です。

複素数wに複素数zを掛け算した値Sは、C点の複素数にD点の複素数を足した値になる。

そのため、複素数S=WZは、ベクトルOCとベクトルODを合成したベクトルの先端位置Sに来る。すなわち複素数S=WZを表す点は、上図の長方形ODSCの頂点Sの位置に来る。


三角形OCAと三角形ODBは、Oとzと1を結んだ三角形に相似な三角形です。そのため:
辺OCの長さは、辺OAの長さの|z|倍であり、
辺ODの長さも、辺OBの長さの|z|倍です。

長方形ODSCは、長方形OBWAに対して、対応する辺OC:辺OAと、辺OD:辺OBが同じ相似比の|z|倍です。そのため両者は相似な長方形です。
また、長方形ODSCは、長方形OBWAをzの偏角θだけ回転した形をしています。

その長方形ODSCの一部のベクトルOSは、長方形OBWAの一部のベクトルOWを、zの偏角θだけ回転したベクトルになります。また、ベクトルOSの長さは、ベクトルOWの|z|倍のベクトルになります。


ベクトルOSは複素数WZです。すなわち、複素数WZは複素数Wよりも偏角がθ大きくなり、また、その絶対値は |Z| 倍になります。
(証明終わり)

このことを、数式を用いて表現すると、
arg(s)=arg(w)+arg(z)
|s|=|w|・|z|
と表現できます。

 以上の証明により、WにZを掛け算すると偏角がZの偏角θだけ増えることが証明できた。以下では、そのことがどういう事を意味するかを例6で示します。

《例6》

例えば、上図のように、zが(1+i)/√2の場合は、

0とzと(1)を結んだ三角形は、頂角が45度の二等辺三角形になります。
そして、上図のように、wに偏角が45°の複素数Z=(1+i)/√2を掛け算した場合は、
0と(wz)とwを結んだ三角形は、頂角が45度の二等辺三角形になります。

 また、uにz=(1+i)/√2を掛け算した場合は、
0と(uz)とuを結んだ三角形は、頂角が45度の二等辺三角形になります。

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