2019年7月31日水曜日

複素数平面の問題を図形の平行移動で解く

先ず、ベクトルの問題の解を、図形の平行移動で変換して一般的な解に変換する例を見てみます。
【問1】
 三角形OABCの垂心Dの位置ベクトルを、ベクトルOAと、それに垂直なベクトルhとであらわせ。
なお、点Oは原点、頂点A,Bの座標は、

点A(a,0)、点B(a,h)とする。
【解答】
ベクトルOBを、ベクトルOA=aと、それに垂直なベクトルhとであらわす。

求める位置ベクトルODは、以下の式(2)であらわせ、更に、式(3)でベクトルaとhであらわせます。この式で係数kが未知数です。 
三角形の点AからDまでいたるベクトルqは、以下の式で計算できる。
三角形の一辺OBのベクトルbとそれに垂直なベクトルqの間には、以下の式(5)の関係がある。この式(5)に式(1)と(4)を代入して計算する。
式(6)を更に変形する。

式(7)で求めた未知数kを式(2)に代入して求める位置ベクトルdが式8で得られた。
(問1の解答)

(図形を平行移動させる)
以上の解答は、三角形OABの頂点Oが原点にある場合の解答でした。
三角形が平行移動して頂点O(頂点C)が原点から外れた位置に平行移動した場合の解に変換してみます。

ベクトルAは点Aの位置ベクトル、
ベクトルBは点Bの位置ベクトルとして、
ベクトルDは点Dの位置ベクトルとして、
その解の変換は、式8は以下の式8aに変換できます。
 この式8aの左辺と右辺の各点の位置ベクトルは、点Cの位置ベクトルとの差であると解釈できます。
こうして、点Cの位置を原点以外の点に平行移動した場合の点Dの位置ベクトルを与える式8cが導かれた。

  次に、複素数平面の問題を、図形の平行移動で解く。
【問2】
上図のように、三角形ABCの各頂点の複素数平面での座標をα、β、ɤとすると、
この三角形の外心Pの座標が上式であらわされる場合に、ベクトルPMがベクトルABに垂直なベクトルになる事を示せ。

【問2の解答】
 β=0となるように図形を平行移動してベクトルPMを計算する。
ベクトルPMをあらわす複素数は、ベクトルBAをあらわす複素数αの虚数倍である。そのため、ベクトルPMはベクトルBAに直交することが示せた。
(解答おわり)

この式(式1)を使って、外心Pの座標を表す複素数ρの式を以下の式2であらわす。
次に、この式2を、βを0で無い値に戻した図形での解に変換する。
式2の左辺および右辺の複素数が表す点の位置ベクトルを、点Bの位置ベクトルとの差に置き換えてあらわす。
α→(α-β)
ɤ→(ɤ-β)
ρ→(ρ-β)
という、βとの差の式(それは平行移動でβが変わっても値が変わらい式)に変換する。
3つの複素数の交代式の簡単化公式によって、
であることを利用して、
が得られる。
以上の計算によって、図形を平行移動した場合の複素数の式4が得られた。
(平行移動を利用した変換おわり)

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2019年7月21日日曜日

3つの複素数の交代式の簡単化公式

 対称式とは,どの2つの変数を入れ替えても元の値と変わらない式のことです。 対称式に似た交代式があります。 交代式とは,どの2つの変数を入れ替えても −1 倍になるような式のことです。

 以下では、3つの複素数の交代式を簡単化して扱い易くする公式を考えます。 

「交代式は常に差積と対称式の積でかける」
ハズなのですが、
共役複素数も混じっている交代式では、そうはいきません。

【公式1】
(1)先ず、以下の交代式の公式が成り立ちます。
(2)以下の交代式は、以下の式に簡単化できます。
ただし、この簡単化の公式を引き出すために、
以下の簡単化した例によって、この公式を把握します。
この式によって、この公式の本質を把握します。

