ベクトルは数学や物理学などのさまざまな分野で非常に重要な概念です。ベクトルを学ぶことには多くの意義があります。
(1)ベクトルは幾何学において重要で、点、直線、平面、多角形などの幾何学的な対象を表現し、関連する計算を行うために使用されます。
(2)物理学では、ベクトルが力、速度、加速度、電場、磁場などの物理的な量を表現するために広く使用されます。ベクトルの理解は、物理学の基本原理や問題解決に不可欠です。
(3)ベクトルは、コンピューターグラフィックスやデザインにおいて図形、イメージ、アニメーションの表現に使用されます。
(4)機械学習やデータ分析の分野では、ベクトルはデータの表現と特徴抽出に使用されます。
《ベクトルの定義》
下の図のようにXY平面上に2点A,Bがある。
今、動点PがAからBまで移動したとすると、この移動量は、
「X方向に+3,Y方向に+4」
である。これを、
「点Pは
だけ移動した。」
と書くことにし、AからBまでの移動量を、
と表現できる。この点の座標の複数の成分の移動量の集合をベクトルABと呼ぶ。また、もっと一般的には、複数の数の集合をベクトルと呼ぶ。
(ベクトルの定義おわり)
ベクトルは、図形の点の座標の複数の成分をまとめて点を把握する役にたつ概念です。
高校数学のベクトルは,中学校の相似の問題と高校の図形の問題とに関係があります。ベクトルの問題はほとんどが相似等の幾何的な手法だけでも解ける。また、座標上における計算だけでも解けます。
それらの良いところを取ったような感じなのがベクトルです。
また、ベクトルは、連立方程式の式の計算において、連立する2つあるいは3つの式をまとめて1つのベクトル方程式であらわして、複数の式の表現を簡単化する役にもたちます。
連立方程式を1つの式にまとめてベクトル方程式という簡単化した形にすると、以下に示すようなベクトル方程式の法則も見えてきます。
すなわち、ベクトルは、数学の問題を、まとめられるものはまとめて、統一的に図形的に把握する視点を与える思考ツールだと思います。
ベクトルで問題を解くということは、ベクトルという記述手段で問題を記述し、ベクトルで記述した多くの公式を組み合わせ、問題を解く作業を行なうということです。
ベクトル自身の法則を使って問題を解く方法の解き方のパターンに、ベクトルの内積の分配の法則を使って内積の式を変形することで問題を解くパターンがあります。この式の変形のパターンを知らないと問題がまったく解けません。
ベクトルは、問題や公式を記述する道具という側面もあります。ベクトル自身の法則を使わないで問題を解く場合もあります。
ベクトルの問題を解くということは、ベクトルで記述された公式を使って問題を図形的に記述し、問題を、図形で考えられるようにし、図形を解くあらゆる手段を用いて問題を解く助けを得られるようにして問題を解く作業です。
ベクトルで問題を解くあらゆる手段の1つには、XY座標系のグラフを使ってグラフの連立方程式を作って問題を解くことも含まれます。
XY座標系のグラフを使って三角形の垂心を求めることが解き易いのに、それをベクトル方程式を使って解くと、解きにくいことがあることに気づきます。ベクトルの問題を解くときの基準ベクトルの組の選定が良くないと問題が解きにくくなります。適切な基準ベクトルを使って問題を解けば、問題が解き易くなります。
ベクトルで問題を解く場合、問題を、ベクトルという表現手段を使って図形的に整理した形で表現する。一方、その問題を解くのは従来の図形問題の解き方で解いても良い。そして解答だけを、再びベクトルという表現手段によって書いても良いと思います。
【数学が得意になるということ】
「スタンフォード:本当の答えを見抜く力」(キース・デブリン)
に、スタンフォード大学に入学した大学生に教える「数学移行講座」の教育内容が書かれています。
数学移行講座が必要な理由は、学生が大学の数学教育についていけるようにする基本的考え方を教える必要があるからです。
「数学的能力は2つのタイプに分類できます。
最も必要とされている能力は、2つ目のタイプの能力で、
製造業などで新しい問題に取り組んで、その鍵となる特徴を認識して数学的に記述し、その数学的記述を使って問題を正確に分析することができる能力です。
