2015年3月31日火曜日

座標の回転変換の公式を初めて学ぶ学び方




【問】座標の回転変換の公式を複素数平面で導け。
 以下の図のように、ベクトル(X,Y)を、左回りに角度θ回転させたベクトル(X’,Y’)の各座標を、XとYであらわす座標の回転変換の公式を導け。


 上の式で、ベクトル(X,Y)を、左回りに角度θ回転させたベクト(X’,Y’)の座標をあらわすベクトルの回転変換の公式が得られた。

ここで、
(x,y)を(x’,y’)であらわす式と、
(x’,y’)を(x,y)であらわす式とは、
以下の式の様に、θの正負を逆にしただけの式であらわされる、
回転変換式の間の対の関係がありますので、覚えておきましょう。


 この回転変換の公式は常識として、素早く導き出せるようにしましょう。

 この回転変換の公式は、図を目の視線でたどって、
以下の様に場合分けした式の部分を素早く導き出せるようになりましょう。

すなわち、
上の図を思い描いて、図から、

X座標のみがある場合のY’座標が(sinθ)・Xであること。
Y座標のみがある場合のX’座標が(-sinθ)・Yであること。

を想像します。

 次に、それ以外は、係数がcosθの項を加えることで、
下式の回転変換の式ができあがります。
また、計算式は、以下のように視線を動かして、速く計算できるようになりましょう。

リンク:
複素数平面での座標回転を応用した例

2015年3月29日日曜日

ベクトルの外積の応用:角運動量保存の法則




ケプラーの「面積速度一定の法則」を高校の物理で教わります。
 大学に入ると、一般教養で、その法則をもっと汎用化した「角運動量保存の法則」を学びます。

 高校で物理を選択しなかったからと言っても、その知識が教養に必須な理系の大学では、なさけ容赦無く一般教養の「角運動量保存の法則」を学ばされます。

 (角運動量保存の法則とは、
「回転している物体系に外から、回転モーメント=(腕の方向に垂直な力)×(腕の長さ)が加わらなければ、角運動量=(腕の方向に垂直な運動量)×(腕の長さ)が変わらない。」
という法則です)

 この、「角運動量保存の法則」は、「運動量保存の法則」と同じくらいに大切な法則です。

しかし、高校物理では教わりさえしません。
 理系大学が必要とするこの一般教養(必須知識)と高校教育の間に大きなギャップがあります。
 この大きなギャップの存在によって学生が脱落しないようにするには、入試の問題を難しくして学生を選別するしかなさそうです。

 そのため、

「角運動量保存の法則」
=「面積速度(角運動量を質量で割り算した値)一定の法則」
が物理での保存法則の1つであることを理解できる学生である事を学生側が証明するつもりで、
大学の数学の入試問題に挑むと良いと考えます。

 ベクトルの外積の知識の練習として、以下の問題を解きます。
【問題】
 上図のように、水平面上で回転中心Oのまわりに回転する軽いレールに、レールをローラーはさんで固定した重い物体Mが、回転中心Oから距離rの位置で、レールの軸に垂直方向に速度vで運動して、回転中心のまわりを回転しています。

 この物体Mがローラーでレールをゆっくりとたぐりよせて、回転中心Oから距離rの位置までゆっくり上って来たとき、物体は、レールの軸に垂直方向に速度vで運動するものとします。この速度vを計算しなさい。

【解答】
 面積速度一定の法則は、
外積(面積):


という関係があるという法則です。
 の関係が成り立って、

回転中心Oに物体Mが近づけば、物体の速度vは速くなるという法則です。

 その知識は、上の式のように外積という数学の表現を用いることで表現ができます。

 これが、外積という概念の典型的な応用例です。

【問題の解答】
 角運動量保存の法則を使うと、
先の問題の答えは、
 
です。

リンク:
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2015年3月28日土曜日

初めて立体上の三角形の面積を計算するとき




立体上の三角形の面積と外積の関係

 ベクトルの外積が平行四辺形の面積の値を与えるという事を初めて学んだ時は、以下のようにして、その知識を自分のものにしましょう。
 初めて知った「外積の計算」は、それにはどれだけの実用的効用があるのか、自分で具体的に計算してみて、使ってみて、その計算をよく理解するようにしましょう。


