2018年5月11日金曜日

微分積分学の基本定理

https://schoolhmath.blogspot.jp/2017/06/blog-post_2.html
https://schoolhmath.blogspot.jp/2017/08/blog-post_17.html

 微分積分学の基本定理は、高校の微分積分で当然な定理として使っています。

 しかし、正しい「微分積分学の基本定理」は、関数f(x)を、それが連続な所定の領域で積分する場合に限られています。関数f(x)を、それが連続な領域:
a≦x≦b
内で定積分(注意:高校教科書の定積分の定義は間違っています)することで関数S(x)を求めます。
その関数をxの関数として求めます。
その関数S(x)をxで微分したら、
元の関数f(x)が得られたので感動した!
という内容が、微分積分学の基本定理です。

 しかし、高校の数学の教科書では、関数の積分S(x)を、
S’(x)=f(x)
となる原始関数として定義しています。
そのように定義すると、
そういうふうに定義した「積分」(微分積分学の基本定理が成り立つように積分を定義した)を、
微分積分学の基本定理の「積分」の定義にすると、
微分積分学の基本定理の意味が不明になります。
教科書の積分の定義が微分積分学の基本定理そのものですので、その定義と同じ内容に見える微分積分学の基本定理を説明する意義が有りません。

 しかし、「積分」がそのように定義されるという教科書の記述は嘘です。そのため、微分積分学の基本定理の存在意義があります。
 そもそも、積分の概念は、日本の高校の教科書が微分の逆演算で定義しているような狭い貧弱な概念ではありません。積分の概念は、数学の研究対象を微小な部分に分割して研究し、その微小部分を集積した全体にまとめ上げて全体を考えるという、適用範囲が広い概念なのです。

 高校の微分・積分の教科書は分かりにくいだけで無く、間違いも含まれています。読まない方が良いのではないかと考えます。高校の微分積分を勉強するなら、先ず、大学生向けの微分積分の参考書を読むことを推薦します。高校2年生が勉強するのに適切な、書店で購入できる微分積分の参考書は:
「やさしく学べる微分積分」(石村園子) ¥2000円
が内容がわかり易くて良いと思います。
この本の36ページから45ページまで読めば、微分の概念から始めて合成関数の微分の公式まで学ぶことができます。

 高校生は、成人に成長する最終段階にいます。自ら研究して数学の独自分野を開拓する高校生もいると思います。高校生は数学の参考書を高校生向けの本に限定するこだわりは捨て、大学生向けの参考書も、自分に合っていると思えばどんどん吸収していく事が望ましいと考えます。

【微分積分学の基本定理】
関数f(x)が、変数xの実数の区間:
a≦x≦b
において連続な場合を考える。
(1)
x=aにおいてf(x)が連続であるので、関数の連続の定義に従って、
関数f(x)は、x=aの点より広い範囲の、少なくとも、
区間:
a − δ<x<a + δ
を含む範囲で定義されている。
(関数の定義域は、必ずそれが連続な領域よりも広いということは、いつも意識していて下さい)
そして、その領域内で関数が連続なので、
x→a でのf(x)極限値と、
x=aにおける値f(a)とが等しい。
(2)
x=bにおいてf(x)が連続であるので、
bについても同様な関係がある。
(3) 
以上のことから、
関数f(x)は、少なくとも区間:
a-δ<x<b+δ
を含む範囲で定義されている。
(4)
 また、関数f(x)が定義されている変数xの範囲で関数f(x)が積分可能です。そのため、その変数xの範囲での積分結果の関数F(x)は、その変数xの範囲で値を持ちます。すなわち、積分結果の関数F(x)は被積分関数f(x)と同じxの定義域を持ちます。
(5)
 しかし、
a-δ<x<b+δ
を含む範囲で定義されている関数F(x)を微分すると、その微分で得られた関数F’(x)は、関数F(x)の境界では微分不可能であって微分係数を持ちません。
そのため、関数F’(x)の定義域は、関数F(x)の定義域よりも狭い、
a≦x≦b
で定義されます。
積分前の関数f(x)の定義域に比べ、それを積分して更に微分して得た関数F’(x)の定義域の方が狭くなります。

(6)
以上で説明した定義域を持つ関数f(x)に関して以下の関係式が成り立つ。
すなわち、式2で定義された原始関数F(x)を、
式3のように、その微分可能な範囲:
aーδ<a≦x≦b<b+δ
で微分して得た導関数は、
その微分可能な範囲:
a≦x≦b
において、 元の連続関数f(x)(その領域内で連続な関数f(x))と一致する。
(基本定理の定義:おわり)

(備考1)
(第1のポイント)
 この基本定理の定義のポイントは、関数の連続の定義に従って:
a≦x≦b
の範囲で連続な関数f(x)の変数xの定義域は、少なくとも、
a-δ ≦ x ≦ b+δ
で定義されている。
(関数の定義域は、必ずそれが連続な領域よりも広いということは、いつも意識していて下さい)
その定義域が
a≦x≦b
よりも広いことが、微分積分学の基本定理の定義の第1のポイントです。

