【問】
上の式1があらわす曲線の双対曲線を求めよ。
(コメント)この問題は大学の数学科に入学した学生用の問題です。そのため、この問題は、医学部をめざす受験生も、無視してください。
【双対曲線とは】
双対曲線とは、以下に説明する曲線です。
正式な定義は、以下の通りです。
(双対曲線の定義)
上記のように、射影空間における、(Z,X,Y)の(連比の)点の集合
F(Z,X,Y)=0 (2)
で曲線を定義する。
その曲線上の点毎に、関数Fの偏微分係数(の連比)
を求める。
その偏微分係数の連比であらわした、射影空間上の点の集合が双対曲線である。
この双対曲線は、以下の曲線であると言い換えることができる。
(双対曲線の定義の言い換え)
曲線1の点(x,y)に以下の直線8(接線)が接すると:
この接線の係数(U0,U1,U2)は、
この接線8を、
F(Z,X,Y)=U0Z+U1X+U2Y=0
という形であらわした時の、
関数Fの偏微分係数
に等しい。
その(U0,U1,U2)ベクトルの要素の連比を、射影空間(無限遠直線を加えた空間)の点とする。
その点の集合を双対曲線と呼ぶ。
もっと具体的には、その点の集合をあらわす曲線の式:
P(U0,U1,U2)=0
を双対曲線の式と呼ぶ。
射影空間から無限遠直線を除外した空間を考えると、
ux=U1/U0,
uy=U2/U0,
であらわした、ベクトル(ux,uy)の集合をあらわす
曲線
P(1,ux,uy) ≡ p(ux,uy)=0
が、無限遠直線を除外した空間における双対曲線です。
(無限遠直線を除外しても、なお、複素数座標で双対曲線を考える)
【解答1】
式1のような2次曲線に限って通用する、以下の方法で双対曲線を計算することができる。
先ず、式1を射影空間の座標であらわした式2に変換する。
上の式3のように、式2を対称行列Tを使ってあらわす。
式3の行列Tの各要素は以下の通りである。
式3であらわした曲線に接する接線の係数Uは以下の式5で計算できる。
式5から式6が得られる。
この式6を式3に代入すると係数Uのベクトルがあらわす曲線(双対曲線)7が計算できる。
ここで使っている行列Tの逆行列は、以下のようにして計算できる。
こうして、双対曲線7’(又は7’’)が得られた。
(解答おわり)
【解答2】
2次曲線にしか使えない方法はつまらないので、3次以上の曲線の双対曲線の計算にも使える以下の方法で双対曲線を計算する。
この曲線1に点(x,y)で接する直線を、以下の式8であらわす。
この式1に式8を代入してyを消去する。
式8が式1に接するので、式8を式1に代入して得た式9では、接点のx座標が重根になっているハズである。その重根をgxとすると、
(x-gx) の2乗の式が式9の左辺にある。
その2乗の式を微分しても、なお、(x-gx)が消えずに左辺に残る。
そのため、式9を微分した式11も、(x-gx)を左辺に持つのでその重根gxを根の1つに持つ。
式9と式11が共通する根gxを持つので、
式9の係数と式11の係数で作るシルベスターの行列式が0になる。
それを計算することで、ベクトルUの要素の関係をあらわす式(双対曲線の式)が計算できる。
先ず、fをあらわすxの多項式12を計算し、それを微分してf’をあらわす多項式13を計算する。
この式12と式13の係数を使ったシルベスターの行列式を計算する。
これで、求める双対曲線16が計算できた。
(解答おわり)
【解答3】
解答2でシルベスターの行列式を使ったが、
その解答の本質は、与えられた曲線1に接する直線8の係数を求めることにあります。
その解答の本質を見るため、シルベスターの行列式の助けを借りずに、以下の様にしてこの問題を解きます。
この曲線1に点(x,y)で接する直線を、以下の式8であらわす。
この式1に式8を代入してyを消去する。
式8が式1に接するので、式8を式1に代入して得た式9では、接点のx座標が重根になっているハズである。その重根をgxとすると、