数学教育では主に1つ目のタイプの人間(公式を覚えて当てはめて定型的な問題の答えを出すことができる)を育てることに力点が置かれてきましたが、結果的に2つ目のタイプの人間も育ちました。
21世紀は、タイプ2の能力に対する需要の方が大きくなっています。
このタイプ2の人材は、
数学の箱の中ではなく、外で考えられる人材です。
『斬新な数学的思考家』と呼ぶのが良さそうです。」
ベクトルを学ぶということは、この、問題の鍵となる特徴を認識して数学的に記述する手段を学ぶという意味を持ちます。
【ベクトルを使って問題を解くパターン】
ベクトルの問題を解くという作業は、解答者が自身で、
(1)求めるベクトルの解をどの2つ(又は3つの)基準となるベクトルを使って表すかのベクトル系を決める。
(基準となるベクトル(ベクトル系)の選択は、図形問題を解くための座標軸を選択することに相当します)
(2)次に、その2つの基準となるベクトルの線形結合の実数の係数を、ベクトル計算によって求める。
という作業です。
解を表現するために適切な基準となるベクトルとして、どのベクトルを選ぶかは、ベクトルを用いる解答者自身の数学センスであって、ベクトル独特の計算方法が適切なベクトル系(基準となるベクトル)を導き出してくれるわけではありません。
(1)の段階でどのベクトルを基準にするか、解に使われる基準となるベクトルの群のベクトル系を決める事が解答への大切な糸口になります。
解答者が選んだ基準となるベクトルで構成したベクトル系以外によっては、その解はあらわされないのです。もちろん、計算の途中で式の置き換えなどによって新たに定義したベクトルも、最初に選んだベクトル系に加えることができるので、手遅れということはありませんが、、、。
ベクトル系の基準となるベクトルを切り替えて解を異なる形に表現すると、その新しいベクトル系であらわした解は、一見、全く異なる解に見えますので、最初に解答者が選択する基準となるベクトル(ベクトル系)の決定には良く注意する必要があります。
ベクトルは問題の記述手段であって、どのベクトルを基準となるベクトルにして問題を記述するかは解答者の意思に委ねられている。
例えば、ここをクリックした先のページの様に、三角形の外心をあらわすベクトルの式はベクトル系(基準となるベクトル)に依存して3つ以上の形が異なる式で外心があらわされます。
ベクトルを学ぶ意義は、「スタンフォード:本当の答えを見抜く力」(キース・デブリン)が目標にしている「斬新な数学的思考家」になるための数学的記述手段を手に入れることにあります。
ベクトルの概念という記述手段こそが、ベクトルの持つ最大の利点と考えます。
ベクトルという問題の記述手段を使って問題を整理して記述することが大切です。
そうしてベクトルで記述した問題を解く際には、XY座標成分の関係式を使うことで問題を解いても良く、それもベクトルを使った問題解決方法の一種です。
ベクトルが問題の記述手段であって、「どのベクトル系を使って問題を記述するかは解答者の意思に委ねられている」というベクトルの特徴は、問題の記述の自由度を更に増した複素数平面になると更に著しくなります。
すなわち、複素数平面では、「どの複素数系を使って問題を記述するかが解答者の意思に委ねられる」解答者の裁量の範囲が広がり、例えば、三角形の外心の位置を記述する複素数平面の式(相互に変換できる対等な価値を持つ式)は3~4つあります。
高校生は、大人として完成する時期にいます。そのため、高校生は、もう大人として、自らで学ぶべき適切な知識を自ら発見して学んでいくのが良いと考えます。
ベクトルの概念を教えない風潮があり、学生が「タイプ2」になる道を妨害していますが、高校生になった学生は、そういう風潮に押し流されず、自らベクトルという記述手段を学んでいくのが良いと考えます。
《ベクトルの概念の歴史》
ベクトルの概念は,ある一人の数学者によって完成されたものではなく,様々な数学者や物理学者の考えが合わさり,生み出されたものである.
18 世紀までに,ベクトルにつながるような概念はいくつかあったようである.中でも,複 素数平面に関する考えは,のちにベクトルの概念に繋がっていくことになる.
