佐藤の数学教科書「式と証明・複素数」編の勉強
第5講 高次方程式
《ページ内リンク》
▷1の4乗根
▷1の5乗根
▷1の3乗根(ページ外にリンク)
▷実数の指数法則と複素数の指数法則
【問1】X4=1の解を求めよ。
X4-1=0
この方程式の4つの解を複素数平面上で表示すると、以下の図のようになります。
上の図で、
X0=1,X1=i,X2=-1,X3=-iが、
X4-1=0
の4つの解です。
X1は、複素数平面上で、0と1を結ぶ実軸上の線分から原点を中心にして単位円上を左回りに90度(π/2ラジアン)回転した位置にあり、更に、順次に90度回転した位置が、この方程式の解です。
X1と0を結ぶ直線が0と1を結ぶ実軸上の線分と成す角90度を4倍すれば360度になり、実軸に戻ります。
X2と0を結ぶ直線が0と1を結ぶ実軸上の線分と成す角180度を4倍 すれば360度×2になり、実軸に戻ります。
X3と0を結ぶ直線が0と1を結ぶ実軸上の線分と成す角270度を4倍 すれば360度×3になり、実軸に戻ります。
複素数を4乗するということは同じ複素数を4回掛け算することであり、複素数の掛け算では偏角が足し算されるので、複素数を4乗すれば、その複素数の偏角が4回足し算されて4倍になりました。
すなわち、
X4=1の複素数の解は、1の偏角を360度、360度×2、360度×3と考えて、その偏角を4分の1の90度、180度、270度にし、その偏角を持つ絶対値1の複素数の値を図から求めれば、それがX4=1の複素数の解になります。
【問2】X5=1の解を求めよ。
X5-1=0
この方程式の5つの解を複素数平面上で表示すると、以下の図のようになります。
上の図で、
が、X5-1=0
の5つの解です。
X1は、複素数平面上で、0と1を結ぶ実軸上の線分から原点を中心にして単位円上を左回りに2π/5ラジアン回転した位置にあり、更に、順次に2π/5rラジアン回転した位置が、この方程式の解です。
X1と0を結ぶ直線が0と1を結ぶ実軸上の線分と成す角2π/5ラジアンを5倍すれば2πになり、実軸に戻ります。
X2と0を結ぶ直線が0と1を結ぶ実軸上の線分と成す角2π×(2/5)ラジアンを5倍すれば2π×2になり、実軸に戻ります。
以下、同様に、X3とX4は、2π×3、2π×4になり、実軸に戻ります。
結局、
X5=1の複素数の解は、2π/5ラジアン×整数倍の偏角を持つ絶対値1の複素数の値を図から求めれば、それがX5=1の複素数の解になります。
同様に考えることで、
Xn=1の複素数の解は、2π/nラジアン×整数倍の偏角を持つ絶対値1の複素数の値を図から求めれば、それがXn=1の複素数の解になります。
すなわち、値1の点を頂点の1つにする正n角形の各頂点が、その方程式の解になります。
【問2(b)】X5=1の解を、三角関数の値も計算して求めること。
この解の求め方を次のページで解説します。
しかし、次のページを直ぐには見ないで、
しばらくここに留まって、この解を自力で求める努力をしてください。
《実数の指数法則と複素数の指数法則》
なお、1の3乗根の基本単位や1の5乗根の基本単位は以下の式で表すのが良いと思います。
そうすると、1の2乗根の基本単位の値も、1とするよりは、以下の式で表した方が良いと思います。
そして、以下の演算が成り立つと考えられます。
今後は、以下の様に、1の2乗根は基本単位で表して計算すると良い。そうすると√ は正の値を表すものとした表現ルールに合わなくなる(そもそも正の数では無い虚数を√ 記号で表した時点でルール違反)ので√ 記号は使わず2分の1乗記号で表した1の2乗根の基本単位を使って計算した方が良いと思います。
しかし、指数法則
が使えるためには、
と展開しても矛盾させないために、
(1の有理数乗や実数乗は全て1)とせざるを得ないので、悩ましい問題です。
という矛盾も起こさないようにする必要もあります。
という矛盾もだめです。
それらの矛盾を回避するためには、指数法則
と、
は、
a>0, b>0, (指数の底は必ず正にする)
の場合に限って使えるように制限することによって、上の式の問題を回避します。これが、実数の指数法則です。
一方、虚数iの演算は、虚数記号iを使って、その記号の演算ルールで計算することにし、実数の指数法則は虚数の演算には関与させない(複素数の指数法則は後で説明する)ことで問題を回避します。
