先ず、ベクトルの問題の解を、図形の平行移動で変換して一般的な解に変換する例を見てみます。
【問1】
三角形OABCの垂心Dの位置ベクトルを、ベクトルOAと、それに垂直なベクトルhとであらわせ。
なお、点Oは原点、頂点A,Bの座標は、
点A(a,0)、点B(a1,h)とする。
【解答】
ベクトルOBを、ベクトルOA=aと、それに垂直なベクトルhとであらわす。
求める位置ベクトルODは、以下の式(2)であらわせ、更に、式(3)でベクトルaとhであらわせます。この式で係数kが未知数です。
三角形の点AからDまでいたるベクトルqは、以下の式で計算できる。
三角形の一辺OBのベクトルbとそれに垂直なベクトルqの間には、以下の式(5)の関係がある。この式(5)に式(1)と(4)を代入して計算する。
式(6)を更に変形する。
式(7)で求めた未知数kを式(2)に代入して求める位置ベクトルdが式8で得られた。
(問1の解答)
(図形を平行移動させる)
以上の解答は、三角形OABの頂点Oが原点にある場合の解答でした。
三角形が平行移動して頂点O(頂点C)が原点から外れた位置に平行移動した場合の解に変換してみます。
ベクトルAは点Aの位置ベクトル、
ベクトルBは点Bの位置ベクトルとして、
ベクトルDは点Dの位置ベクトルとして、
その解の変換は、式8は以下の式8aに変換できます。
この式8aの左辺と右辺の各点の位置ベクトルは、点Cの位置ベクトルとの差であると解釈できます。
こうして、点Cの位置を原点以外の点に平行移動した場合の点Dの位置ベクトルを与える式8cが導かれた。
次に、複素数平面の問題を、図形の平行移動で解く。
【問2】
上図のように、三角形ABCの各頂点の複素数平面での座標をα、β、ɤとすると、
この三角形の外心Pの座標が上式であらわされる場合に、ベクトルPMがベクトルABに垂直なベクトルになる事を示せ。
【問2の解答】
β=0となるように図形を平行移動してベクトルPMを計算する。
ベクトルPMをあらわす複素数は、ベクトルBAをあらわす複素数αの虚数倍である。そのため、ベクトルPMはベクトルBAに直交することが示せた。
(解答おわり)
この式(式1)を使って、外心Pの座標を表す複素数ρの式を以下の式2であらわす。
次に、この式2を、βを0で無い値に戻した図形での解に変換する。
式2の左辺および右辺の複素数が表す点の位置ベクトルを、点Bの位置ベクトルとの差に置き換えてあらわす。
α→(α-β)
ɤ→(ɤ-β)
ρ→(ρ-β)
という、βとの差の式(それは平行移動でβが変わっても値が変わらい式)に変換する。
3つの複素数の交代式の簡単化公式によって、
であることを利用して、
が得られる。
以上の計算によって、図形を平行移動した場合の複素数の式4が得られた。
(平行移動を利用した変換おわり)
リンク:
高校数学の目次
【問1】
三角形OABCの垂心Dの位置ベクトルを、ベクトルOAと、それに垂直なベクトルhとであらわせ。
なお、点Oは原点、頂点A,Bの座標は、
点A(a,0)、点B(a1,h)とする。
【解答】
ベクトルOBを、ベクトルOA=aと、それに垂直なベクトルhとであらわす。
求める位置ベクトルODは、以下の式(2)であらわせ、更に、式(3)でベクトルaとhであらわせます。この式で係数kが未知数です。
三角形の点AからDまでいたるベクトルqは、以下の式で計算できる。
三角形の一辺OBのベクトルbとそれに垂直なベクトルqの間には、以下の式(5)の関係がある。この式(5)に式(1)と(4)を代入して計算する。
式(6)を更に変形する。
式(7)で求めた未知数kを式(2)に代入して求める位置ベクトルdが式8で得られた。
(問1の解答)
(図形を平行移動させる)
以上の解答は、三角形OABの頂点Oが原点にある場合の解答でした。
三角形が平行移動して頂点O(頂点C)が原点から外れた位置に平行移動した場合の解に変換してみます。
ベクトルAは点Aの位置ベクトル、
ベクトルBは点Bの位置ベクトルとして、
ベクトルDは点Dの位置ベクトルとして、
その解の変換は、式8は以下の式8aに変換できます。
次に、複素数平面の問題を、図形の平行移動で解く。
【問2】
上図のように、三角形ABCの各頂点の複素数平面での座標をα、β、ɤとすると、
この三角形の外心Pの座標が上式であらわされる場合に、ベクトルPMがベクトルABに垂直なベクトルになる事を示せ。
【問2の解答】
β=0となるように図形を平行移動してベクトルPMを計算する。
ベクトルPMをあらわす複素数は、ベクトルBAをあらわす複素数αの虚数倍である。そのため、ベクトルPMはベクトルBAに直交することが示せた。
(解答おわり)
この式(式1)を使って、外心Pの座標を表す複素数ρの式を以下の式2であらわす。
次に、この式2を、βを0で無い値に戻した図形での解に変換する。
式2の左辺および右辺の複素数が表す点の位置ベクトルを、点Bの位置ベクトルとの差に置き換えてあらわす。
α→(α-β)
ɤ→(ɤ-β)
ρ→(ρ-β)
という、βとの差の式(それは平行移動でβが変わっても値が変わらい式)に変換する。
3つの複素数の交代式の簡単化公式によって、
であることを利用して、
が得られる。
以上の計算によって、図形を平行移動した場合の複素数の式4が得られた。
(平行移動を利用した変換おわり)
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