2017年7月24日月曜日

合成関数の微分の公式の種々の証明



(注意)
 このページは、初めて合成関数の微分の公式を学ぶ者にとって内容が多くなり過ぎました、そのため、この内容を短くしたページを作りました。
初めて合成関数の微分の公式を学ぶ人は、ここをクリックした先のページを先に見てください。
その後で必要があれば、このページに戻ってきてください。

(5)微分の知識の整理 
の章に入ります。

(ページ内リンク)
▽合成関数とは
▽合成関数の微分の公式の本質が見えない形の表現の問題
▽合成関数の微分の公式のごまかしが無い証明
  ▽簡単でわかり易い証明
  ▽完全な証明
  ▽間違えやすい証明
▽微分可能で無いとき起きる不思議な現象
▽合成関数の微分の公式の本質

 高校生が数学の学習から脱落する:

高校2年生から、極限・微分・積分の「意味がわからない」「つまらない」「教わる計算方法が正しいと言える理由(証明)がわからない」で数学の学習から脱落する高校2年生が多いらしい。
 その脱落の原因は、どうやら、合成関数の微分の公式らしい。

 高校3年の教科書の合成関数の微分の公式の証明が間違っているのと、
 高校2年に微分を教える際に合成関数の微分の公式を教えない教育が1955年ころから続いているのと、
それと、合成関数の微分の公式の表現そのものが、異なる関数を同じ記号で表す混乱があり、また、関数と関数の値とを区別しないことで、学生が覚えたばかり関数の定義を否定するちゃぶ台返しで関数の定義をひっくり返していること等が、
 「微分の意味がわからない」原因になっているのではないかと考えます。

 それらの間違いを正すことで、数学の学習から脱落する者を減らすため、 合成関数の微分の公式を高校教科書よりも正確に証明します。
(大学1年生向けの参考書:例えば:「やさしく学べる微分積分」(石村園子) ¥2000円 の証明は間違いが無く、高校2年生が初めて微分積分を勉強するのにも、適切な参考書だと思います)

(合成関数の微分の公式の概念)
以下の関数のグラフの概形を素早く求める方法を考える。

《このグラフの概形》
(1)

x→±∞のとき、このグラフが、
y=1/(x2+1)→0
0に収束することが想像できます。
(2)

x座標の正負反転で対象なグラフであることも想像できます。
(3)

x=0のとき、
y=1
になるグラフであることも想像できます。


(4)

x=0でのグラフの傾きを、以下の様にして想像できます。
x→Δxのとき、すなわち、xが0に近いとき:
y=1/(Δx2+1)の値が1からほとんど変わらないと考えられます。

それにより、
x=0でのグラフの傾きΔy/Δxは0であると想像できます。

 ここで、そのようにグラフの傾きが想像できるのは、このグラフの式を媒介する x2 という関数と、xの大きさを比べると:
xが0に近いΔxになるとき、
Δ(x2)/Δxは0に収束するからです。
このように、「グラフの式を媒介する関数」という概念が考えられます。
 以上の x2 のような、微分を媒介する関数を考えて微分の計算ができます。この様な、「微分を媒介する関数」の概念を数学的に整理すると、合成関数の微分の公式に導かれます。

【定義】
 合成関数の微分の公式は、以下の式で表現すると、正確、かつ、分かりやすく定義されます。
合成関数の微分の公式は、以下の様に微分の計算を楽にするときに使う公式です。
(合成関数とは)
 そもそも、「合成関数」とは何なのか、という問題があります。

「微分積分学入門」(横田 壽)の21ページ近くに、合成関数の定義が書いてあります。 
 (注:横田教授が芝浦工業大学を退官したため、この教科書を無料で掲載していたWebページが無くなりました。この本は書店で購入できます。) 

それ以外に、高校2年生が勉強するのに適切な、書店で購入できる微分積分の参考書は:
「やさしく学べる微分積分」(石村園子) ¥2000円
が内容がわかり易くて良いと思います。

合成関数(composite functions)
 関数どうしのつなぎ方として,
合成法則(composition) とよばれる方法について考えます.
まず, f(x) とg(x)2 つの関数を用意します.
次に任意のx に対して規則g を用いて1 つの実数g(x) を取り出します.
もしこのg(x) が関数f(x) の定義域に入っていれば,
規則f を用いて1 つの実数f(g(x)) を取り出すことができるでしょう.
ところで,この実数f(g(x)) は何なのでしょうか.
もしg(x) の値域がf(x) の定義域に含まれていれば,
g(x) の定義域内の各数x に対して, f(g(x)) を作ることができます.
これはg(x) の定義域内の各数x に対し,ただ1 つの実数f(g(x)) を定める規則と考えられます.
よってこの規則をf とg の合成関数(composite function) といい,
f ◦ g で表わすと(f ◦ g)(x) = f(g(x)) となります.