以下の式の変形は、この本質に沿って式が変形できます。


(補足1)
 3つの複素数の交代式は、最初の形の式や、途中で導いたIm()の形で表した交代式よりも、上式のようにIm()の中に積の形で表した式にした方が、式が簡単であり、扱いやすい利点があります。

(補足2)
 この3つの複素数の交代式は、以下の図の三角形の面積に比例しています。
 上式のような3つの複素数の交代式をIm()の形で表した展開した交替式で表すよりも、先の式の様に、Im()の中に1つの積がある形で表した式(その式の表現は複数あるが)の方が、積の演算を1つしか必要としない式だから、式が簡単になります。
 それは、「三角形の面積と行列式」の場合に式を展開しない方が式が簡単になるのと同じです。 

【公式2】
(1)以下の交代式の変換の公式が成り立つ。
(公式2(1)計算その1おわり)
これは、以下の様に計算することもできます。
(公式2(1)計算その2おわり)

また、この公式は、以下の様に考えて見つけることもできます。
 この関係を満足する式は、もしかしたら、以下の式ではないか?

(2)この公式(1)から、以下の公式が成り立つ。

(3)また、公式(1)から、以下の公式も成り立つ。

(4)また、(1)の式から、各変数が一斉にδだけ増す場合に、U/Dもδだけ増す:
というように、式U/Dも、同じくδだけ増す。
この式U/Dは、三角形の外心を表すという意味を持つ。

(5)以下の3つの複素数の変換公式も成り立つ。
(6)以下の3つの複素数の変換公式も成り立つ。
(7)以下の4つの複素数の変換公式も成り立つ。

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複素数平面で三角形の外心を表す複数の式

【問1】(三角形の頂点から外心までのベクトルの複素数の公式 )
下図の複素数平面での三角形の外心Pを表す、以下の形の式を導け


この問題の解答はここをクリックした先にあります。

【問1b】
複素数平面上の点A,B,Cの位置の複素数が:
の場合に、三角形ABCの外心の位置を表す複素数を求めよ。

この問題の解答はここをクリックした先にあります。

【問2】
上図のように、三角形ABCの各頂点の複素数平面での座標をα、β、ɤとする場合に三角形の外心Pの座標をα、β、ɤ及びその共役の複素数であらわす式を求めよ。

(1)スッキリした解法「複素数平面のベクトル方程式での外心の導出」
(2)その他の解法(解1)がここをクリックした先にあります。
(3)解1の悪い解答例がここをクリックした先にあります。
(4)解答(その1)の解の式15の変換
(5)解答(その2)
(6)解答(その3)
(7)解答(その3)の解の式の変換
(8)解答(その4)第6の形の解

【問3】
上図のように、三角形ABCの各頂点の複素数平面での座標をα、β、ɤとすると、
この三角形の外心Pの座標が上式であらわされる事を証明せよ。

(1)問3の問題の解答はここをクリックした先にあります。
(2)問3の解の第6の形の式を問2の第2の形の式へ変換する。

以上の問1から問3の解答のページに、
(1)式の検算方法を書きました。
(2)計算を簡単にする図形の平行移動を利用する解き方を書きました。
(3)3~4つの形の、互いに対等な解の式を書きました。
そのため、この問題を解いたら、解答のページも見てください。

 複素数平面では、「どの複素数系を使って問題を記述するかが解答者の意思に委ねられる」解答者の裁量の範囲がベクトルを使う場合よりも広がり、三角形の外心の位置を記述する複素数平面の式(相互に変換できる対等な価値を持つ式)は3~4つあります。

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2019年7月15日月曜日

三角形の外心の高さを導出するベクトルの内積の変換



大学への数学「ベクトル」編の勉強

(以下の公式は、「余弦定理に類似した外心の高さを含む式」です。)
円周角の定理とベクトルの内積とを使う計算によって、
三角形の辺のベクトルの内積を変換する公式を得る。
 この公式は、ベクトルCZを直線BOと円との交点Dを経由した2つのベクトルに分解して、ベクトルZとベクトルCZの内積の式を上の式の様に分解する。
そして、円周角の定理から、ベクトルwがベクトルzに垂直であって、ベクトルwとベクトルzの内積が0になる事を利用して求めた。