複素数の指数法則は、以下の様に実数の指数法則を拡張します。複素数zは、以下の式のように、ネイピア数(正の実数です)の複素数乗であらわします。
この形で表した複素数は、ネイピア数が正の数なので、指数の底が正の実数であるという指数法則の基本条件を満足しています。指数関数の底は正の実数のままにして、指数だけを複素数まで拡張して指数法則を拡張します。複素数の指数法則の下でも、1の複素数乗は1になります。
そして、1の2つの2乗根を以下の計算で求めます。
1の2乗根を求めるために指数法則を適用する1は底がeであって、指数が異なる2つの数に分けて扱います。こうすれば、1の2乗根の1つを-1にでき、もう1つを1にできます。
また、以下の計算のように指数法則を矛盾を生じないように使えます。以下の計算の一番左側の項の(-1)の2分の1乗は、√(-1)という表現と同じく間違った表現です。(-1という数は、指数が異なる2つの数に分けて扱うべき)。しかし、(-1)の2乗根を表すために、あえて間違った使い方をしました。
上の式で(-1)をeのπi乗であらわしましたが、(-1)は、eの(-πi)乗でも表されます。そのように表された2つ目の(-1)の2分の1乗は-iになります。
以下のように、1の2乗根の2つを、指数法則を使って寄り道して計算することもできます。(以下の計算式の一番左側の項の1の2分の1乗は1です。しかし、1の2乗根を表すために、あえて間違った使い方をしました)。この指数法則の計算では矛盾が生じていない。
(補足)なお、指数法則が、高校2年生までは、指数関数の指数が整数である場合に限って、指数法則の基本条件が緩められて、指数関数の底は0で無いこと。底が負でも良いとされていました。しかし、指数が有理数になると、その条件では指数法則が成り立たなくなり、指数関数の底は正の実数であるという基本条件を満足する必要があります。指数法則のこの基本条件は、指数が実数や複素数になっても変わりません。
(蛇足)ちなみに底が0の場合は、以下のようになると考えられる。
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高校数学の目次
「n乗根1」大学入試から学ぶ高校数学
第5講 高次方程式
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▷実数の指数法則と複素数の指数法則
【問1】X4=1の解を求めよ。
X4-1=0
この方程式の4つの解を複素数平面上で表示すると、以下の図のようになります。
上の図で、
X0=1,X1=i,X2=-1,X3=-iが、
X4-1=0
の4つの解です。
X1は、複素数平面上で、0と1を結ぶ実軸上の線分から原点を中心にして単位円上を左回りに90度(π/2ラジアン)回転した位置にあり、更に、順次に90度回転した位置が、この方程式の解です。
X1と0を結ぶ直線が0と1を結ぶ実軸上の線分と成す角90度を4倍すれば360度になり、実軸に戻ります。
X2と0を結ぶ直線が0と1を結ぶ実軸上の線分と成す角180度を4倍 すれば360度×2になり、実軸に戻ります。
X3と0を結ぶ直線が0と1を結ぶ実軸上の線分と成す角270度を4倍 すれば360度×3になり、実軸に戻ります。
複素数を4乗するということは同じ複素数を4回掛け算することであり、複素数の掛け算では偏角が足し算されるので、複素数を4乗すれば、その複素数の偏角が4回足し算されて4倍になりました。
すなわち、
X4=1の複素数の解は、1の偏角を360度、360度×2、360度×3と考えて、その偏角を4分の1の90度、180度、270度にし、その偏角を持つ絶対値1の複素数の値を図から求めれば、それがX4=1の複素数の解になります。
【問2】X5=1の解を求めよ。
X5-1=0
この方程式の5つの解を複素数平面上で表示すると、以下の図のようになります。
上の図で、
が、X5-1=0
の5つの解です。
X1は、複素数平面上で、0と1を結ぶ実軸上の線分から原点を中心にして単位円上を左回りに2π/5ラジアン回転した位置にあり、更に、順次に2π/5rラジアン回転した位置が、この方程式の解です。
X1と0を結ぶ直線が0と1を結ぶ実軸上の線分と成す角2π/5ラジアンを5倍すれば2πになり、実軸に戻ります。
X2と0を結ぶ直線が0と1を結ぶ実軸上の線分と成す角2π×(2/5)ラジアンを5倍すれば2π×2になり、実軸に戻ります。
