2025年3月4日火曜日

微分積分の礎の関数の連続性と現代数学の位相空間論

やさしい微分積分
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《実数とは》
 例えば、以下の図の規則によってx=1から、x=2、次にx=3/2 というように有理数の値を変えてくと、限りなく近づく先の数が有理数の中には無い。しかし、そのように限りなく近づく先の数が存在すると考えた。その数を実数と呼ぶ。


 このように、「限りなく近づける」操作(極限の操作)が、数の概念を拡張することを要請し、そうして拡張された新たな数が実数であった。この拡張された数である実数から成るとされる数直線には数の連続性があるとされた。このように極限の操作によって数の概念が実数にまで拡張され、それが数の連続性と微分積分の礎になった。

《数列の極限》
 項が限りなく続く数列x1, x2, x3, ・・・, xn, ・・・を無限数列と言う。xnをその第n項といい、この無限数列を{xn}であらわす。また、an を自然数nの式であらわしたものを数列{xn} の一般項という。
 「変数xが限りなく点aに近づく」という極限の定義は、数の集合Aにおいて、以下のことが成り立つこととして、極限を定義する。
【数列の極限の定義】
以下の図で、「数の集合Aの要素で、点a以外の値の、変数xの無限数列{xn}を考える。

この数列{xn}では、自然数nが限りなく大きくなるとき、第n項は限りなく値aに近づく。
 一般に、数列{xn}において、nが限りなく大きくなるにつれて、xn が一定の値aに限りなく近づくとき、数列{xn}はaに収束する、または、数列{xn}の極限はaであるという。その値aを数列{xn}の極限値であるという。(点aは数の集合Aの要素で無くても良い)。
 数列{xn}の極限値がaであるとき、次のように書く。

(ここで、記号∞は”無限大”と読む。∞は数をあらわすものではない)
 すなわち、「変数xが限りなく点aに近づく」という極限の概念を、点aに収束する、数の集合Aの要素のxの無限数列を使って数学的に定義した。
 その結果、変数xが限りなく近づく先の数の点aは、すなわち、変数xの極限の数の点aは、
数の集合Aの要素の点xの無限数列の集積点であるという結論が得られる。
--(集積点の定義)--
  実数の集合Rの部分集合の数の集合Aを考える。
(1)実数の点aが数の集合Aの集積点であるとは、
点aの値以外の数の集合Aの要素の点xn による、点aに収束する無限数列 {xn}が存在すること(点aは実数ではあるが、数の集合Aの要素とは限らない)である。
(2)数の集合Aの要素のある数の点yが集積点ではないとき、その点yを数の集合Aの孤立点と呼ぶ。

(3)数の集合Aの集積点のうち、集合Aの外の数であるか、又は、その近傍の点でもある点を集合Aの境界点と呼ぶ。集合Aの集積点のうち集合Aに含まれない集積点を、集合Aの外の集積点(境界点)と呼ぶ。
 数の集合Aの境界点には、(1) 数の集合Aの集積点であり、かつ、集合Aの外の数の集合の集積点でもある境界点がある。(2) 数の集合Aの集積点であり集合Aの外の数の集合の孤立点も境界点である。(3) 数の集合Aの孤立点であり集合Aの外の数の集合の集積点も境界点である。
--(集積点の定義おわり)---

《関数の極限の概念》
 「変数xが限りなく点aに近づく」極限の定義と、その極限の定義を基礎にした関数f(x) の極限の定義は、関数f(x) の定義域Aに以下の条件が成り立つことを前提にしている。
(1)第1に、「関数f(x) の定義域のxの数の集合Aの変数xの無限数列が点aへ収束する」、という条件がある。その結果、xが限りなく近づく先の点aは、関数f(x) の定義域の変数xの集積点である。(点aは定義域A上の点でなくても良い)
 つまり、定義域のxの数の集合Aから、aと異なる数x1, x2, x3, ・・・, xn, ・・・ を選んで、点aに収束するxの無限数列{xn}を作れること。その無限数列{xn}が点aに収束するのにともなってf(x) が値Cに収束することが、x→aで関数f(x)に極限値Cが存在するための基礎条件である。

(2)次に、定義域Aが点aの近傍の区間B(右側近傍や左側近傍といった片側近傍でも良い)を含むものとする。次に、区間Bの変数xの数列であって、点aに収束するxの無限数列に対応する関数f(x) の無限数列が値Cに収束すること。更に、点aに収束する区間Bの全てのxの無限数列に対応する関数f(x) の無限数列が同じ値Cに収束すること。これらが成り立つ場合に、点aで関数f(x) が収束する(極限値が存在する)と定義する。

 そう定義する理由は、関数f(x) によっては、区間Bの点xによる、点aに収束する無限数列{xn}毎に、関数f(x) が異なる値に収束したり、収束しなかったりすることがあるからである。

(3)こうして、古典的(基礎的)微分積分学では、「変数xが限りなく点aに近づく」という極限の概念を、区間Bのxの点の、aに収束する無限数列{xn}を使って数学的に定義した。そして、「変数xの極限の点aは、xの無限数列の集積点である」という結論が得られる。

(4)こうして、古典的(基礎的)微分積分学では、 集積点aに収束する区間Bの点xのどの無限数列においても関数f(x) が同じ値Cに収束することを、関数の極限値が存在する条件とした。そして、その基本的条件を満足する関数の定義域Aは、aの近傍の区間Bを含むものであると定義した。また、極限の点aには定義域Aの境界点も含ませた。
そのことを、x→aのときf(x) の極限値がCである。
といい、次のように書く。

 ここで、点aが関数f(x) の定義域Aには属さない場合でも、定義域Aのxの無限数列が点aに収束する場合の集積点aは定義域Aの境界点である。定義域の境界点は、関数f(x) の極限を調べる対象とする点である。

 そのように、定義域Aの点と境界点との集合の点に対して、関数の値が収束する極限値Cを定義した上で、その極限値C=f(a) になることを、点aで関数f(x) が連続であると定義した。すなわち、定義域Aの点と境界点との集合の点に対して、極限の概念の延長として、点aが連続である条件を定義した(その定義には、定義域の外の境界点は連続な点では無い「不連続点である」という意味が含まれる。境界点が定義域に含まれる場合には、多くの場合にその境界点は連続な点になる。)

1970年代の高校数学の参考書「大道を行く数学(解析編)」から、以下の知識が得られる。

[連続の定義]

のとき、関数y=f(x)は x=a で連続であるという。

 また、f(x) がある区間のすべてのxで連続のとき、その区間で連続であるという。

 しかし、(10)式は単なる定義であって、それだけではいろいろな問題を考察するのに不十分であろう。連続について知るには、裏返して不連続である場合を知るのが早道である。不連続の場合は、(10)式が成り立たない場合だから、次の4通りが考えられる。

この定義はアメリカのMITで教えている不連続点(points of discontinuity)の定義でも同じである。
以下、これらについて、例をもって説明しよう。 



この不連続点は、定義域の外の境界点であって、かつ、その境界点によって関数の定義域が連結されている。
 このような「式の欠点」から生じる不連続は、もしその点aで関数を定義して関数f(x) を点aでも連続な関数にすれば、その点aでの関数f(a) の不連続は補正されたものと見なすことが,多くの場合に適切である.


