2017年1月27日金曜日

ペル方程式で解ける不定方程式

【問】(高校生の難問)
以下の不定方程式の整数解をすべて求めよ。
(コメント)この問題は、ペル方程式で解けます。
大学入試問題に出題されることもあるようですが、
高校生には難問ですので、理系難関大学や医学部を受験しようとしている高校3年生以外は、この問題をやらなくても良いと思います。
該当する高校生であっても、参考に見ておくだけで十分と思います。

【解1】

解のいくつかを求める。
もう1つの解を計算する。
この場合はx,yは自然数解を持たない。
もう1つの解を計算する。
これは自然数解を持つ。 

次に、1つの解を得た場合に他の解を求める漸化式を作る。
作成する漸化式は、以下の式を満たす漸化式にします。
1つの解uが得られた場合に他の解Uを与える漸化式8を、行列Mを使った式で定義します。
式3を扱い易くするために、式3の係数を以下の行列の要素aで定義します。
以下のようにして、行列Mの要素の満たす式を求める。
この式の左右の項の行列を計算する。
この式を満たす行列は以下の式で与えられる。cとdは選択の自由度を与える未知数である。
この式を満足するcとdの整数解を1つ、以下の様に求め、それを使って、行列Mを定める。
これで、1つの漸化式の行列Mが得られた。
ペル方程式の場合は、この漸化式だけで全ての解を計算できることが分かっている。
 すなわち、ペル方程式では、c+d√3の値を最小にする自然数解(c,d)=(2,1)を使って上の漸化式を作れば、その漸化式で作った解が全ての自然数解をあらわす。

(漸化式の他の導出方法)
 以下のようにこの漸化式を導出する方が簡単なようです。

 この漸化式を使って、解を順次に計算できるが、以下では、その計算を先回りして解をあらわす式を求める。
この式を変形して、係数zとmとを使った以下の形の式に変形する。

この式を解いてzとmを定める。

zとmが2組あることで以下の式が成り立つことを利用して解を計算する。

以下のようにk番目の解を計算する。

(注意)この解のx,yには、整数解以外の解が混在しているので、
解を選別して整数解だけを抽出する必要がある。 

((U1,k ,U2,k)の式を導き出す簡単な計算方法)
 以下の様にすると簡単に計算できます。
(漸化式の他の導出方法)の計算を続けて、以下の計算をします。
(注意)この解のx,yには、整数解以外の解が混在しているので、
解を選別して整数解だけを抽出する必要がある。
(解答おわり)

【解2】 
 解2では、解1によって計算するx,yの解には整数解以外の解が混在していたのを改善する。
 この式B1を式2に代入する。
 ここで、には正負の何れかであるかが決まっていない自由度がある。
6y+1=1(mod3)であるので、u=1(mod3)である=か、-u=1(mod3)である-を6y+1に等しいと計算する。
(後の計算で、 常に正のu=1(mod3)であることが分かる)

この式から、以下の漸化式が得られる。
この漸化式に従うと、 
順次に計算する正のuは常に、1(mod3)となることが分かる。
そのためyの整数解は、B3’のみで計算しなければならない。
一方でxの整数解は、正負のを使って、いずれの計算でも整数解が得られる。

この漸化式を使って、(x,y)の整数解をいくつか求めてみる。
 これらの計算において、計算した(x,y)は全て整数解になったので、整数解以外の解の混在を無くすことができたと考えられる。

 次に、漸化式の計算を繰り返す手順を飛び越えて、一般解をあらわす式を求める。
この一般解の式のx,yには、整数解以外の解が混在していないと考える。

リンク:
高校数学の目次


2017年1月25日水曜日

不定方程式の難問

【難問】以下の不定方程式の整数解をすべて求めよ。

(コメント)この問題は、ペル方程式で解くこともできない。
とても難問です。


【解答】(途中までの速報)



すなわち、この式が成り立つには、nが5の倍数5pである必要がある。

1つの解は見つけた。

この問題は、海外のインターネットで議論されていて、
それ以外の解も求められている。
(x,y)=(1541,-1822)
も解であり、
それ以外にも解がありますが、
解の個数は有限のようです。

そのインターネットのサイトには、
簡単な構造の漸化式により、
1つの解から、他の解が得られると書いてありました。
ただし、そのサイトの漸化式は間違っていましたので、
正しい漸化式を計算して記録に残すことにします。

とりあえず、1つの解を得た場合に他の解を求める漸化式を作ってみます。
 この式の解の漸化式を1つ作ります。
この式と整数解を求めるx,yとの関係を以下に整理しておきます。
作成する漸化式は、以下の式を満たす漸化式にします。
 1つの解uが得られた場合に他の解Uを与える漸化式を、行列Mを使った式11で定義します。
式5’を扱い易くするために、その係数を以下の行列の要素aで定義します。
 この式に、先の式11を代入して、以下のようにして、行列Mの要素の満たす式を求める。
この式の左右の項の行列を計算する。
この式を満たす行列は以下の式で与えられる。cとdは選択の自由度を与える未知数である。
この式を満足するcとdの整数解を1つ、以下の様に求め、それを使って、行列Mを定める。
 これで、1つの漸化式の行列Mが得られた。
この漸化式を使って、以下のように問題を解析し、この漸化式の有効性を調べる。
先に求めた解
(s,t)=(16,5)
に、この漸化式を適用する。
上のように、この漸化式を使って(s、t)=(u,u)の解を順次に計算したが、その解の(u,u)の組に対する(x,y)が整数になる解が直ぐにはみつからなかった。

