2017年1月8日日曜日

樹形図の基本ルール

以下の例題1と2を参考にして、樹形図の基本ルールを説明する。
《基本ルール》
(1)樹形図を横断する枝の総和(太さ)は常に一定。
(2)発生確率が同じ事象の樹形図の枝の太さは同じ。
(3)樹形図は、根元から枝先まで一定の太さの糸を根元側で束ねた、糸の集合でもある。1本の「糸」は、事象の連鎖の1つの場合を表す。
 その1本の糸は根元事象とも呼ばれる。
(場合の数における全体の事柄が全事象と対応し、事柄が事象に対応し、一つ一つの場合が根元事象に対応するという、対応関係がある。)

(4)樹形図の根から展開した複数の枝を書き、その先で、複数の枝をいったん節に束ねて糸の束を再編成して再度複数の枝(個々の枝は複数の糸の束で作る)に展開することもできる。
 この基本ルールに従って樹形図の糸を自由に束ねた以下の様な樹形図を作ることもできる。
 このように、樹形図の最小構成要素の糸の形を、根から展開し、節に収束させ、再び節から展開する、波状の形を持たせることもできる。 
 それにより、独立なイベント毎に、樹形図を節から複数の事象の枝に展開して、再び節に収束した上で次の独立なイベントの複数の事象の枝に展開する。
 例えば数回サイコロを振るといった複数のイベントを貫く樹形図の糸を考える。その糸を、1回目のサイコロの目という事象が同じであるが、2回目のサイコロの目は異なるという複数の糸を1回目のサイコロの目の事象を表す枝に束ねることができる。

 また、以下の図の様に網目状の節を持つ樹形図を書くこともできる。
 以下でこの基本ルールに従って樹形図を書いて問題を解く例を説明する。

【例題1】
 2枚の硬貨を同時に投げる時2枚とも表が出る確率は二分の一の2乗で4分の1ですが、表と裏が一枚ずつでる確率は2をかけて二分の一にするのはなぜか。

【解答】
 下図の樹形図が書けます。

 表、裏が一枚ずつでる確率は、樹形図の糸が2本あるので2を掛けます。
 表が2枚でる確率は、樹形図の糸が1本しかないので2は掛けません。
(解答おわり)

【例題2】
 箱の中には,両面表のコイン,両面裏のコインそして普通のコインの計3枚が入っ ている。
ここからコインを1枚取り出してフリップしたら表が出た。
このコインが両面表の コインである確率はいくらか?


【解答】
 この基本樹形図を使うことで、 
コインが両面表コインである条件付き確率は、2/3である。
(解答おわり)

【例題3】
 箱の中には,表表示コイン,裏表示コインそして普通のコインの計3枚が入っ ている。
ここからコインを1枚取り出す。

(1)そのコインが普通のコインの場合はフリップして出た面を観察する。
(2)そのコインが表表示コインの場合は表面を表示して置く。
(3)そのコインが裏表示コインの場合は裏面を表示して置く。
(4)こうしてコインの面を観察したら”表”であった。
このコインが表表示 コインである確率はいくらか?

【解答】
 この基本樹形図において:
 表表示コインが選ばれる確率は通常コインが選ばれる確率と同じなので、通常コインが選ばれる枝の太さ2sと、表表示コインが選ばれる枝の太さ2sが同じである。
 通常コインは、太さ2sの枝が「表面」が開く太さ1sの枝と、「裏面」が開く太さ1sの枝に分岐するが、表表示コインが選ばれた場合は、事象を分岐させるイベントを何も行なわないので、その枝の太さは2sのままである。
 この樹形図を使って計算する。コインが表表示コインである条件付き確率は、2/3である。
(解答おわり)

(補足)
 樹形図は、同じ確率で生じる事象に分離させると枝が分割されて各々の枝が細くなる。しかし、特にイベントが無ければ枝は太いままである。
  この例題1と例題2は同じ問題であると言える。例題1でも例題2と同じように、両面表のコインをフリップしないでも問題の結論は変わらない。

【例題4】
1つのさいころを投げ続けて、同じ目が2回連続して出たら終了するものとする。
4回目以内(4回目も含む)に終了する確率を求めよ。


【解答用に作る樹形図】
(ここでは、この問題を解くための樹形図を作って終わりにします)
以下の樹形図を作ります。
樹形図の枝の太さは、その枝の事象の確率を表します。