例2.9 [x] はxを越えない最大の整数とする.






どちらも存在しない。
(この不連続点は、定義域の外の境界点であって、かつ、その境界点によって関数の定義域が連結されている)
このことについては多くを語る必要もないであろう。

左右の片側極限が一致せず、なおかつf(x) が点aにおいて定義されていない場合にも、aはf(x) の跳躍不連続点です。


例2.10 無限個の項の和が存在するとして定義された関数


は、x≠0のとき、次のような工夫をすると簡単な形にまとめられる.


この関数のグラフは図2.10 の通りである.

 不連続な場合、f(x) のグラフは不連続なxにおいて切れていて、連結していない.このことは逆に連続なときは、グラフはxにおいて切れ目のない線になっている.また(10)式は、
  x-aが無限小のとき、f(x)-f(a) が無限小
ということである.したがってf(x) が連続なところでは
  xの微小変化に対応し、f(x) が微小変化する
そして、このような関数を連続関数というといいかえても良い.

(参考)藤原松三郎の「微分積分学 第1巻」によると、「f(x)がx=ξで連続でない場合に、x=ξ(という変数xの数直線上の点)をf(x)の不連続点という。」と定義されている。

〔定義の役割〕
 連続関数とは、第1の条件として、関数の定義域が連結していること(定義域の外の境界点によって定義域が連結されてはいないこと)、第2の条件として、定義域の点毎に関数f(x) の値域が連結していること。その2つの条件が成り立ちグラフが1つながりに連結している関数f(x) をどのように表すかが連続関数の定義の役割である。

(注意1)関数f(x) の点とは、関数をあらわすグラフ上の点ではなく、変数xの数直線上の点である。

(注意2)
 「不連続点」の定義は、現代数学の位相空間論の定義では、その不連続なxの値で関数値f(x) が定義されている場合のみに「不連続点」という言葉を使っている。つまり、古典的(基礎的)な微分積分学における上の例2.8 の(1°)や(3°)の点のように関数値f(x) が定義されていない点は、位相空間論の定義では不連続点とは呼んでいない。(しかし、後に説明するように、これは誤りである)

〔古典的(基礎的)微分積分学〕
 古典的(基礎的)微分積分学では、関数の連続性の定義は、〔定義の役割〕における2つの条件が満足されるように定義する。先ず、第1の条件を満足するために、変数xの点aの近傍で実数が連結する区間内(連結する全ての実数)での極限を用いる。次に、第2の条件を満足するように、式(10)によって関数f(x) の連続性を定義している。

「区間で定義された関数f(x)が、その区間のすべてのxの値で古典的(基礎的)な連続性があるとき、f(x)は古典的(基礎的)な微分積分学で定義された連続関数である」

 古典的(基礎的)微分積分学を教える高木貞治の「解析概論」では、連続関数を「ある区域(区間)内において,変数xが連続的に変動するのに伴って連続的に変動する関数f(x) 」と呼んでいる。関数f(x) が連続的に変動するという意味は、関数が区間で、連続的に定義されているという意味である。すなわち、f(x)=1/x という関数のように、x=ー1からx<0までは関数f(x) が定義されていて、x=0では関数が定義されていない。再びx>0からx=1まで関数f(x) が定義されている。といった、関数が区間[-1,1]で連続的には定義されていない関数は連続関数ではないのである。

 そして、古典的(基礎的)微分積分学では、実数の数直線上のx=aの点で関数f(x) の連続性の条件が満たされない場合に、その数直線上の点aを不連続点と呼んでいる。

 数直線上のx=aの点は、関数f(x) の連続な点であるか、関数f(x) の不連続点(当ブログでは「連続でない点」と呼ぶ)かの2つの場合のどちらかである。
すなわち、あるxの点が不連続である条件は、そのxの点が連続でないことである。

 古典的(基礎的)微分積分学は、数直線の実数全体の数の集合に基づいて解析することで、関数の性質の解析の見通しを良くしています。

〔位相空間論によって再構築した微分積分学〕
(微分積分を学び始めた高校生はこれ以降は読まないで良い)

 一方で、位相空間論によって再構築した微分積分学は、位相空間の数の集合(限定された数)のみに基づいて関数の性質を解析するので、関数の解析の見通しが極めて悪い。手探りで関数を解析するので間違え易いという特徴があります。

 古典的(基礎的)微分積分学の発展の歴史は、微分積分の概念を確立する過程で間違いを繰り返してようやく厳密性(論理的正しさ)を確保できた歴史がある。現代数学の位相空間論で再構築した微分積分学も、同様に、多くの間違いを繰り返して最後に厳密性(論理的正しさ)を確保する過程の途上にあると考える。

《位相空間論の極限の定義が要注意》
 位相空間論に係わる極限の定義には、古典的(基礎的)微分積分学でのxの極限に必須な条件である「点aに収束するxの無限数列の値xでf(x) が定義されていなければならず、極限の点aは集積点である」、という条件が欠落している。そして、「点aに近い微小区間のどの実数に対してもf(x) の値が定義されていなければならない」、という古典的(基礎的)微分積分学における、関数f(x) の極限が存在するための前提条件が抜け落ちている。
 古典的(基礎的)微分積分学は、変数xが限りなく点aに近づくこと、という極限の概念をxの無限数列を使って数学的に定義した。そして、「変数xの極限の点aは、xの数列の集積点である」という結論を得た。一方で、位相空間論では、その結論を否定し、集積点では無い孤立点aが変数xの極限になると決めた。それにより、基礎的微分積分学の極限の概念を否定して、異なる極限の概念に再構築している。

 位相空間論によって再構築した微分積分学では、関数の連続性の定義は、〔定義の役割〕における2つの条件のうちの第2の条件のみを満足する定義である。
すなわち、例えば位相空間の数の集合を有理数のみ(数の集合が連結しない)に定めても良く、関数f(x) の定義域はその数の集合の部分集合に限られる。そのようにして定義域の連結性が要求されていない

