2022年2月27日日曜日

無理関数の式への因数分解の公式

【問題1】以下の等式(1)を証明せよ。


【問題1(b)】以下の等式(1b)を証明せよ。


【問題2】以下の等式(2)を証明せよ。


【問題3】以下の等式(3)を証明せよ。


【問題4】以下の等式(4)を証明せよ。
 


【問題5】以下の等式(5)を証明せよ。


【問題6】以下の等式(6)を証明せよ。


【問題7】以下の等式(7)を証明せよ。


この問題の解答はここをクリックした先のページにあります。

 以下の式8から式32までの因数分解の公式は、各自で自力で証明しておいてください。







a>1 の場合は:



リンク:
無理関数の分数式の変換公式
形が違う同じ式
高校数学の目次


2022年2月25日金曜日

原始関数とは何か

〔目次〕
▽被積分関数の単位
▽原始関数とは何か
▽高校数学の原始関数の定義
▽原始関数の正しい定義
▽原始関数の例
▽定義域を狭くすれば原始関数が存在する
▽高校数学の原始関数の定義の問題点
▽誤った定理に注意
▽原始関数に係る基本定理の証明

(外部リンク)

▽積分全般のはじめに
▽積分とは何か(リーマン積分)
▽一様連続性

▽不定積分とは何か
▽積分の特徴
▽積分可能な例
▽不定積分に積分定数Cを加える事
▽不定積分の積分定数Cの扱いの誤り
▽必ずある間違い
▽広義積分

【原始関数の厳密な定義】が、「原始関数の定義といろいろな例」のサイトの、補足に書かれています。


【被積分関数の単位】
 被積分関数は、均質な基本的な要素である。
 具体的には、被積分関数を、全て、1つながりに連続する関数を単位にして考える。1つながりに連続する関数は正しく定義された連続関数です。その、1つながりに連続する関数を扱うのであれば、積分の計算で誤りに陥る事を防ぐことができます。

 その1つながりに連続する関数毎に積分する。
例えば、下図の関数f(x)を考える場合:
x<-1での1つながりに連続する関数と、
-1<x<1での1つながりに連続する関数と、
1<x での1つながりに連続する関数を、
別々の3つの関数と考えれば良いのです。

 そのように、関数全体を、均質な基本的な要素の関数に分割して、その基本要素だけに積分の公式を適用する。

【原始関数とは何か】
-----【原始関数の正しい定義】---------------
 (原始関数の正しい定義は、1つながりに連続で、かつ、微分可能な関数F(x)をf(x)の原始関数と定義します) 

すなわち、関数F(x)が、連結区間a<x<bのどの点でも連続、かつ、微分可能な関数であれば、F(x)を微分して導関数f(x)が求められる。この場合に、F(x)を関数f(x)の原始関数と言う。
藤原松三郎の「微分積分学 第1巻」)
 すなわち、原始関数は連結区間における連続関数であり1つながりのグラフであると定義されています。
-------原始関数の定義おわり-----------------

 この原始関数の定義を理解すれば、以降の説明は読む必要がありません。以降は、この定義の根拠を説明していきます。


 定積分の計算は原始関数を使うと楽になります。
 しかし、先ず、原始関数の正しい定義が何であるかという事から話を始めなければなりません。

 高校生は、ハッキリ教えられないでも、動物的な本能で、 「積分で求めるべき”原始関数”は1つながりに連続でなければならない」 という経験を積んで来たと思います。それは、実は原始関数の定義に初めから明示しなければならない条件だった、というあいまいさが高校数学の原始関数の定義にはありました。


【高校数学の原始関数の定義】
関数F(x)の定義域がわからない高校数学での定義:
 ある関数F(x)を微分すると、
F’(x)=f(x)
になるとき、関数F(x)を関数f(x)の原始関数と呼ぶ。
(高校数学の原始関数の定義おわり)