《樹形図の編集の自由さ》
 上の図の樹形図は、事象を、「(前回と)同じ目」と「(前回と)違う目」という概念で分けた樹形図です。

こういう樹形図が作れる理由は、
樹形図は、最細の糸という基本単位の糸を束ねて構成されていることに起因します。
 「糸」の1つは、樹形図の根元から枝までひとつながりである糸です。その糸は、出る目の数で示した数字の連鎖(3355)であらわすことができます。
 1つの樹形図の例として上図のように、各糸を束ねて、 樹形図の左から右に、(3の目・同じ目・違う目・同じ目)といった枝を構成するように束ねた樹形図が作れます。
 この様に、事象の連鎖を表す「糸」を自由に再編成することで種々の樹形図を書くことができます。
 この糸を再編成して束ねて作る樹形図は、樹形図の根元から枝先までの枝の順を、さいころの目が出る順に対応させねばならないという制約もありません。例えば、(1番目の目・4番目の目・3番目の目・2番目の目)という枝順の樹形図も作ることができます。

【樹形図を編集する例1】
 赤玉5個、白玉3個ある袋から一つの玉を取り出し、その玉を戻さずに2回目に他の玉を引く問題の場合。
この問題の樹形図は、少なくとも以下の2つの樹形図1と樹形図2に編集できる。
《樹形図1》

《樹形図2》

(これらの樹形図では、事象の連鎖の糸の総数は、8×7=56本あり、1本の糸の太さは、1sです)
(1)樹形図1は1回目の試行の結果の事象と2回目の試行の結果の事象との、試行の順に分岐させた樹形図です。
(2)樹形図2は、2回目の試行の結果の事象と1回目の試行の結果の事象との、最後の試行から最初の試行の順に分岐させた樹形図です。樹形図2のような樹形図に編集しても良いのです。
 この2つの図の樹形図は、その枝を構成する事象の連鎖の糸の束が下図の樹形図3のように再構成されている。
《樹形図3》


《樹形図4》
 樹形図1は、確率を枝の太さであらわした以下の樹形図4の形で表現しても良い。

幹と枝の確率を、①②③④⑤の順に求めていくことができる。

【袋から玉を同時に2個取り出す問題】
袋から玉を順番に2個取り出す問題で、取り出す順番に関係付けられていない結果の確率を求める問題は、「コンビネーションを用いて良い定理」によって、袋から玉を同時に2個取り出す問題と等価な問題になる。袋から玉を同時に2個取り出す問題の樹形図は、以下のように考えて作れる。すなわち、同時に取り出した2個の玉が何であったかを順に確認する、第1に確認する玉と、第2に確認する玉と、の確認結果の事象を使ってあらわした以下の樹形図5が書ける。
《樹形図5》

第1の玉と第2の玉の区別は、袋から取り出した2つの玉が何であったかを確認する順番、すなわち、玉を見る順番である。
 その第1の玉と第2の玉は、玉を順番に取り出す問題での先後に取り出した玉に対応付けることができる。その逆に、第1の玉を後に取り出した玉に対応付け、第2の玉を先に取り出した玉に対応付けることもできる。そのため、先に取り出した玉と後に取り出した玉は、互いに対等である。先後が対等であるので、先の2つの樹形図1と樹形図2(玉を取り出す順番を入れ替えた樹形図)が同じ形になった。
 また、樹形図の事象の連鎖の糸の束で構成する枝を再構成した樹形図3について考察する。樹形図3で、左側から見た樹形図の形と右側から見た樹形図の形に変わりが無い。すなわち、先に取り出した玉と後で取り出される玉の関係は、その先後の順を逆に置き換えても変わらない。先後の玉の間には、両方の玉に対等な関係である、互いの玉が異なるという関係だけがある。
 これらのことから、「袋からの玉の取り出し問題において、玉の取り出し順を変えて問題を変更しても、問題の答えが変わらない定理」 が成り立つ。