1840年 グラスマンが内積や外積を定義
彼は『線型拡張の理論』という本を出し、内積と外積という言葉を初めて使います。
しかし折角のこの論文は日の目を見ませんでした。
提出先の教授が理解できなかったからです。
1843年 ハミルトンがベクトルとベクトル解析の発展を刺激した四元数を発見
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高校数学の目次
(1)ベクトルは幾何学において重要で、点、直線、平面、多角形などの幾何学的な対象を表現し、関連する計算を行うために使用されます。
(2)物理学では、ベクトルが力、速度、加速度、電場、磁場などの物理的な量を表現するために広く使用されます。ベクトルの理解は、物理学の基本原理や問題解決に不可欠です。
(3)ベクトルは、コンピューターグラフィックスやデザインにおいて図形、イメージ、アニメーションの表現に使用されます。
(4)機械学習やデータ分析の分野では、ベクトルはデータの表現と特徴抽出に使用されます。
《ベクトルの定義》
下の図のようにXY平面上に2点A,Bがある。
今、動点PがAからBまで移動したとすると、この移動量は、
「X方向に+3,Y方向に+4」
である。これを、
「点Pは
だけ移動した。」
と書くことにし、AからBまでの移動量を、
と表現できる。この点の座標の複数の成分の移動量の集合をベクトルABと呼ぶ。また、もっと一般的には、複数の数の集合をベクトルと呼ぶ。
(ベクトルの定義おわり)
ベクトルは、図形の点の座標の複数の成分をまとめて点を把握する役にたつ概念です。
高校数学のベクトルは,中学校の相似の問題と高校の図形の問題とに関係があります。ベクトルの問題はほとんどが相似等の幾何的な手法だけでも解ける。また、座標上における計算だけでも解けます。
それらの良いところを取ったような感じなのがベクトルです。
また、ベクトルは、連立方程式の式の計算において、連立する2つあるいは3つの式をまとめて1つのベクトル方程式であらわして、複数の式の表現を簡単化する役にもたちます。
連立方程式を1つの式にまとめてベクトル方程式という簡単化した形にすると、以下に示すようなベクトル方程式の法則も見えてきます。
すなわち、ベクトルは、数学の問題を、まとめられるものはまとめて、統一的に図形的に把握する視点を与える思考ツールだと思います。
ベクトルで問題を解くということは、ベクトルという記述手段で問題を記述し、ベクトルで記述した多くの公式を組み合わせ、問題を解く作業を行なうということです。
ベクトル自身の法則を使って問題を解く方法の解き方のパターンに、ベクトルの内積の分配の法則を使って内積の式を変形することで問題を解くパターンがあります。この式の変形のパターンを知らないと問題がまったく解けません。
ベクトルは、問題や公式を記述する道具という側面もあります。ベクトル自身の法則を使わないで問題を解く場合もあります。
ベクトルの問題を解くということは、ベクトルで記述された公式を使って問題を図形的に記述し、問題を、図形で考えられるようにし、図形を解くあらゆる手段を用いて問題を解く助けを得られるようにして問題を解く作業です。
ベクトルで問題を解くあらゆる手段の1つには、XY座標系のグラフを使ってグラフの連立方程式を作って問題を解くことも含まれます。
XY座標系のグラフを使って三角形の垂心を求めることが解き易いのに、それをベクトル方程式を使って解くと、解きにくいことがあることに気づきます。ベクトルの問題を解くときの基準ベクトルの組の選定が良くないと問題が解きにくくなります。適切な基準ベクトルを使って問題を解けば、問題が解き易くなります。
ベクトルで問題を解く場合、問題を、ベクトルという表現手段を使って図形的に整理した形で表現する。一方、その問題を解くのは従来の図形問題の解き方で解いても良い。そして解答だけを、再びベクトルという表現手段によって書いても良いと思います。
【数学が得意になるということ】
「スタンフォード:本当の答えを見抜く力」(キース・デブリン)
に、スタンフォード大学に入学した大学生に教える「数学移行講座」の教育内容が書かれています。
数学移行講座が必要な理由は、学生が大学の数学教育についていけるようにする基本的考え方を教える必要があるからです。
「数学的能力は2つのタイプに分類できます。
最も必要とされている能力は、2つ目のタイプの能力で、
製造業などで新しい問題に取り組んで、その鍵となる特徴を認識して数学的に記述し、その数学的記述を使って問題を正確に分析することができる能力です。
