2015年5月5日火曜日

複素数の式が円を表す事を示す種々の計算




【問】
実数の媒介変数(t)を-∞から∞まで変化させたとき、
z=1/(1+it) (式1)
であらわされる複素数zが複素数平面で描く軌跡を示せ。


【第1の解】
 先ず、従う条件が決まっている(it)単体をzの式であらわす。
(ここで、z≠0であるものとする。)


複素数(1-z)を複素数zで割り算した値の複素数の偏角は、複素数(1-z)と複素数zの偏角の差θである。

複素数(1-z)/zが純虚数になる事は、複素数(1-z)と複素数zの偏角の差θが90°であって、両複素数が直交する事を意味する。
複素数(1-z)と複素数zが直交することは、複素数zが、複素数の値が1の点と0の点とを直径の両端にした円の上にある事を意味する。
(第1の解おわり)

【第2の解】
 第1の解の式は更に、以下の様に変形することができる。
 この式は、点1からzまで引いたベクトル(z-1)と、原点からzまで引いたベクトル(z)の内積が0であること、すなわち、それらのベクトルが直交することをあらわしている。
 円周角が直角であるため、点zは、z=0とz=1を直径の両端とする円の上にある。
 その円は、点(1/2)を中心にする半径(1/2)の円である。

ただし、式の前提にz≠0があるので、z=0の点は除く。
(第2の解おわり)


(注意) tが全実数範囲を動くときzがこの円の全範囲(z=0の点は除く)を網羅することは、図形を解析して確認する必要があります。

【第3の解】
 以上の第2の解の計算を、以下の様に続けて、良く知られた円の式を導き出すことができる。
この式は、zが点(1/2)を中心にした半径が(1/2) の円の上にあることを表している。
(第3の解おわり)

(補足1)
もっと一般的には、以下の式(1b)が成り立つ場合に、その式(1b)から始めて、以下の様に計算することで、結局は、この式(1b)で表された複素数zが、複素数の値がα+βの点とβの点とを直径の両端にした円の上にある事を示すことができます。



(補足2)
zの逆数の式が以下の式(1c)や式(1d)のような式で変換される場合は、以下の計算のように、直線の式(2c)に変換されます。



(補足3)
zの逆数の式が以下の式(1e)のような式で変換される場合は、εが純虚数では無い場合は、以下の計算のように、円の式(2e)に変換されます。



このように、zの1次式を分母に持つ式1eの形の式は、円を表すか、(εが純虚数の場合に)直線を表すかの何れかである。

(補足3(その2))
 補足3の式1eは、他には、以下の計算によって、変数zのグラフが、実数の媒介変数Φであらわされる円の式で表すことができます。

 実数の媒介変数Φを使ったこの式は、円のグラフを表す。

【第4の解】
直線の式は、wとその共役複素数を使って以下の式11で表せる。


そのため、zは円上にある。
(解答おわり)

【第5の解】
第4の解の式13は以下の式に変形できる。


 複素数(z-1)をzで割り算すると純虚数になるので、複素数(z-1)とzは直交する。点1から点zまでのベクトル(z-1)と原点から点zまでのベクトルzが直交するので、円周角一定の定理の逆によって、点zは、1が表す点と減点とを直径とする円上にある。
(解答おわり)

【共役複素数を使ってグラフを解析する方法に関する本質的な問題点】
 共役複素数を使ってグラフを表現する方法では、以下の双曲線のグラフを変換した場合のグラフの形がどういう形になるかを解析することができません。
 要するに、グラフを複素数zとその共役な複素数で表した場合、そのグラフの形が理解できるのは、答えのグラフが、直線か円かの、よく知られた形のみに限定されます。
 自分の知らないグラフに対しては新しい情報を得ることができないという、有用性が限定された手法です。

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複素数平面のグラフの式を恐れないために




複素数平面のグラフの見慣れない式に出会って動揺しないため普段から見慣れておきましょう。

【双曲線の方程式】


【双曲線の方程式(2)】

(注意)この式の左辺は、
 
となるので、必ず虚数になります。


【放物線の方程式】

 【放物線の方程式(2)】

 【楕円の方程式】
 【回転した楕円や双曲線の方程式】
実数A,B,Cの係数を持つ以下の形の式であらわせます。

【注意】
複素数zとその共役複素数でグラフを表す式の形は、例えば以下の式1のように形が定まっています(ここで定数aとbは実数です)。



もし、以下の式2のような形の式がある場合。

この式2は、結局は、zが実数である、実軸上の直線を表す事になります。

【共役複素数を併用したグラフ表現の本質的問題点】

 結論から先に言うと、グラフが円か直線、又は放物線か楕円か双曲線、である場合だけに有効な手法です。
 以下の例のように、双曲線を変換すると円や直線や放物線や楕円や双曲線ではないグラフが得られます。しかし、そのグラフをこの表現方法で表すことは有効ではありません。

 円や直線や放物線や楕円や双曲線ではないグラフをzとその共役複素数を用いて表した式からは、そのグラフがどいう形をしているのかを理解するのは、ほとんど不可能に近いです。

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2015年5月3日日曜日

複素数平面を利用して直線の交点を計算する




複素数平面の直線の方程式を利用して直線の交点を計算しましょう。

【問1】
直線 x+2y=2 と
直線 x-y=1
の交点の座標を計算せよ。

【解1】
この問題を複素数平面の直線の方程式を利用して解いてみます。
このグラフのように直線の方程式はベクトルの内積であらわせます。
そのベクトルの内積であらわした直線の式を以下の式のように、複素数平面の直線の式であらわします。
この式のRe()を取り外します。
b①-a②:
これで、交点zの座標の答えが得られました。