【樹形図を編集する例2】
 赤玉3個、白玉3個、黒玉3個ある袋から、同時に3つの玉を取り出す問題の場合。
この問題の樹形図は、同時に取り出した3つの玉が何であるかを確認する1つ目の玉と、2つ目に確認する玉と、3つ目に確認する玉が、それぞれ何であるかを表す事象の連鎖の糸を考える。その玉の確認順を並び替えたあらゆる確認のバラエティの数3!=6つの事象の連鎖の糸を束ね、その束の太さを1sとする。
そして、全ての事象の連鎖を、赤m個、白n個、黒t個という形で表した玉の色分けの事象の連鎖の枝に分類する。すなわち、その玉の色分けの事象の連鎖の枝毎に区別して事象の連鎖の糸を編集した以下の樹形図を作成する。


《事象AとBの確率》
 事象Aが起こってから事象Bが起こる確率(P(A∩B)とする)とBが起こってからAが起こる確率(P(B∩A)とする)は必ず一致するか?
すなわちP(A∩B)=P(B∩A),
がいつも成り立つか?

これが成り立たない場合がある。
以下に、その事例を示す。

事例:
袋に赤玉2つと白玉1つがある。
(第1回目の施行)
 袋から1つ玉を取り出し、その玉が赤の場合を事象Aとする。事象Aで無い場合は、玉が白の場合である。
赤玉を取り出した場合に、袋の玉の数を維持するために、袋に白玉を足す。
白玉を取り出した場合に、袋の玉の数を維持するために、袋に赤玉を足す。
(第2回目の施行)
 袋から1つ玉を取り出し、その玉が白の場合を事象Bとする。事象Bで無い場合は、玉が赤の場合である。
赤玉を取り出した場合に、袋の玉の数を維持するために、袋に白玉を足す。
白玉を取り出した場合に、袋の玉の数を維持するために、袋に赤玉を足す。

この事象Aと事象Bをあらわす樹形図を以下に示す。

この場合には、
P(第1回目が赤(事象A)∩第2回目が白(事象B))=
=P(第1回目が白(Aで無い)∩第2回目が赤(Bで無い)),
が成り立たない。

リンク:
樹形図の基本ルール(その2)
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2017年1月6日金曜日

条件付き確率の入試問題10

【問題】
 奇数の目の面が青色で、偶数の目の面が赤色であるさいころが2個ある。
この2個のさいころを同時に投げたとき、
出た目の数の和が9以上であるという条件のもとで出た目の面が同じ色である確率を求めよ。
(2004年 東京電機大)


解答は、ここをクリックした先のページにあります。

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両表コインの条件付き確率の例題2

【例題】
 箱の中には,両面表のコイン,両面裏のコインそして普通のコインの計3枚が入っ ている。
ここからコインを1枚取り出してフリップしたら表が出た。
このコインが両面表の コインである確率はいくらか?


【解答】
 この基本樹形図を使うことで、 
コインが両面表コインである条件付き確率は、2/3である。
(解答おわり)

【別解】
 コインの表が開かれる結果だけの、部分的樹形図を使うことで、
コインが両面表コインである条件付き確率は、2/3である。
(解答おわり)

(補足)
 部分的樹形図を使う場合も、起こりえる全ての場合を漏らさないよう、間違えないよう、注意しましょう。

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2017年1月5日木曜日

条件付き確率とは

《条件付き確率とは》
 事象Aと事象Bが独立していない、事象Bの起き方が事象Aが起きることに影響される場合は、
事象Aが起き、かつ、事象Bが起きる確率は以下の式であらわせる。
Aかつ Bの確率=
=(Aが起きる確率)×(Aが起きた場合においてBが起きる確率)
=P(A)×PA(B),
とあらわす。

PA(B) は、{Aが起きたという条件を前提条件にして、その条件が成り立つ場合において、Bが起きる確率、という条件付き確率}
をあらわす。
 条件付き確率とは、発生し得る全事象のうち、一部の事象の集合に事象の範囲を制限した場合の、その事象の集合の範囲内での所定の事象の発生確率が「条件付き確率」である。

 その事象の集合の範囲を規定する条件が、条件付き確率における「条件」である。

 「サイコロの目が4以上であった場合において」~といった問題における「サイコロの目が4以上」が条件です。

 「サイコロの目が、4以上であると言える5の目が出た場合において」~といった問題においては、定まった条件「サイコロの目が5」こそが条件です。

 ここで、以下の用語の定義をハッキリさせておく。
「事象の排反」は,
「ある試行において、一方の事象が起こったときに
他方の事象は決して起こらない」ことである。

「試行の独立」は,
「2 つの試行が互いに影響を及ぼさない」ことであり,
「ある試行が他の試行とお互い影響しない」
ということである。

これに対して
「事象の独立」は、
「試行の結果として,起こりうる事象が、お互いの起こり方が他方に影響を与えない」ということであり,
「どちらも起こっている」ことが前提になっている。