以下に合成関数の例をあげます。
 上の式はxの関数hを合成関数の形で表現しました。
関数hは、gというパラメータ関数を使って、式1と式2とであらわした、結局は式3の形のxの関数です。
hは、式1の形と式3の形との2つの形の式であらわすことができます。
 この関数hは、以下の形の合成関数の形であらわすこともできます。
 式3の形の関数hは、sというパラメータ関数を使って、式4と式5であらわすことができます。
hは、式3の形や式4の形であらわせました。
式3で表されるxの関数hは、パラメータ関数 g(x) や s(x) を自由に選ぶことで式1や式4の形やその他の形の無限に多くの形であらわすことができます。 

以下の合成関数の微分の公式:
は、関数f(g)とg(x)があり、その関数の合成関数の、
y=f(g(x))=h(x)
という関数を作った場合に、
変数xのある値xにおいて、変数gの値が定まり、
それらの各変数の値において、
f’(g)=(df/dg)と、
g’(x)=(dg/dx)との積が、
h’(x)=(dh/ dx)になる、
という公式です。
(変数の他の値の場合については、その変数値毎に考察する公式です)

どの関数f(g)とg(x)を使って合成関数を作っても、公式の成立条件が満足されれば、公式が成り立つ、という公式です。

この公式には一定の縛り(成立条件)があります。それは:
(1)その変数の値gに対して、(dh/dg)=f’(g)の有限の値の確定した値の微分係数が存在し(微分可能)、
(2)その変数の値xに対して、(dg/dx)=g’(x)の有限の値の確定した値の微分係数が存在する(微分可能)、
であるという前提条件です。

「関数が微分可能(有限の値の確定した値の微分係数が存在する)」
という意味は、
「関数が、その変数のその値に限って、その変数で微分可能であれば良く、その変数のその他の値での関数の微分可能性は関係しない」
という意味です。

【合成関数の微分の公式の本質が見えない形の表現の問題】
 合成関数の微分の公式が以下の式で表現されることがあります。

(式1):
この表現方法には問題があります。
(1)第1の問題点:
 式1のように表現すると、変数hとxとgの間の関係をあらわす式だと誤解されやすい点が第1の問題です。
 この式1で表現されると、合成関数の微分の公式は、変数の間の関係式の様に見えてしまいます。しかし、そうでは無く、関数の微分係数の間の関係式なのです。
右辺の(dh/dg)という表現の意味は、hをgであらわす関数f(g)が存在し、
h= f(g)と表せる関数関係があるという意味を持ちます。
また、その関数の微分(df(g)/dg)が有限の値の確定した値の微分係数を持たなければなりません。
(dg/dx)という表現の意味は、gをxであらわす関数g(x)が存在し、
g=g(x)と表せる関数関係があるという意味を持ちます。
また、その関数の微分(dg(x)/dx)が有限の値の確定した値の微分係数を持たなければなりません。
 それらが成り立つことが、合成関数の微分の公式が成り立つ大前提です。

(2)第2の問題点:
  式1の左辺の(dh/dx)という表現の意味は、hをxであらわす関数h(x)が存在し、
h= h(x)=f(g(x))と表せる関数関係があるという意味を持ちます。
左辺の (dh/dx)のhが関数の名前を表すと解釈すると、右辺の(dh/dg)のhは、左辺の関数h(x)とは異なる名前の関数f(g)を表しています。
同じ名前で異なる関数を表すという矛盾があります。

 合成関数の微分の公式は、関数の関係を表していますが、式1の表現は、関数値の微小量の変化の間の関係で関数関係を表していて、関数が存在するという公式の大前提が分かりにくい表現になっています。