次に、以下の(s、t)=(u,u)の組を求めて、この漸化式を適用して他の解を得て(x,y)の整数解を探した。
以上のように1つの整数解(x,y)の組(1541,-1822)がみつかった。

更に、以下の(s、t)=(u,u)の組を求めて、この漸化式を適用して他の解を得て(x,y)の整数解を探した。
以上のように1つの整数解(x,y)の組(-40119,-64312)がみつかった。

 以上の計算の結果、この漸化式は、解を探すのにある程度役に立った。

先のサイトに書いてあった解を見ると、以上の探索により得た解は、小さな値の解を漏らさず探索できていた。
そのため、この漸化式は結構役にたっていることがわかった。

 以上でいくつかの解が得られた。
 次に、全ての解を網羅する漸化式があるのかどうか、以上の解を使って調べてみる。
(解答途中)

リンク:
高校数学の目次


2017年1月11日水曜日

2重条件の条件付き確率

【問題】(難問)
 イベント1で、赤コイン1つと白コイン1つが入っている袋から1つのコインを机の上に取り出しコインの色とコインの面が表か裏かを記録してコインを袋に戻す。そしてイベント2で再度、同じことを繰り返してコインの色とコインの面が表か裏かを記録した。

 その2回のイベントで少なくとも1回は、白コインでコインの面が表であるコインが記録された。
 こうなる条件のもとで、この2回のイベントの2回とも、袋から取り出したコインが白コインであった条件付き確率を求めよ。

解答は、ここをクリックした先のページにあります。

リンク:
高校数学の目次


2017年1月9日月曜日

条件付き確率の入試問題9

【問題】  5回に1回の割合で帽子を忘れるくせのあるK君が、正月にA,B,C3軒を順に年始まわりをして家に帰ったとき、帽子を忘れてきたことに気がついた。2番目の家Bに忘れてきた確率を求めよ。
(1976年 早稲田大)


解答は、ここをクリックした先のページにあります。

リンク:
高校数学の目次


2017年1月8日日曜日

条件付き確率の問題文の意味

以下の例題1から4を参考にして、「条件付き確率」の意味を説明する。

【例題1】
 2枚のコインを投げて裏が出ているコインが有ると判ったとき、両方のコインが裏である確率はいくらか?

【解答】
 下図の縦線は、○印で交差する横線の樹形図の枝を束ねた部分的枝をあらわします。
 この基本樹形図を使うことで、 
コインが2つとも裏である条件付き確率は、1/3である。
(解答おわり)

【例題2】
 2枚のコインを投げて、1つのコインAに裏が出ていると判ったとき、両方のコインが裏である確率はいくらか?

【解答】
下図の縦線は、○印で交差する横線の樹形図の枝を束ねた部分的枝をあらわします。
 この基本樹形図を使うことで、 
コインが2つとも裏である確率は、1/2である。
(解答おわり)

【例題3】
 2枚のコインを投げて、1つのコインBに裏が出ていると判ったとき、両方のコインが裏である確率はいくらか?

【解答】
下図の縦線は、○印で交差する横線の樹形図の枝を束ねた部分的枝をあらわします。
 問題の解き方の視点を変えたこの基本樹形図を使っても、 
コインが2つとも裏である確率は、1/2である。
(解答おわり)

(疑問1)
 コインAが裏である場合のコインBが裏の確率が1/2であり、コインBが裏である場合のコインAが裏の確率が1/2であるのに、なぜ、コインAかコインBのいずれかが裏である場合の、それ以外のコインが裏である確率が、それらと異なる値の1/3になるのか?
(理由)
 コインAかコインBのいずれかが裏である場合には、コインAが裏である場合とコインBが裏である事象が独立に有るわけでは無い。
 コインAが裏である事象とコインBが裏である事象は同時に生じることができる。
 そのため、コインAが裏である事象とコインBが裏である事象を合わせて、コインAかコインBのいずれかが裏である事象を構成するとき、事象同士が干渉して確率の値を変えるという現象が起きたと考える

【例題4】
 2枚のコインを投げて、1つのコインに裏が出ていると判ったとき、両方のコインが裏である確率はいくらか?
(問題のあいまいさ)
 この例題4は、
(1)1つのコインを調べて、表であるか裏であるかを確認したら、裏が出ていると判った。このとき両方のコインが裏である確率はいくらか?
という意味の問題であると解釈したら、
例題2か例題3の問題であるので、
答えは1/2である。

 しかし、この例題4を、
(2)コインAとコインBを両方とも調べた結果、いずれか1つのコインに裏が出ていると判った。このとき両方のコインが裏である確率はいくらか?
という意味の問題であると解釈したら、
例題1の問題であるので、
答えは1/3である。

 また、例題4を、
(3)「2枚のコインを投げて、両方のコインをしらべたら、いずれか1つのコインのみに裏が出ていて他のコインには裏が出てない(表だった)ことが判ったとき、両方のコインが裏である確率はいくらか?」
という意味の問題であると解釈したら、
それは、両方のコインの片方は裏では無い場合だけを考えている問題であるので、
答え:両方のコインが裏になる確率は0である。

 例題4のように、どうにでも解釈できる意味不明な問題(愚問)もあり得るので、 問題文を良く読んで、愚門は解かないように注意しましょう。
(補足)
 例題4を以下の文に書き直したら、
2枚のコインを投げて、いずれか1つのコインのみを調べたら、そのコインに裏が出ていると判ったとき、両方のコインが裏である確率はいくらか?」
という文にすれば、
例題2又は3の問題であることが明確になる。

リンク:
高校数学の目次