(x-gx) の2乗の式が式9の左辺にある。
その2乗の式を微分しても、なお、(x-gx)が消えずに左辺に残る。
そのため、式9を微分した式11も、(x-gx)を左辺に持つのでその重根gxを根の1つに持つ。
式9と式11が共通する根gxを持つので、式9と式11を、ユークリッドの互除法を用いて加減乗除することで、その共通する根gxを解に持つ最大公約多項式(それはxの一次式になるだろう)を計算する。
先ず、fをあらわすxの多項式12を計算し、それを微分してf’をあらわす多項式13を計算する。
この式12と式13の最大公約多項式(xの1次式になるだろう)を、ユークリッドの互除法で、以下の様に計算する。
ここで得た式17と、先に得ていた式13とは、
ともに1次式であるが、
共通する根gxを持つ。
そのため、式17と式13は係数だけ違う同じ式である。
それゆえ、以下の式18が成り立つ。
以上の計算のように、式18を変形することで、再び式16が得られた。
(解答おわり)
(コメント1)
数学の専門家は、ミルナー数μ等を駆使して双対曲線を計算するらしい。しかし、それをどのようにして行なうかは、私は勉強不足のため、分からない。
(コメント2)
式2の代数曲線
F=0
のFを各Xi(i=0~3)で微分した値Uiが全て0になる点が「特異点」と呼ばれていて、注目すべき重要な点です。
すなわち、(X0,X1,X2)が(0,0,0)以外の点で
0=U0=U1=U2 (17)
となる点が特異点で、それは、双対曲線の原点となっているので分かり易いです。
式5で、行列Tを使って値Uiが計算できます。
U0=-2X0,
U1=2X1,
U2=2X2/9
ですので、
その値Uiが全て0になる点は、
0=X0=X1=X2 (18)
となる点です。これは(0,0,0)なので特異点ではありません。
特異点が有るか無いかを含め、特異点を詳しく調べることで代数曲線の特徴が分かるようです。
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(コメント)この問題は大学の数学科に入学した学生用の問題です。そのため、この問題は、医学部をめざす受験生も、無視してください。
【双対曲線とは】
双対曲線とは、以下に説明する曲線です。
正式な定義は、以下の通りです。
(双対曲線の定義)
F(Z,X,Y)=0 (2)
で曲線を定義する。
その曲線上の点毎に、関数Fの偏微分係数(の連比)
を求める。
その偏微分係数の連比であらわした、射影空間上の点の集合が双対曲線である。
この双対曲線は、以下の曲線であると言い換えることができる。
(双対曲線の定義の言い換え)
曲線1の点(x,y)に以下の直線8(接線)が接すると:
この接線の係数(U0,U1,U2)は、
この接線8を、
F(Z,X,Y)=U0Z+U1X+U2Y=0
という形であらわした時の、
関数Fの偏微分係数
に等しい。
その(U0,U1,U2)ベクトルの要素の連比を、射影空間(無限遠直線を加えた空間)の点とする。
その点の集合を双対曲線と呼ぶ。
もっと具体的には、その点の集合をあらわす曲線の式:
P(U0,U1,U2)=0
を双対曲線の式と呼ぶ。
射影空間から無限遠直線を除外した空間を考えると、
ux=U1/U0,
uy=U2/U0,
であらわした、ベクトル(ux,uy)の集合をあらわす
曲線
P(1,ux,uy) ≡ p(ux,uy)=0
が、無限遠直線を除外した空間における双対曲線です。
(無限遠直線を除外しても、なお、複素数座標で双対曲線を考える)
【解答1】
式1のような2次曲線に限って通用する、以下の方法で双対曲線を計算することができる。
先ず、式1を射影空間の座標であらわした式2に変換する。
式3の行列Tの各要素は以下の通りである。
式3であらわした曲線に接する接線の係数Uは以下の式5で計算できる。
式5から式6が得られる。