 (第2のポイント)
 そして、この基本定理は、関数f(x)の定義域の一部の領域:
a≦x≦b
に限定した定理であって、関数f(x)の定義域の全領域について成り立つ関係を述べた定理では無いというのが第2のポイントです。
 すなわち、関数f(x)は、その定義域内ではあるが、その一部の領域:
a≦x≦b
の外の領域:
x<aや、b<x
の点では連続で無くても良く、
関数f(x)を積分して微分した導関数が元のf(x)に戻る必要も無い。
そういう異常な領域を除外した領域
a≦x≦b
に限ることで、
定理が適用できる関数f(x)の自由度を高くしているという特徴もあります。 

例えば、以下の図の、関数f(x)が連続な範囲で、f(x)を積分してF(x)が得られます。
(注意)この関数f(x)は、x=0で不連続ですが、その不連続点以外の図の、関数が連続な範囲内のxで連続です。その範囲内で、この関数f(x)が連続関数(その領域内で関数が連続)であると定義されます。 
(関数の定義域は、必ずそれが連続な領域よりも広いということは、いつも意識していて下さい)
このF(x)を、元の関数が連続な範囲で微分すれば、その範囲内では、元と同じ関数f(x)が得られます。

(補足)
  元の関数f(x)の定義域の境界では、導関数F’(x)が定義されないが、その境界のxの値は、関数f(x)が連続な範囲の外にあるので、関数f(x)の連続である範囲に限れば、導関数F’(x)が存在し、それがf(x)に一致する。

(連続関数(その領域内で連続な関数)を使う利点)
変数xが、
a≦x≦b
で連続な連続関数f(x)(その領域内で関数が連続)の関数の定義域は、少なくとも、
a-δ<x<b+δ
の範囲を含みます。
 (関数の定義域は、必ずそれが連続な領域よりも広いということは、いつも意識していて下さい)
そして、関数f(x)は、それが定義された範囲で積分できるので、f(x)を積分して得た関数F(x)の定義域はf(x)の定義域と一致します。
そのため、関数f(x)及びF(x)は、その定義域より狭い範囲である:
a≦x≦b
において微分可能になり得ます。
この、微分可能な範囲は、関数f(x)が連続な範囲と同じになります。
 これにより、関数f(x)が連続な変数xの範囲で、関数f(x)及びF(x)が微分可能にもなり得るという、使い易い利点があります。

《下図に各種の関数の集合の包含関係をまとめた》

【問題を解く実用性に優れた形で表現した、微分積分学の基本定理】
大学1年生向けの参考書であるが、高校2年生が勉強するのに良い参考書の、「やさしく学べる微分積分」(石村園子) の106ページに書いてある形の、微分積分学の基本定理が、問題を解く役に立つ、実用性に優れています。
(基本定理の定義の開始)
 関数y=f(x)が、
a≦x≦b
上で連続とする。
(関数の定義域は、必ずそれが連続な領域よりも広いということは、いつも意識していて下さい)
とおくと、次のことが成り立つ。
(1)S(x)はf(x)の原始関数の1つである。
(2)F(x)をf(x)の任意の原始関数とすると、
 が成立する。
(定理の定義おわり)

【この定理の主要な命題の対偶】
 この定理の意味を理解するために、この定理の述べる主要な命題の対偶を考えて、対偶によって定理を理解するようにします。

(基本定理の対偶(その1)の定義の開始)
とおいたとき、ある値のcとdで
となるならば、
関数y=f(x)は、
a≦x≦b のどこかで不連続である。
(対偶(その1)の定義おわり)
 この対偶が成り立つだろうかと考えると、f(x)が不連続であっても、
とはならず、この式の左右の辺の式は等しくなると考えます。
 この式の左右の辺の式が等しく無いという事にはならなければ、左右の辺の式が等しく無い場合にどうなるかという話自体が意味を失います。
 このことによって、この定理に対偶(その1)が成立し得ると考えたことが、意味の無い事を考えるという間違いであり、それでは、この定理を正しく理解していなかったことが分かりました。

 再度、この定理を正しく理解したと言える、定理の対偶を考えます。
(基本定理の対偶(その2)の定義の開始)
とおいたとき、ある値のcとdで
という計算をすることができない場合は、
関数y=f(x)は、
a≦x≦b のどこかで不連続である。
(対偶(その2)の定義おわり)
 すなわち、この対偶(その2)は、不連続点を含む範囲では積分できないことがあると言う命題です。
 この命題は意味を持ちます。
 意味のある対偶が考えられたので、対偶の元になった定理も、そのように解釈すべきです。

(基本定理の正しい定義の開始)
 関数y=f(x)が、
a≦x≦b
上で連続とする。
(関数の定義域は、必ずそれが連続な領域よりも広いということは、いつも意識していて下さい)
その条件が成り立つならば、必ず、 
という計算をすることができる。
そして、次のことが成り立つ。
(1)S(x)はf(x)の原始関数の1つである。
(2)F(x)をf(x)の任意の原始関数とすると、
 が成立する。
(定理の定義おわり)
  すなわち、基本定理の意味は、その定理の命題が、S(x)の式の積分計算を可能にする十分条件(関数が連続である)を述べたものであることがわかります。
 この基本定理の命題が正しいか否かは、連続関数(その領域内で関数が連続)が、「関数の積分を可能にする十分条件」になるか否かによって決まる、そして、関数はその関数が連続な領域で積分可能なので、微分積分学の基本定理が成り立つ、ということがわかります。

