2013年10月31日木曜日

問題をやさしくする数学(21)論理の問題の反例範囲を分割する

http://schoolhmath.blogspot.jp/2013/10/blog-post_29.html
http://schoolhmath.blogspot.jp/2013/11/blog-post.html
【問】
実数a,bに関する条件p,qを次のように定める。
p: (a+b)+(a-2b)<5
q: (a+b)<1 または (a-2b)<4
次の①~④のうち、命題「q⇒p」に対する反例になっているのはどれか。
(反例候補)
①a=0,b=0
②a=1,b=0
③a=0,b=1
④a=1,b=1

【解答】
命題「q⇒p」に対する反例は、
q及び(pで無い)が成り立つ場合である。

(1)命題pとqをパラメータaとbであらわす式が複雑なので、命題の式の方をX、Yとおいて命題を見やすくする
(2)命題qが複雑なので、命題rとsの2つの命題に分けて、命題qを(rまたはs)に変換ずる。
r: (a+b)<1
s: (a-2b)<4

命題「q⇒p」に対する反例は、
(rまたはs)及び(pで無い)が成り立つ場合である。
この命題の範囲は、以下の式のように変換する。

(rまたはs)については、
(rまたは(s及び(rで無い)))
として、重なりが無い反例範囲に分ける。
そして、結局、反例範囲を、AとBとの2つに分ける。

(問題を簡単にする工夫)
このAとBとについて、別々に反例をさがす。
このAとBの反例範囲には、範囲の重なりが無いので反例探しに無駄が無い。
AとBとを別々に探すと、反例範囲の図は正確に書かないでも良く、図が簡単に手間がかからないようになる。

先ず、反例範囲Aに反例候補①②③④が入るかを調べる。
反例範囲を以下の図の斜線であらわす。

③の、a=0,b=1の場合は、
X=1なので、rを満足しない。よって反例では無い。

次に、反例範囲Bに反例候補①②③④が入るかを調べる。

③の、a=0,b=1の場合は、
Y=-2なので、sを満足しない。よって反例では無い。
④の、a=1,b=1の場合は、
X=2,Y=-1なので、sを満足する。
また、円周上の点なので、(pで無い)も満足する。
よって、④が反例である。
(解答おわり)

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2013年10月29日火曜日

論理の問題では余分な部分を無くす(20)問題をやさしくする数学

http://schoolhmath.blogspot.jp/2013/10/blog-post_28.html
http://schoolhmath.blogspot.jp/2013/10/blog-post_31.html
【問】三角形に関する条件p,q,rを次のように定める。
p: 3つの内角がすべて異なる。
q: 直角三角形でない
r: 45°の内角は一つもない
命題「(pまたはq)⇒r」に対する反例になっている三角形を考えよ。

【解答1】
命題「(pまたはq)⇒r」に対する反例は、
(pまたはq)及び(rでない)
です。

これは、
と書きます。

この式を以下の様に変形して考える。

この式は:
1行目の式:
この式の命題pのうち、qである場合は、その命題pと(又は)でつなぐ命題qに含まれていて余分なので、
pについては、p及び(qでない)場合のみを考えて、
そう書き換えた命題と(又は)命題qと記述した2行目の式に書き換えた。

そうして書き換えた2行目の式を整理して得た3行目の式は:
(p及び(qでない)及び(rでない))または(q及び(rでない))
という意味です。

(p及び(qでない)及び(rでない))
または
(q及び(rでない))
の何れかが有れば、それが反例である事を示す式です。

以上を以下の様に整理して書く。
ここで、
(p及び(qでない)及び(rでない))
については、
上図に書いたとおり、有り得ないことです。
そのため、反例は、

残りの式の、
q及び(rで無い)
のみだと分かりました。

すなわち、反例は:
(直角三角形でない)及び(45°の内角が1つ以上ある)
とわかりました。
 (解答おわり)

【解答2】

最初の式:
この式の命題qを、
その命題qと(又は)でつなぐ命題pに含まれていて余分なので、
q及び(pでない)と書き換えてみます。
そう書き換えた命題と(又は)命題pと記述した、以下の2行目の式に書き換える。
そして式を整理する。
 すなわち、反例のうちの1つは、最後の行の式の右の項があらわす命題:
(直角三角形でない)及び(3つの内角のうち少なくとも2つが同じ)及び(45°の内角が1つある)
とわかりました。
それは、45°を頂角とする二等辺三角形です。
(解答おわり)