この式6を式3に代入すると係数Uのベクトルがあらわす曲線(双対曲線)7が計算できる。
ここで使っている行列Tの逆行列は、以下のようにして計算できる。
こうして、双対曲線7’(又は7’’)が得られた。
(解答おわり)
【解答2】
2次曲線にしか使えない方法はつまらないので、3次以上の曲線の双対曲線の計算にも使える以下の方法で双対曲線を計算する。
この曲線1に点(x,y)で接する直線を、以下の式8であらわす。
この式1に式8を代入してyを消去する。
式8が式1に接するので、式8を式1に代入して得た式9では、接点のx座標が重根になっているハズである。その重根をgxとすると、
(x-gx) の2乗の式が式9の左辺にある。
その2乗の式を微分しても、なお、(x-gx)が消えずに左辺に残る。
そのため、式9を微分した式11も、(x-gx)を左辺に持つのでその重根gxを根の1つに持つ。
式9と式11が共通する根gxを持つので、
式9の係数と式11の係数で作るシルベスターの行列式が0になる。
それを計算することで、ベクトルUの要素の関係をあらわす式(双対曲線の式)が計算できる。
先ず、fをあらわすxの多項式12を計算し、それを微分してf’をあらわす多項式13を計算する。
この式12と式13の係数を使ったシルベスターの行列式を計算する。
これで、求める双対曲線16が計算できた。
(解答おわり)
【解答3】
解答2でシルベスターの行列式を使ったが、
その解答の本質は、与えられた曲線1に接する直線8の係数を求めることにあります。
その解答の本質を見るため、シルベスターの行列式の助けを借りずに、以下の様にしてこの問題を解きます。
この曲線1に点(x,y)で接する直線を、以下の式8であらわす。
この式1に式8を代入してyを消去する。
式8が式1に接するので、式8を式1に代入して得た式9では、接点のx座標が重根になっているハズである。その重根をgxとすると、
(x-gx) の2乗の式が式9の左辺にある。
その2乗の式を微分しても、なお、(x-gx)が消えずに左辺に残る。
そのため、式9を微分した式11も、(x-gx)を左辺に持つのでその重根gxを根の1つに持つ。
式9と式11が共通する根gxを持つので、式9と式11を、ユークリッドの互除法を用いて加減乗除することで、その共通する根gxを解に持つ最大公約多項式(それはxの一次式になるだろう)を計算する。
先ず、fをあらわすxの多項式12を計算し、それを微分してf’をあらわす多項式13を計算する。
この式12と式13の最大公約多項式(xの1次式になるだろう)を、ユークリッドの互除法で、以下の様に計算する。
ともに1次式であるが、
共通する根gxを持つ。
そのため、式17と式13は係数だけ違う同じ式である。
それゆえ、以下の式18が成り立つ。
以上の計算のように、式18を変形することで、再び式16が得られた。
(解答おわり)
(コメント1)
数学の専門家は、ミルナー数μ等を駆使して双対曲線を計算するらしい。しかし、それをどのようにして行なうかは、私は勉強不足のため、分からない。
(コメント2)
式2の代数曲線
F=0
のFを各Xi(i=0~3)で微分した値Uiが全て0になる点が「特異点」と呼ばれていて、注目すべき重要な点です。
すなわち、(X0,X1,X2)が(0,0,0)以外の点で
0=U0=U1=U2 (17)
となる点が特異点で、それは、双対曲線の原点となっているので分かり易いです。
式5で、行列Tを使って値Uiが計算できます。
U0=-2X0,
U1=2X1,
U2=2X2/9
ですので、
その値Uiが全て0になる点は、
0=X0=X1=X2 (18)
となる点です。これは(0,0,0)なので特異点ではありません。
特異点が有るか無いかを含め、特異点を詳しく調べることで代数曲線の特徴が分かるようです。
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