「やさしく学べる微分積分」(石村園子)の106ページの形の微分積分学の基本定理を使うと、以下の定理がすぐに導き出せる。
【定理】
a≦x≦b
の範囲で連続な関数f(x)がある場合:

(関数の定義域は、必ずそれが連続な領域よりも広いということは、いつも意識していて下さい) 
a<x<b
の範囲で、
f(x)>0
ならば、
a≦x≦bの範囲で、
f(x)の原始関数F(x)は単調増加である。
(定理の定義おわり)

(証明開始)
関数f(x)が
a≦x≦b
で連続であるので、
a≦x<x≦b
なるxとxに関して、
微分積分学の基本定理により、

よって、
F(x)は単調増加である。
(証明おわり)


以下の定理があります。 
【定理】
a≦x≦b
の範囲で連続な関数F(x)がある場合:

(関数の定義域は、必ずそれが連続な領域よりも広いということは、いつも意識していて下さい)
a<x<b
の範囲で、
F’(x)≡f(x)>0
ならば、
a≦x≦bの範囲で、
関数F(x)は単調増加である。
(定理の定義おわり)


平均値の定理を使って、この定理を証明しておきます。
(証明開始)
a≦x≦b
の範囲で連続な関数F(x)が:

a<x<b
の範囲で微分可能で、
F’(x)=f(x)
の場合、
平均値の定理によって、
a≦x1<x2≦b
なるx1とx2に関して、
(F(x2)-F(x1))/(x2-x1)=f(x)
となるxが、
a≦x1<x<x2≦b
に、少なくとも1つ存在する。
その範囲で、
f(x)>0
なので、
F(x2)>F(x1)
である。
よって、F(x)は単調増加である。
(証明おわり) 

(備考2)
 なお、全ての種類の関数における、積分前の関数f(x)と、微分前の関数F(x)との、変数xの一部の定義域での微分積分のあり得る関係が以下の図であらわせます。
(なお、F(x)として考えられる関数の、関数が連続な領域内の至るところ微分不可能な関数であるワイエルシュトラス関数等は、不連続点を持たないが、微分不可能です。)
(上図で、関数f(x)は、除去可能な不連続点を除去した関数です。関数F(x)は、関数F(x)の不連続点を除いた変数xの範囲でf(x)の原始関数であるとともに、f(x)の原始関数でもあります)

 上図の、f(x)とF(x)の関数のセットの例:
以下で定義する関数のセットでは、f(x)にx=xで除去不可能な不連続点があって、f(x)は不連続関数(その点で関数が不連続な関数であって、その点以外の領域では関数が連続な連続関数である)です。
 しかし、この不連続点を持つ関数f(x)を、その不連続点を含む範囲で定積分することで定義した関数F(x)が、その不連続点の位置xでも変数xで微分可能で、F(x)を微分すると再び不連続点を持つf(x)が得られます。
(F(x)の定義)
x≠0の場合:
x=0の場合: F(0)=0,

(導関数f(x))
この関数F(x)はx≠0の場合も、x=0の場合も、微分可能で、
その導関数f(x)は、以下の式であらわせます。
x≠0の場合の微分:
になり、xが0に近づくとー1と1の間を振動します。
この導関数が含むcos(1/x)の関数が以下のグラフであらわす形の関数になるからです。
X=0の場合にも、F(x)は微分可能で:
というように、0になります。
そのため、この導関数f(x)は、x=0で連続ではありませんが、F(x)を微分することで得られます。
この導関数f(x)は積分可能であり、積分するとF(x)になります。 

 この関数F(x)はx=0で連続な連続関数(その点で関数が連続)です。
(関数の定義域は、必ずそれが連続な領域よりも広いということは、いつも意識していて下さい)

 この様な複雑な関係の中から、比較的に扱い易い連続関数(その領域内で関数が連続)を使って従来の微分積分学の基本定理が定められています。

 また、大学以上の微分積分学では、積分の定義をどんどん拡張して、何でも積分できるようにして、ある関数f(x)を積分して不連続点を持つ関数F(x)を得ることができるようにし、その不連続点を持つ関数F(x)を微分して関数f(x)を得ることができるように、微分の定義も拡張するというような事も行なわれます。
 そのように微分・積分の定義を拡張する入口に、微分積分の基本定理が置かれています。
 そのため、微分積分学の基本定理の:
という式の意味することは:
この公式の前提条件以外の条件によってこの式と異なる結果が得られるわけでは無く、
この式を成り立たせるように、f(x)とF(x)を対応させる規則である微分と積分とを矛盾が生じ無い様に定義を修正して、この式を成り立たせているのです。

【ここをクリックした先に、まぼろしの基本定理があります】

リンク:
高校数学の目次


0 件のコメント:

コメントを投稿