(3)関数値の名づけ方がおかしい問題:
  式1で関数値を表すと、異なる関数の合成関数の微分が区別されない表現になり、
h=f(g)と、
h=k(g)との
2つの異なる関数の合成関数の微分が、
いずれも、
(式1):
であらわされることになり、異なる関数を同じ記号hで表すことになってしまう混乱がある問題があります。
 この問題を改善して、hが特定の関数をあらわすことを明確にするために、
例えば、変数gとxの間に
g=xという関数の関係がある場合の、
2つの関数のグラフ
h=h(g)≡gと、
h=h(g)≡g
との、関数毎の微分の公式を、
というようにあらわした方が分かりやすいと考えます。

しかし、この式でも、
という変数変換がされた前後の関数を同じ記号hで表しています。
つまり、
右辺の関数h(g)≡gと定義し、
左辺の関数h(x)≡xと定義し、
2つの異なる式、
(関数Right)=(変数)
と表される関数と、
(関数Left)=(変数)3 
と表わされる関数(合成関数)を
同じ記号で表すという違反を犯しています。
関数とは変数と関数の値との関係をあらわすものなので、変数が別の新変数に変換されると、その関数の値と新変数との間には新しい関係が生まれ、その新しい関係を表す新しい関数は、元の変数における関数とは異なります。)

これらの問題がある根本的な理由は:
(式1):
には、右辺のdhの表現には、dhが関数値h=f(g)と表すことができる関数fの関数値の変化量をあらわしているという、公式が対象にする関数fが存在するという大前提の情報が式に含まれていないこと。
また、式1の左辺のdhの表現には、dhが、公式が対象にする大前提の合成関数の関数h=f(g(x))=h(x)の変化量を表しているという、公式が対象にする合成関数hが存在するという大前提をあらわす情報が含まれていないこと。
にあります。
 そのように、合成関数の微分の公式が個々の関数に係る公式であるという、関数の情報が式1には含まれていないため、hx座標平面上の2つのグラフの微分係数を、この公式で表現しようとすると、
hがそれぞれのグラフのh座標(関数の値)の変化量を表すという情報が式1には含まれていないので、
その2つのグラフのどちらの微分係数も、
(dh/dx)という同じ式であらわすしか無いというおかしな事態が生じてしまうのです。

 このように、変数を変換する前の関数と後の関数を同じ記号hで表す違反があり、また、対象にする関数の情報も含まれていないので、式が分かりにくく、
「意味不明だ」「疑わしい公式だ」と言われるかもしれませんが、、、
関数の出身元(関数値)を見やすくするために、関数の定義の違反を犯ししてでも同じ記号を使う表現を容赦して欲しいと思います。

(しかし、この表現によって、関数が、変数と関数値の間の関係を表すと教わったばかりの学生に対して、合成関数の微分の公式を教えるこの場で、関数が、あたかも関数値で定義されるような、関数について教わった定義を否定するような事を教えることで、合成関数の微分の公式が分からないのと同時に、ちゃぶ台返しによってひっくり返された、関数の定義もわからなくなる、という弊害があるかもしれません。)

 上の式で合成関数の微分の公式を表現すると、関数が変数と関数値の間の関係を表すことがしっかり身についている学生には、「合成関数の微分の公式が関数の間の関係を表しているとは思えない」と言われるかもしれませんが、、、
 合成関数の微分の公式は、関数の間の関係を表す公式です。そして、合成関数の微分の公式の微分の式で使う全ての変数yやxやその他の媒介変数g同士は、必ず、その変数を他の変数であらわす不変な関数で結ばれているという大前提があります。
その関数はどの式であっても良いですが、計算の途中で変化することが無い、いつも変わらない関係式であることが微分の計算の大前提です。

合成関数の微分の公式が分かるために、以下のように、
ごまかしが無い正しい証明をすることで、合成関数の微分の公式の例外が出る条件がはっきりし、合成関数の微分の公式の意味が分かるようになります。

(証明開始) 
合成関数の微分の公式を以下の式で表すことにします。
この式で、左辺のhは、
h=f(g(x))=h(x)という合成関数をあらわしています。
また、右辺の導関数
のhは、
h=f(g)という、左辺の関数hとは異なる関数をあらわしています。

(1)先ず、h=f(g)をgの関数と考え、hはgが変化したときにどのくらい変化するか調べるため、h=f(g)をgで微分する。
h=f(g)がgで微分可能
(関数fの関数値hの微小な変化量をΔhであらわし、関数fの変数gの微小な変化量をΔgであらわしたときに:
(Δh/Δg)の極限が有限の値になる)
なら、
Δhが以下の式に近似できる。
(Δgが0に近づくと正確に成り立ちます)
(2)その場合に、変数xの変化の結果変化する合成関数f(g(x))の関数値の微小な変化量Δhに関して、以下の式が成り立つ。
(証明おわり)