以下、同様に、X3とX4は、2π×3、2π×4になり、実軸に戻ります。
結局、
X5=1の複素数の解は、2π/5ラジアン×整数倍の偏角を持つ絶対値1の複素数の値を図から求めれば、それがX5=1の複素数の解になります。
同様に考えることで、
Xn=1の複素数の解は、2π/nラジアン×整数倍の偏角を持つ絶対値1の複素数の値を図から求めれば、それがXn=1の複素数の解になります。
すなわち、値1の点を頂点の1つにする正n角形の各頂点が、その方程式の解になります。
【問2(b)】X5=1の解を、三角関数の値も計算して求めること。
この解の求め方を次のページで解説します。
しかし、次のページを直ぐには見ないで、
しばらくここに留まって、この解を自力で求める努力をしてください。
《実数の指数法則と複素数の指数法則》
なお、1の3乗根の基本単位や1の5乗根の基本単位は以下の式で表すのが良いと思います。
そうすると、1の2乗根の基本単位の値も、1とするよりは、以下の式で表した方が良いと思います。
そして、以下の演算が成り立つと考えられます。
今後は、以下の様に、1の2乗根は基本単位で表して計算すると良い。そうすると√ は正の値を表すものとした表現ルールに合わなくなる(そもそも正の数では無い虚数を√ 記号で表した時点でルール違反)ので√ 記号は使わず2分の1乗記号で表した1の2乗根の基本単位を使って計算した方が良いと思います。
しかし、指数法則
が使えるためには、
と展開しても矛盾させないために、
(1の有理数乗や実数乗は全て1)とせざるを得ないので、悩ましい問題です。
という矛盾も起こさないようにする必要もあります。
という矛盾もだめです。
それらの矛盾を回避するためには、指数法則
と、
は、
a>0, b>0, (指数の底は必ず正にする)
の場合に限って使えるように制限することによって、上の式の問題を回避します。これが、実数の指数法則です。
一方、虚数iの演算は、虚数記号iを使って、その記号の演算ルールで計算することにし、実数の指数法則は虚数の演算には関与させない(複素数の指数法則は後で説明する)ことで問題を回避します。
複素数の指数法則は、以下の様に実数の指数法則を拡張します。複素数zは、以下の式のように、ネイピア数(正の実数です)の複素数乗であらわします。
この形で表した複素数は、ネイピア数が正の数なので、指数の底が正の実数であるという指数法則の基本条件を満足しています。指数関数の底は正の実数のままにして、指数だけを複素数まで拡張して指数法則を拡張します。複素数の指数法則の下でも、1の複素数乗は1になります。
そして、1の2つの2乗根を以下の計算で求めます。
1の2乗根を求めるために指数法則を適用する1は底がeであって、指数が異なる2つの数に分けて扱います。こうすれば、1の2乗根の1つを-1にでき、もう1つを1にできます。
また、以下の計算のように指数法則を矛盾を生じないように使えます。以下の計算の一番左側の項の(-1)の2分の1乗は、√(-1)という表現と同じく間違った表現です。(-1という数は、指数が異なる2つの数に分けて扱うべき)。しかし、(-1)の2乗根を表すために、あえて間違った使い方をしました。
上の式で(-1)をeのπi乗であらわしましたが、(-1)は、eの(-πi)乗でも表されます。そのように表された2つ目の(-1)の2分の1乗は-iになります。
以下のように、1の2乗根の2つを、指数法則を使って寄り道して計算することもできます。(以下の計算式の一番左側の項の1の2分の1乗は1です。しかし、1の2乗根を表すために、あえて間違った使い方をしました)。この指数法則の計算では矛盾が生じていない。
(補足)なお、指数法則が、高校2年生までは、指数関数の指数が整数である場合に限って、指数法則の基本条件が緩められて、指数関数の底は0で無いこと。底が負でも良いとされていました。しかし、指数が有理数になると、その条件では指数法則が成り立たなくなり、指数関数の底は正の実数であるという基本条件を満足する必要があります。指数法則のこの基本条件は、指数が実数や複素数になっても変わりません。
(蛇足)ちなみに底が0の場合は、以下のようになると考えられる。
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