【問】
 以下の3次元の立体上の三角形ABCの面積Sを計算するにはどうすれば良いか?
以下は、この問題の3通りの解き方の解説へのリンクです。
これらの解き方は、以下の題名からおおむね予測できますが、
そのヒントだけで、自力で3通りの解き方をできる人は自力で3通りのやり方で問題を解いてください。

 それが自力でできた人は、以下の解説をあえて読まなくても、自力で全てを知ることができると思うので、問題無いと考えます。

(1)ベクトル内積を利用して計算する:一番簡単な計算。
(2)3次元の立体上の三角形の面積を平面上の三角形の逆射影で計算する。
(3)ベクトルの外積を利用して立体上の三角形の面積を計算。

リンク:
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2015年3月26日木曜日

べクトルの外積と複素数の積との関係を初めて学ぶ学び方




ベクトルの外積が複素数の積で表わせる関係を初めて学ぶときは、
 以下のように考えてこの関係があることを納得して学ぶ事が望ましいです。

【問1】
 下図のような、複素数平面上のベクトルaとbで作られる平行四辺形(長方形)の面積2Sを計算せよ。
  面積2Sは、上の式であらわせます。

 【問2】
 下図のような、左に90度回転したベクトルaとbで作られる平行四辺形(長方形)の面積2Sを計算せよ。
  面積2Sは、上の式であらわせます。

 【問3】
 下図のような、複素数平面上のベクトルaと、実軸方向に平行に傾けたベクトルbで作られる平行四辺形(長方形)の面積2Sを計算せよ。
  面積2Sは、上の式であらわせました。

 【問4】
 下図のような、複素数平面上のベクトルbと、虚軸方向に平行に傾けたベクトルaで作られる平行四辺形(長方形)の面積2Sを計算せよ。
  面積2Sは、上の式であらわせました。

 【問5】
 下図のような、ベクトルaとbで作られる平行四辺形(長方形)の面積2Sを計算せよ。
 この式は、個別に成分に分解した以下の式で計算することができます。
 この計算は、以下の図形の面積の変形操作と解釈できます。

この面積の式は、以下の様に、まとまった複素数同士の積の計算の結果の一部であると解釈することができます。
 この式の実数成分は、以下のようにベクトルの内積をあらわし、
虚数成分は、以下のようにベクトルの作る平行四辺形の面積をあらわします。

ここで、2つのベクトルの成す平行四辺形DBOAの面積をベクトルの掛け算(×)であらわし、ベクトルの外積と呼びます。

(注意)
 ベクトルの外積の定義を厳密に言うと、
「2つのベクトルどちらにも垂直な方向(この図の場合は紙面に垂直な方向)のベクトルを計算すること。そのベクトルの長さは、平行四辺形DBOAの面積にする。」
です。

リンク:
第2講4節 点と直線の距離(三角形の面積)
追加講 三角形の面積と行列式
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2015年3月25日水曜日

ベクトルの外積を複素数を使って計算する




べクトルの外積を複素数を使って計算する

 複素数平面であらわした複素数はベクトルです。

ベクトルの外積は平行四辺形の面積の値を与えます。
複素数平面上の複素数を用いても素早くベクトルの外積(平行四辺形の面積)を計算できるようになりましょう。

【問】
 平行四辺形の面積を複素数平面で計算するにはどうすれば良いか?

 その解を考えると、以下の式が考え出せます。
以降で、この式が実際の計算問題を解くためにどれだけ使える式なのか、調べてみます。

リンク:
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2015年3月24日火曜日

複素数計算で円外の点からの直線の円への接点を求める




以下に、ベクトルの内積の計算を複素数で表現します。

【問】複素数平面上の原点Oを中心にする半径1の円(x+y=1)に対して、複素数であらわした点aから引いた2つの接線の円との接点bとcの位置を複素数であらわせ。

 この問題は、ベクトルの内積を使って答えを計算する問題ですが、そのベクトルを複素数で表わして答えを計算する複素数の記号の使い方と内積の式の表現方法を以下で説明します。

 以下の説明を見れば分かるように、ベクトル記号の→記号を毎回符号の上に追加して書くわずらわしさから解放されるので、複素数を使ってベクトルを表現した計算は、その式を書くのがとても楽になります。