【第2の証明】
この公式は、以下の様にして、円周角を使わないで証明する事もできる。
(証明おわり)

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2019年7月10日水曜日

複素数平面の公式を導き出す(5)

http://schoolhmath.blogspot.jp/2015/04/blog-post_2.html
http://schoolhmath.blogspot.jp/2015/04/blog-post_3.html

複素数の計算を推進する以下の公式を導きだしましょう。

(第1優先事項)
 複素数平面のグラフをあらわす方程式を変換する問題は、複素数の計算をせずに、図形の考察で答えを求めるようにしましょう。すなわち、複素数平面のグラフを表わす複素数の方程式同士を計算でつながないで図形の考察でつなげば何とか問題が解けますのでそれを第1優先にしましょう。

(優先順位の2位以下のこと)
 それよりは優先順位が低いことですが、以下のような、複素数平面の計算の公式の導き出し方を身に付けると、少し計算が推進されますので、以下の公式も、簡単に導き出せるようになればとても良いと思います。

(複素数の切替の公式)
(条件)複素数αとβの絶対値が等しい場合:
以下の公式が成り立つ。
(複素数の切替の公式おわり)

(2複素数の非対称共役化の公式)
 この複素数の切替の公式を使うことで、以下の「2複素数の非対称共役化」公式が導ける。

(条件)複素数αとβの絶対値が等しい場合:
以下の公式が成り立つ。



これらの「2複素数の非対称共役化」公式は、以下の問題例の様に使うと良いと思います。
(問題例1)ベクトルの難問を解く
(問題例2)円周角の定理を示す

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複素数平面の公式を導き出す(4)

http://schoolhmath.blogspot.jp/2015/04/blog-post_2.html
http://schoolhmath.blogspot.jp/2015/04/blog-post_3.html

複素数の計算を推進する以下の公式を導きだしましょう。

(第1優先事項)
 複素数平面のグラフをあらわす方程式を変換する問題は、複素数の計算をせずに、図形の考察で答えを求めるようにしましょう。すなわち、複素数平面のグラフを表わす複素数の方程式同士を計算でつながないで図形の考察でつなげば何とか問題が解けますのでそれを第1優先にしましょう。

(優先順位の2位以下のこと)
 それよりは優先順位が低いことですが、以下のような、複素数平面の計算の公式の導き出し方を身に付けると、少し計算が推進されますので、以下の公式も、簡単に導き出せるようになればとても良いと思います。
 以下の公式を計算の推進の道具にしてください。


 以下の公式も計算の推進の道具にしてください。

この後ろから2行目の式は、ベクトルであらわした、三角形の中線定理と同じです。

【三角形の中線定理】
(中線定理)

上の式に対しても、任意の実数θとεに関して、
α⇒αexp(iθ)
β⇒βexp(iε)
という式の置き換えを行えます。
その置き換えでは、最初の式が変化しないからです。

【2重平行四辺形の面積の公式の表現のバラエティ】
先に「公式を導き出す(3)」で説明した公式:

この公式により、ベクトルαとベクトルβの外積であらわす平行四辺形の面積が、合成ベクトル(α+β)と合成ベクトル(β-α)の外積であらわす平行四辺形の面積の2分の1になります。
ベクトルであらわした2重平行四辺形の面積の公式です。 
【2重平行四辺形の面積の公式】
 平行四辺形ABCDに外接する図のような平行四辺形CDEFの面積は、ベクトルAとBの張る平行四辺形ABCDの面積の2倍です。
(以上が2重平行四辺形の面積の公式)

この公式をRe()関数を使って表すと以下の式になります。

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