【原始関数の正しい定義】
 上に記載した高校数学での定義は、原始関数F(x)の定義域がどの範囲であるかが示されていない(定義域が決まらなければ関数が定まらない)、説明が足りないあいまいな不正確な定義である。 それは、明確さを欠いていて、原始関数を誤解させる定義であり、まともな定義とは言い難いものです。

 正確な当初の原始関数の定義は:
関数F(x)が、開区間a<x<bのどの点でも連続、かつ、微分可能な関数であれば、F(x)を微分して導関数 f(x) が求められる。この場合に、F(x)を関数 f(x) の原始関数と言う、
と定義されていました。
藤原松三郎の「微分積分学 第1巻」)

 すなわち、開区間上に定義された1つながりに連続かつ微分可能な関数F(x)が与えられたとき、それを微分して得られる導関数f(x)がその区間を定義域として共有する。その元の関数F(x)を、導関数f(x)の原始関数と呼ぶ。原始関数は平均値の定理を満足する関数です。


ーー【区間の定義】ーー
「区間」という数学用語は、変数xの数直線上の1つの範囲内の、実数のすき間がない1かたまりの数の集合をあらわす数学用語である。
《神奈川大学》【定義 14.2.4.】
 a, b を実数とする. a 以上かつ b 以下の実数をすべて集めた集合を [a, b] と書き, これを閉区 間と呼ぶ.
 a より大きくかつ b 未満の実数をすべて集めた集合を (a, b) と書き, これを開区間と呼ぶ.
----定義おわり----


a≦x≦bを満足するxの区間という表現は、a≦x≦bの範囲内の全ての実数xという意味です。
-∞<x<∞という区間もあります。
区間はxの値の範囲を限定するためのa≦x≦bという式とは意味が異なることに注意する必要があります。
 区間a≦x≦bが命題の中に記載されている場合は、その範囲内の全ての実数xについて命題を検討する必要があります。被積分関数f(x)が定義されていない変数xの点があっても、その点も、その命題が検討されるべき点の1つです。
 「区間」という用語は、特に重要な関数である連続関数の連続性を定義するために必要な、連続関数f(x)の変数xの集合体がいつも持っていなければならない連続性という重要な性質が「区間」という概念を用いてあらわされています。
 すなわち、変数xの「区間」の性質で大切なのは、
「区間」のなかに変数xの値が隙間なく存在すること。
つまり所定範囲内での隙間が無い全ての実数の集合という概念が「区間」という用語で定義されています。
 例えば:
f(x)=1/xの定義域を(0,∞) (={x|xは0より大きい実数})
とすれば、f(x)は区間で定義された関数です。
g(x)=1/xの定義域を(-∞,0)∪(0,∞)(={x|xは0でない実数})
とすれば、g(x)は区間で定義された関数ではない。
(f(x)とg(x)は定義域が異なっているため、f(x)とg(x)は同じ関数ではない)

《原始関数の正しい定義の続き》

定義4.25.
閉区間[a, b] で定義された関数f が与えられたとき,
(a≦x≦bとなる全ての実数のxの連結区間に対して有限の値のf(x)が定義されている。)
f を導関数に持つ関数F が存在すれば,
(F(x)が、a≦x≦bの全連結区間内でF’(x)=f(x)であるとは、連結区間内の全ての実数の点で微分可能ということであり、それゆえ、F(x)はa≦x≦bで1つながりに連続な関数。)
F をf の原始関数と呼ぶ. 
(名古屋大学教授 内藤久資の講義ノート(4))
 この定義も、原始関数F(x)は、連結区間(閉区間)のどの点でも連続、かつ、微分可能な関数であって、それを微分した導関数がf(x)になる関数、と定義している。
 すなわち、原始関数は連結区間で連続な関数であり1つながりのグラフであると定義している。