(簡単でわかり易い証明)
 「微分積分学入門」(著者:横田 壽)の75ページ近くに、もっと鮮やかな合成関数の微分の公式の証明を見つけました。それは、以下のようにする証明です。
(証明開始)
「h ≡ f(g)のgによる微分が存在し(確定した有限値になる)、
g(x)のxによる微分が存在する(確定した有限値になる)」場合:
 (証明おわり)

(補足1)
上の証明において、
Δhの値を
という式に近似しているのが気持ちが悪いと言って、
以下の様に、Δhを全く近似しないで表すために、以下の関数b(g,Δg)を使って計算する証明方法もあります。

(証明開始)
 これを使って以下の様に計算できます。
(証明おわり)

(補足2)
 全く近似しない厳密な証明をしたいならば、以下の、伝統的な、厳密な証明の方がスッキリした証明だと思いました。しかしながら、以下の証明を、全くごまかし無く記載した「完全な証明」に書き換えると、関数の定義を導入する必要がある等のけっこうゴタゴタした証明になりました。そのため、上の証明の方がスッキリした厳密な証明方法かもしれません。

(伝統的な厳密な証明)
(証明おわり)

(完全な証明)
 上の「厳密な証明」では、大前提の関数の役割が顕わでなく、関数値の関係しか記載されていないので、未だ、気持ちの晴れない証明だと思います。 
 そのため、以下の証明の様に、関数の役割を顕わに示す証明に書き換えました。

(合成関数の微分の公式の厳密な定義)
 変数xのある値xとその近傍の値において、変数tが、変数xのある関数gによって、以下の式1で表される変数間の関係が定まっているものとする。
変数tのその値tとその近傍の値に対して関数値yが定まる、式②aで表される関数fの関係も定まっているものとする。
このとき、式①の関数によって、変数tを変数xに置き換える変数変換をすると、
その値と近傍の値の変数xが、その値の関数値yを定める、以下の式2で表される合成関数が表される。
この変数変換により、関数fを合成関数に変換すると、
関数値yの微小変化は以下の式3であらわされる。
すなわち、変数tの微小変化Δtに対応して定まる関数fの微小変化Δy=Δf(t)は、
式3であらわすように、変数xの、その変数値からの微小変化Δxに対応して定まる合成関数f(g(x))の微小変化Δyと同じである。
 ここで、変数tの微小変化Δtは、変数xの微小変化Δxに対応して定まっている。その変数xとtの対応関係は関数gで結ばれて定まっている。

 このとき、以下の式のように、変数xのその値において、関数gが変数xによって微分可能であり、
かつ、
その値の変数xに対応する変数tの値において、
関数fが変数tによって微分可能であるならば、
以下の合成関数の微分の公式であらわされる関係がある。
 すなわち、関数値yを変数xで定める合成関数は、その合成関数を変数xで微分した微分係数は、
関数fを変数tで微分した微分係数と、
関数gを変数xで微分した微分係数の積に等しい関係がある。
 これが、合成関数の微分の公式の厳密な定義です。

(証明開始)
 次に、これを証明します。
(1)
 先に式3で表したように、変数xがΔxの値で微小変化した場合の合成関数f(g(x))の関数値yの微小変化量Δyは、変数xに対応して変数tが微小量Δtだけ微小変化した場合の、変数tの関数fの関数値yの微小変化量Δyと等しい。

(2)
 関数fの微分係数の定義により、関数fの関数値yの微小変化量Δy=Δf(t)は、以下の計算により、式4で表せる。
この式4が成り立つ場合は、df/dtが有限の値を持ち関数fが変数tで微分可能な場合である。
(注意)
 この式④は、誤差関数 ε1 が、Δt≠0の場合だけで定義されているので、式④も、Δt≠0となる場合だけで有効です。この式④の有効範囲を拡張するため、Δt=0の場合に定義されていなかった誤差関数 ε1 を、Δt=0の場合にε1=0と定義する。
----------(備考)------------------------------------
 Δt=0の場合に ε1 が0になるのは、誤差関数 ε1 がΔtを変数とする連続関数(Δt=0でも定義されている)なら当たり前の事ですが、誤差関数 ε1 は、導関数(df/dt)と同様に、必ずしも連続関数にはならないのではないかと疑ったので、また、誤差関数が連続関数にならない場合には「合成関数の極限の裏切り」の図3(式3)のように異常なことがおこると困るので、追加することにした定義です。
 例えば、以下の様に、t=0で微分可能な関数f(t)の導関数が、t=0で不連続な関数になる場合等もあるから油断できないからです。
(連続関数にならない導関数の例)

