以下で、2円の交点を通る直線の全てを求めることができるか調べる。
【課題】2つの円、
(円1) (x-1)2+y2=1 (式1)
(円2) (x+1)2+y2=1 (式2)
がある。この2つの円の交点を全て(この場合は座標原点のみ)を通る全ての直線の式を求める方法を調べる。
この課題の円の(式1)と(式2)の連立方程式の解が交点(この場合は座標原点)の座標になる。
この式1と式2をどの様に使えば、その交点を全て通る全ての直線の式を求めることができるかを調べる。
(調査研究の開始)
この課題は、以下の形の式を作る問題です。
(直線3) ax+by=c (式3)
(第1の計算方針)
m(式1)+n(式2)を計算することで、直線3の式を求める。
計算の見通しを良くするために、式にmを掛け算してm倍になる項を全て左辺に集めた式に整えて計算する。
(円1) (x-1)2+y2-1=0 (式1’)
x2-2x+1+y2-1=0,
x2+y2-2x=0 (式4)
(円2) (x+1)2+y2-1=0 (式2’)
x2+2x+1+y2-1=0,
x2+y2+2x=0 (式5)
(直線3の式の計算)
先ず、m(式4)+n(式5)を計算することで、直線3の式を求める。
m(x2+y2-2x)+n(x2+y2+2x)=0 (式6)
この式6を、式3と等しくなるように、mとnの値を決める。
式6と式3を比較し易いように、式6を変形する。
(m+n)x2+(m+n)y2
+(-2m+2n)x
=0, (式7)
直線の式3には、x2の項やy2の項が無いので、上の式7もそれらの項の係数が0でなければならない。
(詳しくは、以下のように考える)
式7が式3と等しいためには、両式の各係数が等しくなければならない。
<式7> <式3>
x2の係数: (m+n) =0, (式8)
y2の係数: (m+n) =0, (式8と同じ)
xの係数: (-2m+2n)=a,
yの係数: 0 =b,
定数項の係数: 0 =-c,
式8以外の式は未知数a,b,cを定める式であって、mとnを限定する式ではないので、mとnを限定するのは式8のみ。
よって、
m+n=0 (式8)
この式8の条件を満たすmとnのどの組合せでも良い。
とりあえず、m=1、n=-1に決める。
その場合は、式7は、以下の式になる。
(-2-2)x=0,
-4x=0,
(-4)で式全体を割り算する。
x=0 (式9)
この式9が求める式3の形(を変形した形)の具体的式である。
(注意)この式9は、式4と式5を加えて得た式であるので、式1と式2の円の交点(座標原点)を通る。
しかし、図から明らかなように、円1と円2の全ての交点(座標原点のみ)を通る直線は、この式9だけでは無い。
(結論)
式6の計算だけでは、円1と円2の全ての交点を通る全ての直線の式が得られないことがあることが分かった。
【課題】2つの円、
(円1) (x-1)2+y2=1 (式1)
(円2) (x+1)2+y2=1 (式2)
がある。この2つの円の交点を全て(この場合は座標原点のみ)を通る全ての直線の式を求める方法を調べる。
この課題の円の(式1)と(式2)の連立方程式の解が交点(この場合は座標原点)の座標になる。
この式1と式2をどの様に使えば、その交点を全て通る全ての直線の式を求めることができるかを調べる。
(調査研究の開始)
この課題は、以下の形の式を作る問題です。
(直線3) ax+by=c (式3)
(第1の計算方針)
m(式1)+n(式2)を計算することで、直線3の式を求める。
計算の見通しを良くするために、式にmを掛け算してm倍になる項を全て左辺に集めた式に整えて計算する。
(円1) (x-1)2+y2-1=0 (式1’)
x2-2x+1+y2-1=0,
x2+y2-2x=0 (式4)
(円2) (x+1)2+y2-1=0 (式2’)
x2+2x+1+y2-1=0,
x2+y2+2x=0 (式5)
(直線3の式の計算)
先ず、m(式4)+n(式5)を計算することで、直線3の式を求める。
m(x2+y2-2x)+n(x2+y2+2x)=0 (式6)
この式6を、式3と等しくなるように、mとnの値を決める。
式6と式3を比較し易いように、式6を変形する。
(m+n)x2+(m+n)y2
+(-2m+2n)x
=0, (式7)