小平邦彦「[軽装版]解析入門Ⅰ」の164ページでも:
「ある(連結)区間Iで定義された関数f(x)が与えられたとき、f(x)を導関数とする関数、すなわち、F’(x)=f(x)なる(連結区間)Iで定義された関数F(x)をf(x)の原始関数という。」
と定義している。
 すなわち、原始関数は連結区間で連続な関数であり1つながりのグラフであると定義している。

高校生に積分を正しく教えるサイトでの原始関数の定義:
「 f(x) を実数上の連結区間で定義された関数(区間内の全てのxに対して有限の値のf(x)が存在する)とする.このとき,同じ連結区間上の関数で, F′(x)=f(x) を満たす関数 F(x) を f(x) の原始関数と言う。」
 このサイトの定義も、原始関数は連結区間で連続な関数であり1つながりのグラフであると定義している。

推薦できる高校数学の参考書:「生き抜くための高校数学」(芳沢光雄)でも、原始関数を、
「ある(連結)区間で定義された(被積分)関数f(x)に対し、F’(x)=f(x)となる関数F(x)があるとき、F(x)をf(x)の原始関数という。」
と定義している。
 この参考書の定義も、原始関数は連結区間で連続な関数であり1つながりのグラフであると定義している。

大学1年生向けの参考書「やさしく学べる微分積分」(石村園子)でも、66ページの「平均値の定理」で、関数f(x)を、連結区間[a,b]で連続、区間(a,b)で微分可能な関数と定義している。それを前提にして、85ページの「原始関数」の定義で、平均値の定理を満足するその関数 f(x) に対して、F'(x)=f(x) となる関数 F(x) を f(x) の原始関数であると定義している。すなわち、原始関数 F(x) を連結区間で連続な1つながりのグラフであると定義している。原始関数は平均値の定理を満足する関数である。

(注意)
 原始関数のF(x)が1つながりに連続で微分可能でF'(x)=f(x)であっても、はじめにf(x)を1つながりに連続な連続関数と定義しておかなければ、f(x)が1つながりに連続な連続関数になるとは限らないことに注意。F(x)が1つながりに連続で微分可能であっても微小に振動している場合があるからです。そのため、連続関数で無いf(x)に原始関数F(x)がある場合もある。

(原始関数の例)
下図の関数f(x)の原始関数F(x)を考える。
上図の関数f(x)の原始関数F(x)は、下図の様に3つある。
1つながりのグラフが1つの原始関数です。その他のグラフは別の原始関数です。上図の様に3つの別々の原始関数があります。

(積分可能な関数=被積分関数f(x)の定義域)
 なお、関数f(x)の積分は、関数が積分できなければ、積分という作業自体が意味を失います。積分が意味を持つのは、関数f(x)が積分可能な限りにおいてです。そういう、積分が意味を持つ対象の関数が積分可能な被積分関数であると言えると思います。
 積分可能という事を、関数f(x)が値を持つ事が大前提だとすると、
連結区間の全てのxの値で関数値f(x)が存在する関数を積分可能な被積分関数とすると、
上図の被積分関数f(x)は、
(1)定義域がx<-1のf(x)、
(2)定義域が-1<x<1のf(x)、
(3)定義域が1<xのf(x)、
との3つの別々の関数が別々の積分可能な被積分関数になります。
積分可能な被積分関数f(x)は、以下のように定義した原始関数F(x)と同じ区間で定義されています。
「 f(x) を実数上の連結区間で定義された関数(区間内の全てのxに対して有限の値のf(x)が存在する)とする.このとき,同じ連結区間上の関数で, F′(x)=f(x) を満たす関数 F(x) を f(x) の原始関数と言う。」

ここで、上で説明した3つの積分可能な被積分関数を合わせて1つにした関数f(x)は、x=-1とx=1でf(x)の値が存在しないので、連結区間の全てのxの値で関数値f(x)が存在するという条件を満足しないので積分可能な被積分関数とは言えないと考えます。
(注意)この、被積分関数の定義域(全てのxに対してf(x)の値が存在する連結区間を被積分関数f(x)の定義域とする)は、後に説明する広義積分
(以下の図の不連続関数(dF(x)/dx)を積分するような場合)