(注意)この導関数の計算は、合成関数の微分の公式が証明された後で、合成関数の微分の公式を使って計算してください。ここでは、そういう関数があるという事を例示するだけに留めます。
t≠0の場合:
t=0の場合: f(0)=0,

この関数はt=0及びその近傍で微分可能で、その導関数は、
t≠0の場合は、
になり、tが0に近づくとー1と1の間を振動します。
この導関数が含むcos(1/t)の関数が以下のグラフであらわす関数になるからです。
そのため、この導関数はt=0で不連続です。
t=0の場合には、
というように、0になります。
この導関数は、t=0でこのように有限の値を持ちますが、t→0の近傍で-1から1の値の間を振動して、f’(0)の値に収束しないので、連続ではありません。
 ただし、f(t)がこの関数の場合でも、誤差関数 ε1 は連続関数になりそうに思いますが、、、また、誤差関数 ε1 がt=0で無限大にならない限り、その誤差関数が非連続であっても式④は成り立ちますが、、、
-----------(備考おわり)-----------------------------

この定義の追加によって、式④が、Δt=0の場合にも使えるようになりました。
 ここで、式④には矛盾が無いことを以下で説明します。
Δt=0の場合に誤差関数 ε1 は無限大では無いので、 ε1Δt=0です。また、df/dtが無限大では無い(微分可能)であるので、(df/dt)Δt=0です。
よって、Δt=0の場合に式④の右辺は0になります。

一方、df/dtが無限大では無いので、Δt=0の場合にΔy=0になり、式④の左辺は0になります。

よって、Δt=0の場合に式④は、矛盾無く成り立ちます。

(変数tの値tでdf/dtが無限大になる様に、微分可能では無い場合には、又は、Δt=0で誤差関数 ε1 の値が無限大になる様な場合では、Δt=0の場合にΔy≠0となるような事が起こり得る )


 以下の図の場合などでは、Δxが0で無い場合にΔt=0になってしまいますが、その場合にも式4を使うことができ、
Δx→0の場合の、Δx≠0の場合にΔt=0 となる場合を含む、全ての場合に式4を使うことができます


(3)
関数gの微分係数の定義により、関数gの関数値tの微小変化量Δt=Δg(x)は、以下の計算により、式5で表せる。


この式5が成り立つ場合は、dg/dxが有限の値を持ち関数gが変数xで微分可能な場合である。
 この式5のように、関数gの関数値tの微小変化量Δtは、関数gの変数xによる微分係数(dg/dx)に変数xの微小変化量Δxを掛け算した値にほぼ等しい関係があり、

その式の誤差を ε2 で表す。

(4)
Δtが式⑤で表されるので、
Δx→0 の場合に、
Δt→0 になる。
そのため、

になる。
-------(注意)---------------
しかし、
Δt→0 の場合に、
Δx→0 になるとは限らない。
例えば、以下の図の関数t=g(x)の場合では:

Δt→0 の場合に、
Δx→-2~2 になる。
----(注意おわり)-------------------------------

(5)
 次に、合成関数の微小量Δy=Δf(g(x))を以下の式で計算する。
 先ず、式3により、変数xの微小変化量Δxに対応する合成関数f(g(x))の関数値yの微小変化量Δy=Δf(g(x))は、変数tの微小変化量Δtに対応する関数f(t)の関数値yの微小変化量Δf(t)に等しい。
 そのΔf(t)に式4を代入することで、以下の式が得られる。

すなわち、合成関数の微小変化量は、その変数xの微小変化量Δxに対応付けられた変数tの微小変化量Δtに対応する、関数f(t)の関数値の微小変化量Δyと等しく、上の式で表わされる。
 また、関数fの関数値yの微小変化量Δyは、その関数fの変数tによる微分係数とΔtとの積とほぼ同じであり、その式の間の誤差が ε1 Δtであらわされる。
 その変数tの微小変化量Δtは、式⑤によって、変数xの微小変化量Δxと結び付いている。その式⑤を代入することで以下の式が得られる。