直線の式3には、x2の項やy2の項が無いので、上の式7もそれらの項の係数が0でなければならない。
(詳しくは、以下のように考える)
式7が式3と等しいためには、両式の各係数が等しくなければならない。
<式7> <式3>
x2の係数: (m+n) =0, (式8)
y2の係数: (m+n) =0, (式8と同じ)
xの係数: (-2m+2n)=a,
yの係数: 0 =b,
定数項の係数: 0 =-c,
式8以外の式は未知数a,b,cを定める式であって、mとnを限定する式ではないので、mとnを限定するのは式8のみ。
よって、
m+n=0 (式8)
この式8の条件を満たすmとnのどの組合せでも良い。
とりあえず、m=1、n=-1に決める。
その場合は、式7は、以下の式になる。
(-2-2)x=0,
-4x=0,
(-4)で式全体を割り算する。
x=0 (式9)
この式9が求める式3の形(を変形した形)の具体的式である。
(注意)この式9は、式4と式5を加えて得た式であるので、式1と式2の円の交点(座標原点)を通る。
しかし、図から明らかなように、円1と円2の全ての交点(座標原点のみ)を通る直線は、この式9だけでは無い。
(結論)
式6の計算だけでは、円1と円2の全ての交点を通る全ての直線の式が得られないことがあることが分かった。
(疑問)
式6の計算によって、式4と式5を加え合わせるmとnの値をどの様に変えても、この式9の直線以外は得られないのだろうか、どこに見落としがあるのだろうか。
この疑問への答えを考えた結果、以下の答えが得られた。
(疑問の解決)
式9を、式4又は式5に代入すると、以下の式10が得られる。
y2=0 (式10)
∴ y=0 (式11)
式9と式11を連立すると、
任意のaとbに関して:
ax+by=0 (式12)
すなわち、任意のaとbに関する直線が、
円1と円2の全ての交点(原点のみ)を通る。
こうして、式9を元の円の式に代入する計算をすれば、円1と円2の全ての交点を通る全ての直線の式を求めることができることが分かった。
この様に、式9を元の円の式に代入するという発想は、式9だけでは円の交点を通る全ての直線が求められていないという事が分かっているからこそ、発想できた。そのように解の全てが予測できなければ、この解には至らなかった。
(結論)
以上の考察の結果、計算する際には、その計算で得られた解が全ての解であるかが分かるように、計算の見通しを良くする事がとても大切であることが分かった。
(計算の見通しを良くするにはベクトルで考える)
式と図形の計算式の見通しを良くするには、ベクトルの概念を使って、式をまとめて(整理して)考えることが効果的です。そのため、式と図形の計算の学習と並行して、ベクトルの概念も学んでいってください。
リンク:
高校数学の目次
式6の計算によって、式4と式5を加え合わせるmとnの値をどの様に変えても、この式9の直線以外は得られないのだろうか、どこに見落としがあるのだろうか。
この疑問への答えを考えた結果、以下の答えが得られた。
(疑問の解決)
式9を、式4又は式5に代入すると、以下の式10が得られる。
y2=0 (式10)
∴ y=0 (式11)
式9と式11を連立すると、
任意のaとbに関して:
ax+by=0 (式12)
すなわち、任意のaとbに関する直線が、
円1と円2の全ての交点(原点のみ)を通る。
こうして、式9を元の円の式に代入する計算をすれば、円1と円2の全ての交点を通る全ての直線の式を求めることができることが分かった。
この様に、式9を元の円の式に代入するという発想は、式9だけでは円の交点を通る全ての直線が求められていないという事が分かっているからこそ、発想できた。そのように解の全てが予測できなければ、この解には至らなかった。
(結論)
以上の考察の結果、計算する際には、その計算で得られた解が全ての解であるかが分かるように、計算の見通しを良くする事がとても大切であることが分かった。
(計算の見通しを良くするにはベクトルで考える)
式と図形の計算式の見通しを良くするには、ベクトルの概念を使って、式をまとめて(整理して)考えることが効果的です。そのため、式と図形の計算の学習と並行して、ベクトルの概念も学んでいってください。
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