数学教育では主に1つ目のタイプの人間(公式を覚えて当てはめて定型的な問題の答えを出すことができる)を育てることに力点が置かれてきましたが、結果的に2つ目のタイプの人間も育ちました。
21世紀は、タイプ2の能力に対する需要の方が大きくなっています。
このタイプ2の人材は、
数学の箱の中ではなく、外で考えられる人材です。
『斬新な数学的思考家』と呼ぶのが良さそうです。」
ベクトルを学ぶということは、この、問題の鍵となる特徴を認識して数学的に記述する手段を学ぶという意味を持ちます。
【ベクトルを使って問題を解くパターン】
ベクトルの問題を解くという作業は、解答者が自身で、
(1)求めるベクトルの解をどの2つ(又は3つの)基準となるベクトルを使って表すかのベクトル系を決める。
(基準となるベクトル(ベクトル系)の選択は、図形問題を解くための座標軸を選択することに相当します)
(2)次に、その2つの基準となるベクトルの線形結合の実数の係数を、ベクトル計算によって求める。
という作業です。
解を表現するために適切な基準となるベクトルとして、どのベクトルを選ぶかは、ベクトルを用いる解答者自身の数学センスであって、ベクトル独特の計算方法が適切なベクトル系(基準となるベクトル)を導き出してくれるわけではありません。
(1)の段階でどのベクトルを基準にするか、解に使われる基準となるベクトルの群のベクトル系を決める事が解答への大切な糸口になります。
解答者が選んだ基準となるベクトルで構成したベクトル系以外によっては、その解はあらわされないのです。もちろん、計算の途中で式の置き換えなどによって新たに定義したベクトルも、最初に選んだベクトル系に加えることができるので、手遅れということはありませんが、、、。
ベクトル系の基準となるベクトルを切り替えて解を異なる形に表現すると、その新しいベクトル系であらわした解は、一見、全く異なる解に見えますので、最初に解答者が選択する基準となるベクトル(ベクトル系)の決定には良く注意する必要があります。
ベクトルは問題の記述手段であって、どのベクトルを基準となるベクトルにして問題を記述するかは解答者の意思に委ねられている。
例えば、ここをクリックした先のページの様に、三角形の外心をあらわすベクトルの式はベクトル系(基準となるベクトル)に依存して3つ以上の形が異なる式で外心があらわされます。
ベクトルを学ぶ意義は、「スタンフォード:本当の答えを見抜く力」(キース・デブリン)が目標にしている「斬新な数学的思考家」になるための数学的記述手段を手に入れることにあります。
ベクトルの概念という記述手段こそが、ベクトルの持つ最大の利点と考えます。
ベクトルという問題の記述手段を使って問題を整理して記述することが大切です。
そうしてベクトルで記述した問題を解く際には、XY座標成分の関係式を使うことで問題を解いても良く、それもベクトルを使った問題解決方法の一種です。
ベクトルが問題の記述手段であって、「どのベクトル系を使って問題を記述するかは解答者の意思に委ねられている」というベクトルの特徴は、問題の記述の自由度を更に増した複素数平面になると更に著しくなります。
すなわち、複素数平面では、「どの複素数系を使って問題を記述するかが解答者の意思に委ねられる」解答者の裁量の範囲が広がり、例えば、三角形の外心の位置を記述する複素数平面の式(相互に変換できる対等な価値を持つ式)は3~4つあります。
高校生は、大人として完成する時期にいます。そのため、高校生は、もう大人として、自らで学ぶべき適切な知識を自ら発見して学んでいくのが良いと考えます。
ベクトルの概念を教えない風潮があり、学生が「タイプ2」になる道を妨害していますが、高校生になった学生は、そういう風潮に押し流されず、自らベクトルという記述手段を学んでいくのが良いと考えます。
《ベクトルの概念の歴史》
ベクトルの概念は,ある一人の数学者によって完成されたものではなく,様々な数学者や物理学者の考えが合わさり,生み出されたものである.
18 世紀までに,ベクトルにつながるような概念はいくつかあったようである.中でも,複 素数平面に関する考えは,のちにベクトルの概念に繋がっていくことになる.
1840年 グラスマンが内積や外積を定義
彼は『線型拡張の理論』という本を出し、内積と外積という言葉を初めて使います。
しかし折角のこの論文は日の目を見ませんでした。
提出先の教授が理解できなかったからです。
1843年 ハミルトンがベクトルとベクトル解析の発展を刺激した四元数を発見
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