【解答3】

この問題の命題がややこしくて考えにくいので、
問題を等価な、わかり易い問題に変換して考える。
(問題A)
p: 3つの内角がすべて異なる。
q: 直角三角形でない
r: 45°の内角は一つもない
命題「(pまたはq)⇒r」に対する反例になっている三角形を考えよ。


(問題B)
s: 二等辺三角形である。
t: 直角三角形である
u: 45°の内角を持つ
命題「((sでない)または(tでない))⇒(uで無い)」に対する反例になっている三角形を考えよ。


このように分かり易くした問題Bを解く。
反例を命題の式に書くと以下の式になる。
 
ここで、
(s及びt)

は、直角二等辺三角形
という、命題です。
よって、反例は、
(直角二等辺三角形ではない)及び(45°の内角を持つ)
であるとわかりました。
(解答おわり)

(補足1)
この解答3の方が、解答1よりも使い易い解き方のように思います。

(補足2)
 論理の問題の解き方は、以下の様に、論理式で書く命題を整理して記述した上で、論理式を簡単化することで解けば良いと考えます。
(解答3のように)
①意味の把握しにくい命題を、もっと単純な命題を種にして、意味をわかりにくくしている部分を論理式で記述する。
②複雑な論理式を単純な論理式に変形する。
(解答1のように)
③ (又は記号)でつなぐ命題Aと命題Bは、(及び記号)で重なる部分が無い命題にA’と命題Bという、命題の重なり部分という余分な部分が無い命題に置き換えて、その命題A’とBを(又は記号)でつないだ論理式を記述する。
④複雑な論理式を単純な論理式に変形する。 
 そのように、
(1)問題を把握し易いように書き換えて記述し、
(2)その書き換えた論理式を単純化して、
(3)その単純化した論理式を見て考える解き方で解けば良いと考えます。

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2013年10月28日月曜日

問題をやさしくする数学(19)座標系を変える



【問】実数a,bに関する条件p,qを次のように定める。
p: (a+b)+(a-2b)<5
q: (a+b)<1 または (a-2b)<4
次の①~④のうち、命題「q⇒p」に対する反例になっているのはどれか。
①a=0,b=0
②a=1,b=0
③a=0,b=1
④a=1,b=1

【解答】
命題「q⇒p」に対する反例は、
q及び(pで無い)が成り立つ場合である。

命題pとqが複雑なので、命題の式の方をX、Yとおいて命題を見やすくし、
q及び(pで無い)が成り立つ場合を以下の図の斜線であらわす。
図の円周上の点は(pで無い)条件を満足している。

上図の斜線の範囲にある(X,Y)がq及び(pで無い)が成り立つ場合である。
とりあえず、XとYでbをあらわすと、
b=(X-Y)/3
である。
そのため、Y=Xの直線上の点はb=0を満たす点であることがわかる。
b=0でY=Xの直線上にある場合は、
a≧√(5/2)
あるいは、
a≦-√(5/2)
がなりたつべきであるが、
①と②はこの条件を満足していない。よって反例では無い。

あとは、③と④を個々に調べれば良い。
③の、a=0,b=1の場合は、
X=1,Y=-2なので、qを満足しない。よって反例では無い。
④の、a=1,b=1の場合は、
X=2,Y=-1なので、qを満足する。
また、円周上の点なので、(pで無い)も満足する。
よって、④が反例である。
(解答おわり)


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2013年10月27日日曜日

計算の道を作る


http://schoolhmath.blogspot.jp/2013/11/blog-post_2.html
計算ミスを無くす方法
のサイトの助言がとても良いと思います。
 このサイトでは、計算ミスを少なくするための1つとして、
とにかく計算方法をどんどん覚えること
を推薦してます。
 的確なアドバイスと思います。

 以下のよう三角形の外接円の中心Oと一辺BCとの作る二等辺三角形OBCの面積を求める問題を解いてみます。
 最初の計算では、△OBC=2×△OBPとして計算します。
試験問題として答えは、(r・sinA)(r・cosA)までで十分で、これで解答が終わっています。

 試験問題を解くときには時間が無いのでできないことですが、問題を解いたら、次のように進むのが、数学の心を捉えた良い数学の学び方と思います。
 つまり、次に、その答えを、自分の知っている三角関数の倍角の公式を使ってsin(2A)の形に変形して結果がどうなるかを調べてみます。

 そしてこの答えを見ることで、△OBCの面積は、辺OBと辺OCと、その間の角(2A)のsinとの積の2分の1であるとして直ぐ答えを計算できることが見出せます。
 すなわち、最初の計算方法と、次に分かった計算方法との2つの計算方法があることがわかります。こうして自分が発見した(作った)計算の道の、その2つ目の解き方は自然に覚えられます。