よって、合成関数f(g(x))を変数xで微分した微分係数は、
関数f(t)を変数tで微分した微分係数と、
関数g(x)を変数xで微分した微分係数の積に等しい。
(証明おわり)

(間違えやすい証明)
 以下の証明方法については、以下の証明の様に場合分けをせず、一方の場合について証明していないため公式が証明できていない偽の証明が流布しているので注意してください。
(また、その偽の証明を押しつけられたからと言って合成関数の微分の公式を嫌いにならないで欲しいと思います。)

(証明開始)

例えば、以下のような関数g(x)の場合にk=0になります。

この場合は、以下の図の様な場合があることを考慮し:

以下の条件が成り立つ場合に:

一方、k≠0の場合は:

(証明おわり)

(補足3)
以下の様に、ΔxからΔg、次にΔhを見積もることで証明する方法もあります。
(証明開始)

(証明おわり)

(補足4) 
 合成関数の微分の公式は、以下のように式の項を作っている関数のかたまりを微分を仲介する変数にして、その変数で微分して、後で、その関数のかたまりを微分するという計算を可能にします。

(検算)この答えが正しいか否かを、以下のグラフを思い描いて確認してください。

想像したグラフの傾きがマイナスであることと、微分計算結果の式がマイナスになることが一致しているので、この計算結果が正しそうだと確認できました。
(検算おわり)

 合成関数の微分の公式を使うことにより、微分の計算がだいぶ楽になる。合成関数の微分の公式は、微分の計算にとって、生物が必要とする空気のように必要な公式です。

(補足5)
 この合成関数の微分の公式には縛り(成立条件)があります。
それは、
「h ≡ f(g)のgによる微分が存在し(確定した有限値になる)、
g(x)のxによる微分が存在する(確定した有限値になる)」
という前提条件です。

---(定義2.1 「微分積分学入門」(横田 壽)67ページ---
関数f(x) がx0 を含むある区間で定義されているとき,極限値

が(有限な値で)存在するならば,
関数f(x) は, x = x0 微分可能(differentiable) であるといいます.
また,この極限値A を点x0 における微分係数といい,


で表わします.
-----(定義おわり)---------------------------

この、有限の微分係数が(有限な値で)存在する(微分可能)という前提条件は、いわば、
「式を0で割り算する計算をしてはいけない」
という計算の縛りと同じ様な意味を持っています。

 すなわち、「微分可能」という前提条件は、
「0で割り算しない場合に限る」という前提条件 、
言いかえると、
「計算の違反が無い計算に限る」という前提条件、
を加えて微分の式を書くことです。

 そういう「万能の条件」を正しく組み込んで計算するならば、計算の自由度が高くなります。
 『合成関数を構成する2つの関数が何れも「微分可能=微分係数が有限の確定値になる」であるように関数の変数の定義域を定める』という前提条件付きで、パラメータ関数 g(x) や s(x) を自由に選ぶことができます。

その様に計算の自由度を高くするから合成関数の微分の公式が成り立つのだと考えます。

【微分可能で無いとき起きる不思議な現象】
  合成関数の微分の公式の意味が分かりましたでしょうか。
 次に、合成関数の微分の公式に関連することとして、以下の2つの注意の事例にあるように、「2つの接するグラフが接点における等しい微分係数を持つ」ことが、グラフの座標変換によって変わってしまう、2つのグラフの接触点での微分係数が等しく無くなることが有り得ます。

 そのようにおかしな事が起きても、それは、合成関数の微分の公式が間違っているわけでは無く、それは微分の本質的な問題であると正しく認識して下さい。
 合成関数の微分の公式が成り立つ範囲では、その様なおかしな事は起きません。そのため、合成関数の微分の公式の適用範囲が、すなわち、おかしな事が起きない、計算の秩序が守られる範囲を定めているとも言えます。

 その現象が起きたとき、合成関数の微分の公式の前提条件である「微分可能」が成り立っていないので、合成関数の微分の公式の適用範囲の外で、そういう不思議な事がおこります。