(補足)
 事象の発生頻度を規定する条件(例えば正解を知っている司会者が好んで不正解を選択することで、不正解が選択される確率を上げるといった条件)は、事象の集合の範囲を制限する「条件」とは異なります。

 条件付き確率は、以下の樹形図で表すと分かりやすい。


ここで、上図の樹形図にあらわした確率の間の関係で、
A∩Bの確率s=a×(s/a)が、確率の乗法定理である。
s/aは上記の式であらわすように、条件付き確率である。

ちなみに、以下の式には注意する必要がある。

直ぐ上の式と直ぐ下の式とが、より正しい式である。


(注意)確率p(A)をn(A)/n(U)で計算するときの全体事象の数n(U)は、同様に確からしいこと(事象の連鎖の枝)の数を数えるので足りる。しかし、全体事象の数n(U)を最小単位である事象の連鎖の糸の数で数えることもできる。そのように全体事象の数n(U)を数える単位がいつも同じであるとは限らないので、注意する必要がある。

 更に言うと、上の式らも、完全に正しい式であるとは言えない。
上の式らで、事象の数の比で計算する確率P(A)の値は必ず有理数になる。
しかし、以下の例のように、確率p(A)の値が無理数になるので、事象の数の比の式では表せない確率P(A)もある。

ビュフォンの針
平面上に間隔dで平行線を引く。長さL(≦d)の針を適当に投げたとき,針が線と交わる確率P(A)の値は、

である。(ここで、πは無理数3.14・・・である)

この確率P(A)は無理数になるので、

という有理数で表す式は、確率P(A)を定義する完全な式では無い。
そのため、条件付き確率をあらわす完全な式は、事象の数n(□)を使わない式である。確率同士の演算によって条件付き確率を表す式が、完全な式である。

(覚える必要が無い公式)
 条件付き確率について、以下の式が成り立つ。しかし、樹形図の方が使いやすいため、以下の条件付き確率の公式は使う必要がない。そのため以下の条件付き確率の公式は覚える必要がない。
Aまたは Bの確率=P(A)+(1-PB(A))P(B)


以上のように、これらの条件付き確率の公式には同じ事をあらわす表現が複数あり、
それが確率の計算を進める効率を悪くする。
そのため、以上の条件付き確率の公式は不便なので使わない。そのため覚えなくて良い。

(事象の独立の様子)
p(A∩B)=p(A)p(B)となる、事象Aと事象Bが独立な場合の樹形図は:
以下の図でs=abとなる場合である。

すなわち:

事象Aと事象Bが互いに独立な場合は以下の式が成り立つ。


【例題1】

 ある夫婦には子供が二人いる。二人のうち少なくとも一人は男の子であるということが分かった。このとき,二人とも男の子である確率を求めよ。ただし,男の子が生まれる確率,女の子が生まれる確率はともに1/2とする。

【解答】
「樹形図の基本ルール」のページのルールに従って、以下の樹形図を書く。

 この樹形図を使うことで、 
2人とも男である場合は、1人が男である場合の3つの内の1つであるので、その条件付き確率=1/3である。
(解答おわり)

【例題2】
 ある夫婦には子供が二人いる。二人のうち年上の方が男の子であるということが分かった。このとき,二人とも男の子である確率を求めよ。ただし,男の子が生まれる確率,女の子が生まれる確率はともに1/2とする。 

【解答】
 この樹形図を使うことで、
2人とも男である場合は、年上の方が男の子である場合の2つの内の1つであるので、その条件付き確率=1/2である。

(解答おわり)

 例題2の問題の場合は、
条件付き確率の問題の「条件」を考える複雑さが何も無く、ある状況(年上の方が男の子である)になっている問題を解くだけの問題になっています。

 そのため、以下の例題3で、後の状況が判明した場合(条件)に対し、最初の状況の確率を求めるという、複雑な条件付き確率の問題を考えます。
【例題3】
 赤玉5個、白玉3個ある袋から一つの玉を取り出し、その玉を戻さずに2回目に他の玉を引くとします。
2回目が赤玉であったとき1回目も赤玉となる条件付き確率を求めよ。