 こうして、1つ問題を解く毎に、新しい計算の道も作って、2つ以上の解き方を覚えていくことができます。
 1問あたりに2倍の計算方法を覚えるので、確実に問題を解く力がついていきます。

 このように問題を解いた後に、その問題を更に解析してもう1つの解き方まで発見する時間はとても大切なものです。
 試験問題としてだけで問題を解くのは最低限度に留めて、
このように時間をかけて問題を何重にも解く時間をなるべく多く持つようにしましょう。

  そうすれば、問題を解く計算の道が網の目のように張りめぐらされて、どの計算の道にも熟達します。
 それにより、計算がつっかえて時間が足りなくなってあせるために起きる計算ミスを減らせます。


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2013年10月26日土曜日

計算ミス対策(18)計算の道を覚える



計算ミスを無くす方法
のサイトの助言がとても良いと思います。
 このサイトでは、計算ミスを少なくするための1つとして、
とにかく計算方法をどんどん覚えること
を推薦してます。
 的確なアドバイスと思います。

以下のよう二等辺三角形の底辺の長さxを求める問題の解き方の道が4つあります。どの道を進んでも結局cosAが必要になります。
どの計算の道も最後まで通れるように、計算の道を覚えておきましょう。
 そうすれば、計算がつっかえて時間が足りなくなってあせるために起きる計算ミスを減らせます。

必ず覚えるようにしたいですが、

数学センスに従う覚え方は、忘れる事を利用して、
以下の様に覚える事だと思います。
(1)先ず覚えて、次に、忘れて心の片隅に残す。
(2)この解き方が必要になった場面で、心の片隅からこの解き方がささやく心の声に従って、この公式を自分で導き出す。
(3)自分で導き出した公式は忘れない。本当に覚えるためには、最初は、忘れる事が必要だと思います。
(4)結論:
この解き方は、忘れられるようにし、次には、この解き方が必要になる場面に出会うため、問題を解く数学の勉強に多くの時間を使って数学に親しむ事に心がける。そうすれば心豊かに数学を学ぶことができると思います。
豊かに数学を学ぶため、覚えた事は忘れるように数学を学んで欲しい。
忘れる事を前提にして、十分な時間を数学とともに過ごす習慣をつけて欲しい。そのようにして忘れる事を受け入れて数学を学べば、数学とともに過ごす時間が楽しくなり、数学が人生を豊かにしてくれると思います。




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2013年10月25日金曜日

計算ミス対策(17)図形を覚える



計算ミスを無くす方法
のサイトの助言がとても良いと思います。
 このサイトでは、計算ミスを少なくするための1つとして、
とにかく計算方法をどんどん覚えること
を推薦してます。
 的確なアドバイスと思います。

以下のように三角形の外接円の直径2rを計算する式を直ぐ思い出せるように、直径2rをあらわす形の式も覚えておきましょう。
 そうすれば、計算がつっかえて時間が足りなくなってあせるために起きる計算ミスを減らせます。

必ず覚えるようにしましょう。


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2013年10月19日土曜日

(18)面の法線への射影を利用した連立方程式の解法



【問】以下の連立方程式を解いて未知数sを求めよ。

【解答】
 連立方程式はベクトル方程式とみなして解くとやさしくなります。以下のようにベクトルの張る面に垂直な法線への射影を利用すると連立方程式の1つの未知数sを素早く求めることができます。

この式の水平面を張るベクトルbとcを、もっと使いやすいベクトルb’とc’に変更します(同時に未知数wとuも変わります)。
(ここで、水平面には変わりがありません)

このように、成分の1つを0にしたベクトルb’とc’で水平面を張ります。
このベクトル方程式を以下のようにして解きます。 


(解答おわり)

① 先ず、問題の連立方程式の右辺のベクトルeのY成分のベクトルの高さを6zとしました。
② ベクトルbとcの張る面を水平面とする。ベクトルcのY成分の高さは①との関係で、高さ2zです。
③ ベクトルbのY成分の高さは①との関係で、高さzです。
④ ベクトルaのY成分の高さは①との関係で、高さ3zです。
⑤ ベクトルcは水平面上のベクトルなので、そのX成分はY成分による高さ2zを打ち消す高さ-2zです。
⑥ ベクトルeのX成分の高さは⑤との関係で、高さ-2z・2です。
⑦ ベクトルaのX成分の高さは⑤との関係で、高さ2zです。
⑧ ベクトルbは水平面上のベクトルなので、そのZ成分はY成分による高さzを打ち消す高さ-zです。
⑨ ベクトルeのZ成分の高さは⑧との関係で、高さ2zです。
⑩ ベクトルaのZ成分の高さは⑧との関係で、高さz/2です。