(注意1)
以下の2つのグラフが、x=0で微分係数が等しいです。

この場合、合成関数の微分の公式によって、これらの関数を他の変数tで微分した微分係数も等しくなるでしょうか。

以下で、この合成関数を詳しくしらべてみます。
xのtによる関数を以下の式で定義してみます。

グラフの関数を変数tであらわす各関数を計算します。




次に、合成関数の微分の公式を適用して各関数の微分係数を計算してみます。



x=0の場合に、(dx/dt)の値が有限で無いので、

xがtで微分可能ではありません。
そのため、合成関数の微分の公式の適用外になります。
x=0の場合に、合成関数の微分の公式は0に無限大を掛け算する計算になっています。

x=0で、両関数の微分係数が同じであっても、
その場合に合成関数の微分の公式が適用できないので、
x=0で、両関数の微分係数(dy/dt)は、
合成関数の微分の公式は両関数の微分係数が等しくなることを保証しているわけではありません。
(合成関数の微分の公式から受ける印象が私たちを裏切っています) 

一方、x=0で、これらの合成関数は、上図のグラフのようにしっかり定義されていて、x=0においても微分係数が定義できています。
そして、x=0で、両関数の微分係数(dy/dt)が異なっています。

 なお、ある変数の値において公式が適用できない関数を含む場合の合成関数の微分の公式は
公式の適用条件の「各関数の微分可能性」が守られている変数の値の範囲内ならば、その値がどの値の場合においても成り立っています。
例えば、変数xが以下の図の関数で変数tに変換される場合:

この図の関数は、x=1に対応するt=0では微分不能ですが、x=0に対応するt=-1では微分可能ですので、t=-1では、合成関数の微分の公式が成り立っています。
この関数によって、先のXY平面上でx=0の点で接する2つのグラフは、tY平面上に写像したグラフにおいても、グラフが共通の点を持つt=-1の位置において、2つのグラフは同じ微分係数(dy/dt)を持ち、その点で接しています。

(注意2)
以下の曲線と直線が、x=1の点で接しています。

その接点で曲線と直線の微分係数が等しいです。
このグラフの座標系を以下の様に変換していきます。

上図には、2つのグラフそれぞれに対して、dz/dxの式を記載しました。
dz/dxは、各グラフ毎の、zを与える関数(z=f(x)やz=p(x))を変数xで微分することを表しています。
そのため、グラフ毎に異なる2つの式の、dz/dx=f’(x)と、dz/dx=p’(x)の式があります。


ここで、以下のグラフの関数で、変数xを変数tに変換します。
こうして、当初の曲線と直線が、上図の折れ線と直線に変換されました。
この折れ線の折れ点では微分が不可能です。
合成関数の微分の計算では、その点でds/dtが有限な値では無いので、その点では合成関数の微分の公式が適用できません。
そして、折れ線では、折れ点で微分係数が存在しません。
(そもそも、折れ線の左右の微分係数がー1と1という異なる微分係数の値を持っていますので、折れ点では微分係数が定まりません)

折れ点で折れ線とz=0の直線(微分係数dz/dt=0)とが接触していますが、折れ点の微分係数がそれと同じであるとは言えません。

 この例では、当初は接触点において微分係数が等しかった2つのグラフが、座標系を変換して形を変えた2つのグラフに変換すると、その接触点で、微分係数が異なるグラフに変わりました。

(合成関数の微分の公式の本質)
 合成関数の微分の公式の本質は、
が成り立つことにあるのでは無く、以下のことが、本質ではないかと考えます。

(1)上の式の関係は通常は成り立っているものと考えるが、
(2)その式が成り立たない場合があることを、合成関数の微分の公式が示している。
その問題を生じる必要条件は、上式の各微分係数要素(導関数要素と呼ぶ)の中に、微分可能で無いものがあること(有限の値に確定した微分係数を持たない)
(問題を生じない十部条件は、全ての導関数要素が微分可能であること)
であることを、合成関数の微分の公式が教えている、
と考えた方が良いと思います。

例えば、変数xで表される2つの関数y1とy2があって、
変数xのある値x0における、2つの関数y1とy2のxによる微分係数が、
という式であらわされて、等しかったとします。
このとき、他の変数tで微分した場合に、
が成り立つと普通は考えますが、それが成り立つための1つの十分条件は、
という合成関数の微分の公式に記載されたその他の導関数要素であるdx/dtが、x=x0の点において微分可能であることである。

これが、合成関数の微分の公式の本質ではないかと考えます。

なお、
 は、
が成り立つための十分条件では無い。
その理由は、その他の導関数要素のdx/dtがx=x0で無限大になれば、元の導関数要素のdy/dxがx=x0で0であることの影響が打ち消されるからである。

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