(解)
 先ず、この問題の円の中心Oから点aまでの単位ベクトルmを考えます。

 先ず、この問題をもっと易しい問題に変換して解きます。

【問1】以下の点aから引いた2つの接線の円との接点bとcの位置ベクトルを求めよ。

このように簡単化した問題は、すぐ上の式であらわしたベクトルとしての複素数mが点bとcをあらわす解があります。

 もう1つのやさしい問題を解きます。

【問2】
以下の点aから引いた2つの接線の円との接点bとcの位置ベクトルを求めよ。
このようにベクトルとしての複素数aの長さが無限大の場合では、点bの複素数bは、値0を掛け算したベクトルとしての複素数mと、それに垂直なベクトルとしての複素数pの和の解になると解釈します。

 もう1つのやさしい問題を解きます。

【問3】
以下の点aから引いた2つの接線の円との接点bとcの位置ベクトルを求めよ。

このようにベクトルaの長さが√2の場合では、ベクトルとしての複素数bは、1/√2を掛け算したベクトルmと、それに垂直なベクトルpの何倍かの和の解になると解釈します。

 次に、以上で得られた解から、一般的な解を以下のように推測します。

上の式のように、ベクトルとしての複素数bの公式をハッキリした式で推測しました。
 また、この推測の結果は、この公式を導き出すための基準にするベクトルはベクトルmとそれに垂直なベクトルpを基準にしたら良いと示唆するという重要な指針(計算のガイド)を含んでいます。
 
 これで得た公式は推測であって、本当にこの式になるかの確証があるわけではありません。
 しかし、これで、公式の答えを予測できたので、正式な計算で公式を計算する道しるべができたという意味があります。
 このように、答えを予測する計算は、初めて未知の問題を解くときに大切な一歩であり、必要な計算です。是非、答えの予測計算を心がけて欲しいと思います。

 次に、正式な計算方法でこの公式を求めます。
 

【一番簡単な解き方の秘訣】
 (あるベクトルbとベクトルABとが互いに垂直であるという条件のある図形の問題を解くときは、
(1)それらのベクトルbとABを、互いに垂直な単位ベクトルmとpの合成であらわして、
(2)そして、ベクトルbとABが垂直である条件として内積が0であるというベクトル方程式を作って計算すると、
計算が一番簡単になります。)

 以下の図のような図を考えて、ベクトル方程式を解いてベクトルbをあらわす公式を計算します。 

 ここで、ベクトルとしての複素数bを、
 互いに直交するベクトルmとpを用いてあらわし、
それらのベクトルが実数の未知数s倍とt倍されて合成されたものとしてあらわす。

  そして、ベクトルbとベクトルABが直交する以下のベクトル方程式を作って、それらの未知数sとtを求めます。

 このベクトルとしての複素数bの式の形を整えるにあたって、先に予測した式になっているかを確かめながら、予測した式になるように式を変形しました。
 その結果、予測通りの式が得られました。
 この結果を使って、ベクトルbが以下の図のようにあらわせます。



(計算を振り返ってどこが良かったかを考える)
 以上の計算で大事なポイントは、先に公式の解の形を予測してから正式な計算に取りかかった事でした。答えを予測してから正式な計算をしたことで、正式な計算が、「本当に予測通りの答えを導き出せるのか」という期待に背中を押されて計算できました。


 そして、式を計算していく過程で、どういう形の式に答えを導くべきかの目標がはっきりしているので、式を何に置き換えてまとめ上げるかの道に迷わず、答えを得ることができました。

 すなわち、先に予測していた事が、式を次にどのような形に変形したら良いかというガイドになりました。

 このガイドが無ければ、式の計算が最後の形にまで変形できなかったかもしれませんので、先に行なった解の推測の計算がとても大切な役割を果たしました。
  特に、先に行なった解の推測の計算は、問題を解くために、どのベクトルを基準にしたら良いかを示唆するという重要な指針を含んでいますので、問題を解くためにとても大切な役割を持っていました。

【解2】
以下の様に解くこともできます。
(bとcの解答おわり)

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2015年3月23日月曜日

べクトルの内積を複素数を使って計算する




べクトルの内積を複素数を使って計算する

 複素数平面であらわした複素数はベクトルです。
(実際、ベクトルPを複素数x+iyと等号で結ぶ表現をすることもあります。)



ベクトルでは、ベクトルの内積を学びました。
複素数平面上の複素数を用いても素早くベクトルの内積を計算できるようになりましょう。

【問】その計算はどうすれば良いか?
 その解を考えると、以下の式が考え出せます。
 この式のRe()の項がベクトルの内積をあらわすことが以下の計算で確認できます。

 以降で、このように表した内積の式が実際の計算問題を解くためにどれだけ使える式なのか、調べてみます。

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