 そして、点aが集積点の場合は、式(10) により値域の連続性を定義する。

また、独立変数x及び点aが、位相空間の数の集合(例えば有理数)に属する場合のみを考える。関数f(x) の定義域は位相空間の数の集合の部分集合であるが、点aも、定義域内の点に限った上で値域の連続性を定義している。式(10) は、その点xが限りなく点a近づくときに、f(x) が限りなくf(a) に近づくという関係があることによって関数f(x) の値域の連続性を表している。

「関数 f(x) が、その関数f(x) の定義域のすべての x =aの値で位相空間論的な連続性があるとき、 f(x) は位相空間論で定義された連続関数である」

 そして、例えば有理数の位相空間の数の集合に属するx=aの点で関数f(x) の連続性の条件が満たされない場合を、その点aを、連続でない点と呼ぶ。
位相空間の数の集合(有理数)に属するx=aの点は、
①関数f(x) の定義域に属さない点aの不連続点であるか、
②定義域上の点aであって関数f(x) の連続な点であるか、
③定義域上の点aであって関数f(x) の不連続点であるか、
の3つの場合のどれかである。
(4つ目の場合として、例えば無理数のx=βの点などの、有理数の位相空間の数の集合に属さない点βについては、位相空間の数の集合に属さないので存在しない数とみなす。その点βについては言及しない)

 (3°の)関数f(x)=1/x において、点x=0は、関数f(x) の定義域内の点ではないが、位相空間の数の集合(有理数や実数)に属する点である。位相空間論でも、その点aを、定義域の外の不連続点と定義できる。
すなわち、あるxの点が不連続である条件は、
(1)先ず、そのxの点が位相空間の数の集合に属する点であること。
(2)次に、そのxの点が連続でないこととの、
2つの条件を満足する必要がある。
点x=0は、その2つの条件を満足するので定義域の外の不連続点と定義できる。

(点の種別の定義付けの心)
 位相空間論での「不連続点」の厳密な定義は、定められた位相空間の数の集合だけで議論することである。その位相空間の数の集合に属するxの点は、関数f(x) の定義域に属するか、定義域に属さないかの何れかである。
 (1°)の、変数xの定義域に属さない「取除きうる不連続点a」については、その点aが位相空間の数の集合に属する場合は、関数f(x) の定義域の外の「境界点」である。
その「境界点」は連続な点ではないので、位相空間論でも、「定義域の外の不連続点」と定義できる。かくして、位相空間論では、定義域の外の境界点を「定義域の外の不連続点」と定義できる。
 しかしながら、有理数のみの位相空間においては、以下の図の関数のx=√2 の点は無理数であって、その位相空間の数の集合に属さない。

この場合は関数f(x) の有理数の「境界点」が存在しないので、有理数の位相空間の不連続点も存在しないことに注意すべきである。古典的(基礎的)微分積分学の視点(実数を数の集合とする位相空間)で見ると、この図の関数(厳密に言うと無理数でも定義された関数の場合)は、無理数の境界点で分断された3つの異なる連続関数から成ることがわかる。

(注意3)
 位相空間論の説明において、位相空間の数の集合に属する点であって「不連続点」の資格がある点の一部分の、数f(x) の定義域に属する点のみを「不連続点」と説明する誤りが流通している。(そういう誤りを基礎的微分積分学(高校数学)に混ぜないでほしい)。そういう誤りに巻き込まれないために、古典的(基礎的)な微分積分学が定義する「不連続点」や、(位相空間論においても)定義域を連結させない境界点の「定義域の外の不連続点」は、このブログでは、「連続でない点」と呼ぶことにして数学用語を明確にする。
(補足)
 なお、位相空間論で点の連続性を厳密に議論するためには、関数の定義域に属する「連続でない点」と、関数の定義域の外の(位相空間の数の集合には属する)「連続でない点」とは性格が異なる点であるので区別して考えた方が良い。
 特に、連続関数の連続性を、位相空間論では独立変数xの連結性と従属変数yの連結性(位相空間論の連続関数の定義による)に分けて扱った。そのため、関数f(x) が定義されている点aの不連続点は、すなわち従属変数yの連結性のみが損なわれた定義域上の不連続点は、「定義域に限った不連続点」と呼ぶのが適切であろう。関数f(x) が定義されない点などの、独立変数xの連結性が損なわれた点の不連続点は、xの連結性が損なわれているだけでなく同時にyの連結性も損なわれている場合(上図のグラフ:実数の位相空間の場合)もあるので、定義付けが難しい。「定義域の外の不連続点」と呼ぶのが適切であろう。

〔基礎的微分積分学の立場から見た、位相空間論の「不連続点」の定義の誤り〕
 位相空間論の「不連続点」の定義は、位相空間論の連続性の定義の結論、「関数fがそもそも点aにおいて定義されていない場合、すなわちa∉定義域Aである場合、関数fは点aにおいて連続ではない」と整合しないので誤りである。

 位相空間論で、関数の定義域に属する点のみを「不連続点」と説明している誤りの原因は、位相空間論の「変数xの点」定義のあいまいさが原因である。位相空間論で「連続な点」と「不連続点」を定義付ける対象のxの点は位相空間の数の集合のすべての点を対象にすべきである。(それらの点のうち特に、関数の極限にかかわる定義域の境界点は関数の連続性の判定をすべき点である)。しかし、それを、関数の定義域Aの点のみにしている不徹底さがある。そのため、f(x) の式の欠点aで関数f(x) が分割されて関数f(x) を不連続にする不連続点の資格がある関数f(x) の定義域の境界点(下図のx=0の点)が、連続性の判定対象にされなかった。