【解答1】

 この樹形図を使うことで、
2回目が赤玉であったとき1回目も赤玉となる条件付き確率は、樹形図の枝の太さの比を以下の式で計算して求められます。

すなわち、その条件付き確率=4/7である。
(解答1おわり)

【(例題3の)解答2】
 樹形図は、事象の連鎖の糸を自由に枝に束ねて、しかも事象の発生順に従う必要も無く、再編成して樹形図を書くことができます。そのため、以下の樹形図を書いてこの問題を解くこともできます。

(この樹形図では、事象の連鎖の糸は、8×7=56本あり、1本の糸の太さは、s/7です)

 この樹形図を使うことで、
2回目が赤玉であったとき1回目も赤玉となる条件付き確率は、樹形図の枝の太さの比を以下の式で計算して求められます。

すなわち、その条件付き確率=4/7である。
(解答2おわり)

【(例題3の)解答3】
 樹形図は、事象の連鎖の糸を自由に枝に束ねて、しかも事象の発生順に従う必要も無く、再編成して樹形図を書くことができます。そのため、以下の樹形図を書いてこの問題を解くこともできます。
 1回目が赤玉である事象を事象Aとし、2回目が赤玉である事象を事象Bとする。

(この樹形図では、事象の連鎖の糸は、8×7=56本あり、1本の糸の太さは、1/56です)
 この樹形図を使うことで、
2回目が赤玉であったとき1回目も赤玉となる条件付き確率は、樹形図の枝の太さの比を以下の式で計算して求められます。

すなわち、その条件付き確率=4/7である。
(解答3おわり)

【例題4】
袋Aには赤玉10個、白玉5個、青玉3個
袋Bには赤玉8個、白玉4個、青玉6個
袋Cには赤玉4個、白玉3個、青玉5個が入っている。
3つの袋から無作為に一つの袋を選び、その袋から玉を一個取り出したところ白玉であった。
その白玉が袋Aから取り出された玉である確率を求めよ。

【解答】
 取り出した玉が白玉になる事象の連鎖を、
(選んだ袋, 出した玉)
であらわす。

事象の連鎖と確率を列記する。

(A,白) 確率=(1/3)(5/18), ①
(B,白) 確率=(1/3)(4/18), ②
(C,白) 確率=(1/3)(3/12), ③

それが袋Aから取り出された玉である確率は、
条件付き確率の問題である
その確率は、以下の図のように全貌を考えて計算する。

その白玉が袋Aから取り出された玉である確率=
={①}/{①+②+③}
={(1/3)(5/18)}/{(1/3)(5/18)+(1/3)(4/18)+(1/3)(3/12)}
={(5/18)}/{(5/18)+(4/18)+(3/12)}
={2(5/36)}/{2(5/36)+2(4/36)+3(3/36)}
={2(5)}/{2(5)+2(4)+3(3)}
=10/{10+8+9}
=10/27
である。
(解答おわり)

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2017年1月4日水曜日

条件付き確率の難問の計算手法

《条件付き確率とは》
 事象Aと事象Bが独立していない、事象Bの起き方が事象Aが起きることに影響される場合は、
事象Aが起き、かつ、事象Bが起きる確率は以下の式であらわせる。
Aかつ Bの確率=
=(Aが起きる確率)×(Aが起きた場合においてBが起きる確率)
=P(A)×PA(B),
とあらわす。

PA(B) は、{Aが起きたという条件を前提条件にして、その条件が成り立つ場合において、Bが起きる確率、という条件付き確率}
をあらわす。
 条件付き確率とは、発生し得る全事象のうち、一部の事象の集合に事象の範囲を制限した場合の、その事象の集合の範囲内での所定の事象の発生確率が「条件付き確率」である。