では緩められ、積分可能の条件がもう少し広くされます。

(定義域を狭くすれば原始関数が存在する)
 また、あらゆる値の変数xを定義域とした関数f(x)には原始関数が無くても、定義域を狭くした関数f(x)では、「1つながりの連続した関数F(x)が定義域内のどの点でも微分可能であり、F’(x)=f(x)となる」原始関数が存在します。
 例えば上図の、x=0とx=2で不連続な関数はxの全ての実数を定義域とした原始関数は持ちませんが、
0<x<2となる変数xの定義域では原始関数を持ちます。

(高校数学の原始関数の定義の問題点)
 ある関数F(x)を微分すると、F’(x)=f(x)
になるその関数F(x)がf(x)の原始関数である、という高校数学の原始関数の定義を厳密に適用する。すると、
関数F(x)の定義域が分断されていて、その分断された各定義域において、
F’(x)=f(x)
となる複合された関数(補足1):すなわち、複数の分断された定義域をまとめて定義域にした複合された原始関数も1つの原始関数ということになってしまう。
 関数F(x)が連続関数の1つである(その微分可能な点で関数が連続である)という事も、高校数学の連続関数の定義自体も間違っているため、それも歯止めにはならない。結局、1つながりの連続関数を複数合わせた複合された関数F(x)も原始関数と解釈されてしまう。

 高校生は、原始関数の誤った定義に従った以下の補足1の複合された原始関数を、真の原始関数に係る公式に適用することで、間違った答えを出す矛盾に直面します。

(補足1)x≠0 を定義域とする、
F(x)=1/xをxで微分したら
になるので、x≠0 を定義域とする 、
関数f(x)の複合された原始関数が
F(x)=1/x
です。なお、F(x)=1/xは、x=0では関数値F(x)が存在せず、関数が定義されていないが、関数が定義されているx≠0 なる全ての定義域の点でF(x)を微分した結果が全て
になる。そのため、F(x)は間違いなくf(x)の原始関数であると解釈されてしまう。(不連続な、複合された原始関数の特徴)
『高校で教わる連続関数の間違った定義では、不連続な、複合された関数f(x)やF(x)も連続関数と呼ばれているので、高校での誤った定義に注意すること』
 ただし、不連続な、複合された原始関数の場合は、異常な原始関数になり、例えば、
x>0で、F(x)=1/x+3,
x<0で、F(x)=1/x+100,
という、

先の複合された原始関数の連続で無い点(点とはグラフの点(x,y)のことでは無い。「点」とは、xの数直線の区間の点である。関数の連続性は、その区間の点毎に定義する)で分離された領域毎に異なる定数を加えて作った複合された原始関数(それは原始関数では無い)が、
F’(x)=

になります。
つまり、同じf(x)に対する原始関数の複合された原始関数は、1つの原始関数F(x)+Cという形の式だけでは表しきれません。

 このことを、もっと単純化して考えてみます。下のグラフのように、点x=0で不連続な、複合された原始関数F(x)を考えると理解し易いと考えます。

この複合された原始関数F(x)が、x≠0において、
dF(X)/dx=f(x)=0
となる。
被積分関数f(x)が、
x=0ではf(x)の値が定義されず、
f(x)=0 (x>0)
f(x)=0 (x<0)
という関数である場合において、
f(x)に対する複合された原始関数F(x)は:
F(x)=C1, (x>0)
F(x)=C2, (x<0)
という、2つの定数C1とC2を使った解が得られる。

この2つの異なる積分定数C毎に関数を異ならせる事ができるので、異なる積分定数Cが設定できる部分毎に異なる関数がある。そのように異なる積分定数を持つ複数の関数を一緒にして1つの原始関数と解釈してはいけない。