その結果、その点が「不連続点」とも「連続な点」とも呼ばれなかった。(位相空間論において「連続な点」とも「不連続点」ともされないで良い点は、位相空間の数の集合に属さない点だけである)
 位相空間論では、(極限点は集積点であるという極限の根本条件を否定しているので極限の概念を捨てているとも言えるが)例えば位相空間の数の集合を有理数のみとした場合には、変数xが限りなく近づく先を有理数のみに限定するなどの、極限の宛先を位相空間の数の集合に属する点kのみに限定する。位相空間の数の集合が有理数のみの場合には、数同士の距離が近いか遠いかの関係が有理数同士の間でのみ定義されているからである。しかし、そうだからといって関数f(x) の極限の宛先の点kが関数の定義域A内の数のみに限定されているわけではない。上図の場合では、関数f(x) の極限の宛先が定義域の集積点であるx=0の点も対象になっている。上図の関数f(x) では、そのx=0の点で極限が存在しない。関数の連続性の条件は極限の存在条件よりも厳しいのであるから、x=0の点では、関数の連続性も満足されず、この関数の定義域の外の不連続点である。
 関数の定義域の外の点が連続な点ではないのがあたりまえなので、なぜ、それを位相空間論でも定義域の外の不連続点と強調しなければならないのかは、以下の理由である。関数の点aでの連続性を調べるとき、先ずは、点aの極限を求めるが、点aで関数が定義されている必要がない。関数の極限を求める場合は、点x=0以外の、x=0の近傍の全ての定義域の点で関数の性質を調べることができる。そして、x=0の点で関数f(x)=1/x が極限を持たないという結論が得られる。関数の定義域が分断されていて、定義域を分断する境界点x=0で極限が存在せず、関数が連続しない、という情報は無視し得ない重要性を持つ。その情報ゆえに、古典的微分積分学では、複合区間で定義された関数f(x)=1/x は(定義域の外の不連続点x=0が存在するゆえに)連続関数では無いと定義した。位相空間論も、その結論(定義域を連結する境界点x=0が定義域の外の不連続点である)を無視し得ないと考える。

《位相空間論の不連続点の意味》
 位相空間論が定義する「不連続点」は、古典的(基礎的)微分積分学があらわす点と関数との関係によって分類した点の性質をあらわすものではない。正しくは、位相空間論の「不連続点」とは、
「関数の位相空間論の不連続性を持つ定義域の点」
を指す数学用語である。
 また、位相空間論の「連続点」とは、
「関数の位相空間論の連続性を持つ定義域の点」
を指す数学用語である。
(注意) 位相空間論の関数の連続性の定義によっても、「関数fがそもそも点aにおいて定義されていない場合、すなわちa∉定義域Aである場合、関数fは点aにおいて連続ではない」という結論になる。
(「関数の連続性の否定の論理式」のサイトも参考になる)
 例えば、関数f(x)=1/x であって、定義域がx≠0の実数全体である関数f(x) は、点x=0において、点x=0が定義域に含まれないので連続ではない。更に言うと、点x=0が定義域に含まれていることにしても、x=0の点において、極限が存在しないので連続ではないその結論は点aでの関数の連続性をイプシロン・デルタ論法で定義しても変わらない。
 位相空間論の「不連続点」の定義は、その結論と整合しないので誤りである。「不連続点」と呼ぶよりは「定義域に限った不連続点」と呼んだ方が良い。
 位相空間論が古典的微分積分学で使っている数学用語と同じ言葉(連続点、不連続点)を使っていても、その元の概念とは異なる概念・対象を定義している。(例えば、極限点(集積点)ではない孤立点を連続点とする等、古典的微分積分学とは異なる対象を位相空間論が定義している)

(注意)位相空間論に係わる関数の連続性の定義には、孤立点に連続性があるという定義が含まれている。定義域Aが孤立点のみの関数は定義域の全ての点で連続な関数になる。なお、孤立点の極限は、点の連続性の定義を経由して定義すると、孤立点を極限の点と定義することができる。
 下図の関数は、定義域Aが孤立点のみの関数であって、定義域の全ての点で連続な関数である。

上図の関数のように、関数 f(x) が、その関数f(x) の定義域Aのすべての x =aの値で位相空間論に係わる連続性があるとき、「f(x) は位相空間論に係わる連続関数である」と言う。(x=0,1,2,3の点以外の点は、定義域に無いので考えない)

(質問)『分数関数は(高校数学が定義する)連続関数ですが、中間値の定理は成り立つのですか?x=0のときのグラフがないので成り立たない気がするのですが……。また、例えば

において、区間[-1,1]は連続なのでしょうか?』

という質問があります。その回答は:
(回答)『変数xの数直線上の点x=0において、f(x)=1/xの値が定義されていないので、その数直線上の点x=0で関数f(x)は連続ではない。極限の点x=0で関数f(x)が定義されていなくても関数f(x)の極限値が定義されていることに注意すること。古典的(基礎的)微分積分学での関数の連続性の定義では、関数f(x)がx=0で連続である大前提に、その点で関数f(x)が極限値を持つことです。しかし提示された関数f(x) では、点x=0で関数f(x)が極限値を持たない。そのため、その点で関数f(x)は連続ではない。
区間[-1,1]におけるf(x)=1/xについては、中間値の定理は成り立たない。その、区間[-1,1]における関数f(x)=1/xは(古典的微分積分学の)連続関数ではない。その関数は、その区間で「区間連続」ではない。』
です。

【微分積分の初心者には、位相空間論の議論が破綻しているように見える】
 位相空間論では、極限の概念を、例えば変数xの位相空間の数の集合を有理数のみとした場合に、変数xが限りなく近づく先を有理数のみに限定するなどの、極限の宛先を位相空間の数の集合に属する点aのみに限定している。位相空間の数の集合が有理数のみであるということは、数同士の距離が近いか遠いかの関係が有理数同士の間でのみ定義されているからである。
 位相空間論では、位相空間の数の集合を有理数のみにしている場合に、その有理数の点の数列の極限を位相空間の数の集合以外の新たな数(無理数β)に向ける操作を認めない。(無理数βは有理数ではないのだから)数列の極限の数βが存在しないとみなして無視しその極限を排除する。そういうルールにより、極限の概念の適用を制限し、数学体系を再構築する。
(厳密に言うと、極限の概念の元になっている数同士の近さの関係を、位相空間の数の集合に属する数同士にしか認めないのが位相空間の概念だからである。もし、近いと思われる新しい数を発見してそれを今までの位相空間の数の集合に加えることは、それまでとは異なる位相空間を設定することになる。なお、近いと思われる新たな数が発見されるならば、それまでの位相空間の数の集合に不備があった、と言える。)

 位相空間論は、そのように既存知識(数とは位相空間の数の集合に属する点=有理数のことである)という思考の枠組みからはみ出さないように極限の操作を制限して構築した数学体系である。
それにより、独立変数xを既に定めている数の集合(有理数)の範囲に限定して抽象化した関数f(x) の連続性の性質を調べている。
 これは、有理数の数列の極限が有理数でない場合に新しい数(無理数)が発見されたと考えて数の概念を拡張する従来の発想とは全く逆の、(知らない数は存在しないと考える)内向きの発想を基礎にした考え方である。