問題の連立方程式のsに掛かる高さは(⑦+④+⑩)であり、右辺の高さは(⑥+①+⑨)です。その比を計算してsが得られました。

【別解】ベクトルの外積を利用して計算すると、以下のように答えが得られます。

(解答おわり)
ベクトルの外積を利用する方が速そうです。


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(17)ベクトルの外積と3元連立方程式



【問】以下の連立方程式を解いて未知数sを求めよ。

ページ内リンク
▷第1の解
▷第2の解
▷第3の解
▷第4の解
▷第5の解

【第1の解】
 連立方程式はベクトル方程式とみなして解くとやさしくなります。以下のようにベクトルの張る面に垂直な法線への射影を利用すると連立方程式の1つの未知数sを素早く求めることができます。


(第1の解おわり)

① 先ず、問題の連立方程式の右辺のベクトルeのY成分のベクトルの高さを6zとしました。
② ベクトルbとcの張る面を水平面とする。ベクトルcのY成分の高さは①との関係で、高さzです。
③ ベクトルbのY成分の高さは①との関係で、高さ6zです。
④ ベクトルcは水平面上のベクトルなので、そのZ成分はY成分による高さzを打ち消す高さ-zです。
⑤ ベクトルbのZ成分の高さは④との関係で、高さ-z/2です。
⑥ ベクトルbは水平面上のベクトルなので、そのX成分はY成分とZ成分による高さを打ち消す高さ-11z/2です。
⑦ ベクトルaのX成分の高さは⑥との関係で、高さ(11z/2)(3/2)です。

問題の連立方程式のsに掛かる高さは⑦であり、右辺の高さは①です。その比を計算してsが得られました。


【第2の解】
 ベクトルの外積を利用して計算すると、以下のように答えが得られます。
(第2の解おわり)
ベクトルの外積を利用する方が速そうです。



【第2の解(その2)】
 第2の解の方法を、以下に整理して書きます。
なお、
である。
 連立方程式2から4が解を持たない場合もあり得るが、それは、式6,9,10の分母が0になる場合に生じる。
(第2の解(その2)おわり)

【第3の解】
 上記の第2の解とは異なる、以下の解き方で連立方程式を解く事もできます。
式15から17を使って以下の式18と19を導き出す。
この式18と19は、ベクトルzと内積計算した値が0になる、ベクトルzに垂直な2つのベクトルを表しています。
ベクトルzは、その2つのベクトルを外積したベクトルに平行である。
そのため、未知の係数kを使った以下の式20が得られる。
係数kは、式20と式15から得る式21で計算できる。
よって、ベクトルz=(s,w,u)が以下の式22で求められる。
この式22を変形して、以下の式23も得られる。
 連立方程式15から17が解を持たない場合もあり得るが、それは、式23の分母が0になる場合に生じる。
  (第3の解おわり)

なお、
である。

 この式22及び式23の解は、第2の解(その2)の式6から式10の解とは異なる形で表された解ですが、同じ解をあらわしています。

【第4の解】
 以下の解き方で連立方程式を解く事もできます。
これは、解が無い連立方程式が、その解が無いことが明確に分かる方法です。

の形をした、未知数s,t,uの連立方程式の問題を考える。具体的には以下の式を考える。

この連立方程式の各方程式の表す面の法線ベクトルは上記の通りである。各面の法線ベクトルが互いに垂直になるように、各面の方程式を変形する。


更に変形する。

このように、各面の法線ベクトルが互いに垂直になるように、各面の方程式を変形して上記の式を得た。そうすると、上記の式(7)によって、この方程式が解を持たないことが明らかに現れてきた。
(第4の解おわり)

【第5の解】
 以下の解き方でも、解が無い連立方程式が、その解が無いことが明確に分かる。
 
以下の、未知数s,t,uの連立方程式を考える。

この連立方程式の拡大係数行列を以下に書く。

1行目-3(3行目):
2行目-4(3行目):

1行目/2:

2行目-3(1行目):

このように方程式を加減算する変形だけで、上記の式が得られる。その2行目の式によって、この方程式が解を持たないことが明らかに現れた。
(第5の解おわり)

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