この複合された原始関数は、定義域がx<0とx>0であって、その定義域の中に連続で無い点を含んだが、積分を行う際に必要な、真の原始関数F(x)は、変数xの連結区間の中に関数F(x)が連続で無い点を含まない原始関数です。 

 複合された原始関数F(x)を、
連続で無い点で分割し、それらの分割された連結区間毎のF(x)で定義される各々の関数が真の原始関数です。

各連結区間毎に、異なる積分定数Cが設定できます。
各連結区間毎に、独立に、
F(x)+C
と表す積分定数Cが存在します。

真の原始関数は1つの積分定数Cだけ持ちます。
複合された原始関数は、微分すると同じf(x)が得られる複数の異なる積分定数Cを持ちます。
複合された原始関数を、異なる積分定数C毎に分割した部分が真の原始関数です。

 誤った定義に従った補足1の複合された原始関数と、原始関数の性質として教えられる公式とが違っている矛盾を見せられた高校生が微分積分の理解に苦しむのは当たり前の事と思います。
 なぜなら、原始関数の定義が誤っているので、正しい原始関数の概念を使ったあらゆる公式が無意味な公式になります。そして、それらの無意味になった公式を使ったあらゆる公式が無意味になるからです。
 このような嘘を押し付けられ覚える事を強制され、微分積分がわからないようにされている高校生に心から同情します。 

(誤った定理に注意)
 複合された原始関数F(x)が積分定数Cを持つという、
以下の間違った定理を証明したとする、誤りが流通しているので注意してください。

(誤った定理)
複合された原始関数F(x)があり、
F'(x)=f(x)
であるものとする。
関数f(x)が、その定義域においてf(x)=0
ならば、
F(x)=C
である。
(誤った定理おわり)

(定理の反例)
この(誤った)定理の反例では、
f(x)が、
x≠0で定義されていて、
x≠0では、f(x)=0
となる関数f(x)の場合に、
f(x)と同様に、x≠0で定義された関数F(x)を考える。
その F(x)は、
x≠0で
F’(x)=f(x)=0となる関数とする。

この条件を満足する、

x≠0では、F'(x)=f(x)=0
となる関数F(x)が2つ考えられる:
x≠0で F’(x)=f(x)=0となる関数F(x)の1つが、
x<0 : F(x)=0,
x>0 : F(x)=0,
という関数F(x)が考えられる。
また、
x≠0で F’(x)=f(x)=0となる関数F(x)のもう1つが、
x<0 : F(x)=1,
x>0 : F(x)=200,
という関数F(x)が考えられる。
この2つの関数F(x)は、1つの積分定数Cを使って
F(x)=C
という式でまとめて表す事ができない。
(反例おわり)


(正しい定理)原始関数に係る基本定理
正しい原始関数F(x)がある。
すなわち、F(x)が、
ある連結区間内の実数全てのxで定義されていて、
その連結区間の全てで微分可能(連結区間の端点では微分可能で無くても良い)であり、
F'(x)=f(x)
であるものとする。
関数f(x)が、その連結区間において
f(x)=0
ならば、
F(x)=C
である。
(基本定理おわり)

(基本定理の証明)
 この基本定理の厳密な証明は、平均値の定理を使って証明します。
 しかし、高校生に有りがちな、平均値の定理を証明しないで(証明を知らないで)使うのは関心しません。そういうやり方は他人任せであり、自分では(平均値の定理の証明も含めた)証明の全貌が把握できず、数学センスに反します。