 位相空間論では、関数f(x) の点aにおける連続性の定義の式(10)の独立変数xの極限の宛先の数aはxの位相空間の数の集合の点に限定する制限を加えた極限を利用して、抽象化された「位相空間論の関数の連続性」を定義する。
しかし、そうして定義した関数f(x) の連続性には以下の難点がある。

 位相空間論での関数の連続性の定義では、以下のグラフであらわされる、有理数を位相空間の数の集合とし、その数の集合全てを定義域とする関数f(x) が、どの有理数の点aでも連続になる。しかしそのグラフが切れ切れである。

(参考)同様な議論が、「嶺幸太郎 著:微分積分学の試練」の130ページにある。
(130ページから引用)「なお,単に関数が連続だからといってグラフが繋がるとは限らない.次の例は、連続関数のグラフが繋がるためには定義域自身が繋がっている必要があることを示唆する:例8.5.2」

上のグラフで、x=√2 の点は、位相空間のxの数の集合(有理数)に属さない。位相空間論では、位相空間のxの数の集合に属さない点 x=√2 は、関数が連続とも、不連続とも評価しない(不連続点とは、位相空間の数の集合に属する点に対して言えることである)。
 上図の、位相空間の数の集合を有理数とした場合に、その数の集合をxの定義域とする関数f(x) は、定義域内(有理数)のどの点においても位相空間論の連続性が満足されている。
 図の通りに関数f(x) はf(x) の値がx=√2 の点でf(x) の値が極端にずれている。しかし、その点は位相空間の数の集合に属さない。この関数f(x) は、有理数の位相空間では連続関数である。位相空間論では、独立変数xの数列の極限値がxの位相空間の数の集合に属さない場合には、その値を数で無いとして無視する。位相空間論では、そのように極限の概念を制限する。有理数の位相空間の数の集合が連結しないことに起因して、この図のようにグラフが切れ切れで繋がっていないことは位相空間論の「連続性の定義」によっては判別できず、この関数を連続関数と呼んでいる。位相空間論の定義する連続関数のグラフが繋がるためには関数の定義域が連結している(〔定義の役割〕の第1の条件を満足する)必要がある。(有理数全体は連結していない)
 位相空間論では、上図の関数f(x) の定義域のxの集合の中の2つの独立したxの集合B(-√2<x<√2)と集合C(√2<x<3√2)を考える。集合BとCが、xの境界点β(x=√2 )をそれらの集合の共通の境界点としている。その境界点βが集合BにもCにも含まれない場合は、独立変数xの定義域の数の集合がその無理数βの点で連結していない。

---〔点xの定義域が連結しない条件〕---
 点xの定義域の集合は左側の集合Bと右側の集合Cに分割できる。左側の集合Bの点を右側に限りなく近づけた先の境界点βは集合Bにも集合Cにも属さない。また、その境界点βは右側の集合Cの点を左側に限りなく近づけた先の境界点でもある。その境界点βが集合Bにも集合Cにも属さないので、集合Bと集合Cを合わせた集合は連結しない。
(厳密な議論)
 境界点とは、有理数の位相空間の数の集合に属する有理数の点に限られる。数同士の距離が近いか遠いかの関係は、位相空間の数の集合に属する数同士の間でのみ定義されているからである。
 無理数βは有理数では無いので、有理数の位相空間の数の集合に属さず、境界点にならない。(注意:この点はもし位相空間の数の集合に属するならば、定義域に属さないでも「境界点」になる)。集合Bと集合Cに分割した境目の境界点βは、位相空間の数の集合に属さない点なので、点βは数では無く境界点の数は存在しないとされる。この場合に位相空間論では、集合Bと集合Cがともに開集合であることを理由にして(境界点βを考えないで)点xの定義域の数の集合が連結しないと認識する。
 古典的(基礎的)微分積分学では、定義域の数の集合が無理数の定義域の外の不連続点βによって分断されていると考えるが、位相空間論の微分積分学では、その「分断の原因」を考えない手探りで、定義域が「連結しない」と認識する。(しかし、ある数の集合に関する真実を記述する場合には、その集合を超える要素が必要になる場合があるので、このようなやり方で数の集合に係わる真実を把握することには危うさがある「間違えやすい」と考える)
---(点xの定義域が連結しない条件おわり)---

 有理数の変数xの定義域の数の集合が境界点βで連結していない(境界点βが無理数なので定義域に含まれない)ことが、古典的な微分積分学での「関数f(x) が点βで連続でない」に対応する。
 位相空間論には、フェリックス・ハウスドルフの貢献が大きい。
ハウスドルフの書いた集合論の教科書が位相空間論の基礎になっている。ハウスドルフの集合論の教科書を読むと、議論が破綻しているものになっていることに驚く。もちろん、議論の全体としては、(ある意味で?) 破綻をきちんと回避している。
 フェリックス・ハウスドルフの研究成果の位相空間論を簡単に理解できると安易には考えずに、その理論が教えようとする心を学んで欲しい。その心の理解のためには、位相空間論を学ぶ以前に、 古典的(基礎的)微分積分学の基礎になっている連続関数の概念は、区間で連続な関数のことである ことを学んでおいて欲しい。

 古典的(基礎的)微分積分学で、区間で連続な関数が千切れていなかった性質は、位相空間論によって、関数f(x) の独立変数xの定義域の連結性に依存していたことが浮き彫りになった。位相空間論によって、古典的(基礎的)微分積分学で連続関数と定義されていた、区間で連続な関数f(x) の性質が、関数の抽象化された連続性の概念と、関数の独立変数xの定義域の抽象化された連結性の概念と、で構成されていることが浮き彫りにされた。
〔位相空間論の開き直り〕
 位相空間論は開き直って、関数の連結性を値域の連結性と定義域の連結性とに分けて考えることにしたと考える。定義域の連結性が満足されないことによる定義域の外の不連続点(関数1/xのx=0の点)の考察は後回しにして、値域の連結性が満足されないことによる不連続点のみに注目するようにしたと考える。位相空間論による関数を把握する注目点は、古典的(基礎的)微分積分学による関数の注目点(関数の値域と定義域とでの連結性)とは異なるからである。

《位相空間論に対する感想1》
 有理数の数の集合Dの位相空間を定義域とする関数f(x) の連続性を定義するには、現在の位相空間論での定義では無く、以下の式(10) と式(10b) で定義することを考える。ここで、 位相空間の数の集合Dに属する独立変数xの極限値であって、集合Dに属さない無理数をβとする。式(10)と式(10b)で関数の連続性を定義すれば、有理数のみを定義域とする関数f(X) が無理数の点βで途切れることもない連続性が定義できる。なぜ、そのように関数の連続性を定義して理論を作らないのだろうか?


