以下では、ベクトルを使って、ベクトルで記述した方程式を解きます。
ベクトルの問題の解法の1つに「ベクトル方程式」というものがあります。しかし、以下の様なベクトルで記述した方程式の解を求めるには、「ベクトル方程式」のみでは解けません。「ベクトル方程式」を使う以上に、ベクトルで記述した多くの公式を組み合わせて問題を解きます。
ベクトルで問題を解くということは、ベクトルという記述手段を利用して問題を記述し、多くの公式を適用することで問題を解く作業を行なうということです。
いわば、ベクトルは問題や公式を記述する道具であって、ベクトル自身の法則を使って問題を解くというのはごく一部の問題に限られています。
そのため、ベクトルの問題を解くということは、ベクトルで記述された公式を使って図形の問題を記述し、その図形問題を、図形を考えることで、図形を解くあらゆる手段を用いて解くという作業です。例えば、XY座標系のグラフを使ってグラフの連立方程式を作って問題を解くことだってあり得ます。
そのため、ベクトルの独特の計算方法によって問題を解いているような場合も、その計算は、従来の計算方法を、ベクトルという表現手段を使って、整理した形で表現しているだけなのではないかという視点も持って問題解法を見るようにして欲しいと思います。
【問1】
座標原点を中心にする半径1の円(x2+y2=1)に対して、
接点B(b1,b2)から引いた接線と、接点C(c1,c2)から引いた接線の交点A(a1,a2)をあらわすベクトルを求めよ。
(参考)点BとCから引いた円の接線の交点Aを、直線BCに対する円の極と呼びます。
【解答】
(第1種の解)
線分OAの長さをaとする。
点BとCの中点をEとする。
2角が等しいため、△ABO∽△BEO
∴OA/OB=OB/OE
a/1=1/OE
OE= 1/a
すなわち、ベクトルOEの長さは1/aで、OAの長さはaである。
そして、ベクトルOAはベクトルOEに平行なので、ベクトルOAは以下の式で計算できる。
(解答おわり)
(第1種の解その2)
上の解で式1と式2を導出した後は、以下のベクトルの計算によって解を求めることもできます。
この式b9は、式5と同じ形の、ベクトルOAの解である。
(解答おわり)
(第2種の解)
長さgのベクトルEB=βはベクトルOEに垂直である。
そのベクトルEBを90度回転したベクトルαはベクトルOEに平行なベクトルである。
以下では、そのベクトルαを使って、ベクトルOAをあらわす式を計算する。
(解答おわり)
(第2種の解その2)
以下の図のように、ベクトルOBに垂直なベクトルuと、ベクトルOCに垂直なベクトルwを考える。
ベクトルOAを、以下の、変数sを使った式8と、変数tを使った式9との2通りにあらわす。
ベクトルOAを未知数kとhを持つ以下の式10の形で計算することにする。
式8と式10を合わせる。
式9と式10を合わせる。
式12と式14を式10に代入して、ベクトルOAをあらわす。
この式15は、式7と同じ形の、ベクトルOAの解である。
(解答おわり)
(補足1)
ベクトルOAをあらわす解答の式は、式5の形の第1種の解と、式7の形の第2種の解との、異なる2つの形の式であらわされた。
この2つの形の異なる式は、同じ値をあらわし、両者とも、これ以上単純な式であらわすことができない同等な解である。
この解は、ここをクリックした先のページで、複素数平面の助けを借りて統一された1つの単純な形で表現できる。
また、この式5の形の解は、xy座標系であらわした接線の式の連立方程式の解では容易には導けない(連立方程式を解くと、通常は、式7の形の解が導かれる)という特徴がある。
この式5は、以下の「ひし形の対角線の直交の公式」を使うことで、式7に変換できる。
<大きさが同じベクトルbとcで描いたひし形の対角線の直交の公式>
詳しくは:
(解の式5の変換開始)
この式a4の公式を使って、式5であらわしたベクトルOAの1つの成分を変換する。
こうして、式7であらわしたベクトルOAの成分が得られた。
式5であらわしたベクトルOAの残りの成分についても同様に計算すれば、式7であらわしたベクトルOAの成分が得られる。
(解の式5の式7への変換おわり)
また、三角関数を使うと、この2つの式は以下の式に単純化される。
(補足2)
式5の解と式7(式15)の解は、以下の図の、ひし形の対角線ベクトル変換公式を使うことで、もっと簡単に変換できる。
(ひし形の対角線ベクトル変換公式)
(ひし形の対角線ベクトル変換公式おわり)
このひし形の対角線ベクトル変換公式を使うと、式5が以下の様に変換できる。
(解の式5の変換開始)
この式16は、式15及び式7と同じ形の式である。
(解の式5の式7への変換おわり)
ひし形の対角線ベクトル変換公式を使うことで、このように簡単に式5から式7への変換ができた。
そもそも、式5と式7との2つの形の解をあらわすことができる原因は、ひし形の対角線ベクトル変換公式によってあらわされる、同じベクトルが2つの形で表現できるという現象に起因するからです。
ベクトルの問題を解くという作業は、
(1)求めるベクトルの解をどのベクトルを使って表すかを選択ずる。
(2)次に、その2つのベクトルの線形結合の係数を計算して求める。
という作業です。
ベクトルの問題を解く計算の結果で、解を表現するために適切なベクトルが選び出されてくるということは起こらず、
(1)の段階で基準ベクトルを選ぶことで、解に使われるベクトルが決まってしまいます。それ以外のベクトルによっては、その解があらわされなくなります。式15等はその様にして解を表すベクトルを定めています。
ここで、あるベクトル系で解を表現した場合に、その解は、ひし形の対角線ベクトル変換公式により、そのベクトル系の直交ベクトル系で表現したもう1つの解の表現ができます。その解は、一見、全く異なる解に見えますので注意する必要があります。