 ここでは、平均値の定理の証明を知らない読者のために、
平均値の定理を使わない以下の方法で証明します。
(証明開始)
F’(x)=0なので、
微分の定義から、十分小さい正の値εに関して
-ε<(F(x+Δ)- F(x))/Δ<ε, となる。
-ε<(F(x+2Δ)- F(x+Δ))/Δ<ε,
ゆえに、
-2ε<(F(x+2Δ)- F(x))/Δ<2ε,
-2ε|Δ|<F(x+2Δ)-F(x)<2ε|Δ|,
この操作を続けると、
F(x)が微分可能なxの連結区間内では、ある(微小では無い)有限の長さsについて
-ε|s|<F(x+s)-F(x)<ε|s|,
ε|s|→0
なので、
F(x+s)-F(x)=0,
F(x)の値は一定値であって、
F(x)=C,
とあらわされる。
(基本定理の証明おわり)

(補題1)
上の証明で、
F(x+2Δ)=F(x+Δ)=F(x)
とする操作が続けられるのは、
F(x)が微分可能なxの連結区間内に限られ、
F(x)が微分できない点でこの操作が止まる。

よって、
F(x)=C
とあらわせるxの範囲は、
F(x)が微分可能なxの連結区間内、
すなわち、
F'(x)=f(x)が定義されるxの連結区間内
に限られている。すなわち、【被積分関数の単位】内に限られている。


(補題2)基本定理の拡張

この基本定理を使うと、
ある連結区間で定義された連続な関数
g(x)
に対して、
1つの原始関数
G(x)
が求められた場合に、
その他の全ての原始関数は、
積分定数Cを用いて、
G(x)+C,
とあらわすことができる事が
証明できる。

(補題3)関数を発見する発想の視点:
 また、関数はその定義域とセットにして定義され、定義域が異なれば異なる関数であると区別されるものなので、
関数の発見方法では、先ずは、定義域を広くした”原始関数F(x)”を考えて、その定義域を関数f(x)の定義域にまで狭くした関数F(x)をf(x)の真の原始関数F(x)と考えると良い。
そうする方が原始関数の発見方法としてわかりやすく実用的と考えます。 

(補題4)確実に正しい答えを導き出す視点:
 関数を使って正しい答えを導き出す確実な視点は、先ず、定義域を極力狭くして極めて単純な形の関数F(x)を考えます。そうすれば、その関数に、不正確であいまいで土台が壊れた定理を適用しても、扱う関数が極めて単純であるため、その答えを正しい方向に導く道の見通しが良くなり、正しい答えを出す事ができるようになります。

(補題5)
「原始関数を使って定積分を楽にする」
と言う意味は:
(1)求める関数は不定積分(=実用的原始関数)である。
(2)不定積分を計算する発想の順番を逆にして、
原始関数F(x)を先に考え、それが関数f(x)の一部分を再現できれば、その原始関数の1つながりに連続な部分が不定積分になっているので、関数f(x)の不定積分の一部分が得られたのである。
(3)不定積分の一部分を連続につなげば、全体の不定積分が得られる。
という、不定積分(=実用的原始関数)の求め方のテクニックがあるという事を意味しています。

(補題6)
 原始関数F(x)は、連結区間a<x<bのどの点でも連続、かつ、どの点でも微分可能な関数であって、F(x)を微分して導関数f(x)が求められる関数F(x)です。そういう特殊な関数の場合は、f(x)を積分すると再び原始関数が得られ、微分と積分が逆の関係を持つというきれいな関係がある事が発見されました。原始関数は、その発見のかなめ石になっている歴史的に記念すべき大切な関数だと思います。
 そのような、「連結区間a<x<bのどの点でも連続、かつ、どの点でも微分可能な関数」という大事な条件を満足しない関数の場合は、その関数を微分すると、微分と積分が逆の関係にならず、扱いが難しくなります。


《不定積分》
(1)不定積分F(x)は、それを微分すると、有限個の微分不可能な点を除いた、大部分の点で1つながりに連続した単位の被積分関数f(x)が得られる関数の事です。
(2)不定積分は、明確に1つながりに連続な関数です。
(3)不定積分は、原始関数と違って、微分して得た導関数が、有限個の点で、被積分関数f(x)と一致しないでも良い関数です。大部分のxでf(x)と一致するだけで良いのです。

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