《位相空間論に対する感想2》
 実数全体を位相空間の数の集合とし、関数f(x) の定義域を1点の実数aとする。すなわち、関数f(x) の定義域の数の集合を{a} とする。そして、f(a)=b とする。この関数f(x) の極限を厳密に定義する場合に、うまく関数の極限を定義しないと、この1点のみの関数では、関数の極限の定義が無意味になり、連続性の定義も無意味になる。そのような問題点を回避するために、位相空間論では孤立点は全て連続な点と定義し、孤立点aの極限値はその点の関数値f(a) に等しいと定義付けていると考える。

《関数の連続性の条件》
 関数がある点aで連続であるとは、第1の条件として、関数の定義域が点aと、aの近傍で連結していることである。第2の条件として、点aで関数f(x) の値域が連結していることである。その2つの条件を満足しない点aは「連続でない点」である。
 第1の条件は、変数xが限りなく近づく宛先の点のうち、関数f(x) の定義域に含まれる点aであることと、x=aの近傍の定義域は実数が連結したxの微小区間であることとを要請する(連結している数の集合は実数の区間だけである)。
 第2の条件は、式(10)であらわすように、点aに限りなく近づく関数f(x) の極限の値がf(a) であることを要請する。

 (第2の条件の補足)更に、第1の条件が満足されない点βでは、(位相空間論に係わる微分積分学では)第2の条件を不問にしている。しかし、その点βで関数f(x) の値f(β) を定義して第1の条件を満足させると、再度第2の条件で判定すると点βが連続ではないことが判明することがある。そのような点βでは、そうした後に調べる以前から(値域の)連続性を判定する必要がある。その判定は、以下の式(10b)であらわす、点βに限りなく近づく関数f(x) の極限値が存在する条件により判定する必要がある。

 すなわち、関数f(x) の定義域D上の点aの点列で、n≧Nなる点列a_nが収束する先の点βのまわりの”開区間”に含まれる点a_nの関数の値f(a_n)  が値域の”開区間”に含まれることを、点βでの関数f(x) の(値域の)連続性の定義とするべきである。

 古典的(基礎的)微分積分学は、実数全体を位相空間の数の集合にした上で、実数の区間を定義域とする関数f(x) の微分積分学である。しかし、「連続点」と「不連続点」の数学用語は、位相空間論と古典的微分積分学とでは異なる対象を指す言葉になっている。

リンク:

f(x) = 1/x って、どうして連続なの?
連続関数の定義
連続性公理と実数を定義する3つの方法 (初学者向けの話)
関数の極限の定義
『増訂解析概論』高木 貞治 著の現代仮名遣い版
第3章 位相空間の基礎のキソ
ハウスドルフの集合論と位相空間論の誕生
高校数学の目次


2025年2月19日水曜日

ベクトルの一次独立とは何か

《ベクトルの一次独立とは何か》
 2つの独立したベクトルのことを、「2つの一次独立なベクトル」と呼びます。
 2つのベクトルのうちのある1つのベクトルが、他の1つのベクトルの実数倍であらわせる場合は、その2つのベクトルが1次従属である、と呼びます。
 2つの独立したベクトルという意味は、そういうことはない、という意味です。

 3つの独立したベクトルのことを、「3つの一次独立なベクトル」と呼びます。
 3つのベクトルのうちのある1つのベクトルが、他の2つのベクトルの合成であらわせる場合は、その3つのベクトルが1次従属である、と呼びます。
 3つの独立したベクトルという意味は、そういうことはない、という意味です。

〔2次元ベクトルの2つのベクトルが1次独立であるとは〕
 2つのベクトルが0ベクトルではなく、かつ、同一直線上にはないことです。
〔3次元ベクトルの3つのベクトルが1次独立であるとは〕
 3つのベクトルが0ベクトルではなく、かつ、同一平面上にはないことです。

別の視点から説明すると、
▷2つのベクトル(2次元平面上のベクトルであっても空間ベクトルであっても良い)が1次独立であるとは、

 その2つの(0べクトルではない)ベクトルで(同一直線上にない)2つのベクトルで、2次元(平面)の斜交座標系を作れるということです。

▷3つのベクトルが1次独立であるとは、
 その3つの(0べクトルではない)ベクトルで(同一平面上にない)3つのベクトルで、3次元(3次元空間)の斜交座標系を作れるということです。

 すなわち、
①1次独立な2つのベクトルが平面を構成し、 その2つのベクトルの合成により、その平面上のあらゆるベクトルがあらわせる。
 しかも、平面上のあるベクトルを2つの1次独立なベクトルの合成であらわすとき、各ベクトルの合成係数が1つに定まる(式の一意性)。

②1次独立な3つのベクトルが3次元空間を構成し、 その3つのベクトルの合成により、その3次元空間上のあらゆるベクトルがあらわせる。
 しかも、3次元空間上のあるベクトルを3つの1次独立なベクトルの合成であらわすとき、各ベクトルの合成係数が1つに定まる(式の一意性)。


 例えば、以下のように考える。
2次元ベクトル、又は3次元ベクトル、又は4次元ベクトルで、3つのベクトルが1次独立であるとは、
3つのベクトルが同一平面上にはないことです。
 3つの空間ベクトルが同一平面上にあることの確認方法や、同一平面上にはないことの確認方法は、ここをクリックした先のページで説明する。


 ここで、2次元ベクトルは、ある平面上のベクトルなので、
2次元ベクトルの3つのベクトルは、同一平面上にある。
すなわち、2次元ベクトルの3つのベクトルは、その3つのベクトルが一次独立になる条件(その3つのベクトルが3次元空間を構成する)を満足しない。
 そのため、
2次元ベクトルの3つのベクトルは1次独立にはならない。
2次元ベクトルでの3つのベクトルは、必ず1次従属になる。

 1次独立な2つのベクトルaとベクトルbがある場合を考える。その2つのベクトルを合成することで、その2つのベクトルを含む2次元平面上の全てのベクトルがあらわされる。
 その2次元平面に垂直な(ベクトルaに垂直で、かつ、ベクトルbに垂直な)ベクトルcを考える。(2次元平面に垂直なベクトルcの求め方は、ここをクリックした先にある)
 ベクトルcは、先の2次元平面上のベクトルでは無いので、ベクトルcは、ベクトルaとベクトルbの合成では作ることができない。また、ベクトルcとベクトルbを合成したベクトルにはベクトルaに垂直な成分が含まれるので、ベクトルaは、ベクトルcとベクトルbの合成では作ることができない。同様に、ベクトルbは、ベクトルcとベクトルaの合成では作ることができない。つまり、ベクトルcとベクトルbとベクトルaとの3つのベクトルは、3つの独立したベクトルになる。
 その3つのベクトルは1次独立なベクトルである。その3つのベクトルは同一平面上には無い。そして、その3つのベクトルを合成することで、3次元空間の全てのベクトルを表すことができる。