 その事象の集合の範囲を規定する条件が、条件付き確率における「条件」である。

 「サイコロの目が4以上であった場合において」~といった問題における「サイコロの目が4以上」が条件です。

 「サイコロの目が、4以上であると言える5の目が出た場合において」~といった問題においては、定まった条件「サイコロの目が5」こそが条件です。

 ここで、以下の用語の定義をハッキリさせておく。
「事象の排反」は,
「ある試行において、一方の事象が起こったときに
他方の事象は決して起こらない」ことである。

「試行の独立」は,
「2 つの試行が互いに影響を及ぼさない」ことであり,
「ある試行が他の試行とお互い影響しない」
ということである。

これに対して
「事象の独立」は、
「試行の結果として,起こりうる事象が、お互いの起こり方が他方に影響を与えない」ということであり,
「どちらも起こっている」ことが前提になっている。




直ぐ上の式と直ぐ下の式とが、より正しい式である。


 しかしながら、上の式らも、完全に正しい式であるとは言えない。
上の式らで計算する確率P(A)の値は必ず有理数になる。
しかし、以下の例のように、値が無理数になるのでその式では表せない確率の値P(A)もあるからである。

ビュフォンの針
平面上に間隔dで平行線を引く。長さL(≦d)の針を適当に投げたとき,針が線と交わる確率P(A)の値は、

である。(ここで、πは無理数3.14・・・である)

この確率P(A)は無理数になるので、

という式は、確率P(A)を定義する完全な式では無い。
完全な式は、n(□)を使わない式であり、確率の式同士の演算を表す式が、完全な式である。

(事象の独立の様子)
p(A∩B)=p(A)p(B)となる、事象Aと事象Bが独立な場合の樹形図は:
以下の図でs=abとなる場合である。



【例題1】

 プレーヤーの前に閉まった3つのドアA,B,Cがあって、1つのドアの後ろには景品の新車が、2つのドアの後ろには、はずれを意味するヤギがいる。プレーヤーは新車のドアを当てると新車がもらえるイベントが行なわれた。
 

(場合1)
 当事者プレーヤーが1つのドア(そのドアをドアAと名付ける)を選択した後、選択されたドアAに鍵がかけられた。
そうしたらもう1人のプレーヤーが間違えて、ドアを開こうして、鍵がかかっているドアは開かないので、鍵がかかっていない残りの2つのドアのうちの1つを開けてしまった。そのドアをドアBと名付ける。
(その開かれたドアBが正解であった場合は、このイベントは中止された。)
 ここでは、その開けられたドアBが不正解であった場合を前提条件にし、
その場合における:
(1-1)プレーヤーが最初に選んだ選択ドア(ドアA)が正解である条件付き確率と、
(1-2)開かずに残ったもう1つのドアC(残りドア)が正解である条件付き確率と、
を計算せよ。

(場合2)
 当事者プレーヤーが1つのドアを選択した後、選択されたドアには鍵をかけなかった。
そうしたら他人のプレーヤーが間違えて、ドアを開けてしまった。そのドアをドアBと名付ける。
(その開かれたドアBが正解であった場合は、このイベントは中止された。また、その開かれたドアBが、当事者プレーヤーが選択したドアAであった場合も、このイベントは中止された。)
 ここでは、その開けられたドアBが不正解であった場合を前提条件にし、
その場合における:
(1-1)プレーヤーが最初に選んだ選択ドア(ドアA)が正解である条件付き確率と、
(1-2)開かずに残ったもう1つのドアC(残りドア)が正解である条件付き確率と、
を計算せよ。

【解答】
(樹形図を使う計算手法(公式)の説明)
 以下で、この問題の条件付き確率を計算するのに便利な計算手法(公式)を、この問題に当てはめて使うことで、その計算手法(公式)を説明する。
下図の縦線は、○印で交差する横線の樹形図の枝を束ねた部分的枝をあらわします。
 この問題では、
(1)どのドアが正解ドアであるかという「正解事象グループ」と、
(2)(正解ドアを知らない者が)ドアの正解の当否を確認するためにどのドアを開くかという事象グループと、
は、独立していて、
両者の事象グループの要素の事象の間に依存関係は無く、
それらの要素の事象は全く独立に無作為に発生する。
 そのように、事象グループの関係が独立な場合は、
上の樹形図のように、
(3)「ドアの正解の当否を確認するためにドアBを開く 」という行為に対して、
(4)「正解事象グループ」の事象は、
全くランダムに生じる。
 ここで、ドアBを開いて、それが正解で無い場合の条件付き確率を調べるためには、上の樹形図のように、
(5)単にドアBを開く場合だけを記述した樹形図を作って、条件付き確率を調べて良い。
(6)更に、「正解事象グループ」の要素のうち、イベントが中止になるため、関心の外にある「ドアBが正解」である事象要素を除去して、残りの2つの要素の、「ドアAが正解」「ドアCが正解」だけを記述した樹形図を作って、
条件付き確率を調べても良い。
(手法(公式)の説明おわり) 