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ベクトルの問題の解法の1つに「ベクトル方程式」というものがあります。しかし、以下の様なベクトルで記述した方程式の解を求めるには、「ベクトル方程式」のみでは解けません。「ベクトル方程式」を使う以上に、ベクトルで記述した多くの公式を組み合わせて問題を解きます。
ベクトルで問題を解くということは、ベクトルという記述手段を利用して問題を記述し、多くの公式を適用することで問題を解く作業を行なうということです。
いわば、ベクトルは問題や公式を記述する道具であって、ベクトル自身の法則を使って問題を解くというのはごく一部の問題に限られています。
そのため、ベクトルの問題を解くということは、ベクトルで記述された公式を使って図形の問題を記述し、その図形問題を、図形を考えることで、図形を解くあらゆる手段を用いて解くという作業です。例えば、XY座標系のグラフを使ってグラフの連立方程式を作って問題を解くことだってあり得ます。
そのため、ベクトルの独特の計算方法によって問題を解いているような場合も、その計算は、従来の計算方法を、ベクトルという表現手段を使って、整理した形で表現しているだけなのではないかという視点も持って問題解法を見るようにして欲しいと思います。
【問1】
座標原点を中心にする半径1の円(x2+y2=1)に対して、
接点B(b1,b2)から引いた接線と、接点C(c1,c2)から引いた接線の交点A(a1,a2)をあらわすベクトルを求めよ。
【解答】
(第1種の解)
線分OAの長さをaとする。
点BとCの中点をEとする。
2角が等しいため、△ABO∽△BEO
∴OA/OB=OB/OE
a/1=1/OE
OE= 1/a
すなわち、ベクトルOEの長さは1/aで、OAの長さはaである。
そして、ベクトルOAはベクトルOEに平行なので、ベクトルOAは以下の式で計算できる。
(解答おわり)
(第1種の解その2)
上の解で式1と式2を導出した後は、以下のベクトルの計算によって解を求めることもできます。
(解答おわり)
(第2種の解)
そのベクトルEBを90度回転したベクトルαはベクトルOEに平行なベクトルである。
以下では、そのベクトルαを使って、ベクトルOAをあらわす式を計算する。
(解答おわり)
(第2種の解その2)
以下の図のように、ベクトルOBに垂直なベクトルuと、ベクトルOCに垂直なベクトルwを考える。
ベクトルOAを、以下の、変数sを使った式8と、変数tを使った式9との2通りにあらわす。
ベクトルOAを未知数kとhを持つ以下の式10の形で計算することにする。
式8と式10を合わせる。
式9と式10を合わせる。
式12と式14を式10に代入して、ベクトルOAをあらわす。
この式15は、式7と同じ形の、ベクトルOAの解である。
(解答おわり)
(補足1)
ベクトルOAをあらわす解答の式は、式5の形の第1種の解と、式7の形の第2種の解との、異なる2つの形の式であらわされた。
この2つの形の異なる式は、同じ値をあらわし、両者とも、これ以上単純な式であらわすことができない同等な解である。
この解は、ここをクリックした先のページで、複素数平面の助けを借りて統一された1つの単純な形で表現できる。
また、この式5の形の解は、xy座標系であらわした接線の式の連立方程式の解では容易には導けない(連立方程式を解くと、通常は、式7の形の解が導かれる)という特徴がある。
この式5は、以下の「ひし形の対角線の直交の公式」を使うことで、式7に変換できる。
<大きさが同じベクトルbとcで描いたひし形の対角線の直交の公式>
詳しくは:
(解の式5の変換開始)
この式a4の公式を使って、式5であらわしたベクトルOAの1つの成分を変換する。
こうして、式7であらわしたベクトルOAの成分が得られた。
式5であらわしたベクトルOAの残りの成分についても同様に計算すれば、式7であらわしたベクトルOAの成分が得られる。
(解の式5の式7への変換おわり)
また、三角関数を使うと、この2つの式は以下の式に単純化される。
(補足2)
式5の解と式7(式15)の解は、以下の図の、ひし形の対角線ベクトル変換公式を使うことで、もっと簡単に変換できる。
(ひし形の対角線ベクトル変換公式)
このひし形の対角線ベクトル変換公式を使うと、式5が以下の様に変換できる。
(解の式5の変換開始)
(解の式5の式7への変換おわり)
ひし形の対角線ベクトル変換公式を使うことで、このように簡単に式5から式7への変換ができた。
そもそも、式5と式7との2つの形の解をあらわすことができる原因は、ひし形の対角線ベクトル変換公式によってあらわされる、同じベクトルが2つの形で表現できるという現象に起因するからです。
ベクトルの問題を解くという作業は、
(1)求めるベクトルの解をどのベクトルを使って表すかを選択ずる。
(2)次に、その2つのベクトルの線形結合の係数を計算して求める。
という作業です。
ベクトルの問題を解く計算の結果で、解を表現するために適切なベクトルが選び出されてくるということは起こらず、
(1)の段階で基準ベクトルを選ぶことで、解に使われるベクトルが決まってしまいます。それ以外のベクトルによっては、その解があらわされなくなります。式15等はその様にして解を表すベクトルを定めています。
ここで、あるベクトル系で解を表現した場合に、その解は、ひし形の対角線ベクトル変換公式により、そのベクトル系の直交ベクトル系で表現したもう1つの解の表現ができます。その解は、一見、全く異なる解に見えますので注意する必要があります。
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