 一次独立な2個のベクトルは、平面に含まれる全てのベクトルをあらわす2次元平面の斜交座標系を構成する。一次独立な3個のベクトルは、3次元空間に含まれる全てのベクトルをあらわす3次元空間の斜交座標系を構成する。一次独立なn個のベクトルがn次元空間の斜交座標系を構成する場合に、そのn次元空間の全てのベクトルに垂直なベクトルcをn+1個目のベクトルにしたn+1個のベクトルは、n+1個の独立したベクトルになる。すなわち、一次独立なベクトルになる。そのn+1個のベクトルは、n+1次元空間に含まれる全てのベクトルを表すn+1次元空間の斜交座標系を構成する。
 n次元空間の斜交座標系の原点である0ベクトルをn個の一次独立なベクトルの合成で表す場合には、各ベクトルの合成成分が全て0の場合にのみ、0ベクトルがあらわせる(式の一意性)。

 大学数学では、n次元のベクトルをあらわすn次元の斜交座標系(つぶれていない)の原点(0ベクトル)をベクトルの合成であらわす式が、n個のベクトルの合成成分を全て0にした式のみであること(一意性)を使って、n個のベクトルの一次独立を定義している。

 n個の(0ベクトルでない)ベクトルの作る斜交座標系がつぶれていてn個のベクトルが(n-1)次元の空間に含まれる場合は、0ベクトルをn個のベクトルの合成であらわすとき、各ベクトルの合成成分が0で無い式でも0ベクトルがあらわせる。また、0ベクトルは、n個のベクトルの全ての合成成分が0の式でもあらわせる。そのように0ベクトルを複数の式であらわせるので、0ベクトルをn個のベクトルであらわす式の一意性が失われる。

 n個のベクトルが張る斜交座標系の原点(0ベクトル)をn個のベクトルの合成であらわす式が、n個のベクトルの合成成分が全て0の式のみである(式の一意性がある)ならば、n次元の斜交座標系はつぶれていない。そのとき、そのn個のべクトルが一次独立である、と定義している。


リンク:
ベクトルの1次独立と分解
1次独立(空間ベクトル)
(大学数学)ベクトルの一次独立,一次従属の定義と意味
高校数学の目次


2024年11月18日月曜日

増減表の極意

〔増減表の初歩のページ〕
 増減表における、f’(x)=0になる点であって、その点のxの値の前後のy’’=f’’(x) がともに正である場合か、又は、ともに負である場合は、f’(x)=0の前後のf’(x) の正と負が交互に変わる
 他方、f’(x)=0になる点であって、その点のxの値の前後のy’’=f’’(x) の値が正から負に移る場合や、負から正に移る場合には、f’(x) の正と負が交互に変わらない

別の観点から言えば:
 f’(x)=0になるxの解が 重解でない場合は、f’(x)=0の前後のf’(x) の正と負が交互に変わる
 f’(x)=0になるxの解が2重解の場合は、f’(x) の正と負が交互に変わらない
 f’(x)=0になるxの解が3重解の場合は、f’(x) の正と負が交互に変わる
 f’(x)=0になるxの解が4重解の場合は、f’(x) の正と負が交互に変わらない

上記の増減表は、4回微分した導関数のグラフから1回微分した導関数のグラフと関数f(x) のグラフを重ねて表示したようなものです。

《s(a)=0の単調増加関数を外していく増減表》
 関数f(x) を微分していく増減表に類似した増減表として、以下の図の増減表を考えることもできる。すなわち、f(x) から、s(a)=0であってx=aの前後で単調増加する関数s(x) を外していく増減表も、関数f(x) の形を微分して変える増減表と同様な効果がある。関数s(x) を外していく増減表を使っても、関数を微分していく増減表と同様に、x=aの前後の関数の概形を求めることができる。


リンク: 

やさしい微分積分
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2024年11月15日金曜日

関数のグラフの形をあらわす増減表

やさしい微分積分
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《関数のグラフの形と微分係数》
 区間で連続な関数f(x) のグラフy=f(x) の形を考える。
関数の微分係数によりグラフの傾きが求められる。グラフの各箇所の傾きが分かれば、各箇所の傾きからグラフの形が分かる。
 例えば、y=f(x) =xという放物線のグラフでは:

このグラフは、
x=0の右側のxではグラフが右上がりで、
x=0の左側のxでは右下がりのグラフであることは良く知っている。
 このことは、微分を利用すれば簡単にわかる。
微分を利用すれば、x=0の右側のxの導関数f’(x) =2xが正なので、グラフが右上がりであることがわかる。
また、x=0の左側のxの導関数f’(x) =2xが負なので、グラフが右下がりであることがわかる。
更に、x=0の位置でのxの導関数f’(0) =0であるので、x=0の点ではグラフが水平方向に進むことがわかる。
 そのように、微分を利用してグラフの傾きy’=f’(x) を求めることでグラフの概形を知ることができる。
 微分を利用してグラフの導関数y’=f’(x) からグラフの概形を求める方法として、以下の図に示す増減表でグラフをあらわす。

《増減表を書く手順》
 先ず、関数y=f(x) を微分した導関数f’(x) を求める。
そして、y’=f’(x)=0となるxの値を求める。
 f’(x) =0となるxの値を増減表の列にする。その列のy’=f’(x) の欄に0を書き、y=f(x) の欄に、f(x) の値を書く。
 そのxの値の前後の値のxのf’(x) の値が正(+)か負(-)かを調べて、そのxの値の列のy’=f’(x) の欄に書き込む。
すなわち、f’(x) の値が+ならば、y=f(x) の欄に右上がりの矢印を書き込み、f’(x) の値が-ならば、y=f(x) の欄に右下がりの矢印を書き込む。

増減表は、上図の表のように、関数y=f(x) の独立変数xの値と、従属変数yの値と、関数の微分y’=f’(x) の値とを表にしてグラフの概形をあらわす。
 所定区間でf’(x) >0ならば、その区間でf(x) は単調に増加。
 所定区間でf’(x) <0ならば、その区間でf(x) は単調に減少。