(場合1)
 この樹形図を使うことで、
選択ドア(ドアA)が正解である条件付き確率=もう1つのドアC(残りドア)が正解である条件付き確率
=1/2である。

(場合2)
 場合2も、同じこの樹形図を使うことで、
選択ドア(ドアA)が正解である条件付き確率=もう1つのドアC(残りドア)が正解である条件付き確率
=1/2である。
(解答おわり)

【別解】 
(場合1)
下図の縦線は、○印で交差する横線の樹形図の枝を束ねた部分的枝をあらわします。

 この基本樹形図を使うことで、
選択ドア(ドアA)が正解である条件付き確率=もう1つのドアC(残りドア)が正解である条件付き確率
=2/4=1/2である。
(解答おわり) 

(基本樹形図の変換)
 ここで、この基本樹形図は、ドアを無作為に開く事象は、正解ドアがどれであるかの事象と独立である特徴がある。そのため、この基本樹形図は、以下の様に変換することができる。
  先ず、「ドアB」と「ドアC」それぞれのドアの名前を付け変えて事象を記述しても、確率を計算する樹形図の事象間の関係の構成は変化しない。そのため、基本樹形図を、「ドアBを開く」場合1つだけを表示する樹形図に変換して「ドアCを開く」場合を省略しても良い。
 よって、以下の様に変換した樹形図を作って、この樹形図を使ってこの条件付き問題を解くことができる。
 下図の縦線は、○印で交差する横線の樹形図の枝を束ねた部分的枝をあらわします。
 この樹形図を使うことで、選択ドア(ドアA)が正解である条件付き確率=もう1つのドアC(残りドア)が正解である条件付き確率
=1/2である。
(解答おわり) 

(場合2)
 下図の縦線は、○印で交差する横線の樹形図の枝を束ねた部分的枝をあらわします。
 この基本樹形図を使うことで、
選択ドア(ドアA)が正解である条件付き確率=もう1つのドア(残りドア)が正解である条件付き確率
=2/4=1/2である。
(解答おわり) 

(基本樹形図の変換)
 ここで、この基本樹形図は、ドアを無作為に開く事象は、正解ドアがどれであるかの事象と独立である特徴がある。そのため、この基本樹形図は、以下の様に変換することができる。
  先ず、「ドアAを開く」場合は全て、「中止」になるので、関心の対象外なので、基本樹形図から「ドアAを開く」事象を除去した樹形図を書いても良い。
 また、「ドアB」と「ドアC」それぞれのドアの名前を付け変えて事象を記述しても、確率を計算する樹形図の事象間の関係の構成は変化しない。そのため、樹形図を、「ドアBを開く」場合1つだけを表示する樹形図に変換して「ドアCを開く」場合を省略しても良い。
 よって、以下の様に変換した樹形図を作って、この樹形図を使ってこの条件付き問題を解くことができる。
 下図の縦線は、○印で交差する横線の樹形図の枝を束ねた部分的枝をあらわします。
この樹形図を使うことで、
選択ドア(ドアA)が正解である条件付き確率=もう1つのドア(残りドア)が正解である条件付き確率
=1/2である。
(解答おわり)

【公式の成立条件が成り立っていない問題例】
(場合3)
 先の公式は、他の事象と独立な事象グループがある問題の場合に限って使えるものである。
 以下の、「場合3」のように、正解を知っている司会者が間違いをせずに、正解ドアで無いドアを開くという、「正解事象グループ」と、司会者が開くドアの事象との間に独立性が無い問題には、この公式が使えない。

 すなわち、その場合には、ドアを開く事象が無作為では無く、正解ドアがどれであるかに依存する関係があるので、開くドアをドアBのみにすると、事象の依存関係ゆえに「正解事象グループ」の要素が除去されて樹形図の事象の発生のバランスが変えられてしまう。
 そのように事象の発生のバランスを変えた樹形図を使って条件付き確率を計算してはいけない。