【解2】
この問題の直線の交点を従来のやり方で計算してみます。
先ず、直線の式を書きます。
yの係数を合わせるために式②を2倍にします。
これでx座標が求められました。
ここまでの計算だけでしたら、複素数平面を使った計算よりも簡単に答えが得られました。

次に、この解のx座標を式①に代入してy座標も計算します。
以上の③と④で交点の(x,y)座標が得られました。

【解1と解2の比較】
 この問題の様に単純な式を計算する場合は、解2の方が速くx座標の解が得られるので、解2による計算の方が良いと思います。

 しかし、複雑な式を計算する場合は、
(1)解1の方が、(x,y)座標が同時に求められるので計算が楽。
(2)解1では、あらかじめ答えを与える式を覚えることができるので、
この答えの式を覚えておけば、計算間違いが入りにくい。
 そのため、複雑な式を計算する場合は、解1の解き方の方が良いのではないかと考えます。
 適宜、計算方法を使い分けて利用してください。 

【補足】
 複素数平面での直線の方程式と、XY平面上の直線の方程式とは、以下の計算で変換されて対応します。
 ここで、Re()の項がベクトルの内積になることは、以下の計算で再確認できます。
 この直線の方程式の対応関係は、以下の計算で説明されることが多いのですが、以下の計算式の全貌を覚えるよりは、上の計算式の方が全貌が覚えやすいと思います。

【蛇足】
蛇足になりますが、、、
連立方程式の解の整理された公式は、
だけでは無いです。
 この公式よりも覚えやすい連立方程式の解の公式が、
「2元連立方程式をベクトルの内積を使って解釈する」
の 「連立方程式の解の公式(その3)」にあります・
その方が覚えやすいので、上の公式を無理して覚えなくても良いのではないかとも考えます。

 上の公式は、複素数zの方程式を変形すればそのパターンの解が得られる事を心の奥底で覚えておき、複素数zを求める式の計算においてそのパターンの解が得られない場合に、
「何かがおかしい」
と気付く役に立てば、それで十分だとも思います。

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2015年5月1日金曜日

複素数平面の直線の方程式を初めて見たとき




複素数平面の直線の方程式はベクトルであらわした直線の方程式を覚えましょう。

【直線の方程式】
 以下のように、直線の方程式はベクトルの内積であらわせます。
 この直線の方程式①は、ベクトルで学んだ、ベクトルの内積を使ってあらわした直線の方程式です。ベクトルの直線の方程式と対応するこの式①又は①’を覚えましょう。
(なお、式①の直線に平行な直線は、
という方程式であらわせます。g=0のとき原点を通ります。)
この直線に垂直で原点を通る直線の式は以下の式であらわせます。

 ちなみに、zとzの共役複素数の各々に任意の係数を掛け算して和を取った式で、zの係数の絶対値とzの共役複素数の係数の絶対値が異なる式
などの、直線の方程式ではない式には、zが1点に定まる解があります。
 あるいは、zとzの共役複素数の和(2Re(z))=虚数iという式の様に、そもそもzの解が無い式も作れます。)

 一方、教科書では、複素数平面の直線の方程式として教わるのは、式①を以下の様に変形して得られる式③であり、実数と虚数が入り乱れた複雑な形の式です。
 この式③は、ベクトルbが直線の方向に平行という特徴はありますが、複雑な式です。このような複雑な式は覚えきれません。
 直線の方程式は、覚えやすい形の式①又は①’に変換して把握するようにしてください。

 また、2点αとβを通る直線の方程式も以下の図の式のようになります。この式も、意味がわかるので覚えやすいと思います。

ちなみに、この式を変形して、
という形の式にする計算が必要になったとき、その式のパラメータの複素数aは、以下の図の式になります。
この式も覚えてしまっておけば、計算しないで済むので楽です。
 ただし、この(自分だけの)公式を使うときは、Im(ω)をωの式に展開するときに、虚数iの係数を付けて展開しなければならないのですが、その変換計算がとても間違えやすいという問題があります。
(上の式のように i・Im()というように虚数 iとIm()が一体になっている式の場合にはミスを起こしにくいのですが、Im()が単体で使われている式ではミスがとても多くなります。)
 その計算の改善のために、以下の式のIm()とRe()の関係を利用します。
すなわち、Im(ω)の式を直接にωの式に展開するのは避けて、一旦Re()の式に直してから、ωの式に展開するようにしましょう。例えば、以下のように式の計算を進めます。
 このように、一旦Re()の式に直してから、次のように式を展開しましょう。

【直線をあらわす式の位置づけの補足】
 直線の方程式を含む以下の式のzの解の全貌を考えてみます。
ただし、この式の係数はみな、複素数です。

この式の関係を複素数平面に描くと下図になります。
この図だと、何が何だかわからないので、少し式を変形します。
α≠0の場合について、ωに関する上式を複素数平面に書くと下図になります。
上式のようにωの値が定まりました。
すなわち、zの値も定まりました。

 次に、r=1又はr=-1の場合を考えると、以下のようになります。
上の条件の|r|=1の場合にのみ、

で表される式が直線の式になるという事は、
複素数β1の絶対値が1のときにのみ、
この式が直線を表す式になる事を意味します。

最後に、α=0の場合は、以下の式になります。

この場合は、
(1)β=0の場合は、
(1-1)C≠0の場合は解がありませんが、
(1-2)Cも0の場合は、zの解は全ての複素数になります。
(2)β≠0の場合は、zが定まりました。

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