【問1】
 関数f(x)=x2-6xの増減表をつくりなさい。

【解1】
 先ず、関数f(x) の導関数f’(x)=2xー6を求める。
f’(x)=0となるxの値は3である。
そのxの値=3を増減表の列にする。
x=3の列のy’=f’(x) の欄に0を書き、y=f(x) の欄に、f(3) の値の-9を書く。


【解2】
 f(x)=0になるx=0とx=6の点の列を加えて以下の増減表を書いても良い。


【問2】
 関数f(x)=-2x3+6xの増減表をつくりなさい。

【解1】


【解2】
 f(x)=0になるx=0の点の列を加えて以下の増減表を書いても良い。


《有限の区間で定義された関数f(x) の増減表》
 関数y=f(x) が有限の区間で定義されている場合の関数の増減表は、関数yが区間の端では微分できないことに注意して以下の図のように書く。以下の図は、関数y=f(x) の定義域が閉区間 [-2,2] の場合の増減表をあらわす。

上図の増減表で、区間の端の関数の微分y’=f’(x) の欄は、上図のように区間の端の近傍でのy’の値をカッコ()付きで書くか、その欄を空欄にするか、あるいはその欄に斜線を引いてあらわす。

《関数の極大・極小》
 上図の関数f(x) のグラフの点(-1,2)では、関数の値が増加から減少に移る。そのように関数f(x) がx=aを堺目として増加から減少に移るとき、
 f(x) はx=aで極大である、
と言い、f(a) を極大値と呼ぶ。
上図のグラフの点(1,-2)では、関数の値が減少から増加に移る。そのように関数f(x) がx=bを堺目として減少から増加に移るとき、
 f(x) はx=bで極小である、
と言い、f(b) を極小値と呼ぶ。
極大値と極小値をまとめて極値と呼ぶ。

 なお、関数f(x) が点aやbで連続な関数であれば、点aやbで関数の微分f’(x) が存在しなくても(f’(x)=0でなくても)、所定の点(例えばx=aの点)の前後で関数f(x) の微分係数f’(x) の符号が変われば、その点aで関数f(x) が極値を持つ。
《厳密な極値の定義》
 関数 f(x) の変数xの定義域における微小区間の内点 x=a において、関数の値 f(a) が 、a の前後の微小区間内の全ての点 x の関数値 f(x) よりも大きい[あるいは小さい]とき,f(a) を極大値[あるいは極小値]といい,極大値,極小値を総称して極値という.また a を極値点という.(定義おわり)


上図の関数のグラフでは、y’=f’(x)=0となるxの点で関数が極値を持った。しかし、以下の関数f(x) の例に示すように、f’(a)=0となるx=aなるxの点で関数が極値を持たない関数もある。

関数f(x) に関して次のことが言える。
関数f(x) がx=aで極値を取るならばf’(a)=0である。
f’(a) =0であっても、x=aで極値を取るとは限らない。
 f’(a) =0であっても:
  x=a の前後でf’(x) >0ならば、x=a の前後でf(x) は単調に増加。
  x=a の前後でf’(x) <0ならば、x=a の前後でf(x) は単調に減少。
そういう関数は極値を持たない。


(注意)以下の関数も極値を持たない。x=aの前後で値がf(a) よりも大きくなっていないからである。


確実に極値を取ると言えるのは、以下の場合である。

 すなわち、f’(x)=0になる点であって、その点のxの値の前後で、y’’=f’’(x) がともに正である場合に必ず極小値を取る。また、ともに負である場合に必ず極大値を取る。
 他方、f’(x)=0になる点であって、その点のxの値の前後で、y’’=f’’(x) の値が正から負に移る場合か、又は、負から正に移る場合には、決して極値を取らない。

【関数f(x) の極値の例】

また、y'' とy’との増減表からy’=f’(x) のグラフの概形がわかる。y’のグラフの概形は以下の図のようになる。


《f’(x) =0になる前後のxのy’=f’(x) の正負の判定》
 下図の関数f(x) の増減表のように、y’’を求めて、y’のグラフの概形を求めることでy’の正負を判定する。

 f’(x)=0になる点であって、その点のxの値の前後のy’’=f’’(x) がともに正である場合か、又は、ともに負である場合は、f’(x)=0の前後のf’(x) の正と負が交互に変わる
 他方、f’(x)=0になる点であって、その点のxの値の前後のy’’=f’’(x) の値が正から負に移る場合や、負から正に移る場合には、f’(x) の正と負が交互に変わらない

別の観点から言えば:
 f’(x)=0になるxの解が 重解でない場合は、f’(x)=0の前後のf’(x) の正と負が交互に変わる
 f’(x)=0になるxの解が2重解の場合は、f’(x) の正と負が交互に変わらない
 f’(x)=0になるxの解が3重解の場合は、f’(x) の正と負が交互に変わる
 f’(x)=0になるxの解が4重解の場合は、f’(x) の正と負が交互に変わらない

《補足》
 3次関数のグラフで、極大値と極小値とを持つグラフには、以下の寸法の関係があることを覚えておくと便利です。(これが成り立つことの証明は各自で行っておくこと)



《極値の定義》
(1) 関数f(x) において、x=cの前後の近くで、
x≠c なら f(x)<f(c)
が成立するとき、
f(c) を極大値と言う。

(2) 関数f(x) において、x=cの前後の近くで、
x≠c なら f(x)>f(c)
が成立するとき、
f(c) を極小値と言う。

 すなわち、f(x)がx=cで微分係数f’(x)を持たない場合でも、更には、x=cで連続でなくても、以上の定義に当てはまれば、f(c) が極値になり得る。

(閉区間の境界での関数の増減表の書き方)
 閉区間で連続な関数の増減は、閉区間の端点での様子は、片側微分で、増加か減少か、片側微分係数が0かが分かる。その片側微分で求めた微分係数を括弧()の中に書いて表現する。


もう1つの例の、関数の増減表を示す。

上の増減表の場合では、括弧()付きの値を表に書かないと、どの様なグラフであるかが分からなくなる。

(関数の定義域の区間の端でも微分可能である)
 高校数学では、関数f(x)の定義域の区間の内点のみでの微分可能性が教えられている。そして、内点の両側の片側微分係数が一致することで内点の微分可能性を確認している。それを微分可能性の全ての条件と解釈すると、a≦x≦bという閉区間で定義されている関数f(x) の区間の端点のx=aでは、両側の微分係数が存在しないので、端点x=aでは”微分不可能”という結論になるが、それは正しくない。
 大学生以上になると、閉区間の端点での微分可能性が詳しく説明される。

リンク: 

計算ミス対策:グラフを覚える(7)
やさしい微分積分
増減表の極意
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