(場合3)
 当事者プレーヤーが1つのドア(そのドアをドアAと名付ける)を選択した後、 
プレーヤーが正解のドアを選んでいてもいなくても必ず、正解ドアを知っている司会のモンティが、プレーヤーがドアを選んだ後に、残りのドアのうち必ずヤギがいる1つのハズレのドアを間違えずに開けてヤギを見せた。そのドアをドアBと名付ける。
 その場合に開かずに残ったもう1つのドアC(残りドア)が正解である条件付き確率を計算せよ。

 「場合3」では、以下のように、「正解事象グループ」の要素の事象を全て書き出して、事象の間の依存関係をきちんと盛り込んだ基本樹形図を作って考えなければならない。
(場合3)
 下図の縦線は、○印で交差する横線の樹形図の枝を束ねた部分的枝をあらわします。
残りドアが正解である確率は2/3である。
(解答おわり)
 
場合3のこの基本樹形図は、場合1や場合2のように、「ドアBを開く」場合だけを表示した樹形図に変換して使ってはいけない。
 その理由は、この図では、ドアを開く事象は、正解ドアがどれであるかの事象と依存関係にある(正解ドアは開かない)ためである。
 そのため、ドアを開く事象の中の「ドアBを開く」事象だけを抽出することで、他の、依存関係にある事象とのつながり関係を変えた樹形図に変換してはいけない。

(禁止の理由は「難しいから」)
 この場合3において、ドアを開く事象は、正解ドアがどれであるかの事象と依存関係にある(正解ドアは開かない)ことにより、樹形図の変換が禁止されるのには、論理的根拠はありません。禁止の理由は、「他の事象との依存関係を変えない正しい変換を行なうことが難しい」からです。

 以下で、場合3の基本樹形図を変換してみます。
 正解ドアがAのときに、ドアBを開く場合と、ドアCを開く場合を対等にする。そうすることで、「ドアBを開く」場合1つだけを表示し、「ドアCを開く」場合も代表させて確率を計算する樹形図を作ることができる。
 下図の縦線は、○印で交差する横線の樹形図の枝を束ねた部分的枝をあらわします。
 そのようにドアBとドアCが平等に扱われている事を前提条件にして基本樹形図を以下の樹形図に変換する。
この樹形図で、
ドアAが正解の場合にドアBが開かれる確率は1/2である。
一方、ドアCが正解の場合にドアBが開かれる確率は1である。
 この樹形図から、(ドアBを開いた)条件付きの、ドアCが正解である確率は
である。
(解答おわり) 

(補足)
 この場合3における部分樹形図は、正解ドアがAの場合にドアBを開く場合の枝の太さが、正解ドアがCの場合にドアBを開く場合の枝の太さの半分であるという特徴があります。この特徴が場合1及び場合2と異なります。
 同じドアBを開きそのドアBがハズレという結果が同じなのに、なぜ、場合3の樹形図が場合1及び2の樹形図と異なるのか?
 その理由は、場合3では、ドアBは、ドアCが正解の場合には、必ずドアBを開き、その場合にドアCが開かれることが無いという、正解ドアの存在に依存してドアBの開かれる事象が多くなる事象の偏りがあるためです。

(禁止の理由は「基本樹形図を考えないから」)
 この場合3において、ドアを開く事象は、正解ドアがどれであるかの事象と依存関係にある(正解ドアは開かない)ことにより、基本樹形図を考えずに、いきなり、条件付き確率用の樹形図を作ることが禁止される。

 条件にする事象が、正解事象グループと依存関係にある場合は、基本樹形図から変換する作業をしないで上に書いた樹形図の様な樹形図をいきなり書いてはいけない。
 その理由は、今回も、「正しい樹形図を考えるのが難しいから」です。

 上の樹形図(ドアBを開く事象を条件にする)をいきなり書いて、その樹形図に、正解ドアがAの場合の事象の線の重みの確率p=1/2と、正解ドアがCの場合の事象の線の重みの確率p=1の違いに気付けますか?
という理由です。

 それに対して、場合1や場合2の様に、条件にする事象(ドアBを開く事象)が、正解事象グループと独立な関係にある場合は、(ドアBを開く事象を条件にする)樹形図をいきなり書いて確率計算をしても、正解事象グループの事象の発生のバランスが変えられないので、問題ありません。

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