2018年6月4日月曜日

ベクトルを勉強する意味と問題をベクトルで解くパターン

 ベクトルは、図形の点の複数の座標値をまとめた点自身を把握する役にたつ概念です。

 また、ベクトルは、連立方程式の式の計算において、連立する2つあるいは3つの式をまとめる左カッコで式をくくるようなものであり、ベクトルは、複数の式を整理する有用な視点を与える概念だと思います。

 すなわち、ベクトルは複数の式を、いわば図形的にまとめる概念であって、数学の問題を、まとめられるものはまとめて、図形的に統一的に把握する視点を与える思考ツールだと思います。

 ベクトルで問題を解くということは、ベクトルという記述手段で問題を記述し、ベクトルで記述した多くの公式を組み合わせ問題を解く作業を行なうということです。
いわば、ベクトルは問題や公式を記述する道具であって、ベクトル自身の法則を使って問題を解くというのはごく一部の問題に限られています。
 ベクトルの問題を解くということは、ベクトルで記述された公式を使って問題を図形的に記述し、問題を、図形で考えられるようにし、図形を解くあらゆる手段を用いて問題を解く助けを得られるようにして問題を解く作業です。
ベクトルで問題を解くあらゆる手段の1つには、XY座標系のグラフを使ってグラフの連立方程式を作って問題を解くことも含まれます。

 そのため、ベクトルの独特の計算方法によって問題を解いているような場合も、その計算方法は、問題を、ベクトルという表現手段を使って図形的に整理した形で表現し、その問題を解くために従来の図形問題の解答手段を使い易くしているだけなのではないか、という視点も持って問題解法を見るようにして欲しいと思います。

【数学が得意になるということ】
 「スタンフォード:本当の答えを見抜く力」(キース・デブリン)
に、スタンフォード大学に入学した大学生に教える「数学移行講座」の教育内容が書かれています。
 数学移行講座が必要な理由は、学生が大学の数学教育についていけるようにする基本的考え方を教える必要があるからです。
「数学的能力は2つのタイプに分類できます。
最も必要とされている能力は、2つ目のタイプの能力で、
製造業などで新しい問題に取り組んで、その鍵となる特徴を認識して数学的に記述し、その数学的記述を使って問題を正確に分析することができる能力です。


 数学教育では主に1つ目のタイプの人間(公式を覚えて当てはめて定型的な問題の答えを出すことができる)を育てることに力点が置かれてきましたが、結果的に2つ目のタイプの人間も育ちました。
21世紀は、タイプ2の能力に対する需要の方が大きくなっています。
このタイプ2の人材は、
数学の箱の中ではなく、外で考えられる人材です。
『斬新な数学的思考家』と呼ぶのが良さそうです。」


 ベクトルを学ぶということは、この、問題の鍵となる特徴を認識して数学的に記述する手段を学ぶという意味を持ちます。

【ベクトルを使って問題を解くパターン】
 ベクトルの問題を解くという作業は、解答者が自身で、
(1)求めるベクトルの解をどの2つ(又は3つの)ベクトルを使って表すかのベクトル系を決める。
 (ベクトル系の選択は、図形問題を解くための座標軸を選択することに相当します)
(2)次に、その2つのベクトルの線形結合の実数の係数を、ベクトル計算によって求める。
という作業です。

 解を表現するために適切なベクトルを選び出すのは、ベクトルを用いる解答者自身の数学センスであって、ベクトル独特の計算方法が適切なベクトル系を導き出してくれるわけではありません。
(1)の段階でどのベクトルを基準にするか、解に使われるベクトル系を決める事が解答への大切な糸口になります。
解答者が選んだベクトル系のベクトル以外によっては、その解はあらわされないのです。もちろん、計算の途中で式の置き換えなどによって新たに定義したベクトルも、最初に選んだベクトル系に加えることができるので、手遅れということはありませんが、、、。
 ベクトル系を切り替えて解を異なる形に表現すると、その新しいベクトル系であらわした解は、一見、全く異なる解に見えますので、最初に解答者が選択するベクトル系の決定には良く注意する必要があります。

 ベクトルを学ぶ意味は、「スタンフォード:本当の答えを見抜く力」(キース・デブリン)が目標にしている「斬新な数学的思考家」になるための数学的記述手段を手に入れることにあります。

 ベクトルの概念という記述手段こそが、ベクトルの持つ最大の利点と考えます。
ベクトルという問題の記述手段を使って問題を整理して記述することが大切です。
そうしてベクトルで記述した問題を解く際には、XY座標成分の関係式を使うことで問題を解いても良く、それもベクトルを使った問題解決方法の一種です。

 高校生は、大人として完成する時期にいます。そのため、高校生は、もう大人として、自らで学ぶべき適切な知識を自ら発見して学んでいくのが良いと考えます。
 ベクトルの概念を教えない風潮があり、学生が「タイプ2」になる道を妨害していますが、高校生になった学生は、そういう風潮に押し流されず、自らベクトルという記述手段を学んでいくのが良いと考えます。

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